岸田派、大宏池会結成狙い二階派とバトル開始も菅・二階・安倍氏で迎撃かー菅独裁国家体制へ爆進

さる9月14日に行われた自民党総裁選挙選では菅義偉候補が、岸田文雄候補、石破茂候補を圧倒して勝利を収め、菅候補が内閣総理大臣(首相)に選出された。これに対して、岸田候補は少数票しか集められなかったがそれでも2位ではあった。岸田氏は、最古参の派閥である宏池会(ハト派系)の流れを組む岸田派(47人)の領袖。捲土重来を期して過去に試みられた大宏池会を麻生派(54人)、谷口グループと「大宏池会」結成して、主流派閥の、対米隷属を基調としながらも憲法改悪を目指す清和会系列(タカ派系)の細田派(96人)、二階派(48人)との対抗を目指している。しかし、党内少数派の菅グループが細田派と連携して党内基盤固めに着手しており、岸田氏の構想が実現する可能性は低いと見られる。ただし、主流派の日本国憲法破壊と日本の経済社会の大悪化を追及すれば、次期総選挙と菅・二階氏の国政の在り方と自民党党内の運営如何によっては自民党内の権力基盤に変化が出てくる可能性もある。野党側はそこに突け込まなければならない。

◎追記:10月9日の新型コロナ感染者数は、東京都では1周間前の196人に比べてかなり増加し、249人になった。重症者は東京都の基準(厚生労働省はICUで治療を受けている患者も重症者に加えているが、東京都はこれを除いている)で前日比3人増の24人。モニタリング報告(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均で感染者数は170.4人、PCR検査人数は2870.1人で、陽性率は5.9%だが、公表値は3.3%になっている。市中感染率は60.0%。
新規感染者数が下げ止まりから漸増に転じてきた可能性も出てきたようだ。感染経路不明者の割合も濃厚接触者の割合より傾向的に増加してきており、濃厚接触者を追跡するクラスター対策は明らかに限界に来ている。全国では681人の感染者が確認され、 3人死亡。東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、10月9日時点の東京の実効再生産数は前日比変わらずの0.9、全国では0.02増の0.96。

発端は、次期総選挙で岸田派の林芳正参院議員が二階派の河村建夫衆院議員の選挙地番である山口3区に立候補する動きを見せていることだ。林氏は、農林水産大臣(第55代・第58代)、文部科学大臣(第22代・第23代)などを歴任し、ハーバード大学で公共経営士(MPA)の学位を取得したそれなりの「政策通」。Wikipediaによると、通産省(現在経済産業省)官僚である林義郎の長男として、東京都で生まれる。1969年、父・義郎が第32回衆議院議員総選挙に旧山口1区(中選挙区)から出馬するのに伴い、一家で山口県下関市へ転居し、下関市立文関小学校に転入。1973年に下関市立文関小学校を、1976年に下関市立日新中学校を卒業。1979年、山口県立下関西高等学校を卒業した。1984年、東京大学法学部第2類(公法コース)を卒業。

三井物産に就職後、ファミリー企業サンデン交通に入社、同社社長秘書を務めるなどして、ハーバード大学に留学。帰国後、父・林義郎の跡を次いで、1995年、第17回参議院議員通常選挙に自由民主党公認で山口県選挙区から出馬し、初当選した。いわゆる、家業としての国会議員を世襲した世襲型国会議員であり、地番・看板・カバンを世襲し、後援組織の充実度、知名度、ファミリー企業を通した選挙資金の集金力は抜群とされている。

その林氏が恐らく、岸田氏の要請もあって年内にも実施が想定されている衆院山口3区に出馬する意向と伝えられている。当然、同区から選出されている二階派の河村建夫衆院議員(71)を含め二階派の領袖である二階俊博幹事長が猛反発し、二階幹事長が二階派の一族郎党を引き連れて「縄張りを荒らすものは容赦しない」と断固戦う姿勢を見せた。デモクラシー・タイムスの「横田一の現場直撃(https://www.youtube.com/watch?v=yqVFGEdPS8I)」参照。

山口県3区と4区の総選挙対立候補

山口県3区と4区の総選挙対立候補

実は、山口3区と安倍晋三元首相選出の4区とは、中選挙区時代にはほぼ同じ1区であり、関係が深い。横田氏によると、山口市長選挙戦は安倍氏と林氏の対立という構図であり、「桜を見る会前夜祭」「桜を見る会」では、その背後に安倍陣営と林陣営の対立があったとされる。安倍陣営を強化するための戦術だったというわけだ。山口市長の選挙推移は次のようになっいる。

これをみると、安倍陣営と林陣営が交互に市長を送り出していることが分かる。そこで、岸田氏としては選挙基盤の強い林氏を衆院に鞍替えさせて、将来の自民党総裁候補にすることを考えたとしても不思議ではない(未だに、総理・総裁は山口県選出議員がダントツの多さを占めている)。ただし、総選挙での陣頭指揮は二階幹事長が取ることから、公認は得られない。無所属として出馬して、勝ち抜けるかにかかっている。林氏も山口市の市議会議員などから、総選挙での支援は次期総選挙までとの通告を受けていると言われている。しかし、野党側が明確な理念と政策、政権構想を立てて総選挙に臨めば、仮に林氏が出馬した場合には、いわゆる「保守王国」の山口県での分裂選挙になり、場合によっては野党候補が勝つ可能性もなくはない。

内部亀裂を深めつつある自民党

内部亀裂を深めつつある自民党

通常は、今回の自民党総裁選挙では二階幹事長の協力が不可欠だったことから、細田派、二階派に加えて菅グループも応援に回るだろうから、勝算はかなり低いと見られる。しかし、安倍首相(当時)としては二階氏を幹事長の座から降ろすことを狙っていたと伝えられていることや、米国のポンペオ国務長官が。ニクソン大統領・キッシンジャー首相補佐官の(忍者)外交以来の対中抱き込み政策が大失敗であったとして、「米中新冷戦構造」の構築を進めている。その背後には今日まで米国を支配してきた軍産複合体(民主党バイデン候補を背後で操る)の存在があることは確かだろう。

トランプ政権は軍産複合体と妥協しながらも、ケネディ、ニクソン大統領と同じように軍産複合体には非協力的であると言われている。ケネディ大統領が真犯人の不明な暗殺に遇い、ニクソン大統領が米紙の報道で発覚したウォーターゲート事件で失脚した背後にも、軍産複合体が存在するとの指摘がある。軍産複合体はマスコミをも支配していると言われる。あくまでも参考サイトであるが、行政調査新聞http://www.gyouseinews.com/p4_naigaijousei%20kokunaitenbou/2020062501.pdf、田中宇氏のhttp://tanakanews.com/191010trump.htmを参考にして下さい。中国との深いつながりを持っている二階氏を筆頭とする「媚中派」は排除せよとの声も聞こえてくる。

菅首相は官房長官の時代の今年5月に、官房長官としては異例の米国詣でを行っている。日本の対米隷属構造が一段と強化されることになるだろう。余談だが、日本の法体系は、実質的には日米地位協定→日本国憲法→条約→法律→政令→省令になっている。この日米地位協定の粘り強い改正なしに、日本の法秩序は民主化されない。それはさておき、こうした経緯を考えると、菅グループや細田派が必ずしも、二階派を支援するとは限らない。二階氏も川村氏も高齢である。特に、二階氏は81歳とかなり高齢である。また、二階氏は一度、小沢一郎衆院議員とともに自民党を離反し、小池百合子東京都知事らとともに行動を共にし、保守党を結成・所属してから自民党に復党したという「傷のある過去」もある。

岸田派の領袖である岸田氏は、こういうところも見越して、林参院議員を3区に出馬させようとしている可能性もある。こうした岸田派りの「割り込み」(石破派の取り込みも視野に入れている)の構図は、静岡県と高知県でも見られる。次の図がそれだ。

なお、細野豪志衆院議員も一時、小沢一郎衆院議員と行動をともにしたが、最終的には自民党に取り込まれた。小沢氏の終生の目標は、政権交代可能な健全な保守党と日本版の社会民主党の保革二大政党制を確立することである。日本は日米地位協定によって米国に対する事実上の隷属国になっているため、そうした二大政党制を築こうとする場合には必ず、米国のCIAが対日工作を行い、「保守(反動)」の二大政党制を作る動きを見せる。昔は民社党、最近の例では日本維新の会がそれである。だから、小沢氏の目標についていくことは極めて難しい。そのために、挫折するものも多く出てくるが、だいたいは哀れな最期を遂げる。

いずれにしても、二階派の行方は盤石ではないし、菅グループも少数だから、「恐怖独裁体制」を敷けば敷くほど、国民が民主主義を諦めなければ、国民、知識人はもちろん国家公務員(官僚)や自民党内から面従腹背もしくは反抗という「パンチ」を食らうことになる。日本学術会議で任命を拒否した6人の人文・社会科学者は要するに「見せしめ」に過ぎない。

見せしめから日本学術会議会員に形式的任命されなかった人文・社会科学者

見せしめから日本学術会議会員に形式的任命されなかった人文・社会科学者

※追記(10月10日午後19時):立憲民主党の小西洋之参院議員が10月2日のツイッターで「国立公文書館の内閣法制局審査資料で、菅総理の任命拒否が違法無効である証拠を発見。昭和58年に総理任命の条文を設けた際の国会想定問。「内閣総理大臣による任命は、実質任命であるのか。」との問に「この任命は、形式的任命である。」と明記。形式的任命で任命拒否をするのは法的に不可能だ」と投稿している。下図が総理府作成の国会相当問答集の写真。

なお下図は、「世界経済のネタ帳(https://ecodb.net/ranking/imf_pppgdp.html)」で見た購買力兵器による世界各国のランキング表である。米国中心の世界秩序は、同国の弱体化で大きく変わりつつある。日本も対米隷属外交はもはや続けることができなくなる時代がすぐそこまでやってきている。

購買力平価でみた世界の国内総生産(GDP)の比較

購買力平価でみた世界の国内総生産(GDP)の比較

菅首相率いる政権・自民党も「米中新冷戦」のもとで、中国に多大の資金協力と投資を行ってきた日本経団連(経済産業省を傘下に置く)と摩擦を起こすことも考えられる。菅政権は独裁国家の樹立を爆進しているように見えるが、時代が新自由主義から共生主義、米国中心の世界から東アジア共同体形成の時代へと構造的に変化しつつある今日、野党側もそれに気づいて、正しい経済政策と言葉の正しい意味での積極的平和外交政策を深めていく必要がある。なお、日本共産党は「天皇制・自衛隊・非武装中立・生産手段の社会化(私有財産を保証した日本国憲法に違反する疑いがある)」問題で、まともな対応ができなくなっている。スターリン主義を克服した「日本型共産主義思想」を国民に提示しなくてはならないが、「共産主義」という名前に固執していてはそれは不可能だろう。



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