菅政権、警察独裁国家樹立に爆進ー野党第一党の立憲・枝野代表民主主義守る気概感じられず

安倍政権のあとをついだ菅政権がしんぶん赤旗10月1日付のスクープで、日本学術会議(以後、会議)に従来の日本学術会議法(日学法)の「形式的任命」解釈に反し、警察畑の杉田内閣官房長官(官僚組織)の進言を受けて(スクープ後に発覚)実質的に政府の「政策」の問題点を指摘してきた人文・社会科学者6人の任命を拒否した可能性が強くなるなど事実上、警察独裁国家樹立に向けて驀進している。野党は共闘して菅政権の日本国憲法破壊、国会を無視した法律の実質的変更行為を阻止しなければならないが、野党第一党の立憲の枝野代表の真剣さが疑われている。現状では、戦前・戦中の全体主義独裁国家への回帰が現実のものになる可能性が強くなってきている。

10月18日日曜日コロナ感染状況

10月18日日曜日の新型コロナウイスル新規感染状況は、東京では前週11日曜日の146人より14人少ない132人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。全国では午後20時時点で、431人の感染者と4人の死亡者が確認されている。3日前のPCR検査件数は4827件で11日の4787件よりも40件増えている。厚生労働省の基準よりは少なくなる都基準の重症者は前日より1人増えて24人になった。
東京都のモニタリング指標は(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)7日移動平均での感染者数は179..4人、PCR検査人数は3801.3件だから、瞬間陽性率は4.71%。東京都独自の計算方式では4.0%。感染経路不明率は55.96%。3日連続して前週の同じ曜日に比べて感染者数が多少減少しているが、油断はできない。18日に東京都に報告されているPCR検査人数は不明だ。東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1017日時点の実効再生産数は東京都が前日比0.03人減少の1.05人、全国が同0.04人増加の1.02人。

朝日デジタルが10月6日20時38分に公開した「学術会議(任命拒否問題)、ナチス時代の牧師の言葉が現実に 森達也さん」と題する記事によると、映画人の有志22人が日本学術会議の会員任命問題で「抗議声明」を発表したが、その中のひとりである森達也詠詠歌監督が第一次大戦後のドイツでナチス(国家社会主義労働者党)の台頭を防げなかった時代が現実のものになってきていると嘆いていることを伝えている。ナチス時代の牧者とはマルティン・ニーメラー牧者であり、ニーメラー牧師は次のように語っている。

ドイツのマルティン・ニーメラー牧師
ドイツのマルティン・ニーメラー牧師

「ナチスが共産主義者を攻撃し始めたとき、私は声をあげなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったから。次に社会民主主義者が投獄されたとき、私はやはり抗議しなかった。なぜなら私は社会民主主義者ではなかったから。労働組合員たちが攻撃されたときも、私は沈黙していた。だって労働組合員ではなかったから。そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる人は一人もいなかった」

菅政権は、中曽根康弘元首相の葬儀に対する何らかの弔事行為を国公立の大学長あてに実質的に命じる通達を出した。中曽根は初代科学技術庁長官の正気松太郎とともに、原子力の「平和利用」と称して原子力発電所の建設・普及に努めた、また、レーガン米大統領、サッチャー英国首相とともに日本の経済社会の破綻をもたらした新自由主義政策を日本に導入した人物である。弔慰を示すのは国民一人ひとりの「心の問題」であり、通達は、憲法23条が保障している「学問の自由①教員・研究の自由な活動②教育機関の自主・自律的な活動)」に抵触しよう。首相経験者の葬儀はこれまで、政府・自民党の合同葬儀として行われ、大学など教育・研究機関に「弔慰の通達」を出すことなどはなかった(デモクラシー・タイムスの「学術会議は最初の一撃 警察官僚内閣への懸念広がる」https://www.youtube.com/watch?v=O5KDq-Q7NTw参照)。

次に、政府=菅政権は、東京電力福島第1原発事故で発生する放射能汚染水(ヒトや生物に極めて有害な高濃度のトリチウムなどの放射性物資を含む)を貯めているタンクを製造・設置している敷地の空き地が少なくなってきたとして、2022年ころにも福島県沖の海に放出する意向だ。「廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議」(議長=加藤勝信官房長官)を月内にも開催して決定する予定と報道されている。

地震か津波で破壊された原子炉はいまも冷却水で冷却し続けているが、冷却は止めることができず。高濃度の放射能汚染水を多核種除去設備(アルプス)で「処理」し、「処理水」をタンクに貯めている。しかし、アルプスでは放射性物質のトリチウムは除去できず、トリチウム以外の放射性物質の除去にも限界がある。政府=菅政権は、「処理水」という名の汚染水は薄めて海洋に放出するとしているが、しんぶん赤旗によると汚染水に含まれている「タンク内のトリチウム汚染水濃度は1リットル当たり数十万~数百万ベクレル。平均濃度(同73万ベクレル)は、敷地内の地下水をくみ上げて海に放出する際の基準(同1500ベクレル)の約500倍」(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-10-17/2020101701_01_1.html)という状態。

また、トリチウム以外の放射性物資も国の排出基準を超えて残っている(東京新聞10月16日付1面)。薄めても魚や国民、環境に危険なことは変わりはない。菅政権は、「風評被害」に対する対策は行うとして、地元の漁業協同組合を説得しているが、「風評被害」にとどまらず、魚への蓄積を通してヒトの健康にも重大な悪影響を及ぼす可能性は極めて濃厚だ。地元の漁業協同組合は絶対反対だが、被害が地元だけでなく全国の水産業者、国民に及ぶ公算は大きい(写真はNHKのhttps://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/22200.htmlによる)。

日本学術会議会員の任命決済書
日本学術会議会員の任命決済書

福島第一原発の汚染水貯蔵タンク
福島第一原発の汚染水貯蔵タンク

日本国憲法破壊・国権の最高機関である国会無視の法律の実質的改竄・権力の私物化(血税である税金の私物化)は安倍晋三前政権から日常茶飯事に行われてきた。その完成を目指しているのが、警察官僚と「民営化」という名の血税で構築した国有財産の売却を通じて私利を貪る民間の新自由主義者、警察コネクションの閣僚を任命するなどして側近に置いている、後継政権の菅義偉政権だ。このことについては、次の投稿記事で触れておいた。

これは、自公与党政権が御用マスメディアやインターネットを通して世論を操作し、投票率を低くしているためだ。自公の有権者全体に占める支持率は合わせて25%程度と言われているが、選挙には必ず投票に行く。国政選挙の投票率が余りにも低いため、小選挙区比例代表並立制の選挙制度の下では、自公両党が圧倒的に有利になる。次の時事通信社が10月9日から12日にかけて行った世論調査がひとつの参考になる(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020101600763&g=pol)。

あくまでも参考程度だが、自民党・公明党は横ばい。日本維新の会が趨勢的に支持率を落としているのは、同党が菅政権と癒着し、大阪府の実質経済成長率も全国平均より悪化するなどその正体が明らかになってきているからだろう。Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E4%B8%AD%E5%B9%B3%E8%94%B5#%E9%A1%A7%E5%95%8F%E5%9B%A3)によると、日本維新の会が2012年9月、同年衆院選の候補者を選定するため、竹中平蔵氏(現在の役職はパソナ会長兼東洋大学教授)を「公募委員会」委員長に起用したことがあり、日本維新の会とその前進である大阪維新の会と竹中氏のつながりは深い。竹中氏と言えば、「構造改革路線」と称する国有財産=国民の血税で築いた国民の資産を外資系の企業を中心に民間企業に売却する「民営化路線」の音頭を取ってきたことで知られるが。政府=菅政権が今回、新たに立ち上げた「成長戦略会議」(議長=加藤勝信官房長官)の有識者メンバーに選ばれた(参考サイトhttps://news.1242.com/article/246580https://ameblo.jp/mainichi0320/entry-12601696512.html)。「維新の生みの親」との噂がインターネットで流れている。

小泉純一郎首相とともに「構造改革路線」を進めてきた竹中平蔵氏
小泉純一郎首相とともに「構造改革路線」を進めてきた竹中平蔵氏

この民営化路線はPFI(Private Finance Initiative)と呼ばれており、「公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法」。内閣府のサイトhttps://www8.cao.go.jp/pfi/pfi_jouhou/aboutpfi/aboutpfi_index.html)では良いことづくめのように紹介されているが、本質的な中身は上記に示したように国有財政=国民の財産を外資に売り渡し、仲介した日本の業者はキャッシュバックを受けられる。

「民にできることは民に」と小泉純一郎首相は(当時)は竹中氏の提案=支持に従って「郵政民営化」を行ったがこれが大失敗だったことは、かんぽ生命の不祥事や郵便局会社が経営に行き詰まっていることに象徴されるように、「民営化」は失敗している。れいわ新選組の山本太郎代表も、「ソーシャル・ディスタンス街宣」でもてはやされたNTTの民営化も失敗だったことを指摘している。日本の官公庁、地方自治体のデジタル化のプラットフォームは、Amazon Web Service(AWS)というクラウドサービスを使用することになっており、NTTのシステム開発力は弱体化して蚊帳の外に置かれている。「民にできることは民に」ではなくて、「官(国民のためにサービスを提供することが公僕である官僚の仕事)でしなければならないことは官でする」というのが本来かつ本当の姿だ。

日本維新の会の今後は、11月1日に大阪市で行われる「大阪府を永遠に廃止して、4つの特別区に再編する」ことの是非を問う住民投票の結果による。当初は住民投票で賛成派が10%ポイントリードしていたが、最近では賛成派と反対派の差が3%ポイント程度に縮まっている。しかし、「必ず投票に行く」という層に限定してみると、差は縮まつているものの、4%程度になっている(https://www.asahi.co.jp/abc-jx-tokoso/)。ついでながら、ネットでの調査では「(Twitterなどで)“都構想”というワードと一緒につぶやかれている言葉を我々が解析したところ、SNS上の反応は報道各社の世論調査とは違って、“反対意見”の投稿が多いのが特徴的です」(https://news.yahoo.co.jp/articles/2abd52ee36a727b35cc0717aed71e3fafa869487)というところだ。

それにしても、野党第一党である立憲民主党の政党支持率が3.8%しか無いことが重大問題だ。これは、枝野幸男ー福山哲郎幹事長ー安住淳国対委員長の執行部トリオの責任だろう。同党の新綱領や政策を読んでも、国民の現下の苦しみに応える内容が感じられない。水面下において、国民民主党を除く野党の間で思い切った政権構想(理念・政策・国家像)を準備中というのならまだしも、そうでないなら、菅政権の「新自由主義政策体系」に真っ向から対峙できる共生主義に基づくインパクトのある(投票率を引き上げることの出来る)政権構想を早急に打ち出す必要がある。仮に住民投票で維新側が勝ったとすれば、その勢いで菅首相が解散・総選挙に打って出る可能性もある。その場合は、今の立憲執行部が野党共闘の要になる。確かな政権構想を打ち出せない限り、菅政権の警察全体主義独裁国家樹立への爆進を止められないだろう。なお、新型コロナウイルスの感染状況も重要なファクターになる。

ただし今後、如何なることが起きたとしても、日本国憲法が保障している日本の主権者は国民であるという国民主権の理念を堅持し、行使していかねばならない。



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