東京オリンピック/パラリンピック組織委の森喜郎会長は開催可否の判断は3月24日までと発言

東京オリ/パラの大会組織委員会の森会長(元首相)は、西日本新聞とのインタビューで今回の開催可否の最終判断時期は、遅くとも福島県から3月25日に始まる聖火リレー直前までとの判断を示した。

1月23日土曜日コロナ感染状況

本日1月23日土曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月16日土曜日の1809人を人下回ったが11日間連続1000人超えの1070人、死亡者は9人、重症者は前日比2人減少して156人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1289.4人、PCR検査人数は9701.1人だから、瞬間陽性率は13.29%。東京都独自の計算方式では9.8%。感染者のうち感染経路不明率は56.65%だった。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者数は4717人、死亡者数は83人が確認されている。重症者は前日比2人減の1009人。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月22日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人減の0.95人、東京都は前日比0.06人増の0.96人となっている。

東京都のコロナ感染者数の推移

東京都のコロナ感染者数の推移

九州のブロック紙である西日本新聞が21日22時56分、同紙のサイトに公開した「五輪開催、3月聖火リレー前までに判断 組織委・森会長 再延期は否定」と題する記事で報道した。

【追記:23日】東京新聞23日付2面によると、政府=菅義偉政権内部では観客数の制限(➀無観客②競技場収容能力人数の半分または5000人以下)を行ってでも強行開催する案が検討されているという(https://www.tokyo-np.co.jp/article/81470/)。しかし、無観客時合の場合は関西大の宮本勝浩名誉教授の試算で経済的損失が2兆4133億円に上るとの試算もある(https://www.tokyo-np.co.jp/article/81453/)うえ、大相撲のように汗など体液や発生で選手自身が新型コロナに感染する可能性があることも考慮に入れなければならない。観客数の制限では、外国人感染客の受け入れ体制や各種競技での感染防止のための医療資源が確保できるか不明だ。観客数の大幅な制限では、菅首相が所信表明で語った「福島復興五輪、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証としての五輪」という「決意表明」が意味を持たなくなる。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が21日、西日本新聞の単独インタビューに応じた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて国内外で懐疑論が出ている夏の東京大会について、3月25日の五輪聖火リレーのスタート前に、予定通り開催するかの判断が出されるとの見通しを示した。再延期の可能性は否定した。

東京オリ/パラ大会組織委の森喜朗会長

東京オリ/パラ大会組織委の森喜朗会長

森氏はこの日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の意向で電話会談を申し入れてきたコーツ調整委員長に対し、東京大会開催は「何ら変わっていない、と伝達した」と強調した。世界的なコロナ禍を背景に、IOC関係者の間にも東京大会実現に悲観論がある。森氏は「最悪の状態をいろいろ想定して考えるのは当たり前だ」とした上で、五輪の行方は「聖火リレーが出るかどうか、延ばすかどうかで自然に分かる」と述べた。

報道各社の世論調査で回答割合が高い再延期論に関しては「ありえない」と明言。東京都や関係省庁から出向している組織委職員の処遇などを理由とした。

博報堂出身でオリンピック問題に詳しい本間龍氏にリークされた内部情報(https://www.youtube.com/watch?v=eMGxAMPRb90https://www.youtube.com/watch?v=WFm-aLHc3ZU)によると、19日または20日に開かれた大会組織委による各地方自治体への聖火リレーのマニュアルについて説明会が持たれたが、その際、組織委は聖火リレーを行う1カ月前に非常事態宣言が発令されていた都道府県は聖火リレーを取りやめると伝えた。しかし、出席地方自治体側はひとつの都道府県でも1カ月前に非常事態宣言が発令されていたなら、聖火リレーを中止して欲しいとして、説明会が紛糾した。森委員長の発言はこうした事態を踏まえたものだろう。

聖火リレーは、オリンピックの看板だ。聖火リレーのスポンサー企業も多く、企業としては多額の支援金を拠出している。中止となれば、損害賠償を求めて訴訟が起きるか、企業の株主総会で経営陣が背任行為を追及されることになる。組織委とスポンサー企業との契約に、「組織委、スポンサー企業の間に、いかなる事態が発生しても、支援金は返却しない」旨の契約条項が盛り込まれている可能性があるからだ。本サイトでもしばしば述べてきたように、東京オリ/パラ強行開催の可否の決定は遅くとも聖火リレー実施直前だろう。

コロナ禍でのもとでの東京オリ/パラ開催は、医療体制の確保など問題が山積みだ。11都府県に限定的緊急事態宣言が今月1月8日に再発令されたが、全国の新規コロナ感染者数は5000人台が続いており、開催の中心地になる東京都では10日連続で1000人台になっている。このため、感染患者を受けられることができなくなっており、東京都のモニタリング調査では、22日の時点で自宅療養感染患者が8814 人、より重症化しているとみられる入院待ち感染患者が6276 人と1万5090人に上っている。

世田谷区による観戦場所の割合

世田谷区による観戦場所の割合

自宅療養中に突然、症状が悪化し、亡くなられるケースもあとを絶たない。昨日22日は、30代の女性の自宅療養患者が、夫や子どもを含む他者に感染させた可能性があるとして苦しみ、自死するという痛ましい事故が発生した。

コロナ第三波の襲来は確実視されていたから、無症状感染者が拡大の震源者になっていることが判明している以上、感染震源地(エピセンター)では感染症法に基づく行政検査だけではなく、PCR検査では技術革新が進んでいることから一度に複数の検体を検査できるプール方式などの優れた検査方式を導入して、十分な休業補償措置を講じたうえで、大規模な社会的検査と陽製患者の保護・隔離・適切な医療施設での医療措置を行える体制を構築してしかるべきだった。

政府=菅義偉政権内ではコロナ対策の主役官庁であるはずの厚生労働省は昨年の9月、政府=安倍晋三政権(当時)が、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を第Ⅱ類相当指定感染症に精励してしまい、行政検査しか受けられなくなるようにPCR検査を抑制してきた。このことに対する国内の感染症専門家や国民の批判の高まりを受けて、こっそりと「希望する者に対して複数回のPCR検査を行う社会的検査を実施すること」を全国の都道府県を通して基礎自治体に通達した。

しかし、検査を受けて陽性となれば、陽性患者に対しては保護・隔離・適切な医療施設での抗ウィルス剤(アビガン=錠剤=やレムでシビル=点滴=)の投与を中心に、適切な医療措置を行う必要がある。この際に重要なことは、➀簡易でも医療施設を確保・設置すること②仕事ができなくなった陽製患者に対して安心して治療ができるように十分な休業補償措置を行うことが必要だった。しかし、政府=菅政権はこれらの要請には全く応えて来なかった。

むしろ、北海道では冬入り間近の中秋以降、Go To トラベルキャンペーンを強行実施し、北海道を皮切りに全国に新型コロナウイルス感染を拡大させた。これは、国立感染研究所の遺伝子解析が明らかにしている。日本では武漢型のコロナウイルによる感染は沈静化したが春以降、欧米で感染が拡大したミラノ型が日本に持ち込まれ、ミラノ型新型コロナの拡大が始まった。この途中で、ミラノ型コロナウイルスが東京都・埼玉県で変異し、首都圏型のコロナウイルスが日本全国で感染拡大を起こすようになった。

これを助長したのが、Go To トラベルだ。だから、日本では厳密に言えば、第三波が襲来している。これにスペインで変異したスペイン型が日本に上陸して、第四波になっている。本サイトでは、便宜上第三波と第四波をともに第三波としている。これに英国で変異した感染力が非常に強い英国型のウイルスに市中感染した3人の男女県民が静岡県で発見され、次第に感染を拡大している模様だ。東京新聞のWebサイトによると、死亡率は従来型の1.3倍(https://www.tokyo-np.co.jp/article/81601?rct=coronavirus)。東京都でも英国への渡航歴がない10才以下の女児が感染したという(https://www.tokyo-np.co.jp/article/81498?rct=coronavirus)。英国での新型コロナ変異種が静岡県だけでなく、日本全国に広がり始めたと見ておくことが肝要だ。

第三波の襲来で新規感染者が多くなり、既に述べたように感染者が自宅待機や入院待ちを余儀なくされ、適切な医療措置を受けられずに死亡している。少なくとも、11都府県では医療崩壊が進行中なのだ。これに加えて、政府=菅政権が期待しているファイザー製の新型ワクチンの早期接種が不可能になったようだ。これは、厚労省が天下り先である日本ファザー社と供給に向けての交渉を行っていたためだ。日本ファイザー社は米国ファザー社の支店のようなものであり、ファイザー社製のワクチンを供給の決定を行う権限はない(https://news.yahoo.co.jp/articles/84624e03dc9086c18f25cf75abdf5e2a11357f47)。

河野太郎ワクチン担当相は22日の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチン確保の見通しをめぐり、坂井学官房副長官が21日の記者会見で「6月までに接種対象となる全ての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」とした発言を修正した。「政府内の情報の齟齬(そご)があった」と述べた。「まだ(ファイザー社のワクチンの)供給スケジュールが決まっていない」とも説明し、見通しは白紙の状態だと強調した。

詳細はYoutubeの「一月万冊」のチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=AHWDM8rTm-g)に詳しい。政府=菅政権自体は東京オリ/パラ開催には新型ワクチンは間に合わないことは認識している。

しかし、元寇(げんこう)の乱(1274年、1281年)の際に、大型台風で元・高麗連合軍が壊滅的打撃を被り、日本を侵略・戦争ができなかったという歴史的経験がある。このことから、戦中には「神風(かみかぜ)」で日本は太平洋戦争(米軍)に勝つと信じ込まされていた(実際のところは、当時の日本国民は米軍の圧倒的な戦力=例えは、東京を始め全国主要都市手の空爆=を肌で感じていたから、誰も信じていなかったと思われる)が、これと同じよう政府=菅政権も、新型ワクチンを「神風」として捉え、無為無策、支離滅裂な「対策」を適当に行っても、ワクチン接種で日本国民に集団免疫ができてコロナ収束に至ると考えていることは確かだろう。

しかし、新型ワクチンの確保交渉すら、まともになされていなかった。なお、新型ワクチン相に菅首相お気に入りの河野太郎行革相を任命したのは不思議だが、要するに河野太郎行革・コロナ担当相が菅首相のお気に入り(子分)で、党内の後継者争いを有利に運ぶためだ。

こうした事態に、野党側は日本共産党や立憲民主党が今夏のオリンピック中止・延期論を打ち出した。森大会組織委員長は西日本新聞との単独インタビューで再延期はあり得ないと明言しているし、国際オリンピック(IOC)の公式見解も再延期はないというものだから、中止を求めたことになる。むしろ、一刻も早く中止して、オリ/パラ延期費用をコロナ対策のための医療機関の減収補填やPCR検査を社会的検査として行うこと、各種の競技施設、オリンピック村を簡易医療施設にして、コロナ禍対策に充てるのが筋だ。

ただし、感染状況が極めて厳しい大阪市などの大都市にも簡易医療施設を設営する必要がある。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、国会の代表質問などで、野党から今夏の東京五輪・パラリンピックの中止や延期を促す声が相次いで上がっている。菅義偉首相は、開催する方針を変えていないが、感染拡大が収束しなければ、難しい判断を迫られかねない。

21日の衆院本会議で、共産党の志位和夫委員長は、世界各国でのワクチン接種が五輪までに間に合わないことや、多数の医療従事者を五輪に振り向けることは難しいとして、「今夏の開催は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中すべきだ」と求めた。(中略)

20日の代表質問で、立憲民主党の枝野幸男代表は「世界的に感染拡大が収まらない以上、希望的観測だけで(東京オリンピック/パラリンピック開催に向けて)走るのはかえって無責任」と指摘。「万一の事態に備えたプランB(夏の延長開催以外のプラン)はどのように準備しているのか」と語った。

菅首相に近い大阪市の松井一郎市長も延期を求めているが、これは2025年開催予定の大阪万博との合わせ技を考えているため。大阪府は維新が医療体制をはじめ社会保障制度を新自由主義に基づいて切り崩してきたから、新規感染者、死亡者、医療崩壊のともに深刻度は東京都よりも悪い。コロナ禍対策にはまともに取り組んでいないことの表れだ。なお、再延期しても2024年はパリ、2028年はロサンゼルスでの開催が決まっており、最速2032年になり、選手交代になる。

国立競技場

東京オリンピックのメイン会場になる予定の国立競技場

こうした中で、米紙ニューヨーク・タイムズに続いて、英国の有力紙タイムズが連立与党幹部の発言として、「現地時間の21日、夏の東京大会について、日本政府が、新型コロナウイルス感染症のため非公式に中止せざるをえないと結論づけた」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210122/k10012828221000.html)。NHKのWebサイトによる(22日17時40分公開)が、放送法に違反して公平・公正な報道を行っていない政府の御用メディアに成り下がっている「国営放送」のNHKよろしく、ありとあらゆるタイムズ紙報道に対する反論談話を掲載している。

特に、開催都市・東京都の小池百合子知事の「抗議すべきだ」との発言は醜い。これでは、小池都知事、政府=菅政権、オリ/パラ組織委がタイムズ紙報道に狼狽していることを示していると言わざるを得ず、これではかえってクオリティ・ペーパーで知られる最古参の英紙タイムズの報道が事実であることを証明したようなものだ。

実際、坂井学官房副長官は22日午前の記者会見で「火に油を注ぐ」ような記者会見を行った(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012201146&g=pol)。

日本政府が今夏の東京五輪中止を結論付けたとする英タイムズ紙の報道をめぐり、坂井学官房副長官は22日午前の記者会見で「いずれどこかの段階で、実際に開催するかどうかの判断を行う」と、中止の可能性もあると受け取れる発言をした。英紙報道の火消しを図るつもりだったとみられるが、かえって火に油を注いだ格好だ。

「中止の可能性もあると受け取れる発言をした」という文は、東京オリンピック/パラリンピック開催で暗躍している電通の株式を大量に保有している時事通信社ならではの文言だ。額面通りに受け止めるのが当然だ。電通の株価はこのところ急落気味に下がっている。

 

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現在のコロナ禍と東京オリンピック/パラリンピックの中止を求める国民の声に耳を傾けない放送法違反のNHKらしい「報道」だ。東京オリ/パラには直接の運営費用、競技施設や選手村の建設だけで既に3兆円を超える費用が投じられており、延期費用もどんぶり勘定で3千億円だ。ワクチンの接種が遅れる問題も加わる。さらに、まだ出場が確定していないアスリートも含め、アスリートの動揺も隠せない。一刻も早く、東京オリ/パラの中止を公式に発表したほうが、菅内閣の支持率は上がる。

【追記】東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)によると、121日時点の数理感染症拡大モデルの専門家で知られている京都大学大学院医学研究科の西浦博教授(https://news.yahoo.co.jp/articles/f674ec344fd474d8a45cb651686d3eeec71ebf47)が開発したモデルを簡易化して割り出した実効再生産数は全国が前日比0.01人減の0.96人、東京都は前日比0.06人増の0.96人となっている。この水準が続けば、緊急事態宣言の解除予定の来月2月7日ころには単純計算で新規感染者数は全国で2500人程度になる。ただし、有効再生産数は常時変化する。英国変異ウイルスの日本での市中感染も広がり始めている。

政府=菅政権の「コロナ禍対策」が支離滅裂かつ無責任(コロナ関連法改正案行政罰を盛り込むほか、感染症法に行政罰ではなく刑事罰を科すことを付け加えた感染症法改正案を閣議決定した。野党と調整した改正案を成立させる予定)だから、不確定要素が多すぎる。

緊急事態宣言の解除要件は、実施区域が分科会提言でのステージ3相当(現在はステージ4相当)、1日の新規感染者数が500人以下になっているかなどを踏まえて、「総合的に」(つまり、菅首相の都合の良いように)判断することになっている。なお、解除されてもコロナ禍対策を抜本的に転換しなければ、新しい波が次から次へと押し寄せてくる。最終的な収束は、完全に有効かつ安全で、有効性に持続性のあるワクチンが開発されて接種でき、日本の国民が集団免疫を獲得すること(全人口の60%程度の国民のからだに中和抗体が出来ること)が条件だろう。険しい道のりだ。




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