英国変異コロナウイルス、市中感染発見ー菅内閣は総辞職を

各種の報道によると、静岡県で3人の男女が英国で変異した強い感染力を持つ英国型ウイルスに市中感染した模様だ。本日18日に招集された通常国会で菅義偉首相は抜本的なコロナ禍対策には触れず、「コロナに打ち勝った証(あかし)としての東京オリンピック/パラリンピック」の強行開催に触れるだけだった。取り敢えず、2020年度第3次補正予算案は抜本的組み換えが必要だが、菅内閣には退陣の道しか残されていない。

1月19日コロナ感染状況
本日1月19日火曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月12日火曜日の970人を270人回って過去2番目に多い1240人、死亡者は16人、重症者は前日比12人増加して155人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。重症者、死亡者の増加が目立つ。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1540.7人、PCR検査人数は11234.9人だから、瞬間陽性率は13.71%。東京都独自の計算方式では11.1%。感染者のうち感染経路不明率は59.43%だった。不明率は久しぶりに60.0%を下回った、
全国では、午後21時59分の時点で新規感染者数は5295人、死亡者数は初めて100人を超えて104人が確認されている。重症者は前日比29人増加して1001人と過去最多になった。重症者数は初めて1000人を突破している。なお、新年正月3が日の初詣参拝者は例年の3割程度にとどまった模様(https://mainichi.jp/articles/20210105/k00/00m/040/169000c)だが、正確な情報は不明。コロナ感染への影響は今週ころ、表面化する。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月18日時点の実効再生産数は全国が前日比0.02人減の0.95人、東京都は前日比0.02人減の0.87人となっている。このところ、実効再生産数は低下している。厳密な算出であれば、1.0を下回れば感染者数は減少していくことになるが、取り敢えず、簡易計算によっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移
1月18日月曜日コロナ感染状況

昨日1月18日月曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月11日月曜日の1219人を15人下回ったが過去2番目に多い1204人、重症者は前日比5人増加して143人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は1501.6人、PCR検査人数は10040.7人だから、瞬間陽性率は14.96%。東京都独自の計算方式では11.2%。感染者のうち感染経路不明率は59.58%だった。
全国では午後23時59分の時点で新規感染者数は4925人、死亡者数は58人が確認されている。重症者は前日比1人増加して973人と過去最多になった。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月17日時点の実効再生産数は全国が前日比0.06減の0.97人、東京都は前日比0.03人減の0.89人となっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

NHKなどが18日午後21時過ぎに、厚生労働省の発表として報道した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210118/k10012821261000.html)。

イギリスで感染が広がる変異した新型コロナウイルスについて海外に滞在歴がなく感染者との接触も確認されていない静岡県の男女3人が感染していたことがわかりました。こうしたケースは初めてで厚生労働省は国内で市中感染したとみて感染経路などを調べています。

英国で変異したコロナウイルス
英国で変異したコロナウイルス

厚生労働省によりますと変異ウイルスへの感染が確認されたのは静岡県の20代から60代の男女3人で海外の滞在歴がなく、変異ウイルスの感染者との接触も確認されていないということです。

3人は今月上旬に症状が出たということで、検査で陽性になった人の検体の遺伝情報を無作為に解析する過程で変異ウイルスへの感染が分かったということです。

変異ウイルスの感染が確認された人で海外の滞在歴がなく感染経路が分からないケースは初めてです。(以下、略)

通常国会で所信表明演説を行う菅義偉首相
通常国会で所信表明演説を行う菅義偉首相

菅首相は18日の通常国会の冒頭で所信表明を行ったが、抜本的なコロナ禍対策は何一つ示さなかった。水際対策には触れたが当初は、11カ国からのビジネス関連の入国者は「市中感染」が発見されたら、当該国の入国を禁止するという考えられない「水際対策」に弱めた。「ざる対策」でしかない。しかし、静岡県で発見された英国型ウイルスに感染した男女3人は、渡航歴がない。従って、どの国の入国者から感染したか、全く不明だ。

取り敢えず、海外からの入国を全面禁止し、2020年度第3次補正予算案を抜本的に組み換え、すべてコロナ禍対策に充てる必要がある。飲食店に限定したざるのような限定的緊急事態宣言は、十分な補償を加えたうえで確かな「緊急事態宣言」に変更する必要がある。感染症法や新型インフル特措法(新型コロナ特措法)に罰則規定(前科にならない行政罰規定)を設けるなどの「改悪案」は成立の阻止が当然だ。感染症法改悪案には入院を拒否する感染患者に刑事罰をを科すが、緊急事態宣言が再発令された11都府県で入院できない感染患者が3万5千人いる(日本共産党調べ、https://www.youtube.com/watch?v=w_UK0h6Qcy0)。

しかも、感染患者だ。生命に危険があるのに治療努力もせず、刑事罰を下すというのはあってはならない。インフル特措法改正案でもすべての事業者に対して補償なく私権を制限し、要請に従わない場合は罰則を科す内容だ。いずれも、基本的人権の尊重を基本理念とする日本国憲法違反の法律改悪だ。

新型ワクチンが仮に有効であると仮定しても最早、間に合わない。驚異的な感染力を持つウイスルによる感染症に対する対策の基本原理は、➀大規模検査と-保護・隔離・治療②十分な生活支援、休業補償ーしかない。

【追記:19日11時】東京新聞19日付1面トップ記事(https://www.tokyo-np.co.jp/article/80639?rct=main)によると、新型コロナ特措法改正案と感染症法改正案には、国民世論はもちろん自公両党内部から批判が強いため、国と地方自治体の事業者などへの財政支援については当初の「努力義務」から「効果的に」「講ずるものとする」に変更した。しかし、財政支援の規模は政府、地方自治体の裁量で決められるため、財政支援措置が十分なものになるかは不明で、規模は限定的なものにとどまるだろう。政府=菅政権のこれまでの実績(店舗の規模にかかわらず、一律1日6万円など)からすれば、「効果的に」という文言は財政措置を不十分なものにとどめるために使われていると理解するしかない。

新型コロナ特措法と感染症法の改正案の内容
新型コロナ特措法と感染症法の改正案の内容

また、緊急事態宣言の前段階の対策は「予防的措置」から「まん延防止等充填措置」へと変更され、感染拡大に対して、当初から積極的な措置を取る対応は緩められた。

さて、菅首相が冒頭の所信表明演説で行ったように、首相の最後の切り札は「新型コロナウイルスに打ち勝った証(あかし)として東京オリンピック/パラリンピック」を開催することだ。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)は東京オリンピック/パラリンピック中止の言い訳をさがしているようだ(https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4176422.html)。

IOC=国際オリンピック委員会の名誉委員は17日、東京オリンピックの開催の可否について「国連に委ねる可能性もある」と語りました。これは、IOCの元副会長で名誉委員のケバン・ゴスパー氏がオーストラリアの公共放送ABCの番組のインタビューで答えたものです。ゴスパー氏は、「東京オリンピックの開催の可否を決定するのはまだ早いが、最終決断の時は迫っている」としたうえで、「もし解決のための仲裁を第三者に求めるなら、それを国連に委ねることも考えられる」と述べました。

また「IOCやコーツ調整委員長は外部の介入を好まないだろうが、国連は介入するのではなく、良いアドバイスをすると信じる」とし、現段階のメッセージは「諦めず、希望を持って選手たちが大会に参加することを願っている」と強調しました。

ただし、弁護士でもある、2020年(2021年)夏季東京オリンピック・パラリンピックIOC調整委員会のジョン・コーツ委員長も、下図(人物は、博報堂出身の作家で商業主義に堕したオリンピック問題に詳しい本間龍氏)に示すようにオリ/パラを中止する口実を探しているようだ(https://www.youtube.com/watch?v=Z_Rrn4HbnRM)。

コーツ調整委員長のオリンピック中止発言
コーツ調整委員長のオリンピック中止発言

日本国内での世論調査では80%が東京オリンピック/パラリンピックは中止か延期と思っているが、IOCの公式見解は再延期は有り得ないと言うのが公式見解。東京オリンピック/パラリンピック組織委員長の森喜郎会長も、延期は有り得ない旨の発言を行っている。日本政府内部では河野太郎行革担当相が「どちらに転ぶか分からない」と言い始めた(https://news.infoseek.co.jp/article/sponichin_20210118_0127/)。

加藤官房長官は、番組で「場所やスケジュールが決まっており、関係者が感染対策を含め準備に取り組んでいる」と述べた。東京五輪の開催を巡っては河野太郎行政改革担当相が14日、ロイター通信のインタビューに対し「どちらに転ぶかは分からない」と言及、日本の閣僚で初めて東京五輪・パラリンピックの開催中止の可能性に触れたことを根拠の1つとして、米有力紙ニューヨーク・タイムズをはじめフランス紙フィガロ、米ブルームバーグ通信(いずれも電子版)などの海外メディアが、第2次大戦後で初の中止に追い込まれる恐れがあると悲観的な論調で伝えている。

なお、東京オリンピック/パラリンピックを中止にすれば1000億円の違約金が発生すると流布されているが、本間氏によるとIOCと東京都との開催契約には、オリ/パラで何らかの被害(テロや災害などによる)を受けた場合は補償措置を求める条項はあるが、中止による違約金の発生を明記した条項はどこにもないとして、完全な「フェイク情報=デマ情報」だとしている。こういうコロナ感染状況のもとでも違約金が発生するというのなら今後、オリ/パラ開催に名乗りを上げる国・都市はなくなるだろう。

れいわの山本太郎代表の国会での記者会見
れいわの山本太郎代表の国会での記者会見

野党でも、例えば久しぶりに国会での記者会見を行ったれいわ新選組の山本太郎代表が、政府=菅政権のコロナ禍対策無為無策を厳しく批判したあと、記者の質問に対して、「(政府=菅政権、東京都、組織委は)まだ開催すると言っているのか」と回答したように、開催は無理だと判断している。なお、山本代表は野党共闘に加わることについて、立憲民主党の枝野幸男代表が消費税減税(凍結)の発言を行ったことから、野党共闘に消極的な見方はしていない。これに加え、立憲内部にも総選挙で消費税減税(凍結・廃止含む)を打ち出す意見が広まっていることもある。

なお、山本代表は事実上補償金なしの限定的な緊急事態宣言では、中小企業の倒産が多発し、それに伴って非正規社員の雇い止め・正規社員の解雇も急増して経済の供給能力が毀損されることに強い懸念を表明し、今しか大胆な「異次元積極財政」を行える時期はないことを強く示唆した。また、今夏の東京都議選挙を重視しているとして、5選挙区から10選挙に候補者を擁立することを明らかにした(https://www.youtube.com/watch?v=3UDGaliD4rM)。

東京オリンピック/パラリンピック開催中止をめぐる動きは、静岡県で英国で変異した感染力が極めて強い新型コロナウイルスの市中感染が明らかになる以前の発言内容だ。政府=菅政権が、菅首相の指令で11カ国のビジネスマンの入国は認めるという有り得ない「水際対策」を行ったために、英国型に加え、新型ワクチンが効かない南アフリカ型も市中感染が広まりかねない。とにかく、新型コロナウイルスはRNA型で自己増殖(遺伝子のコピー)に失敗しやすく、多数の亜種が存在している。

それでも、「生き延びて」感染拡大を続けているのだから、耐性が強くなる可能性は濃厚で、感染力が強化し、感染者を重症化させる毒性も強くなる可能性を視野に入れる必要がある。それには、やはり感染拡大のスプレッダーになっている無症状感染者の早期発見と保護・治療(当然、治療施設の確保が必要)で、十分な補償措置とセットで思い切った財政資金の投入することが必要だ。

 


 

今、異次元の「積極財政」を行い、日本経済の供給能力を毀損せず、需要を下支えしなければ、「インフレ率2%」という正しい「財政規律」は守ることができなくなる。その場合には、とんでもないスタグフレーション(大不況下・大恐慌下の物価高)に陥り、日本の経済社会は焼け野が原になる。

だから、こうしたことは念頭にはなく、外資(正確には米国のディープステート)に日本国の資産を売り飛ばすことだけを考えている菅内閣の支持率は、1月実施の世論調査では軒並み不支持率が支持率を上回っている。ディープステートの意向を受けていると見られる日本の大手メディアは自公連立政権を維持し、野党共闘に政権を渡さないことが主な任務であると推測されることから、実際の不支持率はもっと高いだろう。

なお、野党の報道はほとんどしないから、野党の支持率が異常に低いのも問題がある。そもそも、「1問1答の記者会見」というのは欧米ではありえない。本来のメディアなら、回答に対して何度も反論し、とことんまで追及すべきだ。

メディア 支持率 不支持率
共同 41.3% 42.8%
時事 34.2% 39.7%
NHK 40% 41%
読売 39% 49%
毎日 33% 57%
ANN 34.8% 42.5%
JNN 41.0% 55.9%

今月17日に行われた沖縄県宮古島市長選挙では、野党共闘側候補が自公維新推薦候補を2500票余りの差をつけて勝利した(https://mainichi.jp/senkyo/articles/20210117/k00/00m/010/156000c)。英国変異型のウイルスの市中感染が拡大してくれば、コロナ禍を利用して権力を私物化し、ディープステートに日本を売り渡す菅内閣に残された道は内閣総辞職しかない。真正野党は立憲民主党の枝野幸男代表に対して、政権交代に対する「本気度」を示させなければならない。共通政策はれいわ新選組の政策と日本共産党の政策を核にすればよい。本年は、日本型社会民主主体制を樹立する年になる。



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