公金(血税、国債)から拠出されているが、使途を公開する必要もなく、領収書も不要の内閣官房機密費は、重要な選挙や大手メディア、「忖度評論家」の買収に使われている。公金横領や公職選挙法などに違反し、日本国憲法第83条「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」で定められた財政民主主義とも全く相容れない。内閣官房機密費制度は公開を原則として抜本的に改編しなければならない。
本日2月1日月曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の1月25日月曜日の618人から225人減少して12月21日以来の400人を下回る393人になり、重症者は前日から7人減って133人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。ただし、累計のコロナ感染者は10万人を突破して10万234人になった。死亡者も8人。医療体制崩壊・逼迫のため、栃木県を除く10都府県は7日までとした緊急事態宣言を延長する見通し。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は818.0人、PCR検査人数は8650.1人だから、瞬間陽性率は9.46%。東京都独自の計算方式では7.1%。感染者のうち感染経路不明率は50.56%だった。
全国では、午後23時59分の時点で新規感染者は1792人、死亡者は80人。重症患者は前日から2人増加して975人になっている。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月31日時点の実効再生産数は全国が前日と変わらずの0.77人、東京都は前日比0.01人増の0.78人となっている。下げ止まり・反転上昇の気配なのか注視する必要がある。
【参考】全国的なコロナ新規感染者数の減少については、次の記事を参照して下さい。
アップル社の人口移動指数を下表に示した(https://covid19.apple.com/mobility)。基本的には人口移動指数は3週間後に新規コロナ感染者となって表れる。前月1月11日月曜日に77.44と極小値を記録し、前月1月15日に93.59を付けた後、いったん減少に転じているが再び上昇している。日本はPCR検査を抑制していることに加え、土日は検査機関が休みになり、検査人数にむらがあるため、各曜日のうち月曜日は最も少なくなる傾向にあるが、今週後半以降は再び新規感染者数が増加してくる可能性が強い。そのあといったん減少してくる可能性があるが、昨月月末には90を超えているので、再び増加に転じる公算が大きい。やはり、「ウイズコロナ」ではなく、感染震源地での大規模社会的検査を行い、無症状新規感染者を隔離・保護・治療する「ノーコロナ」が欠かせない。
そのためには、旅館・ホテル・東京オリンピック/パラリンピック選手村などを借り上げるとともに、簡易医療施設を設営して、十分な営業停止・休業補償を行ったうえで無症状感染者の保護・治療を行う体制を確立することが必要である。「新型ワクチン一本足打法」は危険だ。東京都の小池百合子知事はオリ/パラの今年夏への延期が決定したあとの昨年3月27日、東京五輪の選手村(東京・中央)を感染者の一時滞在施設として活用する案を提言していた(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57335430X20C20A3CC1000)が、現在は口にしない。
日本共産党の小池晃参院議員(同党書紀局長、医師)が先月1月27日の参院予算委員会で質問に立ち最後の場面で突如、内閣官房機密費が安倍晋三首相辞任後の総裁選で使われたのではないかと追及した(https://www.youtube.com/watch?v=MG-R_tYkcsg、最後のの10分程度の質疑応答)ことで、内閣官房機密費事案が再浮上した。内閣官房機密費の正式名は「内閣官房報償費」と呼ばれ、➀調査情報対策費②内閣活動関係費③政策推進費ーの3種類が含まれる(以下、官房機密費に統一する)。官房機密費については従来、使途が一切明らかにされなかったし、従って領収書なども必要がなかったが、日本国憲法の定めた財政民主主義・財政法定主義に反することは誰の目にも明らかだ。
このため、市民団体が内閣官房機密費に関する行政文書の開示を求めて訴訟を起こしたが2018年(平成30年)1月19日、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)が官房機密費の一部の公開を認める判決を下した(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25919810Z10C18A1000000/)。
最高裁が開示を認めたのは、月ごとの機密費の支出額や残額をまとめる「出納管理簿」の一部や、機密費全体から官房長官が自ら管理して政策的判断で使う費用に資金を移したことが分かる「政策推進費受払簿」など。
一方、支払先が明記されている文書や領収書は開示を認めない二審の判断が確定。支出の日付と金額が分かる文書についても「政治情勢や政策課題を分析すれば、支払先や具体的な使途を特定できる場合がある」として、不開示とした。
この判決に基づいて、日本共産党が情報公開を求め調査したところ、第二次安倍内閣で総額95億円が使用されていた。小池参院議員が問題として追及したのは、昨年の2020年8月28日に安倍晋三首相が辞任(表明)した際に、自民党の新総裁選挙に不正使用されたのではないかという内容だ。官房機密費のうち最も不正利用されていると見られるのが、内閣官房長官だけが使用できる「金庫」に蓄えられている政策推進費で、使途金額は分かるが、使途内容は内閣官房長官以外は全く不明だ。
小池参院議員によると、当然、当時の内閣官房長官だった菅氏の金庫に9月1日、官房機密費全額1億3200万円(朝日新聞社の東京・大阪経済部記者、AERA編集部記者、週刊朝日編集部記者を歴任して現在ジャーなリスの佐藤章氏による。https://www.youtube.com/watch?v=Sxz_GSAhORU)の中から9020万円が移され、そのうち4820万円が使用されたという。小池参院議員は総裁選に利用したのではないかと追及したが、現在首相である菅氏は「適切に使用しております」と総裁選には使用しなかったと発言したが、使用したこと自体は認めた。
これについては、安倍首相の辞任前後の党内情勢に詳しい佐藤氏が明らかにしている。安倍氏は8月18日頃から首相辞任を考えていた。大きな理由は、自民党の次期参院幹事長候補だったが、安倍氏の政敵であった広島県選挙区の溝手顕正参議員を落選させるため、河井克行法相(当時)を使って溝手参院議員を落選させ、妻の河井杏里氏を当選させるため、通常選挙費用に充てるため支給する普通の場合は1500万円の10倍もの1億5千万円(うち、1億2千万円が血税を原資とする政党助成金)を自民党として正式に支給し、河井夫妻に広島県の基礎自治体の首長や市議、町議らを買収する司令塔になったことが発覚しそうになったからだ。
この大型買収事件で、河井案里被告(参院議員)は、東京地裁で高橋康明裁判長が「(買収行為は)選挙の公正を害する犯行」と述べ、実刑に近い懲役1年4月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。一方、河井克行被告(衆院議員)の公判は今月2月に終了し、3月には判決を言い渡される。河井夫妻は安倍首相(当時)の「駒」だったに過ぎないから、敏腕検事であった郷原信郎弁護士によると、真相を語れば減刑は可能になるという。河井被告は真相を語ることが、本人のためにも国民のためにもなる。
ここで判然としないのは、河井案里氏が使用した買収工作資金は150万円で、河井克行被告が使用した買収工作資金は2900万円。合計しても3050万円に過ぎない。残りの1億1950万円の資金の使途が不明なことだ。佐藤氏はこのうち、数千万円が複数の他の誰かに渡され、残りは河井案里氏の参院議員選挙費用に使われたと見ていてる。佐藤氏は、溝手参院議員(当時)の基盤が強いこともあって、広島県参院議員選挙区での選挙費用は数億円かかると見ている。だから、1億5千万円以外に誰が工面して河井案里陣営に支給したかが問題になる。佐藤氏は林真琴率いる検察庁が今、その捜査を水面下で行っていると指摘している。
さて、上記のことを踏まえると、安倍首相(当時)が辞任したのは、記者会見で述べたような「潰瘍性大腸炎」が再発したという病気が原因ではないことになる。衆院事務局を長年務め、政界の裏を知り尽くしている平野貞夫元参院議員によると、首相が病気を理由に辞任する場合は必ず、医師の診断書を衆院議長や国会議員、マスコミを通して国民に対して提出するのが常識だという。当然だろう。ところが、昨年8月28日の辞任記者会見で安倍氏は慶応大学附属病院の医師団(もしくは主治医)の診断書は見せていない。加えて、首相辞任後はいたって元気のようであり、首相の座を再三狙っていたとされる。
佐藤氏によると、昨年8月18日頃から辞任を考えていた安倍氏は、岸田文雄政調会長の政策発信能力への疑問などから、麻生太郎副総理兼財務大臣を後継者にと考えていたようだ。これに待ったをかけたのが、二階幹事長と菅官房長官(いずれも当時)だ。つまり、水面下では安倍・麻生対二階・菅の対立構図が鮮明になり、逆転・再逆転が繰り返されていた。しかし、菅氏は官房長官だったから、多額の官房機密費を安倍氏に渡したことなど、弱みを握っていた。このため、最終的には安倍・麻生氏は敗北、二階・菅の両氏が菅氏を次期総裁にすることで決着した。9月1日のことだ。
この日に、官房機密費のうち、菅氏が事由に使える政策推進費として9020万円が同氏の「金庫」に移され、そのうち、4820万円が使用された。4820万円もするパンケーキがあることは考えられない。そしてその翌日の9月2日、菅氏は総裁選への出馬を公式に記者会見で発表した。佐藤氏は、4820万円が安倍・麻生対二階・菅の対立決着のために使われたことを示唆している。小池氏、佐藤氏のいずれの見方でも、内閣官房機密費のうち大層(90%程度)を占める政策推進費が自民党総裁選の決着に使われたことは間違いないだろう。官房機密費は国民の血税が原資で、自民党には反対の立場の国民も多い。
コロナ禍対策の失敗で、菅政権の意向を忖度する大手メディアの世論調査では菅内閣支持率は激落し、自民党の支持率も落ちている。こうした国民の菅政権、自民党批判の声は無視して、国民の血税が原資になる官房機密費(特に、政策推進費)を、私党である自民党の総裁選挙に使用していた可能性が濃厚である。安菅、麻生、二階、菅氏が談合しての公金横領の罪は免れない。日本共産党の小池参院議員が参院予算委員会で追及したのは、そのためだった。
さて、広島県の参院選選挙区で河井案里氏を当選させるためには、溝手氏が強力な基盤を築いていたから、政党助成金を中核とする1億5千万円ではとても足りない。そこで、佐藤氏は必要な数億円規模の残りは、官房機密費(政策推進費)から拠出されたと見る。林真琴率いる検察庁は水面下で慎重に捜査しているようだ。
なお、上記の投稿記事に示したように、安倍政権下の血税の不正利用は他にもあり、これも林真琴率いる検察庁は水面下で慎重に捜査しているようだ。各省をつかむためには、数カ月から半年を要すると言う。このように、官房機密費は血税を私物化するための温床になっている。
佐藤氏によると、内閣官房長官だけが「適切に使用している」と言いながら利権獲得のために使っている内閣官房機密費は、重要な選挙や世論(日本の空気)を操作するための大手メディアと所属記者、「識者・専門家」の買収に使われる。官房長官経験者が職を退いた際に、ふと漏らすことがあるからだ。有名なのは、1998年(平成10年)の沖縄県知事選。この知事選には現職でいわゆる革新系の大田昌秀候補と沖縄県の実業家から世襲政治家になった稲嶺恵一候補との事実上の一騎打ちになった。
佐藤氏によると、この沖縄県知事選の際に、当時の小渕恵三政権の官房長官だった野中弘務が、稲嶺候補を支援するために官房機密費を数億円使ったという。当時、公明党は表向き自主投票だった。しかし、自民と連立を組む方向だったから、大田支援の構えだけを見せて裏では実質的に稲嶺を支援し、稲嶺候補を当選させた。これが、自公連立政権の始まりである。その後継者が通商産業省(現経済産業省)完了出身の仲井真弘多(ひろかず)氏で、2006年の沖縄県知事選挙で自民・公明の推薦を受け出馬し、野党8党の推薦・支持を受けた糸数慶子候補を破り初当選した。
この沖縄県知事選挙で仲井真氏は、普天間飛行場の辺野古移設に関する日米合意の見直しと、普天間の県外移設を公約として掲げて当選したが2013年12月25日、当時の安倍晋三首相と会談してから、27日に辺野古埋め立て承認を発表した。明らかに、公約違反だ。佐藤氏の話からすると、官房機密費の威力は自公連立政権にとって絶大だったと推測できる。同氏によると、この事案は野中が官房長官だった時代に内閣官房副長官(政務)だった鈴木宗男参院議員(自民党→新党大地→日本維新の会)が明らかにしたとしている。
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佐藤氏はまた、官房機密費が世論(日本の空気)を操作するために、大手メディアと所属記者、「識者・専門家」の買収に使われているという。大手メディア(全国紙や大手メディア)に忖度評論家が登場し、忖度記事が多いのはそのためだ。内閣官房機密費の非公開は財政民主主義に反する。民主党第一次政権時代の鳩山由紀夫首相(当時)は官房機密費の公開に取り組んでいたが、日本労働組合総連合会(連合)の主力労組である電機連合出身の平野博文官房長官(当時、現在立憲民主党の筆頭代表代行)に阻まれたようだ。枝野幸男行政刷新担当大臣(当時、現在立憲代表)との軋轢もあった。
現在、重大なのは内閣官房機密費が加藤勝信官房長官を経て警察畑の杉田和博副官房長官の手に渡り、国民主権や基本的人権を強力に破壊することに使われることだ。佐藤氏の指摘するように、林真琴検事総長率いる検察庁の出方を見守る必要があるが、内閣官房機密費は明らかに日本国憲法が定めた財政民主主義に違反する。真の国民主権を勝ち取るためには、血税の私物化の温床になっている内閣官房機密費制度の根幹を抜本的に改編する必要がある。