賭け市場でハリス当選予測とトランプ返り咲き予測の差が拡大ー欧米文明の崩壊を防ぐ必要あり(米利上げ含む。加筆補強)

大統領選の賭け市場(Polymarket)で、カマラ・ハリス副大統領の当選を予測する賭け人物の割合とドナルド・トランプ前大統領の返り咲きを予測する賭け人物の割合の差が拡大してきている。日本時間19日午後14時の時点では、5ポイント(4.5ポイント)だ。激戦7州のうち、トランプ氏が優勢だった最大の激戦州のペンシルバニア州とネバダ州ではトランプ氏がハリス氏に逆転されている。大統領としての資質に欠けるとの評判が高いハリス氏が賭け市場でリードを広げているという事実は重大だ。

民主党左派のクーデターを「隠れ多極主義者」は支持したのか

賭け市場は参加者が相当額の身銭を切って勝者を予測するものだから、信頼できる情報をもとに勝者予想を行っており、信憑性は高いと推測される。取り敢えず、賭け市場として有名なPolymarket(https://polymarket.com/event/presidential-election-winner-2024https://polymarket.com/elections)のデータを挙げてみる。

米国の大統領選挙は全米各州で決められた人数の選挙人を獲得する選挙であり、得票数に応じて選挙人を獲得する方式ではなく、一票でも多い候補が選挙人を総取りする方式だ。このため、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガン、ノース・カロライナの各州で勝利した候補が大統領選を制する。このうち、ウィスコンシン、ミシガン州以外はトランプ氏が優勢だったが、ペンシルバニア、ネバダの両州はハリス氏に逆転されてしまっている。特に、大統領選を制すると言われるペンシルバニア州(選挙人19人)で、トランプ氏が逆転されたのは重大だ。

今回、差が開いている理由としては、①参加者もまた米国のメディアの投票率などの信憑性に乏しい情報を基礎に置かざるを得なくなっている②米国の金融当局がトランプ氏の言明に反して現地時間で18日、ハリス氏寄りの0.5%の大幅な利下げを決めた③ハリス陣営が賭け市場に対しても工作を行っていることーなどが考えられる。しかし、ハリス氏が良く言えば大統領としての資質に欠ける人物、悪く言えば無能であることは今や、公然の事実だ。第一に、ハリス副大統領はバイデン大統領から、米国民の雇用を奪い、米国社会で犯罪増加の最大の原因になっている移民問題解決の総責任者を任せられたが、全く成果を挙げられていない。つまり、大失敗している。反省もしていない。

第二に、今回の大統領選挙では経済問題(具体的には、中間層以下ではインフレ・不況のダブルパンチであるスタグフレーションの解決)が最大の問題になっているが、ハリス氏にはその対策がない。「不当な値上げを行う企業に制裁を課する」などと、市場経済を否定し、かつての古典的な社会主義的統制経済を導入する発言を行って、経済の分かる米国民から顰蹙(ひんしゅく)を買ったりする。民間の医療保険会社の廃止などは市場経済を否定し、社会主義統制経済化する典型例だ。関税のことを勝手に「国家売上税」と言い換えたりして、「言霊」でトランプ氏を攻撃する。

経済問題ではさらに、中間層以下の米国民に対して、①住宅購入補助金を供与する②初めて住宅を購入する国民には、頭金のための2万5000ドル(約360万円)の小切手を発行する③子育て世代に対して税額控除を行う−などのバラマキ策を実行するというが、これはインフレ加速政策であるとともに、財政赤字拡大策でしかない。取り敢えず、法人税率を21%から28%に引き上げる増税策を示したが、売れ行き不振(不況)に苦しむ米国の企業には大きな負担になる。増税に対して被雇用者の解雇や賃下げで対応する企業も出てくるだろうし、株式相場にとっては相当な悪材料になり、相場の大幅下落ないし暴落を引き起こす。中間層以下の国民をいじめる「政策」にしかならない。

また、ハリス氏は副大統領になった際に政策スタッフを与えられたが、特に経済問題については勉強・研究する意欲がないので、政策スタッフは愛想を尽かして辞めたことは周知の事実だ。こんな具合だから、ハリス陣営も怖くてハリス氏をメディアの単独インタビューに応じさせない。なお、田中氏が17日に投稿・公開した「無能なハリスを有能と歪曲する(https://tanakanews.com/240917harris.htm無料記事)」では、次のような事態が生じたと言う。

ハリスは経済政策が苦手で、マスコミからのインタビューでインフレ対策をどうするか尋ねられ、頓珍漢な返答をすることを、以前から繰り返している。先日トランプとの討論会では、司会役のCNN(民主党系)も加わり、頓珍漢が露呈しないようにした。だがその後、フィラデルフィアのテレビのインタビューに出た時は、短時間の簡単な出演なので大丈夫だとハリス陣営が思って事前準備なしにやったらしく、インフレ対策について尋ねれたハリスは、中小企業の新事業への補助金を増やして中産階級を応援したい、という(注:従来からの主張を繰り返した)趣旨(注:の内容)を、自分の幼少時の体験を盛り込んで延々と話し続けるという、頓珍漢な(注:インフレ対策とは関係ない)反応をした。テレビ局は、ハリスの発言を切り刻んでつなぎ直す編集を大幅に加え、頓珍漢さを薄めて放映したWatch: Kamala Harris Gives Trainwreck Answers To Simple Questions In First Solo Interview」というひどさだ。

なお、現地時間9月10日のABCテレビの討論会は、すべてハリス陣営の要求の通りに討論が進行することになったから、ハリス氏が応じたものだ。トランプ氏は、ハリス陣営の主張に応じてやった。司会者も最も民主党よりのニュース・キャスター二人で、ハリス氏にはファクト・チェックを行わない(例えば、民主党が移民問題対策法案を策定したが、当時のトランプ大統領が潰した発言したが、そんな事実はない。しかし、ニュースキャスターは追及しなかった=https://www.youtube.com/watch?v=NgXR-vrOmoQ=)など、トランプ1人対ハリス氏を含むハリス氏側3人で進行した。極めて不平等な討論会だったというのが、公平な見方だ(https://www.youtube.com/watch?v=V3VEe2yu7pg)。

第三に、ハリス氏には時の権力者に接近して、権力の階段を上るという志向性性があるようだ(https://news.yahoo.co.jp/articles/a01385d53208c8d606d03ea4cf9ac11b297dccbc)。この問題については、田中氏も「ハリスはどうやら、勉強が嫌いで、知的な探究心が弱く、口だけ達者にして出世していきたがる種類の人らしい。離職した側近たちは、そんなハリスに失望したようだ。ハリスはカリフォルニア州で弁護士をしていた時代に、30歳年上のサンフランシスコ市長との不倫を通じて政治権力の階段を登っていったと指摘される過去も持っている。共和党の人々は、ハリスを『米国史上、最も無能な副大統領』と呼んでいるWatch: Gingrich Says Kamala Harris “May Be The Dumbest Person Ever Elected Vice President”」と指摘している。

普通に考えれば、大統領としての資質が疑われるハリス氏が、賭け市場でトランプ氏との差を拡大するというのは合点が行かないところだ。これについて国際情勢解説者の田中氏は、「トランプは、ふつうに選挙したら圧勝だが、米国の選挙不正がウソの完全犯罪の殿堂入りし、民主党やマスコミがハリスを絶対勝たせる姿勢になっている以上、11月の選挙で勝つことは、とても難しい。リベ全(注:リベラル民主主義の形を装った、異論を許さない全体主義。ハリス氏支持の左派メディアは正論を陰謀論として封じ込める)のウソの完全犯罪のちからは、トランプの民主的な力よりも強い」としている。要するに、民主党左派クーデターの目的は、リベラル民主主義の形を装った、異論を許さない全体主義で米国の民主主義を破壊し、左派民主党一党独裁体制を築くことである。より具体的には、次のように述べておられる。

マスコミだけでなく、バイデンを外してハリスに替える党内クーデター自体、自滅的で無意味だった。不人気なバイデンから人気なハリスに替えたのではない。バイデンもハリスも不人気だ。民主党内はいったんバイデン支持でまとまっていたのだから、ハリスへの差し替えは高リスク低リターンな愚行だ。ハリスでなく、シャピロ(ペンシルベニア州知事)やニューサム(加州知事)など、もっと有能(だが低知名度)な候補に差し替えるならまだしも、それですらない。マスコミぐるみで認知症を隠しつつバイデンが再選続投する当初の構想で十分だった。米民主党でバイデン下ろしの内乱

民主党(のクーデター派)やマスコミ(を動かす勢力。諜報界?)は、何がしたいのか。一つ感じられるのは、ハリスが大統領候補になってから「ハリスが完全に正しく、トランプは完全に間違っている」という善悪の決めつけの絶対化が行われていることだ。この、確定された善悪観に異論を唱える人々への攻撃がしだいに強まっている。これまでの米民主党やマスコミといったエスタブ群は、正しい政策をやり、正しいことを言うことで、自分たちの正しさを示そうとする「まっとうさ」が残っていた。だが、ハリスが候補になってから、エスタブ群は、正しいことを言う努力(まっとうさ)を捨てて、自分たちが主張する間違い(ハリスを絶対善、トランプを絶対悪として描くこと)を米国民に強制的に信じ込ませることを重視するようになった。Amazon Admits Alexa’s Wildly-Biased Treatment Of Trump, Harris Questions Was ‘Error’

間違った主張を「絶対的に正しいこと」にして反論を許さず、間違った主張に基づく超愚策を強硬に展開して大失敗していくが、その大失敗も永久に隠蔽する。これは、温暖化人為説やコロナ超愚策、ウクライナ戦争など、私が最近「リベラル全体主義(リベ全)」と呼んでいるものと同じ構図だ。ハリス対トランプの米選挙は、リベ全の範疇に入った。米選挙をリベ全の範疇に入れる「リベ全化」が、バイデンを引きずり下ろしてハリスに替えた民主党内クーデターの意味だったのでないか。リベラル全体主義・リベ全の強まり)(中略)

オバマやバイデンの筋が民主党を支配していたら、トランプが返り咲いてしまう。どんな手を使っても、それを阻止せねばならない。民主党内の左派などがそう考え、そこに諜報界の隠れ多極派が入り込んで、報道の歪曲と投票日の選挙不正、選挙後に不正を指摘する人々の弾圧抑止など、徹底的なリベラル全体主義策をやって、トランプ阻止・民主党政権継続を実現することにした。バイデンのままでは、選挙の徹底リベ全化ができないので、バイデンを下ろすクーデターをやり、ハリスを候補にした。そんなシナリオが展開したのでないか。リベラル全体主義・リベ全の強まり

サイト管理者としてはそういうこともあり得るとは思う。ただし、トランプ氏について田中氏は、「米国諜報界=ディープステート=の主力を占めるようになった隠れ多極主義勢力の部類に属する」と見ている。そうすると、「コロナによる都市閉鎖やコロナワクチンの強要、地球温暖化対策(温室効果ガス対策)の超愚策を行わせて、欧米を自滅させてきた隠れ多極派」は今回の大統領選挙や民主党内部のクーデターでどう対応しているのか、ということになる。ひとつ考えられるのは、トランプ氏が大統領に返り咲いて、米国経済の再建に乗り出せば、中露を盟主とするBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国、エジプト、イラン、エチオピア、アラブ首長国連邦=UAE=が正式加盟。サウジアラビアも加盟しているが、米国が反対しているので、ステルス加盟の状態。正式加盟希望国は急速に増えており、政治・経済・軍事機構として組織体制をさらに整備中)など非米側陣営が、米側陣営(旧西側諸国)とのデ・カップリング体制を構築するのに、時間的に間に合わなくなるということだ。これについて、田中氏は次のように記述している。

なお、今年のBRICS首脳会議は10月22日から24日にかけて、ロシアのカザン(タタールスタン共和国の首都。人口は約130万人(2021年)。モスクワから東へ800km、ヴォルガ川(クイビシェフ湖)とカザンカ川の合流点に臨む商工業都市)で開かれる(https://unitingtocombatntds.org/en/get-involved/events/brics-summit-2024/)。

ハリスになってリベ全を強めるほど、米欧全体がロシア(露中)敵視を維持したまま自滅を加速し、非米側の結束が維持され、世界の非米化と多極化が進み、ロシアにとって好都合だ。RTなどロシア政府系の英文メディアは「トランプとの討論会はハリスの圧勝だった」とする記事を載せている。これまでの露メディアはわりとトランプ寄りだったが、プーチンの再表明を受けて姿勢をハリス寄りに転換している。Let’s be honest, Harris wiped the floor with TrumpUS election guru predicts Harris will beat Trump

ロシアの変化に合わせるかのように、民主党政権の米政府は、RTなど露メディアに対する敵視・制裁を強化した。RTやスプートニクはこれまで、米国のオルタナティブメディア系の言論人たちの記事を積極的に載せていたが、そうした言論人の多くはトランプ支持だった。米当局の露メディア敵視強化により、米国人が露メディアに寄稿したり取材に応じることが違法化された。米当局は、トランプ支持の米言論人が露メディアに出られないようにした。ロシア側は「言論弾圧だ」と米当局を非難しているが、米当局による弾圧は、米欧を自滅させるハリスへの支持を強める露政府にとって、悪いことでない。The Latest Russiagate Scandal Aims To Discredit Alt-Media & Trump

こんなことを書くと、米国側だけでなく露側からも嫌われるよね。ほんと、記事を書いてウェブとメールで配信できているだけで幸せですよ。私の予測が外れることを祈ってください。

田中氏はトランプ支持者だから、こういう結論になるのだろう。ただし、サイト管理者としては米側陣営と非米側陣営がデ・カップリング体制を構築するのは人類史の正しい在り方ではないと思っている。賭け師市場も最終的には予測に過ぎない。精度は高いかも知れないが、将来の最重要の出来事を的中させることはできない。

サイト管理者としては田中氏と同様に、トランプ氏が返り咲くことを祈るが、それが実現しなかった場合は、核ミサイルを使用した第三次世界大戦が勃発する可能性もある状況最終的には欧米文明は著しく衰退するか、瓦解することになるだろう。ウクライナのぜレンスキー大統領は、通常軍事兵器ではロシアに勝てないから、米大統領選挙前にバイデン大統領と会い、モスクワを含むロシアの主要都市への長距離高精度ミサイル攻撃で合意することを目指している。これに関連して、NHKは「米とウクライナ 26日に会談 長射程兵器の制限撤廃を話し合うか」と題する報道を行った(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240920/k10014586651000.html)。

人工衛星からの情報の使用も伴う長距離高精度ミサイル・システムの操作に関して言えば、ウクライナではミサイル・システムを操作できず、北大西洋条約機構(NATO)の軍部が直接行うものだから、ウクライナ戦争はウクライナとロシアの戦争からとNATOとロシアの戦争になる。これは、核ミサイルの使用を伴う第三次世界大戦の幕開けになる。要するに、バイデン大統領・ハリス副大統領政権は第三次世界大戦を画策しているということだ。

米公開連邦市場委員会での0.5%引き下げについて

米国で9月18日に開かれた公開連邦市場委員会(FOMC)で、政策金利で0.5%の引き下げが決定された。金融・資本・為替市場では歓迎する声が非常に強いが、米国が再度、インフレに陥る可能性も考慮に入れなければならない。米国の労働省が発表した11日の消費者物価指数は前月の前年同月比2.9%から鈍化し、同2.5%になった。前月比では0.2%上昇と7月とは変わらなかった。

ロイター通信では「米CPI、8月は2.5%に鈍化 基調インフレに依然粘着性」があるとして、インフレへの警戒を怠るべきではなく、政策金利の引き下げは従来どおり、0.25%にすべきと主張した(https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/XZS3STT6NNMTZAP5KSMOOZVHXI-2024-09-11/#:~:text=%5B%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%20%EF%BC%91%EF%BC%91%E6%97%A5%20%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC%5D%20%2D,%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%B9%85%E3%81%AA%E4%BC%B8%E3%81%B3%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82)。

結果は、ロイター通信の主張どおりにならなかったが、消費者物価上昇率が2.5%になったのは、変動の大きいエネルギー価格が0.8%下落したためだ。太宗を占めるガソリン価格も0.6%下落した。しかし、今回の米国のインフレの発端はバイデン政権が成立して、温室効果ガス説を取り入れ、シェール・オイル、シェール・ガスの生産を否定したことによる。

エネルギー価格は、バイデン政権を踏襲し、さらに左派路線を展開するハリス政権が続く限り、上昇する。この意味で、コストプッシュ・インフレが再燃、これに需要の削減(デマンド・オーバーキル)で対応する間違った「政策(とは言えない)」が続く限り、米国の中間層以下の国民は経済的苦境から脱することはできない。トランプ氏が言うように、「シェール・ガス、シェール・オイルを掘って彫りまくる」という供給側の正しい対応を行って初めて、インフレが収まる。同時に、インフレの加速要因になる対露経済制裁政策をやめて、バンス副大統領候補が代弁するように、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を止め、「ウクライナを中立国」にすべきだろう。

トランプ前大統領を柱とする共和党は、民主主義の再確立と経済再建を目標にしている。なお、「奴隷解放の父」とされるアブラハム・リンカーン大統領は共和党最初の大統領である。市場経済を否定する民主党左派のカマラ・ハリス氏が大統領になれば、必ず、民主党一党独裁体制が成立し、同時に、欧米民主主義文明は完全に崩壊する。

 

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