米国の大手賭け市場Polymarketでトランプ氏、ハリス氏との差を広げるー日本時間11日午後17時30分で12.6ポイント

大統領在任中、プーチン大統領にコロナ判定機を密かに送ったとか、フロリダ州に接近している米史上最悪のハリケーン「ミルトン」対策に関する偽情報を流し続けていると非難するなど、ドナルド・トランプ氏に対する米国左派メディアの「非難大合唱」にもかかわらず、同国の最有力賭け市場「Polymarket」ではトランプ氏の返り咲き予想がカマラ・ハリス氏の当選予想を逆転して以降、次第にハリス氏を引き離し、日本時間10日午後15時30分の時点で7.8ポイントに拡大している。「October サプライ」のひとつとして、イスラエルが、ヒズボラの最高指導者ナスララ氏やその後継者も含めて20人程度の指導者を殺害したことに対して、イランが180発程度のミサイルとドローン攻撃機などを使ってイスラエルを攻撃したが、イスラエルがどのような報復措置を取るかが注目されているが、大統領選に対して極めて不利にはたらくため、バイデン・ハリス政権はイスラエルに対してイランの石油精製設備や核施設の攻撃をしないよう、必死で説得しているらしい。

経済政策と国際情勢音痴で評価が下っているカマラ・ハリス氏

NHKが日本時間で10日正午に報道した「バイデン大統領とネタニヤフ首相 電話会談 数日間緊密連絡合意」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241010/k10014606101000.html)は次のように伝えている。

アメリカのバイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が電話会談し、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったイランへの対抗措置について協議しました。今後数日間、双方が緊密に連絡を取り合うことで合意したとしています。(中略)


両首脳は、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったイランへの対抗措置について協議したということで、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は「イスラエルがどう対応するのか、その話し合いは継続している」と述べて両国の間で協議が続いていると強調しました。そして今後、数日間、首脳間や国家安全保障チームの間で緊密に連絡を取り合うことで合意したとしています。この電話会談についてアメリカ・ABCテレビは、政府高官の話として、ネタニヤフ首相は最終的な対抗措置の中身は示さなかったものの「標的はイランの核施設や石油関連施設ではなく、通常の軍事目標にすべきだという議論にイスラエル政府が理解を示しているとアメリカ側は受け止めた」と伝えました。

一方、イスラエルのガラント国防相は9日「われわれの攻撃は強力かつ正確で、驚くべきものになるだろう」と述べて、対抗措置の準備を進めていると強調しました。アメリカのニュースサイト アクシオスはイスラエル当局者の話として、イラン国内の軍事施設への空爆と、ハマスの最高幹部を殺害したような秘密工作による攻撃を組み合わせたものになる可能性があると伝えています。

米国の三大地上波ネットワークの一角を占めるABCテレビはバイデン・ハリス民主党政権寄りの左派メディアであることで有名だ。トランプ氏とハリス氏のテレビ討論会を主催したが、司会進行役を勤めた二人のニュースキャスターはハリス氏よりの司会進行をしたことで知られる。トランプ氏も1対3の討論会だったと不公正な討論会が行われたと述懐している(朝香豊の日本再興チャンネル=https://www.youtube.com/watch?v=iQHXlBeHj4k=)。

イスラエルのイラン攻撃に対してまだ協議を続けるというのは、バイデン・ハリス民主党政権がイスラエルを説得し切れていないことの裏返しの表現とも考えられる。NHKの外信部は米国の左派メディアの「報道記事」をコピー&ペーストをするのが主な仕事だから、ABCテレビの「標的はイランの核施設や石油関連施設ではなく、通常の軍事目標にすべきだという議論にイスラエル政府が理解を示しているとアメリカ側は受け止めた」というのは、イスラエルがそのように決定したということではなく、判断を留保しているとも正しい考えられる。ただし。後ほど本文に追加された「アメリカのニュースサイト アクシオスはイスラエル当局者の話として、イラン国内の軍事施設への空爆と、ハマスの最高幹部を殺害したような秘密工作による攻撃を組み合わせたものになる可能性があると伝えています」という文脈には一応、注意する必要はある。

イスラエルが果たして、バイデン・ハリス民主党政権の説得を受け入れて、イランの核施設や石油関連施設は攻撃せず、別の攻撃目標を定めたのかどうか。いずれにしても、取り敢えずは、中東情勢の悪化は必至だろう。

また、米国の9月の雇用統計は、非農業部門を除く被雇用者の雇用増加数が市場の予想を上回ったことから、反トランプで知られるブルームバーグは、「米労働市場の堅調が続く限り、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が連邦公開市場委員会(FOMC)でもう1回の大幅利下げについて同意を取り付ける公算は小さいだろう」(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-10/SL3W5VT0AFB400)と報じている。利下げはそれ自体は株式相場の上昇要因だが、逆に、利下げのペースが遅れることは株式相場の下落要因になる。しかし、景気の先行指標である雇用増加数が市場予想を上回ったことは、米国の景気が悪化してリセッション入りに直面しているという懸念を払拭できるもので、米景気の好調さを示しているという。どちらに転んでも、米国の株式相場は上昇し続ける。

バイデン・ハリス民主党政権としては、雇用統計がどちらに転んでも株式相場の上昇要因になるように、左派メディアの報道内容を誘導している。ただし、9月の雇用統計には、米政府の臨時雇いの短期の就労も多く、また、ひとりの労働者が複数の雇用先を見つければ、生活は苦しいのに、雇用増加数が増えたことになり、見かけ上の景況感の押し上げ要因になる。また、8月の消費者物価上昇率はコア指数が前年同月比2.5%に低下したが、これはエネルギー価格が低下したことによるところが大きく、中東情勢次第で反騰する可能性もある。

【追記:10月11日午後17時】米国の労働省が10月10日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇(前月2.5%上昇)とわずかに鈍化したが、市場予測の2.3%を上回った。「他方、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同3.3%上昇と前月(3.2%上昇)からわずかに加速した」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/c38dd00df2cb5e1c.html#:~:text=%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81%E3%81%8C10%E6%9C%88,%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%8F%E3%81%9A%E3%81%8B%E3%81%AB%E5%8A%A0%E9%80%9F%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82)。市場予測を上回ったことに加え、コア指数が前月を上回ったこと、さらには、エネルギー価格が下がっての消費者物価指数(CPI)の鈍化であることを考慮すると、8月の消費者物価上昇率よりも内容が悪い。

これは、米国経済の高インフレ体質を示すものであり、日本での反トランプ急先鋒の日経新聞のサイトでさえ、「(パイデン大統領・ハリス副大統領)政権の経済政策への不満はなおくすぶっている」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10DY30Q4A011C2000000/)と伝えている。ハリス氏にとっては、大統領選挙前最後の消費者物価指数(CPI)の統計は、当選に不利な内容になった。

さて、米国のインフレは「粘着性」があって、容易に解消しないというのが一般的な見方だが、これは米国のインフレの発端がバイデン・ハリス民主党政権が「温室効果ガス」の盲説にとらわれて、シェールガスの生産を禁止したことによるコストプッシュ・インフレによるものだからだ(https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/09/65066c3de36f5f12.html)。

しかし、バイデン・ハリス民主党政権が採用した政策は、経済の供給面を強化して資源・エネルギーの増産を急ぐという政策ではなく、利上げという需要抑制政策であり、国内需要のオーバー・キルを招く結果になった。そのため、米国を始めとして米側陣営諸国は景気が悪い。これに加えて、同陣営の需要減退で世界的に、石油・天然ガスの価格が下落しているけれども、中東情勢の展開いかんによっては、石油・天然ガス、資源価格が再び上昇してくる公算が大きい(https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_ActionID=DefaultAID&burl=iris_indexDetail&cat1=market&cat2=index&dir=tl1-idxdtl%7Ctl2-CLv1%7Ctl5-jpn&file=index.html&getFlg=on)。

そのため、バイデン・ハリス民主党政権は、大統領選に悪影響をもたらすイスラエルによるイランの石油精製設備の攻撃を思いとどまらせるよう説得しているが、説得が無駄に終われば、再び、景気後退下のインフレ再燃=つまり、スタグフレーションの再燃=につながってしまう。ハリス陣営にとっては最悪のシナリオになる。

中東情勢の悪化が予想されていることに加えて、ウクライナ戦争の終結のための「国際会議」(注:ウクライナはロシアのクルスク州を延々と攻撃しているので、ロシアのプーチン大統領が応じるはずはない。一方で、ウクライナはポクロウシクなど東部の戦略拠点が陥落寸前だ)も、ハリケーン「ミルトン」の接近で、取り止めになり、「ウクライナの4州とクリミア半島を取り返すまで戦争を続ける。それまで、戦争に終わりはない」という米側陣営にとって良くない状況になっている。

しかし、欧州連合の議長国であるハンガリーのオルバン首相は、「ウクライナはロシアとの戦闘に勝つことはできず、犠牲を防ぐには対話と停戦が必要だとの考えを明らかにした。ロシアとウクライナによる直接および間接の対話が必要で、第三者による仲介も国際政治の役割の一つだとも述べた。これに先立ち、欧州連合(EU)の議長国であるハンガリーの財務相は、EUの対ロシア制裁の更新時期に関する決定を遅らせ、主要7カ国(G7)のウクライナ支援融資500億ドルに関する最終合意を米大統領選挙後に持ち越す考えを示した」(https://jp.reuters.com/world/ukraine/OUWOCDCAWJM5JFMXPEVF7EAHWI-2024-10-08/)。

こうしたバイデン・ハリス民主党政権にとっての国際情勢の悪化から、ハリス陣営はハリス氏がメディアに露出して、トランプ氏が「フロリダ州に接近している米史上最悪のハリケーン『ミルトン』対策に関する偽情報を流し続けているなどのトランプ口撃・攻撃情報を左派メディアに「報道」させる戦略に転換した。併せて、バラエティ番組にも出演するという。大統領としての職務をどう考えているのだろうか。

しかし、国際情勢のバイデン・ハリス民主党政権にとっての国際情勢の悪化と、トランプ氏を攻撃・口撃しても経済政策・不法移民対策といった今回の大統領選挙の最大の焦点では、ハリス氏はトランプ氏にとうていかなわないので、メディアへの露出度を多くするという戦略転換(注:今更という気がするが)を行っても効果がない。なお、単純に、良く言えばハリス氏に大統領としての資質がない、悪く言えば無能であるということが米国民、米側陣営を始めとした世界の諸国民に知れ渡ってきたという可能性もある。こうしたことが、Polymarketで、トランプ氏がハリス氏との差を拡大していることの理由だろう。10月10日午後2時30分時点での状況は以下のキャプチャ図に示している通り、7.8ポイントの差になっている(午後21時の時点では9.5ポイント)。

【追記:10月11日午後17時】現時点でのPolymarketの予測のキャプチャ図を追記しておきます。イスラエルのイランに対する報復にもよるが、現状ではトランプ氏の返り咲き予測、ハリス氏の当選予測の差はどんどん拡大している(Google検索で「Polymarket」と検索すれば、最新のデータを閲覧できます)。

激戦7州でも、獲得できる選挙人が多いアリゾナ(11人)、ジョージア(16人)、ペンシルバニア(19人)、ノースカロライナ(16人)の各州での予想はトランプ氏に有利だ。米国の大統領選挙は、10月に「October サプライズ」と呼ばれるものが発生する。その可能性を考慮した上で、30日を切った大統領選を予測すべきだろう。こうした米国内外の政治・社会・経済・軍事状況にもかかわらず、「もしハリ」が実現すれば、ハリス政権は不法移民を保護し、かつ、合法的な選挙権を与えることで、今やドナルド・トランプ氏の盟友になっている世界最大の富豪家・イーロン・マスク氏が指摘するように、「フェイク・ニュース」だと言い張って「言論の自由を圧殺」し、かつては代表的な「民主主義国家」と言われた米国を、時代を後戻りさせる反革命を行うことで、「民主党一党独裁体制国家」に改造してしまうことになるだろう。

シリアのアサド政権を支援してきたヒズボラの弱体化・壊滅でシリア内線は再発するか

シリアのアサド政権を支援してきたヒズボラ(シーア派のイランが支援する軍事・経済組織)に対するイスラエルによる壊滅的猛攻で、終焉したかに見えていたシリア内戦が再発する可能性があるようだ。国際情勢解説者の田中宇氏が「シリア内戦の再燃?=https://tanakanews.com/241009syria.htm、無料記事=」で、「イスラエルがヒズボラを弱体化させ、米諜報界がISカイダを復活させて、シリア内戦が再燃しそうな中で、最も劇的に豹変・転向しているのがトルコだ。最近、トルコ軍の幹部たちが占領中の北シリアのイドリブなどを見て回った。トルコは、捨てていたISカイダのシリア反政府勢力を再びテコ入れしてシリア政府軍と戦わせる準備をしている」と伝えた。ただし、本格的な内戦勃発にはならないようだ。

8月6日からウクライナ軍がロシア側のクルスクに侵攻して占領している。2か月経っても、露軍は、自分たちよりはるかに弱いウクライナ軍を追い出さない。少しでも占領されている限り、ロシアは和平交渉を拒絶できる。ゼレンスキーは最近、スイスでの和平会議の再開をあきらめた。セルビアの親露なブチッチ大統領は、ウクライナ戦争が停戦後に朝鮮半島型の恒久対立になるのでないかと言っている。トランプが当選したら、ウクライナ戦争を朝鮮型にするために停戦を仲裁するわけだ。(Serbian President suggests war in Ukraine will end according to Korean scenario)(Ukraine no longer anticipating peace summit to be held in November

シリア内戦とウクライナ戦争がつながることにより、この2つの戦争は、米国・イスラエル・トルコ・ISカイダの枢軸と、ロシア・イラン・アサド政権・ヒズボラの連合との戦争になっている。だが、イスラエルとトルコは、ロシアと親しい。イスラエルやトルコは、ロシアがウクライナ戦争の永続を望んでいることを知った上で、シリア内戦とウクライナ戦争をつなげている感じだ。イランとトルコも親しい。経済協力を強めている。(シリアをロシアに任せる米国

ロシアは2015年以来、アサド政権を守るためにシリア内戦に空軍力で参戦し、10年近く苦心して成功している。そんなロシアが、アサド政権の転覆につながるシリア内戦の再燃を容認するのか。ISカイダは米傀儡として発祥しているが、シリアの政権をとったらイスラエルを敵視しないのか。イスラエルにとって、過激妄想のISカイダより、現実的なアサドの方がましなはず。アサドは、ゴラン高原を返してもらえばイスラエル敵視をやめる。ゴラン高原を占領するイスラエルは、入植地をほとんど作っておらず、いずれシリアに返還することを想定している。それらを考えると、トルコ傘下のISカイダは大して強くならず、シリアは内戦に戻らない感じもする。

米国・イスラエル・トルコ・ISカイダの枢軸と、ロシア・イラン・アサド政権・ヒズボラの連合との戦争になりかけても、ロシア・イラン・アサド政権それにイスラエルを経済的に支援しているトルコとの連携は崩れず、欧米キリスト教文明の雄(単独覇権国家)だった米国が衰退がはっきりしてくれば、イスラエルもこれらの連携の仲間入りをするのでははないか(https://www.cnn.co.jp/special/interactive/35071673.html)。

 

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