12月16日に今年最後の日銀短観が発表され、大企業製造業の業況指数は4期連続で改善した。しかし、この改善は主として、①消費税大増税に導くための13兆円規模の大型補正予算の執行②米国の量的金融緩和(QE1/2/3)の縮小による長短金利の上昇予想の広がり➤ドル高・円安③消費税大増税前の駆け込み需要(需要の先食い)ーの効果によるものであり、菅義偉官房長官が自画自賛する「アベノミクス」によるものではない。来年度予算は消費税大増税と財政拡大政策の打ち切り、復興増税の本格化(ただし、法人税は対象外に置かれる)などで総額30兆円規模のデフレ財政が組まれる。来年から日本経済は極めて厳しい状況に直面する。
NHKは次のように伝えた。
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日銀が16日発表した短観=企業短期経済観測調査によりますと、円安傾向が続き、企業の輸出や海外事業の採算が改善していることなどから、大企業の製造業の景気判断はプラス16ポイントと4期連続で改善しました。
日銀の短観は、3か月ごとに行われ、今回は全国のおよそ1万社を対象に先月中旬から今月中旬にかけて調査が行われました。
それによりますと、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値は、代表的な指標とされる大企業の製造業でプラス16ポイントと、前回を4ポイント上回りました。
改善の幅は前回の8ポイントから縮まりましたが、企業の景気判断が改善するのは4期連続です。
これは、▽円安傾向が続き、輸出や海外事業の採算が改善していることや、▽国内の消費が堅調なことなどから、企業の収益が回復していることが背景にあるものとみられます。
また、大企業の非製造業は、消費税率引き上げ前の住宅の駆け込み需要や公共事業の増加で建設業の経営環境が改善していることなどから、プラス20ポイントと、前回を6ポイント上回って4期連続の改善となりました。
中小企業は、製造業が前回より10ポイント改善してプラス1ポイント、非製造業が前回より5ポイント改善してプラス4ポイントとなりました。
中小企業の景気判断がプラスに転じたのは、製造業ではリーマンショック前の平成19年12月以来6年ぶりで、非製造業では平成4年2月以来、21年10か月ぶりです。
一方、3か月後の景気については、大企業、中小企業ともに、製造業、非製造業のいずれも2ポイントから3ポイントの悪化を見込んでいます。
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安倍政権の広報期間と化したNHKでさえ、「一方、3か月後の景気については、大企業、中小企業ともに、製造業、非製造業のいずれも2ポイントから3ポイントの悪化を見込んでいます。」とせざるを得ない。短観は今回がピークで、来年からは坂を転げ落ちるように悪化するだろう。