本日2014年4月1日から、消費税増税が実施された。意図的な円安による輸入インフレ、社会保険料の引き上げなどと相乗して、日本国の国民の生活を直撃し、恐慌型長期デフレ不況が恐慌型スタグフレーション(不況下の物価上昇)にさらに悪化しようとしている。また、東京・大阪の首都圏、準首都圏で事実上の「租界地」である「戦略的特区」構想が実施されようとしており、外交・「防衛策」も売国政策になってきたことが誰の目にも明らかになってきた。しかし、古代ペルシア(アケメネス朝以前とされる)に出現したゾロアスター(ツァラトゥストラ)が、歴史上初めて説いたように、「悪」は「善」に打ち勝つことはできないことを歴史が証明している。
生活の党の小沢一郎代表は、次のように消費税増税の施行を批判している。一方、「ゆ党」から「与党」に転換した「みんなの党」の渡辺喜美代表は、化粧品販売会社「ディー・エイチ・シー(DHC)」の吉田嘉明会長から選挙資金として8億円借り入れた問題で、政治資金規正法違反ないし公職選挙法違反容疑で良識ある市民が検察に刑事告発をする方向であり、刑事事件に行き着く可能性が大である。このため、同党内では渡辺代表を追放する「クーデター」が起きつつあり、生活の党を軸とした野党の再編・団結が起きる可能性が出てきていてる。
なお、渡辺代表は国策捜査に遭い、政治弾圧を受けた小沢代表が東京高裁で無罪判決が確定した後も、同代表の「説明責任」を声高に叫んでいた。「因果応報」とはこのことである。野党の再編をめぐるもうひとつの焦点は、機能的には「科学的社会主義」という名の古典的マルクス・レーニン主義を未だ克服できず、自民党の補完勢力と化した共産党の動向である。
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平成26年4月1日
生活の党
代表 小沢一郎
本日から消費税率が引き上げられました。生活の党は、政治が何らやるべきこともやらず、年金、医療、介護など肝心の社会保障制度改革が不十分な中での安易な消費税率引き上げには反対してきました。今回の消費税率引き上げについては全く評価できません。
まず、今回の消費税率引き上げは生活者の家計を直撃することになります。政府が物価上昇こそ景気回復の決定打であるかのように喧伝し、表面的な物価上昇に向けて猛進してきたこともあって、既に消費者物価指数は1.3%上昇しています。そこに今回の3%の消費税率引き上げが重なり、悪い物価上昇が更に加速します。
今年の春闘でベースアップがありましたが、それは一部大企業のしかも正社員だけの話であり、それ以外の全労働者の9割近い非正規社員や中小零細企業の社員はその恩恵に浴するまでに至っていません。そうした中、消費増税にとどまらず、医療や年金でも負担増、給付減になります。
つまり、今回の消費税率引き上げとそれに伴う悪い物価上昇は、国民の所得と生活水準を格段に低下させ、個人消費を冷え込ませ、我が国の景気を大きく悪化させかねないのです。
また、安倍政権は、消費増税を行う一方で、無原則な公共事業を大盤振る舞いしようとしています。今回の消費増税は「社会保障と税の一体改革」のためのものであったはずですが、これでは何のための増税なのか全くわかりません。
生活の党は、景気回復のためには、まず、個人消費のもととなる国民の所得を増大させることが肝心であると確信しております。そのため、最も有効な経済政策として、現在労働者全体の4割近くに達している非正規雇用を正規雇用へと転換させるため、今の安倍政権の考え方とは逆に、雇用に関する規制を強化すべきであると考えております。
また、内需拡大のためには、個人消費を増やすとともに、地域主権改革の断行が不可欠です。それにより行政の無駄を全廃し、地域経済を活性化させ、雇用の拡大と雇用者所得の増大をもたらし、内需の振興を実現させることができます。
私たち生活の党は、すでに行き詰まりを示しているアベノミクスから「国民の生活が第一」とする経済・社会政策への転換をめざし、必要な行動を起こしていきます。
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上記の小沢一郎代表の声明を以下、補足する。財務省➤安倍政権(新自由主義・市場原理主義路線)の言い分は、少子・高齢化によって税金と社会保険料(医療保険料、年金保険料、介護保険料)で賄う社会保障給付費は増える一方である。このため、社会保障を維持するためには、増税し、社会保険料水準の引き上げと社会保障給付費の引き下げが不可欠、という単純かつ静態的な理屈である。
しかし、社会保険料の増加が芳しくないのは、橋本龍太郎政権が進めてきた新自由主義・市場原理主義路線によって、「労働規制の改革」と称して、勤労者(特に、若年者層)を賃金水準の低い非正規労働者にとどめてきたからである。このため、厚生年金に加入できない非正規労働者(ひどい場合には、雇用保険、労災保険にも加入できない場合もある)が、これまで企業の(正)社員であれば雇用主との折半で納付ができた年金(この場合は厚生年金)の保険料(この場合は国民年金)を納付できなくなったためである。国民年金の未納率(納付した月数÷納付すべき月数)は60%程度に落ち込んでいる。
一方で、財務省は名目ベースでの国内総生産や国民所得の落ち込みについては目をつむる。上に掲げた図では、2013年の国民所得(359兆円)が2000年の国民所得(372兆円)より落ち込んでいる。これは、21世紀に入って、小泉純一郎政権が「構造改革なくして経済成長なし」と絶叫して、新自由主義「理念」に基づく市場原理主義路線(基礎的財政収支均衡策=緊縮財政政策、フラット税制思想の導入による累進課税の破壊と所得税収の減少、トリクルダウン説による法人税減税の強行とそれによる法人税減収、勤労者の人権を守らない労働規制の緩和による格差社会への移行=労働人口の40%が非正規労働者=、時価会計の導入など)を経済政策の柱としたためである。
言わば、成長の芽を摘んできたのが財務省なのである。その結果は、極端な税収の落ち込みである。
上図では、財務省が新自由主義に基づいて市場原理主義路線を採用してきたため、税収が大幅に落ち込んでいる(平成21年度の落ち込みはリーマン・ショックによるものだが、財務省がバカな円の押し下げ介入を行い、米国に資金を供給=貢納=、バブルを煽った反動=バブル崩壊=によるもので、同省に責任がある)ことを示している。その中で、項目別に見ると、所得税と法人税が異常に落ち込み、大衆課税である消費税の税収が着実に伸びている。法人税の税収が消費税の税収より下回ってきているが、「大企業には減税、庶民には増税」の庶民いじめ以外の何者でもない、と共産党に批判されても仕方のない状況だ。
要するに、米国➤財務省は新自由主義に基づいて市場原理主義路線を今なお続けており、その結果として、税収は大幅に落ち込み、かつ、社会保険料収入も増加しなくなったのである。なお、出生率の低下も収入・所得が低いため結婚できない若者の激増が真の原因である。そして、政府(財務省)はその失政のツケを国民(庶民)に回しているのである。しかし、社会保険料収入が増えず、税収が減少しているからといって、社会保険料の引き上げ、消費税増税、社会保障給付の削減を行えば、かえって経済成長が阻害され最近、財務省が税金を使ってあらゆるコンビニで宣伝している「消費税増税の良き効果」とは逆のことが起きる。東大法学部(別名、阿呆学部とも揶揄される。ついでに、東京大学=頭狂大学)出身の官僚は難解な霞ヶ関文学は得意だが、経済のダイナミズムに対する理解はないし、理解しようともしない。
本日1日、日銀短観が発表されたが、大企業の業況指数は先行き悪化する見通しである。これはまだ甘い。何故なら平成26年度は、消費税増税(9兆円規模)に昨年度に施行された補正予算の反動減(7・5兆円規模)、社会保険料の引き上げ(3兆円規模)で総額30兆円規模のデフレ財政が組まれているからである。国内の経済活動は新年度以降、事実上ストップに等しい状態になり、新年度の企業業績は悪化する。一株あたりの利益は大幅に減少し、日本の株価収益率(PER)は次第に高水準になる。調整が起きる。参考までに、日経平均のPERを掲げておく。出所は、http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0168 既に調整が起き始めていると見て良いだろう。
こうして、昨年大納会の掉尾の一振以降の日経平均の調整局面入りに象徴されるアベノミクスの綻び・破綻に加え、国内では実質的にアジア諸国に対する侵略戦争であった「大東亜共栄圏構想」による太平洋戦争を肯定する似非右翼勢力に媚び、海外では対米隷属路線をひた走る「コウモリ外交」の矛盾の拡大で、巨大連立与党に支持された安倍晋三政権が行き詰まる日も近い。なお、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はロシア、中国、インド、ブラジルのBRICs(新興諸国)と手を組み、対米債権国連合を結成して欧米諸国による第二次世界大戦後のIMF・WTOレジームの切り崩しにかかる。コウモリはどちらの勢力圏からも相手にされなくなる。
今こそ、米国国際金融資本(ユダヤ及びWASP=ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント=系国際金融資本)➤日本財務省(米国財務省の日本課に過ぎない)の「推進する」新自由主義に基づく新自由主義路線を克服して、「活力ある21世紀型福祉国家」を創造するとともに、環太平洋連携協定(TPP)や経済連携協定(EPA)、二国間自由貿易協定(FTA)の大欠陥(本質は域外国を排除する排他的な保護主義)を乗り越える東アジア共同体の形成に向かう時である。
鍵を握る二人の政治家に期待したい。
亀井静香氏、「傘張り浪人生活」からの決別を宣言!!(「日本を衰弱死させるな」月刊日本4月号)