安倍晋三首相はこれまで歴代の内閣法制局が展開し、内閣が認めてきた「日本国憲法第9条により集団的自衛権の行使は禁じられている」との解釈を、歴史的敬意を無視し、閣議で「集団的自衛権の行使」を、憲法上も何ら問題点はないとして、認めた。日本国憲法の基本理念である基本的人権の尊重、国民主権、平和主義、国際協調主義(国連中心主義)が現安倍内閣ですべて破壊されつつある。集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を強く求める。
実質的には米国の命令の下、世界の果てまで自衛隊が赴き、戦闘に参加するという今回の閣議決定に対し、中国は強く反発、韓国も言葉を選びながらも安倍政権を牽制している。こうした現実は、新自由主義と言う名の「掠奪主義」によって国家共同体としての米国の経済社会が破壊され、それによって戦後のブレトンウッズ体制の崩壊が本格化してきたことを意味する。ただし、集団的自衛権の行使を容認するという閣議決定では、ブレトンウッズ体制の崩壊を食い止めることはできない。
米国はなお覇権国家たらんとして「瑞穂の国」日本国を骨の髄までしゃぶり尽くす算段だが、新自由主義=掠奪主義を自ら推進し、日本国にこれを押し付ける限り、その野望は達成できない。サイト管理者としては逆に、日本国憲法の根本理念を守りつつ、新たな世界秩序の構築ー特に、国際連合の機能強化ーに向けて一層の貢献をしていくべきと思う。
そのためには、新自由主義=掠奪主義と決別し、共生共栄友愛主義の理念の下、官民挙げて成熟債権国に相応しい内需主導型の福祉型資本主義の構築に向けて努力すべきであると考える。
今回の閣議決定に対しては、生活の党の小沢一郎代表が適切な声明を出しているので、併せて紹介する。
=================================================
集団的自衛権行使を容認する閣議決定を受けて
平成26年7月1日 生活の党代表 小沢一郎
本日、安倍内閣は集団的自衛権行使を容認することを閣議決定しました。
わが国の自衛権は、それが個別的であれ集団的であれ、日本が直接攻撃を受けたときに限りこれを行使できるのであって、それ以外のわが国と直接関係のない国・地域の紛争に関し、集団的自衛権の名の下に自衛隊を派遣することは憲法9条によって許されておりません。
だからこそ歴代内閣も、集団的自衛権については「保有しているが行使できない」との憲法解釈を行ってきたのであります。
それにもかかわらず、今回、安倍内閣が閣議決定で集団的自衛権行使を容認するのは、正に立憲主義と憲法の精神を根底から否定し、戦後日本の平和国家としての歩み、信頼を著しく毀損するものであり、到底容認できるものではありません。
本件は、戦後の日本の安全保障、国のあり方を根本的に変えるものであり、一内閣の一時的な判断で変更できる性質のものでは全くありません。安倍内閣がどうしてもこれを行いたいとするならば、憲法9条の改正を発議して、国民に問うべきであります。
言うならば今、これまで憲法が高らかに謳い上げてきた国民主権・基本的人権・平和主義・国際協調のすべてが危機に瀕しています。
生活の党はこのような議会無視、国民無視の安倍政権と全面的に対峙していきます。平和主義を規定する憲法第9条の理念を堅持し日本の平和と安全を図るとともに、日本と直接関係のない紛争については、国連の決定に協力し、世界平和の維持を目指します。
=================================================
※補足
安倍晋三首相は「戦争国家」に移行する体制を築くため、野党が分裂している秋にも解散・総選挙を行う意向のようである。 建設的な野党としては、まずは民主党が、①集団的自衛権行使容認に絶対反対②2015年10月からの消費税率のさらなる引き上げの延期(実質的には消費税増税廃止)ーで党内をまとめ、容認分子は分党し、自民党に入党してもらうことが先決。そのうえで、生活と民主、社民(マルクス・レーニン主義を完全に否定すること)が合流、これに自民内反新自由主義勢力、リベラル派が五月雨式に参加していくべきである。
遅くとも、2016年には少なとも日本国内では参院選があり、米国では大統領選挙がある。2016年が最大の山場になろうが、民主主義勢力はこれに勝ち抜く態勢の構築に邁進しなければならない。