「日本一新運動」の原点 (254)ー国会オンブズマンを始めよ!

日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

○『国会オンブズマン』を始めよう!
2月17日(火)小沢一郎さんを招いてある勉強会が学士会館で開かれ、小沢さんの話は『集団的安全保障と集団(国連)安全保障』であった。「ISIL」(イスラム国)という人類の災難へ直結する問題である。小沢さんは、「安倍首相のエジプトでの発言や国会で中東での機雷掃海発言は、国際政治の常識として事実上〝集団的自衛権の行使宣言〟と同じだ」と断言した。これだけの見識で国際政治を分析する政治家は他にいない。集団的自衛権行使の法整備協議が自公与党で始まったばかりだ。なのに、安倍首相の発言で現実の国際政治は有志連合国側も、そしてISIL側も小沢さんが指摘したと同様の認識で事態が展開している。政治とは恐ろしいもので、誤解や思い込みが動かすものだ。

私が「安倍首相はISIL問題で、集団的自衛権行使を宣言した、と野党は国会の代表質問で指摘すべきだ。過激派の根絶も大事だが、過激派が生まれない社会づくりについての議論がない」というと、小沢さんは「その通りだが、安倍首相の施政方針演説も問題だ。どう思うか?」となった。「懇親会が始まるまで〝国会オンブズマン〟をやりましょうか」とのことで、次の要旨の話となった。

(安倍首相の施政方針演説の問題点)
演説の特長に驚くことがあった。「集団的自衛権」という言葉が1回も使われていない。「経済成長」という用語も同じだが、「経済再生」が代わりに使われ、「成長戦略の実行」という言葉が1度だけ使われていた。これまで愛用していた「アベノミクス」は1回だけだった。演説の内容を新聞で読むと、政権交代したかと思われるようにソフトなもので、国民が嫌がる問題をなるべく避けて「改革! 改革!」を絶叫していた。

(日本を米国資本に売る『農協改革』!)
「改革断行」の売り物が農協改革だ。主目的が「強い農業をつくること」とのこと。農業を市場経済の中にドップリと入れる改革といえる。農業協同組合の本旨は「一人は万人のため、万人は一人のため」という、共生の思想だ。それを米国式市場経済に改革するとなると「万人は一人のため」という弱肉強食の農業に変えることになる。「食料安全保障」が国家存立の基本であることを否定する人はいまい。農業は各国とも地政と歴史を背負っていて、国家社会の保護を含む独特な政策を採用しているのが現実だ。

農協の実態が、本来の協同組合の理念を逸脱して、日本的資本主義に汚染されていることは事実であり、これらを抜本的に改革すべきことはいうまでもない。新しい日本農業とは、適切な食糧自給を政策的に確保することを第一にすること、その上で市場経済の良い部分を利用して農家の活性化を進めるものでなければならない。資本や企業が個々の農協や農家のほっぺたを札束で叩くようになるTPP対策の改革とは、改革どころか国家社会の崩壊となる。自民党は保守の良識を失い、この国をどうするつもりか、国会よ、しっかりしてくれ!。

(安倍演説の裏にある疑似ファシズムの流れ!)
安倍演説は『戦後以来の大改革』と、身振り手振りで叫んでいたテレビ中継を観て、その内容との不釣り合いに、正気さを疑ったのは私だけではなかった。翌日になると「安倍首相は戦前回帰から変わったのか」と多くの国民の反応があった。そして、マスメディアもそう誘導した。私には「本音隠しのアジ演説」と聞こえた。集団的自衛権の言葉もなく、アベノミクス・経済成長という、持論もきわめて抑えた演説の内容に『疑似ファシズム』の影を見た。これが〝いつか来た道〟である。

安倍政権の背後には、相当に知恵のある「疑似ファシズム集団」がいて、そのシナリオで政治を動かしていることが読み取れる。本格的ファシズムなら国民にもその危険性がすぐわかりしっかり抵抗できる。しかしソフトな疑似ファシズムはいつの間にか、社会全体として正論を排除し、気がつくと本格的ファシズムに変貌しているのだ。今月19日(木)に発表された「戦後70年談話」有識者会議メンバーの顔ぶれをみて、いよいよ危ない局面に入ったと思った。

国会では16日~18日代表質問が行われ、19日から衆議院予算委員会で総予算審議が始まった。しかし、わが国の危機について本質的論争は見えない。国会は機能しているのかと問いたい。

○ 消費税制度物語 
(13)(着々と進む消費税導入への準備!) 昭和63年度総予算の衆議院予算委員会は3月10日ようやく締め括り総括質疑に入った。浜幸発言で例年より1ヶ月も遅れた。ここで、竹下首相の「大型間接税六つの懸念」表明が事態を変えた。その要点は、
1)逆進的な税体系となり所得再配分機能を弱める 
2)中堅所得者の税の不公平感を加重する 
3)所得税のかからない人たちに過重な負担を強いる 
4)痛税感が少ないことから引き上げが安易になされる 
5)新税の導入により事業者の事務負担が重くなる 
6)インフレが避けられないのではないかというもので、竹下首相はこれらの懸念を解決していくと発言した。

この竹下首相の見解は、野党を抜本的税制改革の中身に引っ張り込んだ。これまでの野党の攻め道具であった「国会決議」(大平内閣時代)、「選挙公約違反」「統一見解」(中曽根内閣時代)を一挙に解消した。こうして消費税関連法案を審議する臨時国会を召集する環境整備ができた。四月十日に総予算が衆議院を通過した4日後、自民・社会・公明・民社四党政策担当責任者の会合がもたれ、減税中心の税制改革協議が始まる。

4月11日、竹下首相の要望で小沢副長官、大蔵省関係者に私が加わり、勉強会を開いた。当日の私の日記を要約して記しておこう。

《小沢氏から電話、本日午後2時、キャピタルホテル626号室で税制改革対策の勉強会をしたい。大蔵省の文書課長、主計・主税の総務課長が出席する。過去の重要問題処理長期臨時国会の運営状況を説明してくれとのこと。指定の場所で説明。結論は「何かで野党の顔を立てないと成功しない」という。

大蔵省側頭堅し。「減税分先行は絶対だめ、竹下総理も同意見だ」とのこと。野党の食い逃げを恐れているようだ。「野党が信義を守らないなら与党自民党が多数で押すべきだ」というと「それも期待できない」という。要するに、自民党も信用されていないし、政治そのものを信用していないのが大蔵省なのだ。「私がこの席に出るのは国会職員法違反だよ。君たちの大先輩で、私の恩師でもある前尾先生の遺言で協力しているんだ。発想を変えないとダメ」と苦言をいう。

収穫は小沢副長官が臨時国会の日程を、7月中旬召集、8月上旬税制改革特別委設置、8月下旬本会議趣旨説明と質疑、衆議院で9月中旬に可決すれば、参議院で10月中旬に成立させることを目標とすることを頭に描けたようだ》。

これが国会の裏の動きである。4月28日には政府税制調査会は中間報告を竹下首相に提出した。その柱は「望ましい間接税制度」として、
1)消費に広く公平に負担を求めるもの 
2)簡素で分かり易く、取引慣行に配慮したもの 
3)納税者・税務関係者の事務負担に配慮したもの 
4)産業経済に対して中立的であり国際的な摩擦を招かないもの、 
であった。

6月15日の最終答申には「中間答申」をもって最終答申とすると記されていた。自民党税制調査委会も同趣旨の、「税制改革大綱」を決めた。6月16日、社・公・民・社民連の4野党書記長会談で、税制改革臨時国会に臨む基本方針を決めた。
1)減税法案を先行分離することを強く要求する 
2)消費税法案等を強行するなら衆議院の解散、総選挙を迫るなどである。

竹下首相はトロント・サミットの帰国の途中ハワイで22日に同行記者団と懇談し「7月中旬召集予定の臨時国会で、消費税を導入する税制改革法案の成立に〝内閣の命運〟をかける」と語り、「6つの懸念」に「商品価格に転嫁できるか」を追加し、税制改革に自信をみせた。

6月28日は、政府は「税制改革要綱」を決定。同日、臨時国会の召集について衆参の議院運営委員会が開かれた。自民党から「7月11日召集、会期11月7日まで120日間」との打診があった。野党は猛反発した。7月に入って政党間の駆け引きが活発になった矢先の7月6日、朝日新聞はリクルートコスモス社の非公開株が大物政治家や秘書らに売買されたと報道した。臨時国会は税制改革とリクルート問題の真相究明をめぐり、大混乱の様相となる。
(続く)

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