世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長が13日、新型コロナウイルスの感染拡大について、今では欧州が「震央」だと述べたことが伝えられているが、中でもイタリアは深刻だ。一方で、当初は感染者の急拡大が伝えられた韓国だが現在では、感染確認者数・死亡者ともに鈍化の兆しが出てきている。これは、韓国政府が総力を挙げてPCR検査を行い、陽性と判定された患者の症状に応じて適切な医療措置を取っているからだ。

本投稿記事は3月13日13時50分にヤフー・ニュースに掲載された、ジャーナリスト・コリア・レポートの辺真一編集長の記事に負うところが大きい。

辺氏によると、「韓国中央防疫対策本部の今朝の発表によると、韓国の感染者の数は昨日よりも110人増え、(累計で)7979人となった。(ただし)完治者も177人増え、510人となった。最初の感染から54日目にして感染者発生数と完治者の数が逆転した。集団感染が発生している大邱(テグ)市では61人増加したが、前日(73人増)に続き2日続けて、二桁の増加に留まり、鈍化の兆しがあると、防疫対策本部ではみている」という。

これに対して、WHOの公式表明や各種メディアの報道でも明らかなように、欧州はイタリアを中心に新型コロナウイルス感染者数、感染による死亡者数ともに急激に増加している。引用が長くなるが、韓国とイタリアの相異について辺編集長は、
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イタリアも初動では広範にわたってPCR検査検査を実施した。しかし、時間が経つにつれ、検査を症状が疑われる人を対象に狭めた。その一方で、発症地域を閉鎖する方向に舵を切った。3月9日には全国民の移動を制限する措置も取った。

他方、韓国は濃厚接触した疑いのある人を積極的に追跡し、1日平均1万2千件のPCR検査検査を実施した。特に、韓国は医療スタッフの感染リスクを最小化するため希望者が乗車したまま簡単に検査を受けられるドライブスルー検査施設を全国50か所以上設置した。その結果、韓国は感染者を早期に発見し、積極的に対処することができた。

韓国は13日零時基準で24万668人の検査を行っているが、イタリアは約3分の1の8万6000人程度に留まっている。結果は、感染者数でイタリアが1万5113人なのに対して韓国は7979人、死亡者の数でイタリアの1016人、韓国の69人の差になって表れている。
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米下院公聴会=ロイター通信から

辺編集長によると、こうした韓国とイタリアの差に対して、当初は感染者数が少なかったけれども最近、感染確認者、死亡者数とも拡大傾向が顕著になり、トランプ大統領でさえPCR検査を受けることが正解になっている米国では、下院の監視・政府改革委員会の12日の公聴会で、キャロライン・マローニ委員長が「韓国は今、19万6千人以上検査を実施しているが、我々はどこにも行けない。韓国はドライブスルーを実施しているが、米国民は自分の主治医の検査すら受けられないでいる。これが米国だ」とトランプ政権を厳しく批判している。

さて、マローニ委員長が嘆く以上に深刻なのが日本だ。サイト管理者が厚生労働省(0120-565-653)に問い合せ、サイトで確認したところ、1月15日から3月6日までの23日間で累計のPCR検査人数は1万9420人、1日当たり844件しかない。話にならない数字だ。3月6日に検査に対して社会保険(国民健康保険料・同税含む)が適用されたが、検査を受けられる条件が厳しいため、大きな増加は見込めない状況だ。厚労省のサイトでも、感染確認者と亡くなられた方の累計数字は毎日更新しているが、PCR検査の実施数は積極的に公開していない。

新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・安倍晋三首相)、同対策専門家会議(座長・脇田 隆字国立感染症研究所所長)ともPCR検査能力・体制の拡充は力説するが、能力・体制を拡充しても実際にPCR検査を増やすことは抑制しているから、力説しても意味がない。検査が誤判定を行う場合があるとか、新型コロナ感染症による死亡者が欧州ほどではないなどの「理由」のため、PCR検査を行っても意味がないといった「意見」がインターネットに溢れ出しているが、亡くなられてから新型コロナウイルスに感染していたことが判明したというニュースも報道された。

厚労省やそれを受けてマスコミが発表する感染確認者や死亡者の数字が、実態とは大きくかけ離れていることは容易に推察できる。日本は、韓国方式を採り、実際の感染者数を把握して、症状の段階に応じた適切な医療処置を取るべきだが、政府=安倍政権はWHOがパンデミック宣言を正式に発動しても、政権の利害関係の維持と国威発揚のため東京オリンピック開催は強行する姿勢を崩していない。

もっとも、朝日デジタルは2020年3月16日 8時57分に、「新型コロナウイルスの感染拡大で東京オリンピック(五輪)開催への懸念が高まる中、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が17日に各競技の国際連盟などと緊急の電話会合を開くことが分かった。関係者が明らかにした」との記事を流した。ただし、オリンピック出場選手を決定するための各種大会の手続きについての打ち合わせが中心になるようだ。IOCも現段階では、オリンピックの中止や延期は考えていないとのことだ。

ただし、➀日本政府=安倍政権の新型コロナウイルス感染症対策が決定的に矛盾していること②パンデミック宣言が解除されない場合、その中での強行開催では出場選手や観客に感染者が出る懸念があること③通常なら大勢の観客が各国から押し寄せることが予想されるが今回は不透明であり、観戦やホテル宿泊のキャンセルが相当数出ることが予想されるために、予想されていた「事業収入」が見込めなくなる可能性があること-などから、開催強行一点張りでは大きな支障が出よう。

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