オリンピック「観客制限して来夏開催」発表も「中止決定」濃厚、問題山積ー大阪都構想の住民投票は反対多数確実

11月に入った最初の日である本日1 日、「大阪都構想」の住民投票が午前7時から始まった。大阪市のみならず日本全体の経済社会、政治構造にも重大な影響を与える住民投票だ。大麻市の有権者の正しい判断・投票を期待したが、反対が賛成を上回ることが確実になった。さて、前に国際オリンピックのトーマス・バッハ会長が今月中旬に来日、欧米で第一波の規模を上回る新型コロナウイルスの第二波が襲来していることなどから、来夏の東京オリンピック開催の中止を日本に伝えるとの記事を投稿したが、取りあえずは「観客数」を制限して「開催する」の玉虫色の暫定合意になりそうだ。ただし、①期待した有効で安全なワクチンの開発・接種が大会出場者を決める予選最終戦・本大会に間に合わない②大会のスポンサー企業にも「厭戦気分」が出ている③「観客数」を制限して開催するにしても、払い戻しを含めて制限の仕方が明確でない③コロナ感染が収束していない場合は、コロナ対策の費用が上回ってしまうーことなどから、来夏の強行開催はやはり絶望的だろう。

「大阪都構想」住民投票で否決
11月1日日曜日に実施された「大阪都構想」の可否を問う住民投票で同構想は反対多数で否決された。開票率98%の段階で反対67万8125票、酸性派66万6868票と票差は1万1257票。日本維新の会/大阪維新の会の敗北を受けて、松井一郎大阪市長は市長の任期を努めたあと、政界を引退することを改めて明言した。吉村洋文知事派任期を全うした後、政治家としての進退はその前に自分で判断するとしたが、同知事自身としては2度と「大阪都好評」を打ち出すことはないと明言した。
維新側の敗北の原因は、①「大阪都構想」の「メリット」が大阪市民に浸透しなかったこと(そんなメリットはもともとなかったから、市民に浸透しなかったのは当然である)②公維新は明党と組んだが、公明党が支持基盤の創価学会員を固めきれなかった③いゆゆる無党派層の反対票が出口調査で10ポイント増加したが、これは山本太郎代表率いるれいわ新選組のソーシャル・ディスタンス街宣によるところが大きかったーことが挙げられる。
この住民投票の結果で、松井氏の引退で維新の政治的基盤が弱くなること、維新側が総選挙をめぐって公明党を脅したこと、自民党府議連連が自民党本部に反旗を翻したことなどから、自民党・公明党・維新の内部と政党間に隙間風ないし亀裂がが入ることが確実な情勢になってきた。
この「大阪都構想」で大阪市民は分断されたが、関係各位と大阪市民の良識に経緯を示すとともに、一刻も早く「大(だい)大阪構想」を具体化して法制化し、大阪市を中核にした関西圏、西日本県の経済を再興することを期待したい。
立憲民主党の枝野幸男代表は経済音痴を脱皮し、日本共産党、社民党、れいわ新選組とともに真正野党共闘を構築し、次期総選挙で政権を奪還するべきだ。
11月1日日曜日コロナ感染状況

本日11月1日・日曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では午後15時の速報値で1周間前の25日日曜日の124人より8人少ない116人、重症者は前日比1人増加の34人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/102306)。東京都の最新情報はこちらのサイト(https://www.metro.tokyo.lg.jp/)に掲載されていてる。全国では、午後23時59分現在で614人の感染者と6人の死亡者が確認されている。北海道・札幌市で最多更新の59人の新規感染者が確認されている。東京都のモニタリングhttps://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は169..6人、PCR検査人数は3760.3人だから、陽性率4.51%。東京都独自の計算方式では相変わらず3.5%。感染経路不明率は54.07%だった。
東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1031日時点の実効再生産数は全国が前日比変わらずの1.14人、東京都では同0.03人増加の1.08人だった。東京都を含めて全国的に実効再生産数が1.0を超えてきている。警戒すべき状況だ。

今回の住民投票は午前7時から午後20時まで市内365カ所の投票所で行われ、有権者名簿に登録されている223万6504人が有権者になる。投票率のいかんにかかわらず、賛成投票数が有効投票数の過半数を超えた場合は可決になり、賛否同数または反対票が過半数を越えた場合は否決される。住民投票日当日も賛成派、反対派の投票に関する街宣活動などを行うことが出来る。結果は1日深夜に判明する模様だ。

イメージで維新側が持ち出してきた「大阪都構想」の内実は、令和7年1月1日に、政令指定都市・大阪市を廃止し、4つの特別区と一部事務組合(大阪市民の国民健康保険業務・介護保険料業務など相当な規模の業務を共通して行う。東京都ではゴミ償却処理施設の運営など4つの業務を行う一部事務組合があるが、それとは比較にならない規模の業務を行うものだ)設置するというもの。政令都市・大阪市の都市計画の策定と実施による大阪らしい街作りなど、住民自治の権限はほぼなくなり、現在の8600億円〜8800億円の財源も、4特別区に自主財源として2000億円程度残されるが、4000億円は大阪府議会が決める(大阪府議会議員の構成は、大阪市民の人口の割合が3割しか無いため、現在の大阪市民に不利な議決になる公算が大きい)。さらに、2000億円は大阪府議会(実質は維新)がカジノなどに流用することになる。この構想の本質は何度も繰り返すが、橋下徹氏が大阪府知事の時代の2011年に読売新聞のインタビューに答えて語った下図(後者)発言に要約される。

「大阪都構想」の真の狙い
「大阪都構想」の真の狙い

大阪府の有権者の皆様には是非、コロナ感染に細心の注意を払いながら投票所に行かれ、良識のある判断・投票を行って頂きたい。各種世論調査の結果では、維新側の戦術でいまだに大阪都構想の事実・真実が理解できていないという有権者も多いとの調査結果が出ている。その場合は、賛否同数なら「否決」になっていることと、「賛成(さんせい)」、「反対(はんたい)」以外の文言は記してはいけないので、「分からない」ということだから、「反対(はんたい)」と記入されることをお勧めしたい。なお、次の記事も投稿しておきました。

住民投票の投票用紙
住民投票の投票用紙

さて、来夏のオリンピック開催についてです。以前の投稿した記事では、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(ドイツ出身)が11月中旬に来日した際、日本側に対して「来夏の東京オリンピックは開催を中止する」と伝えると記した。日本では電通に次ぐ広告会社の博報堂出身で、オリンピックについて長年、調査・研究・著作活動を行ってきた本間龍氏によるものだ。

その理由としては、①欧米で第一波の規模を上回る新型コロナウイルスの第二波が襲来している②本大会への出場者が確定していない競技の最終予選が開催できない公算が大きい③期待した有効で安全なワクチンの開発・接種が、来夏の本体開催には間に合わない可能性が強い③商業化して世界的な大営利事業になったオリンピックの開催には、開催国に多額の開催費用がかかる④それだけでは足りないから多数のスポンサー企業を募って、「協賛金」という名の支援金を拠出してもらう必要があるが、開催を延期する場合には追加拠出が必要になり、東京オリンピック開催が中止に追い込まれた場合、スポンサー企業の株主から株主訴訟が起こされる可能性が出てくる⑤大会を簡素化しても。コロナが収束していない場合はコロナ対策で相当の費用が発生し、簡素化による開催費用の削減額を大幅に上回ってしまうーことなどが挙げられる。

本間氏の「バッハ会長が11月の来日時に日本の政府や東京都、オリンピック組織委員会などに『開催中止』を通告する」とのツイッターにIOCや日本の政府、オリンピック組織委員会(森喜郎会長)、東京都、スポンサー企業があわてたり、動揺したようだ。これに先立ち、日経新聞が共同電として現地時間9月7日に、IOCの東京五輪の準備状況を監督するIOCのジョン・コーツ調整委員長は『新型コロナウイルスの影響で来年に延期された東京五輪はウイルスが『あろうがなかろうが』開催されるとして再延期や中止はないとの見方を示した。フランスのメディアがインタビューを伝えた」と報道した(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63557370X00C20A9000000/)。

来夏に延長された東京オリンピックはコロナが収束していなくても開催すると発言したコーツ組織委員長
来夏に延長された東京オリンピックはコロナが収束していなくても開催すると発言したコーツ組織委員長

また、「開催時には国によってウイルスの状況は異なり『流行したままの国から参加する選手もいるだろう』として受け入れる際の対策を検討する必要があると指摘。観客数制限などに関しても、日本側とIOC側双方のメンバーでつくるグループで協議していると説明した」とのことだが、共同電では「コロナウイルスは世界的流行が続いている。コーツ氏は発言の根拠を説明していない」として、発言に疑問的な見方も示している。

しかも、これは現在の欧米でのコロナの第二波襲来の前の発言。欧米でコロナ第2波が襲来しており、来夏の東京オリンピックの延長開催の状況はもっと悪化している。日本もこのところ、第三波の襲来を思わせるような状況が出ている。

こうした中で、日本では本間氏のツイッターでの発言を否定する報道がなされた。10月の韓国訪問を予定していたが中止になったため。韓国メディアの取材に対してネットインタビューで応じた内容(SBSがネットインタビューを報道)を、政府系新聞社と言われる読売新聞系列の日本テレビが10月28日に伝えたものだ(https://www.news24.jp/articles/2020/10/28/10750021.html)。報道内容の動画が貼り付けられているので是非、ご覧頂きたい。結論としては、「観客数を減らす方法を検討する」というものだ。

NHKWebサイト(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201030/k10012688541000.html)によると本日11月10日から今夏開催予定だった東京オリンピックのチケットの払い戻しが開始される(ただし、11月20日までの21日間)。表向きは、来夏への開催延期で出席に目処が立たなくなったチケット購入者への払い戻しということだ。実態は観客数を減らすためのひとつの動きだろう。しかし、中国・湖北省の広東市で新型コロナウイルス感染が始まった昨年の12月よりかなり以前の昨年春から観戦チケットが売り出され(抽選制)、6月20日には公式サイトで抽選結果が公開されるようになったが一時、100万人が殺到した。推定販売観戦チケット枚数は443枚で、900億円の収入を予定している。

大量の観戦チケットが発売されており、コロナ第一波、第二波(日本では第三波)の襲来から、大会関係者が「規模は縮小せず、計画通りの規模で実施する→規模を縮小して実施する→観戦観客者を減らす」と「東京オリンピック開催のアリバイ作り」に方針を転換してきていることが明らかになってきたことから、観戦チケット購入者としては、観戦の都合ががつかなくなった方はもちろん払い戻しを要求するだろうが、コロナ禍による大会中止を懸念する方も払い戻しを要求することになる。また、「公式発表」通りの21日の期間では、観戦参加者を削減する明確な手法でもない。ところで、上記のサイト記事では、これらのチケッ地購入者の懸念を裏付けるような記述がある。引用させていただくと、次の通りだ。

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一方、組織委員会は「新型コロナウイルスの感染の影響で観戦の機会を提供できなくなった場合には、別途払い戻しを実施する」として、観客を減らすことになった場合の対応も明らかにしました
(ただし、)組織委員会で広報責任者を務める高谷正哲スポークスパーソンは、記者会見で「大会の中止と無観客は一切検討していない」と明言し、「われわれはコロナの状況に応じてさまざま対策を検討していく。心配しないでほしい」と観戦チケットを購入した人たちへ呼びかけました。
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これは、少なくとも観戦観客者の削減は意識しており、さらには、「大会の中止と無観客は一切検討していない」とはしているものの、東京オリンピックの開催中止も想定していることの裏返しの発言とも受け取られても仕方がない。実際、大会組織委の公式サイトでは「今後新型コロナウイルス感染症の影響により、観戦の機会を提供できなくなった場合には、別途払い戻しを実施させていただく予定です」(https://tokyo2020.org/ja/paralympics/news/news-20201030-01-ja-para)と明記している。「観戦の機会を提供できなくなった場合」とは詰まるところ、「東京オリンピック」中止を意味しているのではないか。

オリンピック組織委公式サイトで事実上の大会中止の場合のチケット代の払い戻しを明記
オリンピック組織委公式サイトで事実上の大会中止の場合のチケット代の払い戻しを明記
Youtubeで「観戦を提供ではなくなった場合のチケットの払い戻し」についての見解を述べる作家の本間龍氏
Youtubeで「観戦を提供ではなくなった場合のチケットの払い戻し」についての見解を述べる作家の本間龍氏

現実問題として、日本のオリンピック組織委員会に出向したスポンサー企業の担当社員は引き上げる傾向にある。スポンサー企業に「厭戦気分」が蔓延していることの証左と言って良いだろう。今夏開催予定の東京オリンピックの精神に期待して登録を行ったボランティアもいったん、登録が抹消され、同組織委としてはボランティアを再度集める必要があるが、「公式発表」もどんどん変わっており、具体的な展望が明確にならないから、募集要項も正確なものが作りにくいだろう。国民としてもコロナ感染状況や猛暑の下でのオリンピック大会であり、どんどん規模・観戦観客者が縮小・削減される恐れがあることから、来夏の東京オリンピックに疑問を持ち、ボランティアとしての登録は様子見、もしくは、敬遠しがちだ。

根本問題として、来夏の東京オリンピックの開催を、「人類が新型コロナウイルスの猛威に打ち勝った」証しとしての意義、そしと、もともとの意義であった「日本が福島第一原発を含む東日本大震災を克服した」証しとしての意義はどうなるのか、ということも問われる。また、近代オリンピックも政治と商業主義を受けて、変貌していることも見逃せない。ソ連のアフガニスタン侵攻を受け、1980年に開催されたモスクワオリンピック大会に、西側諸国は参加しなかった。このボイコットへの対抗措置として、ボイコットの中心的存在であった米国が開催した1984年の夏季オリンピックであるロサンゼルスオリンピック大会には、米軍のグレナダ侵攻を理由に、多くの東側諸国が報復としてボイコットした。ただし、戦後はオリンピック大会が中止に追い込まれたことは一度もない。

国際オリンピック委員会(IOC)はスイスのローザンヌにある。日本の大手マスコミ各社は欧州特派員がいるから、韓国SBSの報道に関して直接、IOCを訪ねてバッハ会長の真意、観戦観客者を減らす具体的な方法、コロナ観戦の第二波が欧米を衷心に襲来している中で、本当に東京オリンピックの来夏開催は可能なのか、追加取材をすべきところだ。しかし、全国新聞各社は軒並みスポンサー企業になっているから、公正・公平な報道を行わないし、国民にも真実を報道しない。地方ブロック紙の傘下にある東京新聞だけが、真相の究明を続けているようだ。

今回の日本テレビの「間接的報道」を受けて、作家の本間龍氏はスポンサー企業になっている日本の大手マスコミ各社が真相を追及しないことを問題としながら、①戦後は一度も中止になったことはないオリンピックのブランド価値を維持する②税金で東京オリンピックの実際の負担をする日本の国民や東京都民の理解を得ることとスポンサー企業の離反を防ぐという「カネ集め」ーなどの目的があったとしている(参考:https://www.youtube.com/watch?v=fCEEQxtzuBE)。

本間氏の次の主張(https://note.com/desler/n/n8318fd27b6a6)は変わらない。
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私は五輪招致が決まった時から、この巨大商業イベントの問題点を追及してきた。招致時における買収疑惑、福島原発事故アンダーコントロール発言の欺瞞、復興五輪の虚偽、そしてエンブレム盗作問題や新国立競技場を巡るゴタゴタ、10万人以上のボランティア搾取、酷暑下での開催強行など、ここまで疑惑や欺瞞にまみれた五輪は、未だかつて無かった。だが大手メディアが五輪スポンサーとなって翼賛報道に徹したため、多くの国民はこれらの問題から意識的に遠ざけられてきた。

だが上記の問題は、五輪という商業モデルの飽くなき強欲が招いた究極の悪しき到達点であり、これらを徹底的に検証して二度と再生させないことこそが、後世への真の「レガシー」になるのではないか。そのためにも、五輪中止の暁には、「コロナで仕方なく潰れた」のではなく、「潰れるべくして潰れた東京五輪」の真相を、広く国民に周知していかなければならない。
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観戦観客数の削減からオリンピック大会の中止まで、国際オリンピック委員会と日本の政府、東京都、大会組織委員会の選択の幅はどんどん狭まっている。オリンピック来夏開催問題も、国民がそれぞれ解明と継続・充実を求めている日本学術会議拒否問題、コロナ禍対策と同じように、政府=菅政権の政権運営を苦しくするものになるだろう。



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