安倍政権、新型コロナウイルス感染拡大隠蔽(暫定投稿)

日本を取り巻く国内外の政治経済情勢分析と政策提言の第1人者である植草一秀氏がメールマガジン「第2581号 感染爆発拡大が既に始動している可能性」で明らかにしたことなどによると、19日夜に開かれた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議から報告された日本の感染状態についての「国内での感染拡大はなんとか持ちこたえている」という「現状認識」は、正しくないというよりも「ウソ」である。PCR検査などの有効な諸検査を抑制しているために感染確認者が実態とは著しく過少に公表されているためだ。実際は「危機的な状況が隠蔽されている」(植草氏)というのが正しい現状認識である。

サイト管理者がYouTubeでの実況中継を視聴したところによると、予定よりかなり長くかかった19日夜の専門家会議には、安倍政権から「代表者」が出席していた。記者会見での記者の質問によって明らかになった。座長の脇田隆・ 国立感染症研究所所長や副座長の尾身茂・独立行政法人地域医療機能推進機構理事長らの回答によると、政権からの出席者は専門家会議の現状認識・提言についての「(突っ込んだ)質問」に終始したとして、政権の意図を忖度した会議になったことはないと暗に主張していた。

3月19日に開かれた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

しかし、専門家会議の時間が予定よりも長く、記者会見も帝国の時刻より45分程度は遅れたため、専門家会議出席メンバーと政権からの出席メンバーとの間で何らかの打ち合わせが頻繁に行われていた可能性を否定できない。毎日新聞社のサイトによると、安倍晋三首相は9日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症について公文書管理法に基づいて政府が意思決定する会議の議事録などを残す「歴史的緊急事態」に指定する考えを示し、10日に閣議決定した。

同新聞社のサイトによると、「政府が意思決定する会議の議事録など」と「など」が付いているから、専門家会議での討論内容についても、専門家のプライバシーに配慮したうえで、議事録を公開すべきだ。

さて、専門家会議の現状分析・提言などをまとめ、厚生労働省が公開した資料によると、同会議は「気付かないうちに感染が市中に拡がり、あるときに突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)」し、「医療供給体制に過剰な負担がかかり、それまで行われていた適切な医療が供給できなくなることが懸念されます」として、いわゆる医療崩壊の懸念はしている。

しかし、わが国の新型コロナ感染症対策について、「世界保健機関(WHO)のアダムノ・テドロス事務局長は、2020 年3月13日の事務局長のステートメントにおいて、日本が「クラスター(患者集団)の早期発見・早期対応」という戦略をとって様々な取組を進めてきたことを高く評価」していると自賛し、「専門家会議としては、現時点では、社会・経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大防止の効果を最大限にするという、これまでの方針を続けていく必要がある」と従来の「対策」の継続を表明している。

しかし、世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長(エチオピア政府の保健大臣を務め、同国民の健康改善に顕著な実績を残した)は、PCR検査など新型コロナウイルスに感染しているか否かの判定が出来る検査を実際に行うことが、最も基本的な感染拡大阻止対策であると指摘している。早期に迅速な検査を行い、陽性と判定された患者に対して、特に持病を持った高齢者に対して適切な医療措置を行うことが出来るからである。

このWHOの基本見解を、見解が公表される前に適切に実施してきたのが韓国である。韓国では大邱広域市の新興宗教教団の千人規模の集団礼拝で感染者が急拡大したことから、その連鎖で国内での新型コロナウイルス感染が急拡大してしまった。このため、米国のアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のように政府とは独立した韓国版CDCが対応に乗り出し、PCR検査を中心に1日に17000件から2万件程度の相当に積極的な検査を行い、感染患者と感染経路を割り出し、適切な医療措置を取った。政府も韓国版CDCに協力し、韓国は累計で8000千人以上の感染陽性者が発見されているにもかかわらず、累計死者数は80人未満にとどまっている。

これに対して日本では、新型コロナウイルス感染症対策本部と厚生労働省の管轄下にあると言って差し支えない同専門家会議が結託し、検査を受けられる条件を厳しくしてきた。具体的には、➀37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(高齢者は2日)②強いだるさや倦怠感の症状が続く場合-の2条件を定めた。そのうえで、地方自治体が管轄する保健所に「帰国者・濃厚接触者相談センター」を設けて、かかりつけの医師が検査の必要性を主張しても、同センターが検査を受けさせなかった。要するに、WHOが最も基本的な対策としているPCR検査などの徹底的かつ早期の検査を拒否し、検査に障壁を設けたのである。この障壁によって、たらい回しされた挙句、新型肺炎によって亡くなられた方が死後、初めて新型コロナウイルスに感染していたことが判明したという、恐るべきニュースも報道された。

医療現場ではPCR検査の必要性があると診断しても、保健所が拒否するという事例が跡を絶たず、医療の現場は混乱している。しかし、政府=安倍政権は国民は騙せても、新型コロナウイルスは騙せない。同ウイルスは変容を遂げ、感染力と毒性を強めているとの専門家の指摘もある。専門家会議が公表したように、実行再生産指数が1.0程度というのは、信じがたい。

こうした政府と専門家会議の共同謀議によるPCR検査など諸検査の抑制措置によっても、19日の会議後の記者会見では、「日本国内の感染の状況については、3 月 9 日付の専門家会議の見解でも示したように、引き続き、持ちこたえていますが、一部の地域で感染拡大がみられます」との見解を表明せざるを得なかった。

専門家会議の「一部の地域」というのは、東京都、神奈川県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県などの大都市圏である。検査抑制措置を行っても、日本の経済社会の中核を担うこれらの大都市圏で次第に感染確認者が増加しているのである。例えば20日午後10時半の段階で、愛知県の感染者数は139人で死者は16人、致死率は11.5%である。

こうした政府=安倍政権と厚労省の管轄下にある専門家会議の結託によるPCR検査の抑制と、休業措置のないロックダウンへの移行に含みを持たせた「対策」について、強い疑問を表明する「医は仁術なり」をモットーとする医療専門家も出てきた。代表人物として植草氏が指摘しているのは、韓国方式に賛成する医療ガバナンス研究所の上昌広理事長とジョージメイソン大学大学院社会学研究科博士課程に在籍の古谷有希子氏である。

詳細は両氏の発言をご覧いただきたいが、若干引用させていただきたい。まず、左翼・右翼の枠組みにとらわれないで正論を主張している月刊誌「日本」に掲載された上理事長のインタビュー発言である。重要な箇所を引用させていただくと、
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--上さんは医師・研究者としてテレビに出演し、安倍政権の新型コロナウイルス対策に警鐘を鳴らしてきました。しかし最近、圧力を感じることがあったそうですね。

上昌広氏(以下、上):先日、某局のディレクターから「上層部から『安倍政権の批判は控えてほしい』と言われている」と釘を刺されるということがありました。新型コロナの問題で、メディアの自主規制が働いていると感じました。

現在は海外メディアからの取材依頼が増えています。理由を聞くと、「日本には独自の意見を自由に発言する医師や専門家がほとんどいない。政府から独立している専門家を起用したいと思い、『誰か該当する人はいないか』と尋ねると、あなたの名前が上がることが多かった」と話してくれました。

「政府から独立している」というのは、政府とは関わりがないということです。確かに政府と関わりのある専門家は立場上、政府の見解と異なる意見を言いにくい。しかし私にはそういうしがらみがないので、研究者として正しいと思ったことを自由に発言することができます。そういう事情で私に声がかかったり、かからなかったりするのだと思います」
(中略)
--政府の専門家会議は2月24日に「この1~2週間が感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際だ」という見解を発表しました。

上:根拠が分かりません。そもそも日本では検査体制が不十分なので、感染拡大のスピードが把握できていない。それだから、そもそも「瀬戸際」かどうかも分からないはずです。実態を把握しない限り、感染拡大のスピードを抑えるというような議論は成り立たないと思います。
(中略)
--日本は他国に比べてPCR検査の件数が少ないのも問題です。たとえば2月下旬の時点で韓国は約6万7000件検査しているのに対して、日本はクルーズ船を含めても約6200件にすぎませんでした。

上:たったそれだけの検査では、感染状況の実態を把握することはできません。これまで明らかになった感染(確認者)者は氷山の一角にすぎない。日本の感染者の数は過小評価されているのです。

そもそも政府は「重症者を検査・治療する」という方針にもとづき、検査対象を厳しく限定してきました。PCR検査がうけられるのは保健所(帰国者・接触者外来【相談センター】)で必要が認められた重症者だけ。無症状や軽症の患者は最初から無視するということです。

現に政府は1日約3800件の検査が可能だと説明していましたが、実際には1日数百件の検査しか実施していませんでした。政府に感染者の人数を把握するつもりがないのは明らかです。
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上昌広理事長は、政府=安倍政権と厚労省傘下の専門家会議がPCR検査を抑制してきている原因について、➀国立感染研究所は医療機関ではなく研究機関なので、情報と予算を独占して実態把握や患者の治療よりもウイルス研究を優先したいという思惑があった、と指摘している。これに加えて、②政府=安倍政権は、国威発揚(実際は解散・総選挙を有利に実施するため)7月26日に予定されている東京オリンピックの開催を強行したい-という思惑があったと思われる。ただし、安倍政権は威力の増した新型コロナウイルスに対しては騙せないから、東京オリンピックについては良くて延期、場合によっては中止に追い込まれるだろう。これについては後述する。

さて、「コロナパンデミックにおける日米韓の対応能力比較」と題して述べている米国在住の古谷有希子氏の発言である。
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「早期追跡、早期検査、早期治療」で初動の遅れを取り戻した韓国
韓国政府は初動の遅れとコロナウイルスに対する甘い見積もりによって感染の急拡大を許しいけもんた。だが、広がってしまった感染を抑え込むために必要な柔軟性を発揮した。

まず早期追跡、早期検査、早期治療をモットーにドライブスルー検査など、感染が疑われる人々に対して大規模な検査を実施した。日本では韓国について「誰でも彼でも検査している」「検査しすぎて医療崩壊が起きている」というデマが流れているようだが、「感染が疑われる人」は徹底的に検査しているというのが実態だ。また、大規模感染が起こった大邱で病床が足りないという事態が起こっているのは事実だが、これについても政府が新たに生活治療センターを準備し、また自宅隔離を支援・義務化するための法整備やアプリ開発などの対応により鎮静化しつつある。

そもそも、韓国は累計で八千人以上の感染陽性者が発見されているにもかかわらず、累計死者数は80人未満である。現在、新規感染者数も激減して退院者数が新規感染者数を上回っているのだから、韓国全土で医療崩壊が起きているわけがない。

「早期追跡、早期検査、早期治療」をモットーとした大規模な検査実施によって感染者数を激減させることに成功した「韓国方式」はWHOも高く評価しており(注)、アメリカ、ドイツ、オーストラリアなどでは早速「韓国方式」で対応を進めるべく、ドライブスルー検査が導入されている。
(中略)
情報公開でも検査でも問題ばかりの日本
情報公開の点でも検査の点でも、アメリカ以上に問題が多いのが日本だ。

まず、日本は検査実施数が少ないので、実際の感染者数は報告されている以上であると考えるべきである。

二月初旬の検査数は最大で一日約1500件が限界だった。2月6日から3月15日までの総検査数も12000件に過ぎない。政府は検査数を最大一日7000件程度まで増やす準備があるとしているが、一日二万件の検査を実施してきた韓国と比べれば半分以下だ。

検査数が少なければ感染者数も少なく見えるが、貿易量や出入国者数を考えれば、中国との接点が韓国以上に多い日本で感染者数が低く抑えられていると考えるのは難しい。

しかも、これだけ検査数を抑えているのに、感染者が増えている地域ではすでに病床のひっ迫も起きている。感染者を見つけても病院に収容しきれないという問題が起こっているのだ。

日本の場合、検査を拡大すれば医療崩壊が起きる可能性がある。

コロナウイルスは日本では「指定感染症」である。日本の法律では「指定感染症」に感染していたら無症状でも軽症でも入院隔離措置を取らなければならない。つまり、自宅療養や自宅隔離はできないのである。感染症に対応できる医療機関ではない病院でも入院させなければならないので、院内感染も広がる。

インターネット上では、検査数を増やして感染陽性者数が増えれば、結果的に大パニックとパンデミックを引き起こすことになると危惧する声もみられる。
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日本のマスメディアは政府=安倍政権が記者クラブ(最も重要な記者クラブは内閣記者会)を通してマスコミをコントロールしているし、マスコミ側も「情報(ただし、国民が知るべき正しい真実ではない)」の独占を維持したいから記者クラブを設けて非加盟社またはフリーのジャーナリストを排除するとともに、安倍政権の意向を忖度して真実は伝えない。これが、「マスゴミ」と揶揄される根本原因である。

反政府系とされる朝日新聞社の朝日デジタルでさえ当初はダイヤモンド・プリンセス号での感染確認者を国内感染確認者の数に入れていたが最近、外した。こうした状況では、国民に正しい真実は伝わらない。同号は3月1日に沖縄県の那覇港に入港、入国手続きを終えており、内国船扱いとすべきである。同号で膨大な数の感染者が確認されたが、これは国内感染者に含めるべきである。新型コロナウイルスが、リーマン・ショックを上回る規模の悪影響をもたらしているこの時点においてでさえのことである。

さて、最後に東京オリンピックについてだが、朝日デジタル(取材対象者の発言を捻じ曲げることはあまりない)によると、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビュー記事の中で国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は19日、「新型コロナウイルスの感染拡大で7月24日からの開催が懸念されている東京五輪について、『もちろん異なるシナリオは複数検討している』と発言した」ことを取り上げ、IOCとしても、東京オリンピック開催の延期について初めて示唆したと報じている。

安倍首相はG7のテレビ会議後、東京オリンピックは完全な形で開催すると発言したが後日、「開催日も予定通り(の7月24日)」と付け加えた。しかし、東京オリンピックの開催権があるのは、IOCである。また、日本オリンピック委員会(JOC)でも、元電通専務で国際スポーツ大会に詳しい高橋治之理事やソウル五輪女子柔道銅メダリストでアスリートを守る立場から山口香理事らが延期を唱え始めている。

出場権を獲得するための各種国際予選大会にも大きな混乱が生じているし、出場が期待されるアスリートにも開催延期を求める声が広まり、強まっている。これらの状況に加えて、世界各国の政府や国民、選手団が日本の政府=安倍政権と厚労省傘下の専門家会議が「危機的な状況を隠蔽している」事実を知るようになれば、もはや、安倍政権は持ちこたえられないだろう。

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