日本のコロナ禍対策破綻は「感染症利権ムラ」のせいームラを一掃し「日本版CDC」の組織化を(CDCで重要追記)

複数のメディアによると、政府=菅政権は東京都、大阪府など6都府県に「緊急事態宣言」の発出・再延長を行ったほか、14日には北海道、広島県、岡山県の1道2県には「緊急事態宣言」を発出し、石川、群馬、熊本の3県には「まん延防止等特別措置(まんぼう)」を発出することを決めた。しかし、飲食店や百貨店、ホームセンターに休業や時短、国民に対しては「行動自粛=ステイ・ホーム」を要請するなど、国民への要請(押しつけ)を行うだけというのはコロナ禍対策としては筋違いだ。政府の財政支援で医療体制を抜本的に強化したうえで、感染拡大地域・感染爆発地域での大規模検査を行いつつ、検査陽性判定者の保護・隔離・医療措置を行うとともに、変異株が脅威になっていることから水際対策を徹底的に強化し、陽性検体の全ゲノム解析を行って、コロナ対策に役立てるべきだ。真に安全かつ効果的なワクチンの開発・確保・接種にも注力しなければならない。ところが、厚生労働省の元職・現職の医系技官らが組織化している「感染症利権ムラ」はPCR検査を徹底的に抑制してきたうえに、変異株のゲノム解析まで放棄しようとしている。これでは、英国型のN501Yという変異株要因に加え、日本人を含むアジア諸国の国民が保有しているHLA-A24というタイプ(白血球抗原=白血球の型)の白血球による免疫力を無効化すると言われるインド型の二重株変異株(E484Q、L452R)の市中感染を防げなくなる。「感染症利権ムラ」を解体し、国民の生命と健康を守ろうとする感染症と遺伝子工学、情報工学の専門家を糾合した「科学的・医学的」立場からのみ対策を提言する日本版疾病予防センター(CDC=Centers for Disease Control and Prevention=)を組織化する必要がある。

5月14日金曜日コロナ感染状況(追記あり)

5月14日金曜日コロナ感染状況
複数のメディアによると5月14日金曜日の東京都の新型コロナウイルスの感染者数は前週金曜日比53人減の854人、東京都基準の重症患者は84人になった。死亡者は2人。7日移動平均では926.3人になり、前週比120.9%になった。年代別では20代が288人で過去最多だった。
全国では午後23時59分時点で、新規感染者は6266人、重症者は1209人、死亡者は81人。大阪府では新規感染者数が576人になり、33人の死亡が確認された。

複数のメディアによると政府=菅政権は14日、北海道、岡山県、広島県に「緊急事態宣言」を出すことになった。北海道と広島県、岡山県は「まんぼう」から「緊急事態宣言」に「格上げ」されることになった。科学的根拠がない「緊急事態宣言」でも「まんぼう」も感染の波を鎮めるには不足だが、政府=菅政権の見通しが甘かったことになる。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

「感染症利権ムラ」と日本版疾病予防センターの必要性

東京都は4月25日から「緊急事態宣言」が発出されたにもかかわらず、昨日5月11日木曜日の新型コロナウイルスの感染者数は前週木曜日比419人増の1010人と9日以来の1000人台になった。東京都基準の重症患者は84人と高水準が続いている。7日移動平均では900人を突破して933.9人になり、前週比126.8%になった。7日移動平均で900人を大きく突破しているというのはそれだけでも厳しい状況だが、医療体制のひっ迫度が高まることになり、大阪府のように医療崩壊が起こってしまうことさえ懸念される。

現状、東京都のモニタリング調査(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)によると、軽・中等症の感染患者は2274人と非常に多く、感染力と重症化力(毒性)の強い英国型のN501Y株の新型コロナウイルスに感染していると思われるから、早期の重症化が懸念される。そして、宿泊療養中の感染患者は1263人、自宅療養中は2268人、入院・療養等調整中は1448人の合計4979人に上る。約5千人に上るが、抗ウイルス剤としての承認が遅れていることから、症状悪化を防ぐための抗ウイルス剤の投与は受けておらず、事実上、放置されている可能性が高い。厚労省はワクチンを緊急承認したが、効果が認められている抗ウイルス剤の承認も急ぐべきだ。

コロナ重症化を防ぐための抗ウイルス剤
コロナ重症化を防ぐための抗ウイルス剤

北海道は12日から「まんぼう」が発出されたが、「緊急事態宣言」を発出するべきだとの声も強かった。北海道新聞によると昨日5月13日は、北海道、札幌市ともに過去最多になった。

新型コロナウイルスの感染者を新たに計712人確認したと発表した。道内の1日当たりの新規感染者は12日の529人より183人増え、2日続けて過去最多を更新した。札幌市発表分は499人(うち居住地非公表は28人)で、同じく2日連続で過去最多となった。

同紙の報道によると、北海道の新型コロナ感染者数はまだまだ増えるという(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/543594)。緊急事態宣言の主な内容は、➀百貨店などの大型商業施設の時短要請(知事の判断により、休業も要請できる)②スポーツイベントの観客数は収容人数の50%以下か5千人以内に抑える③酒類を提供する飲食店は休業要請➃酒類を提供しない飲食店は午後20時までの時短要請ーなどだ。「まんぼう」も飲食店を狙い撃ちにしていることでは同じだ。しかし、驚くべきことに、これらの措置は科学的・医学的根拠はない。

さまざまな統計を見ると、主要な感染場所は上記の場所ではなく、医療機関を含む職場、高齢者介護施設、学校、そしてそこから帰宅してくる家庭だ。北海道新聞は、「第4波、クラスター発生場所に変化 専門家『酒類停止の効果限定的』」と題して5月12日午前7時05分、次のように報じている(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/542782)。

札幌市を中心とした新型コロナウイルス感染の今春の「第4波」で、クラスター(感染者集団)の発生場所がこれまでと大きく変化している。昨秋の「第3波」ではススキノの接待を伴う飲食店などでの発生が目立ったが、市内で直近1カ月に発生したクラスター35件のうち、飲食店はわずか1件。学校や病院、会社などの割合が高く、専門家は「自宅や職場での飲食で感染し、学校や社内で広がるケースが増えた」と説明。札幌市では12日から酒類提供の終日停止要請が始まるが、飲食店に特化した対策だけでは不十分との見方が強まっている。

札幌市内のクラスター発生場所
札幌市内のクラスター発生場所

札幌市によると、第4波の4月7日から5月4日の約1カ月に市内で発生したクラスターは35件。発生場所は「学校など」と「病院」が各31%、「会社」17%、「福祉施設」14%で、「飲食店」は3%だった。

政府=菅政権は本来なら、財政支援(協力金ではなく補償)で医療体制を抜本的に強化したうえで、感染拡大地域・感染爆発地域での大規模検査を行いつつ、陽性判定者の保護・隔離・医療措置を行うとともに水際対策を徹底化し、変異株がコロナ感染状況の大幅な悪化を招いていることから、陽性検体の全ゲノム解析を行い、コロナ対策に役立てるべきところだ。真に安全かつ効果的なワクチンの開発・確保・接種にも注力しなければならない。ところが、「感染症利権ムラ」と利害が一致している政府=菅政権にこれらの対策を期待しても無駄だ。

このことを考えれば、政府=菅政権は、分科会や厚労省アドバイザリーボードとともに的外れな対策に終止していると言わざるを得ない。国民に対して自粛を要請するだけで菅政権としては実質的に、何もしないというのでは、日本国憲法第13条(国民の生命を守る)、第25条(文化的に最低限度の生活を保障する)、第29条(財産権の保障と公共の福祉のために財産権を侵害せざるを得ない場合は正当な補償をする)違反だ。ただし、憲法を遵守する意向はない。こうしたことから、世界の各国に比べてコロナの被害が軽微であると言われているアジア・太平洋地域では、これまでのコロナ対策のパフォーマンスが極めて悪い。立憲民主党や日本共産党が指摘しているようにコロナ対策の抜本転換が必要だ。

 

立憲民主党の枝野幸男代表が5月10日の衆院予算委員会で提示
立憲民主党の枝野幸男代表が5月10日の衆院予算委員会で提示

 

 

しかし、立民、共産党が指摘していない重要な問題がある。それは、これまでコロナ感染症対策に当たってきた厚生労働省の医系技官を中心とした「感染症利権ムラ」のコロナ対策の大失敗である。「感染症利権ムラ」は厚労省の元・現医系技官と医系技官が管轄する厚労省保健局結核感染症対策課とその傘下にある国立感染研究所と地方衛生研究所、保健所などを指す。今の政府のコロナ感染症対策本部分科会の委員や厚労省に助言するアドバイザリーボードは主として、この「感染症利権ムラ」の「お仲間」からなる。

この「感染症利権ムラ」の第一の失敗は、パンデミック対策の基本中の基本であり、中学校の保健・体育の教科書にも載っている検査(PCR検査)の根本的な重要性を徹底的に抑制してきたことである。新型コロナ感染症を指定感染症Ⅱ類相当の感染症に政令指定するよう安倍晋三内閣(当時)を誘導してきたため、キャパシティの小さい保健所を通してしかPCR検査を行えないようにした。そのため、早期発見・保護・治療というパンデミック対処の基幹システムを構築できなくなった。国民は検査を受けるのにたいへんな時間がかかり、たらい回しにされることが普通の状態になった。PCR検査の技術革新を取り入れることもなかった。

このため、PCR検査を低価格で提供する民間調査機関が続々と設立され、職場や一部の個人などでは企業単位、個人単位で検査が発注、申込みされるようになった。ただし、検査陽性になっても感染症法により行政検査を受けなければならないから、キャパシティの小さい保健所に連絡し、保健所の指定医療機関で再検査を受けなければならないことから、国内での感染状況のリアルタイムでの把握が困難になった。それだけ、対策に遅れが生じる。

第二は、世界一病床数の多い日本で、コロナ対策用に医療機関の分業を積極的に進めてこなかった。国公立私立の大学附属病院や日本赤十字病院、済生会(正式名称は、社会福祉法人恩賜財団済生会=おんしざいだんさいせいかい=。名称は明治天皇の勅語に由来)病院、独立行政法人・地域医療機能推進機構(JCHO、理事長が分科会の尾身茂会長)傘下の病院など、民間の多数の医師と看護士が所属して、高度の医療を行える特定機能病院ではコロナ重症患者用に多数の集中治療室(ICU)を提供でき、また、増設も容易だ。しかし、これらの公的病院が受け入れているコロナ重症患者数は、民間病院より圧倒的に少ない。

朝日新聞出身で現在、フリーのジャーナリストの佐藤章氏によると、大阪府では多数の医師と看護士を擁している大阪大学附属病院、大阪市立大学付属病院がICUを増設するなどしてコロナ重症・中等症患者を受け入れれば、医療崩壊は起きなかったと指摘している。

第二は、「水際対策」を「ざる対策」にしてしまったことである。現在、日本全国で猛威を振るっているのが英国型の「N501Y」という変異を起こした変異株。この変異株は昨年2020年12月、英国のオール・イングランドの感染症、遺伝子工学の専門家チームによって発見され、感染力と症状悪化力(毒性)が従来型より強いことが確認されていた。しかし、国立感染研は英国型の変異株について、楽観的な発表を行った(サイトへの公開日時は2021年1月14日だが、内部的にはそれより前に「調査」が行われ、「感染症利権ムラ」で共有されていたものと思われる:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2488-idsc/iasr-news/10152-493p01.html)。

全ゲノム情報から検出される塩基変異を手がかりに、第1、2、3波の特徴を“ゲノム分子疫学”として分析し、現在の国内の主流系統は2つを起源にしていることを明らかにした。第2波から第3波への推移で分子系統の変遷(B.1.1.284 ➡ B.1.1.214)がみられるが、この主流2系統に英国VOC 202012/01 のようなSpikeタンパク質の多重変異は認められない。また、これまでに知られているウイルス学的性質を変化させるような特筆すべきアミノ酸変異が検出されていない。新型コロナウイルス感染症はクラスター解析によって、わが国の感染リンクの多くが小さな芽として途切れることが示唆されており、多くの“流行の芽”は途中で消滅している可能性がある。

本来なら、日本が列島国家である利点を生かして、直ちに強力な水際対策を講じなければならなかった。一応、政府=菅政権は昨年2020年12月28日に水際対策を発表したが、国立感染研で楽観的な見通しが強くなっていたこともあったようで、外国人入国者の太宗を占めるレジデンストラック、ビジネストラックを停止しなかった。抜本対策を講じたのは今年に入った2021年1月13日。しかも、空港検疫はPCR検査ではなく、感度(検査で感染者を正確に判定できる割合)の低い抗原検査。こうした状況だから、英国型の変異株はあっというまに市中感染が拡大し、現在では新型コロナウイルスは全国的に英国型に置き換わった。gooニュースが昨日5月13日午前7時に「全国各地で感染力の強いN501Y変異ウイルスに置き換わる 国立感染研」と題した記事を公開、報道した。記事によると、次のような状態だ。

国立感染症研究所は、新型コロナウイルスがほぼ全国で従来型から感染力の強いN501Yの変異ウイルスに置き換わったと分析した。厚生労働省で開かれた新型コロナウイルスの専門家会議で国立感染症研究所は、感染者のうち関西や北海道、福岡ではほぼ100%、関東でも9割が、N501Yを持つ変異ウイルスだったと報告した。

変異ウイルスの中でもイギリス型は従来型に比べ重症化リスクが1.4倍高く、40歳から64歳でその傾向が強いという。また、インド型の変異ウイルスにはこれまでに国内で4人と空港検疫で66人が感染したという。

この記事では、国立感染研は「インド型を検出するPCR検査を始め、監視体制を強化するとしている」としているが、実際はそうではない。厚労省保健局結核感染症対策課ではこれまで、陽性検体の40%のスクリーニング調査を行い、最終的には国立感染研でゲノム解析(細胞の核の中に含まれている4つの塩基=アデニン、チミン、グアニン、シトシン=の配列がアミノ酸を合成し、得られたアミノ酸は連なってタンパク質を合成する。4つの塩基の配列の在り様をすべてを解析するのがゲノム解析)をして、新型コロナウイルスの構造を解析する。

新型コロナウイルスはDNA型の遺伝子構造(二重らせん)ではなく、RNA型の遺伝子構造(一重らせん)をしているから、増殖(ウイルス自身の自己複製=コピー)に失敗しやすく、その中で「変異株」というものが生じる。変異株は同じ新型コロナウイルスでも感染力と重症化力(毒性)が異なる。東大先端研に所属する児玉龍彦東大名誉教授によると、変異株は自壊しやすいところがあるが、変異の最終段階で「最も狂暴な変異株」が出現すると警告している(https://www.youtube.com/watch?v=fRhdKsB2pkM&t=215s)。だから、本来なら全陽性検体のゲノム解析を行わなければならないというのが、心ある専門家の見方だ。

ところが、厚労省保健局結核感染症対策課は日本国内では5月7日、新型コロナウイルスが英国型のN501Y株に置き換わった地方自治体ではスクリーニング検査を行う必要はないという通達を出した(https://www.mhlw.go.jp/content/000777007.pdf。こちらのページからたどり着けます。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00214.html)。

また、今般、変異株スクリーニング体制について、①N501Y 変異株 PCR 検査に関しては、自治体の負担軽減に配慮しつつ、早期に感染拡大防止策を行うため、各自治体において 40%程度を維持することを基本とし、併せて、感染拡大地域であって、英国で最初に検出された変異株(B.1.1.7)の陽性割合が高い自治体については例外的に、40%程度の維持を必須としない運用を可能といたしました。なお、この場合においても、今後 B.1.1.7 以外の懸念される変異株について、変異株スクリーニング検査が必要となった場合に備え、検体収集体制を維持することとしています。また、②全ゲノム解析に関しては、国立感染症研究所の全ゲノム解析の体制を強化し、新たな変異株も含め継続的な監視を行うとともに、国立感染症研究所から自治体への全ゲノム解析の技術移転を進め、自治体による全ゲノム解析を推進することとしております。また、全ゲノム解析を自治体及び民間検査機関の検体を合わせて地域に偏りがないよう全国的に5-10%程度実施し、迅速かつ定期的に情報を公開することとしています。

しかしながら、この地方自治体に対する通達の前に、厚労省アドバアザリーボード(座長・脇田隆字=わきた・たかじ=国立感染症研究所長)が開かれ、次のような報告がまとめられていた(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000776469.pdf)。「感染症利権ムラ」をまとめる「親分格」の人物は、国立感染症研究所感染症情報センター所長を務めた岡部信彦川崎市健康安全研究所長(神奈川県の地方衛生研究所の所長、内閣官房参与・分科会委員)であり、政府のコロナ感染症対策本部分科会の押谷仁・東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授も指導的な立場にある。脇田所長も分科会のメンバーである。分科会の尾身会長は岡部委員や押谷委員に押し切られてしまっていると言われる。つまり、岡部内閣官房参与を中心とした「感染症利権ムラ」の主要メンバーが「コロナ」対策の基本を練り、政府=菅政権の「コロナ対策」の基本になるとともに、厚労省保健局結核感染症課を通して全地方自治体に通達される仕組みになっている。

要するに、英国型の変異株に置き換わった地方自治体では、新たな変異株に備える準備はしておくが、新型コロナウイルスの遺伝子解析は行わないとしているということだ。本来は、日本人を含むアジア諸国の国民が保有しているHLA-A24というタイプ(白血球抗原=白血球の型)の白血球による免疫力を無効化すると言われるインド型の二重株変異株(E484Q、L452R)の市中感染が懸念されることから、全検体のゲノム解析を行い、を発見して、対応策を講じる必要がある。そのためには、積極的に新型コロナウイルスの遺伝子解析を行う必要がある。しかし、国立感染研はそれには極めて消極的なようだ(https://www.youtube.com/watch?v=10Yd_IyHWKE&t=689s)。

その理由として、佐藤氏が東大医科学研究所のヒトゲノム解析センターの井元清哉(せいや)センター長(東大教授、センター長にはノーベル賞候補と目され、がん研究家として知られる中村祐輔東大名誉教授も在任したことがある)に取材したところによると、➀危険な変異株が日本で市中感染しているか否かを調べるのなら、スクリーニング検査を10%以下に抑えるなどということは理解に苦しむし、有り得ない②新型コロナウイルスは2万9千程度の塩基配列を持つが、国立感染研のゲノム解析能力は1週間に300の(陽性)検体しかゲノム解析ができないなど、能力が著しく低いことにあるのではないかーということだった。

 

日立製スーパーコンピューターを導入した東大医科研
日立製スーパーコンピューターを導入した東大医科研

 

これに対して、ヒトは30億程度の塩基配列を持つが、井元センター長によると、東大医科研では日立製作所製造のスーパーコンピューターを駆使して(https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00075.html)ヒトゲノムの解析を行っており、同研究所では新型コロナウイルス程度のゲノム解析なら一日3000検体はゲノム解析を行うことが出来るという。また、米国にイルミナ(https://www.illumina.com/)という新型コロナウイルス専用のPCR検査のための試薬を開発している世界トップの企業があり、伊藤忠商事が出資する最先端のゲノム解析システムを用いて科学的証拠に基づいた病気の診断を行うiLACがイルミナの試薬と同社のコンピューターを使って新型コロナのゲノム解析を行ったところ、1日で6000検体のゲノム解析が行えたという。

取り敢えず、医療機器製造メーカーとして知られる島津製作所がiLACと共同で変異株のスクリーニング検査を支援する「新型コロナウイルスの全ゲノム解析受託サービス」を今年2021年の4月1日から行っている。各地方自治体や基礎自治体は民間検査機関と提携し、国立感染研に左右されずに独自のスクリーニング検査と全検体のゲノム解析の委託を行うべきではないだろうか。これに関して、佐藤氏は、悪性の変異株を早期に発見、コロナ対策に役立てるため、まず東大医科研とiLACがコンビを組み、各地方自治体や基礎自治体、民間検査機関を支援していく体制を整えることを提唱している。

実際、佐藤氏によると日本プロ野球協会、サッカーのJリーグは東大医科研に依頼して、選手の新型コロナウイルスのゲノム解析を行っているという。これによって、保健所が行っている「積極的疫学調査」は足下に及ばない選手の感染状況の追跡を行えているという(https://www.youtube.com/watch?v=UAEGPLd-_QI)。また、厚労相を務めた経験のある自民党の塩崎恭彦衆院議員も2021年3月7日の段階で、「『官民ゲノム解析チーム』立ち上げを急げ」と題するブログを公開している(https://y-shiozaki.or.jp/oneself/index.php?start=10&id=1348)。

政府のコロナ本部でも一部示唆されているが、無症状者を含めた「いつでも、誰でも、どこでも、何度でも、無料のPCR等検査の徹底」や、私達の提案する「官民合同ゲノム解析チーム組成による変異株抑え込み」など、強力かつ広範な「攻めの政策」を「総力戦」で実行し、一日も早く心おきなく経済活動を可能とすべきではないか。(中略)

今回の緊急事態宣言の2週間再延長決定の重要な考慮要素のひとつが「変異株問題」だ。変異株で最も多い英国型の感染力について、イギリス政府は、従来のウイルスに比べて感染力が70%強いとみられ、実効再生産数を0.4またはそれ以上上昇させる可能性があるとしている。日本の現在の実効再生産数が、感染研監修のもとでNHKが算出している3月4日現在の0.99とすれば、0.99 X 1.7=1.68となり、仮に全てのウイルスがそのような変異株に入れ替わってしまえば、再び感染者が一気に急増する恐れがあるといえる。東京都の新規感染者数が微増傾向に転じたが、対策効果による感染者減少を打ち消す原因の一つに変異株が入っていないとも限らない。だから一日も早くゲノム解析体制を官民の総力を挙げて作ることが喫緊の課題なのだ。

ところが今の政府の態勢では、「専門家の意見を聞いた上で、対応策を政府のコロナ本部で決定する」とされながら、その本部の「分科会」にも、また厚労省の「アドバイザリーボード」にも、本格的なゲノム解析の理論と実践に精通する専門家はいない。強いて言えば、アドバイザリーボード座長のウイルス学の専門家である脇田感染研所長がおり、感染研にゲノム解析専門部署がありはするが、個人の資格で参加する専門家会議であり、これだけ変異株が問題視されている限り、本格的なゲノム解析の専門家が政府の専門家会議には必ずいるべきだ。早急に然るべき専門家を複数加えることを提案する。

インドで発見された日本人を含むアジア人のコロナに対する免疫力を無力化すると言われているインド型の二重変異株は、これまでインド渡航者の空港検疫で発見されていた(https://digital.asahi.com/articles/ASP4V7F29P4VUTIL05Y.html?iref=pc_ss_date_article)が5月14日、東京医科歯科大学からインドへの渡航歴のない男性がインド型の二重変異株に市中感染していることが明らかになったという(https://news.yahoo.co.jp/articles/4c4b2b3a5733099ff32833bc88ac32cb633fdf97)。インド型の二重変異株に市中感染は既に始まっていると見て良い。

変異株の市中感染の実態を正確に把握するためには、島津製作所がiLACと共同で開発した変異株のスクリーニング検査のできる検査システムなど最新鋭のPCR検査検査システムの導入や東大医科研とiLACが提携して全陽性検体を短時間でゲノム解析できる最新鋭のゲノム解析システムを開発し、官民共同のゲノム解析チームを立ち上げる必要がある。

しかし、こうした最新英のPCR検査システム、ゲノム解析システムの導入の試みを邪魔しているのが、「感染症法」を盾に厚労省の医系技官による「感染症利権ムラ」である。何故なら、正しい新型コロナ対策を行えば、国立感染研、地方衛生研究所などの存在理由がなくなるからである。自民党の塩崎衆院議員の指摘するように「感染症法」の改正が欠かせない(https://y-shiozaki.or.jp/oneself/index.php?start=0&id=1358)。

大学病院等、各病院の対応能力に応じたコロナ患者受け入れをし、医療崩壊を回避しなければならない。重症患者受け入れに関する、厚労省の余りにも遅い最新公表情報(何と、2月24日現在が最新の数字!)を見ても、相変わらず、「10人以上」の重症患者を受け入れている400床以上の大病院は、たった4病院しかない。「4人以下」しか受け入れていない400床以上の大病院が124病院もあり、非効率極まりない。

そのためには、厚労大臣と知事に重症患者等の受け入れ要請・命令権限等を司令塔として付与し、都道府県内に止まらず、広域調整可能な体制も構築し、整備すると同時に、重症患者受け入れなどの情報を積極的に公開するような医療崩壊が起きないしっかりとした体制整備を昨年秋の臨時国会や今通常国会で急ぎ成立させるべきだったと思う。ましてや、今到来しつつある第4波を克服するために、(感染症)法改正なくして確固たる体制は取れない。病院への「お願いベース」では、急増する重症患者への対応は全く不十分だからだ。

「感染症利権ムラ」の第三の大きな問題は、昨年のGo To トラベル政策の強行実施で、新型コロナが全国に拡散したことを隠蔽したことだ。GISAID(https://www.gisaid.org/)という世界中で感染した新型コロナのゲノム解析データをデータベースに登録し、コロナ対策に役立てる組織とサイトがある。日本からもゲノム解析情報を独占している国立感染研が全体の3万件のうち2万8000件を登録している。残りは地方衛生研究所によるものだ(https://www.youtube.com/watch?v=vk11jztgdJs)。

ところが、国立感染研が登録したゲノム解析情報には、普通なら記載されるはずの検体の採取場所、採取日付が記載されていない。記載され始めたのは今年2021年に入ってからだ。これはGo To トラベルの強行を取り止めた時期に重なる。検体採取場所、日付を記載すれば、首都圏や関西圏発のGo To トラベル利用者が全国に感染を拡大したことを立証できる有力な手がかりになる。検体を採取した人名は個人情報保護の観点から記載が難しいが、当該都道府県の住民かそうでないかが判明できれば、決定的な証拠になり得る。国立感染研は政府=菅政権を忖度して、「Go To トラベル」が第3波の波の振幅を大きくした証拠を隠そうとしたと言ってよい。

このように、「感染症利権ムラ」(厚労省の医系技官と医系技官が管轄する厚労省保健局結核感染症対策課とその傘下にある国立感染研究所と地方衛生研究所、保健所)は誤った情報を出し、政府=菅政権を忖度することによって、正しいコロナ禍対策を行うことを妨げている。結果として、日本の「コロナ対策」は被害が比較的少ないアジア・太平洋地域で最悪の場フォーマンスを示すことになった。やはり、「感染症利権ムラ」を解体し、感染症と遺伝子工学、情報工学の専門家を糾合した「科学的・医学的」立場からのみ対策を提言する日本版疾病予防センター(CDC=Centers for Disease Control and Prevention=)を組織化する必要がある。

政府=菅政権が分科会の意見を受け入れたなどと感心している場合ではない。菅政権が「感染症利権ムラ」を解体するとは思えない。ムラの「親分」的存在である国立感染研出身の岡部内閣官房参与らがいるからだ。日本維新の会や国民民主党を除く真正野党は、日本版CDCを組織することを東京都議会や総選挙の公約にすべきだ。なお、「感染症利権ムラ」健在の中で東京オリンピック/パラリンピックを強行開催することは、オリ/パラが「一大感染イベント」(米紙ニューヨーク・タイムズ紙)になることを意味している。「黒猫でも白猫でもネズミを取る猫だ」という格言がある。立憲民主党の枝野幸男代表は小池百合子東京都知事を説得するくらいの腹をくくるべきだ。


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