厚労省、傘下の感染症研などと組んでPCR検査妨害(追加)

厚生労働省がこれまで傘下の国立感染症研究所・地方衛生研究所などと組んで、全国各地の保健所に設置している「帰国者・接触者相談センター」を障壁にして、PCR検査を妨害している数字を明らかにする。政府の財政支出抑制策と検査マフィアの検査利権、抗ウイルス・ワクチン開発利権の独占と利害が一致してきたためだ。厚労省は保健所に設置している「帰国・外来者相談センター」での相談要件を緩和したが、検査を妨害してきた相談センターそのものは廃止しない。また、全国の医療機関での防疫体制の完備やPCRセンター設立・運営のための予算措置も講じないため、PCR検査数は伸びない可能性の方が高い。

今まで明らかに出来なかったが、厚労省のサイトの片隅に、全国都道府県別に各地の保健所に設置された「帰国・接触者相談センター」に寄せられた相談件数、相談センターの許可・紹介を受けて、全国の医療機関11万934機関(昨年末時点)のうち844機関しかない「帰国・接触者外来」を持つ医療機関に診察・検査を受けるために訪れた国民の人数、同医療機関で実際にPCR検査を行った人数が掲載されている。

どこに掲載されているかと言えば、厚労省のトップページ→新型コロナウイルスについては、こちらをご覧ください→「新型コロナウイルス感染症のページ」表示→このページの【新型コロナウイルス感染症に関する相談に関する参考資料】の箇所に、○帰国者・接触者相談センターの相談件数等(都道府県別)(2020年3月31日まで)と、○帰国者・接触者相談センターの相談件数等(都道府県別)(2020年4月1日以降)への内部リンクが貼られている(2020年5月10日現在)。

前者は即座に都道府県別のデータが出てくる。後者は、「地域ごとのまん延の状況に関する指標等の公表について」のページに飛び、「3.帰国者・接触者相談センターへの相談件数の推移(都道府県別・各日)・帰国者・接触者外来の受診者数の推移・うちPCR検査実施件数の推移(都道府県別・各日)」のリンクをクリックすると、都道府県別に「帰国者・接触者相談センター」への相談件数、このうち「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関を訪れた患者の数、その中で実際にPCR検査を受けた患者さんの人数が記載されている。ただし、非常に見にくいうえ、データがない都道府県も若干存在し、累計数の記載がないなど全体像がつかみにくいように構成されている。 

まず、3月分について下図が掲載されている。これは、分かりやすい。

これを見ると3月全体で、「帰国者・接触者相談センター」に相談して「帰国者・接触者外来」で受診をできた比率は16,7300÷31,3475×100=5.3%、実際にPCR検査が実施された比率は12,5950÷31,3475×100=4.0%でしかない。4月1日以降はこうしたまとまった数字は掲載されておらず、都道府県別に日ごとの数字が記載されているだけである。全都道府県の検査合計数は記録されている。サイト管理者が全体数字を4月1日から5月7日まで記録し、表にして、相談総数と相談数に占めるPCR検査を調べたものが下表である。

なお、相談者が帰国・接触者外来を診察できた割合は、61,0680÷82,3068×100=7.4%。3、4、5月分を合計すると、相談総人数1,136,543人のうち、実際にPCR検査を受けることが出来た者は65,675人で、その割合は5.8%しかない。今回の新型コロナウイルスのような正体不明のウイルスに対しては、「疑わしきは検査する」というのが、対策の基本でなければならない。なお、ゴールデンウィーク入りを前後して、相談者数そのものが激減しており、その結果、PCR検査数も激減していることに注意が必要だ。

しかし、現実のところは、PCR検査の必要があるとか思い、保健所に設置された「帰国者・接触者相談センター」に相談したが、①電話がまず通じない②地方の保健所は厚労省の通達(一般の方は37.5度の高熱が4日以上続く場合、高齢者や基礎疾患のある方、妊婦の方は37.5度の高熱が2日以上続き、それぞれ倦怠感のある方を「帰国者・接触者外来」に連絡する)を金科玉条としている−ため、電話が運良く通じたとしても基準に到達しないため、検査拒否になる場合が大変に多い。

公務員に、「柔軟な判断」は期待できない。誰でも知っている。加藤勝信厚生労働大臣が5月8日の記者会見で、いくら「目安ということが、相談とか、あるいは受診の一つの基準のように(とらえられた)。我々から見れば誤解でありますけれど…」と弁解しても、肝心の保健所には通じない。安倍首相は2月29日の記者会見で、「かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」と言った。普通の人が聞けば、「十分な検査数」を確保すると約束したかのように聞こえるが、安倍首相は加藤厚労相と辻褄を合わせて、「検査数」とは言わず、言い逃れができるように「検査能力」という言葉を使っている。

現在は、民間の検査会社の検査数が増えてきてはいるが、検査能力のすべてを使い切れていない。また、ノーベル生理・医学賞受賞者の山中伸哉教授がニコニコ動画での安倍首相との対談で、大学にもPCR検査の設備があるけれども、使われずに放置されている現状があると嘆き、国際水準から見て信用を失うほどの検査しか行っていない国内でのPCR検査数を増やすため、積極的に使って欲しいと訴えたことが知られている。

なぜ、厚労省はPCR検査の徹底的実施を拒むのか。その詳細な理由について、政治経済政策評論家の植草一秀氏は自身のメールマガジン「第2626号 専門家会議がクラスター叫び続ける下衆な理由」で、医療ガバナンス研究所理事長・医師の上昌広氏が「マスコミ市民」2020年5月号に投稿した「歪められるコロナ対策 批判しないメディア」と題する記事と併せて述べている。結局のところは、政府=安倍政権と専門家会議の、①東京オリンピック開催ファースト②財務省主役のドケチ財政③「専門家会議」のメンバーが属する国立感染研究所、東京大学医科学研究所などの「感染症対策マフィア」による感染症に対する抗ウイルス、ワクチン開発利権ファーストという「安倍3ミス」によるという。「安倍積極的3ミス」だろう。

さて、「新型コロナウイルス感染症について」と題するページの中の、「○新型コロナウイルスの発生状況(【国内事例】及び【上陸前事例】):5月9日」のリンクをたどれば下図が出てくる。

これを見ると、PCR検査を行った場合の陽性判定のおよその割合が分かる。検査層人数に占める陽性判定の割合は、全国平均で15,483÷179,043人×100=8.6%である。なお、「新型コロナウイルス陽性者数(チャーター便帰国者を除く)とPCR検査実施人数(都道府県別)【1/15~5/7】」によると、陽性判定率は東京都で36.9%、神奈川県で15.6%、大阪府で10.6%、北海道で11.9%になっている(サイトの検索欄で「新型コロナウイルス 新型コロナウイルス PCR検査数 陽性者数 都道府県別」で検索すると、二番目にヒット。5月10日現在。https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000628526.pdf)。

ただし、PCR検査は陽性であるのに陰性と判定する割合が大きい(偽陰性)。感染拡大を防止するためには、検査の精度を上げる必要があり、抗原検査や抗体検査、その他の検査を組み合わせる必要がある。それはそれとして、この数字を、これまで「帰国・接触者外来」に運良く相談できた人の合計数1,135,643人に掛けてみると、9万7000人程度になる。この数字は概算でしかないが、専門家会議厚労省クラスター追跡版の西浦博北海道大学教授の、実際の感染者は「現在の感染確認者の10倍はいる」との発言とも辻褄が合う。感染源の不明な市中感染が拡大していることを考慮すれば、医療ガバナンス研究所理事長・医師昨夜時点の15,790人は少なすぎると言える。

加藤勝信厚生労働大臣

国民をまことしやかに騙してきた加藤勝信厚労相には即刻、辞任してもらわなければならない。そして、「新型コロナウイルス感染症対策」を抜本的に転換する必要が欠かせない。

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