東京新聞Webが共同通信から得た情報として報道したところによると、検察当局が河井克行元法相の妻であり参議院議員の河井案里氏の高所選挙法違反(買収)容疑での捜査に関連して、自民党本部関係者から事情聴取を行った。河井案里氏の選挙活動を一手に引き受けたのは夫の河井克行元法務相であると言われている。河井元法相は安倍晋三首相の側近である一方、安倍首相は広島選挙区のベテラン候補であった溝手顕正前参議院議員との対立が伝えられており、溝手前参議院議院を追放するため1億5千万円もの巨額の「選挙資金」を送り、落選させたとの見方が強い。黒川東京高検検事長の憲法、法律違反の任期延長を閣議決定したり、閣議決定を合法化するための検察庁改革法案の強行採決をなお、行おうとしているのは、この事件が深くかかわっている。
検察庁が自民党本部関係者の事情聴取を行ったことを最初に報じたのは共同通信社。同通信社の配信を受けて東京新聞Webが2020年5月28日00時08分に「検察、自民党本部関係者を聴取 河井案里氏側への1・5億円で」と題する記事で明らかにした。
それによると、
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自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=の陣営による公選法違反事件で、検察当局が党本部関係者を任意で事情聴取したことが27日、関係者への取材で分かった。案里氏が初当選した昨年7月の参院選の公示前、党本部が案里氏側に提供した1億5千万円について、目的や決定者などを確認したとみられる。
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Webニュースサイトのリテラが2020日05月29日07:00に投稿した「検察が河井陣営への「安倍マネー1億5千万円」めぐり自民党本部関係者を聴取! 狙いは安倍首相の“自民党金庫番”への指示立証か」と題する記事によると、検察はいわいよ安倍首相の立件に向けて本格的に捜査を始めているという。
それというのも、「今回、検察は自民党の“金庫番”といわれるM事務総長の周辺を聴取したといわれているからです。M事務総長は20年以上前から自民党の事務方トップを務め、それこそ自民党の裏の金を動かしてきた人物。しかも、第二次安倍政権以降、安倍首相はM氏を重用しており、近年は安倍首相から直接、指示を受けて金を動かすこともしばしばあるといわれていた。つまり、検察は、河井陣営への1億5千万円提供について、直接的に安倍首相がM氏に指示した可能性を調べているのではないか」との感触を得ているからだ。
リテラによると、「溝手氏は第一次政権時に安倍首相の責任に言及し、下野時代には『過去の人』と批判したことがあり、安倍首相は横手氏のことを毛嫌いしていた。そこで、“2人区で2人擁立して票を上積みする”という大義名分をたて、溝手氏を蹴落とすための“刺客”として、側近の河井前法相の妻である案里氏を新人として立たせたのだ」という。
そのため、自民党の選挙対策の本部長は二階俊博幹事長であり、選挙運動資金も含めて同幹事長が取り仕切ることになっている。しかし、広島選挙区(2人区)だけは別で、「2人を当選させる」との大義名分のもと、安倍総裁が直接取り仕切り、1億5千万円を金庫番のM事務総長から側近の河井克行元法相に送らせ、地元の自民党系の首長や県議、市議などに買収工作として使わせたと言われる。
政界では、広島地検の捜査が本格化した直後、二階俊博幹事長が周辺に「河井の件は官邸の案件で幹事長は関係ない」と漏らしたとの情報もかけめぐっている。
東京地方検察庁検事などを経て、広島地方検察庁の特別刑事部の部長や長崎地方検察庁の次席検事を務め、弁護士として活躍している郷原信郎氏によると、選挙公示前の政治家への資金提供は検察としても公職選挙法違反(買収)容疑として立件することは難しいとされているが、今回、東京地検特捜部からの応援を受けた広島検察庁が河井夫妻の立件・逮捕・基礎を視野に入れて、両氏の選挙運動責任者の捜査から逮捕、起訴まで行っているのは、余程の理由があるとのこと。
今回の共同通信のスクープは、検察庁が河井夫妻を公職選挙法違反(買収)容疑で立件・逮捕・起訴を行う意思を固めたことを意味する。国会議員には国会開会中では不逮捕特権がある。しかし、国会法33条の「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」とあり、議員の属する院の許諾があれば逮捕が可能になる。今回は衆参両院。
手続きとしては、両院の議院運営委員会で協議が行われることになる。自公両党はあくまでも許諾しないだろうが、その場合は国民(自公支持層を含む)の支持がますます離れ、内閣支持率は危険水域をかなり割り込むだろう。仮に、国会閉会後なら可愛夫妻を堂々と逮捕できる。どうせ逮捕されるなら、自公も逮捕を許諾したほうがましだろう。
これを突破口に、安倍首相まで捜査が及ぶのか。検察の本来の狙いはそこだから、戦後一貫して暴走してきた検察・司法もこれを機に正常化への道を歩むことを国民の誰しもが期待するところだ。なお、法律上は法相が検事総長に対して指揮権発動(具体的には捜査中止)をすることはできる。安倍首相の言いなりの森まさこ法相ならその可能性は多分にある。しかしその場合、自公両党は次期総選挙で下野することも覚悟せねばならないだろう。
本事案は、違憲違法な黒川東京高検検事長の定年延長、麻雀賭博にしては処分が軽すぎる訓告処分にとどめたのは実質的にだれなのか、そして、「一国二治」制度を国際公約制度を国際社会に約束しておきながら、中国の習近平政権がそれを反故にして「国家安全法」を成立させたように、民主主義制度の根幹をなす三権分立制度を破壊させる検察庁改革法案の行方を握る重要な事案である。国民の強い関心が必要だ。