菅政権、事実上「上からのクーデター強行」、秘密警察独裁政権樹立爆進明確化ー衆院予算委で明らかに(5日参院予算委踏まえ大幅補強)

総合すると、行政側の菅義偉政権が官房長官時代から警察畑の杉田和博内閣官房副長官(官僚トップ)と密談しながら、日本学術会議法(以下、日学法)の従来の政府解釈を国会にはかることもなく勝手に変更し、法解釈を恣意的に変更、事実上の「上からのクーデター」を進めていたことが明らかになった。今回、菅首相が日本学術会議(以下、会議)会員の会員6人を任命拒否した根拠として内閣府学術会議事務局が平成30年(2018)年11月に作成した「日本会議法第17条による推薦と内閣総理大臣による会員の任命との関係について」(以下、怪文書)を挙げているが、朝日新聞が10月5日1面で(朝日デジタルではhttps://digital.asahi.com/articles/ASNC46HWHNC4UTIL001.html?iref=comtop_7_02)で、当時の会議の山極寿一会長がこの怪文書を「見せられたこともないし相談を受けたこともない」と明言したと報道。加藤勝信内閣官房長官が衆院予算委などで「事務局が口頭で(山極会長に)伝えた」としていることに関しても、「相談を受けたこともなかった」と明言したという。菅政権が日本国憲法と憲法に基づく法律を破壊したことは明らかで、事実上の上からのクーデターだ。杉田和博内閣官房長官を国会に証人喚問することも含めて、野党、国民は菅政権を徹底的に追及する必要がある。

11月6日金曜日コロナ感染状況

本日11月6日金曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では午後15時の速報値で1周間前の30日金曜日の204人より38人多い242人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。重症者数は前日比1人減少の37人。全国では、午後23時59分の時点で2日連続の千人を超える1145人の感染者と4人の死亡者が確認されている。東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は180.0人、PCR検査人数は3650.3人だから、陽性率は4.93%。東京都独自の計算方式では4.3%。感染経路不明率は53.67%だった。
東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/では11月5日時点の実効再生産数は全国が前日と同じ1.11人、東京都では前日比0.01人増加
1.04人だった。 全体的にコロナ感染状況が悪化してきている。

11月6日金曜日時点での東京都の新規新型コロナ感染者数の推移
11月6日金曜日時点での東京都の新規新型コロナ感染者数の推移。
11月5日木曜日コロナ感染状況

本日11月5日木曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では午後15時の速報値で1周間前の29日木曜日の221人より48人多い269人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。1日の感染の確認が250人を超えるのは、284人だった先月15日以来。厚生労働省の基準よりも少なくなる東京都基準の重症者数は前日よりも3人増加して38人になった。4日の新規感染者数が前週比減少したのは、PCR検査人数が少なかった可能性がある。なお、東京新聞11月5日付によると、東京都で4日分の感染者数が受けたと見られるPCR検査が1日には717件しかなく、瞬間推測陽性率は17.02%と異常に高くなっている。東京都が新規感染者数と死亡者、重症者だけしか公表していないようで、3日前のPCR検査人数は翌日に次のサイトhttps://www.metro.tokyo.lg.jp/で発表されるため、感染の実態をリアルタイムで掴むことが困難になっている。東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は174.4人、PCR検査人数は3592.6人だから、陽性率は4.85%。東京都独自の計算方式では4.0%。感染経路不明率は55.39%だった。
全国では、全国では午後23時59分時点で1048人の感染者、9人の死亡者が確認されている。1000人を超えたのは8月21日以来のこと。このうち、午後16時時点で、事実上冬入りしている北海道が過去最多で1日としては初の100人台の119人、札幌市も過去最多の93人の感染者が確認されている(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/478423)。欧米と同様、コロナの新しい波(日本では第3波)が襲来し始めた可能性が高まってきた。
東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/では11月4日時点の実効再生産数は全国が前日比0.04人減少の1.11人、東京都では前日比0.05人減少の1.03人だった。 

怪文書(https://www.it-ishin.com/wp-content/uploads/2020/10/naikakufu20181113.pdf)は憲法15条第1項に基づいて、実質的に会議会員の任命権は内閣総理大臣にあるとしている。そして、菅首相は26日の所信表明演説で、憲法第15条1項の解釈については政府として一貫して内閣法制局の承認を受けてきたと答弁し、その後も古ぼけたテープレコーダーのようにこの答弁の内容を繰り返している。しかし、この怪文書は、既に行政府の番人と言われてきた内閣法制局が当時の安倍内晋三内閣(菅官房長官)・政権の工作で同法制局が安倍首相の傘下に入ってからの2018年11月13日付けになっているから事実上、安倍首相と菅官房長官、杉田内閣官房長官らの指示で作成されたものと容易に推察できる。

戦後の政府は会議の設置当時から、戦前・戦時地中に科学者が戦争に駆り出されたことの反省から、会議の高度な自主性を徹底的に尊重してきた。

会議会員の選定が、公選制から任命制に変更された際にも中曽根康弘首相(当時)が、首相の「任命」は形式的なものであって、会議が推薦した会員候補者は全て首相が任命すると答弁していた。当然、行政府の番人だった内閣法制局の了解を得ての答弁である。安倍政権が内閣法制局を支配下に置くまでは、内閣法制局は一貫して会員の首相による任命は、会議が推薦した候補者を必ず任命するという「形式的任命説」を日本学術会議法(以下、日学法)の法解釈にしていた。この一連の流れについて4日、衆院予算委員会で答弁に立った日本共産党の志位和夫委員長は次のようなパネルを示している。

また、2004年に次期会員の推薦方式が各種学会から会議の会員に変更する法改正が行われたが、その時にも立憲民主党の小西洋之参院議員が入手した、2004年1月16日を作成日とする総務省の内部文書で「日本学術会議から推薦された会員の候補者につき、首相が任命を拒否することは想定されていない」と記されていた。

【追記11月6日午前11時30分】5日の参院予算委で、政府側は1969年に文部大臣が(当時は任命制にあった)九州大学と北海道大学の学長の任命を拒否したことに関連して、高辻正己内閣法制局長官が1969年7月24日の文教委員会で、「申し出があった者を任命することが、明らかに法の定める大学の目的に照らして不適当と認められる、任命権の終局的帰属者である国民、ひいては国会に対して責任を果たすゆえんではないと認められる場合には、文部大臣が、申し出のあった者を学長に任命しないこともできないわけではない」(https://news.nifty.com/article/domestic/government/12136-820342/)との答弁を持ち出して会議6人の任命拒否を正当化した。しかし、任命(当時は公選制ではなく任命制)しないこともあり得るのは、法の定める大学の目的に照らして、国会、国民に対して責任を果たすゆえんではない場合で、菅首相ははその「ゆえん」を説得的に説明できないのだから、高辻法制局長官の答弁を持ち出すだけでは、任命拒否の理由にはならない(参照:https://www.youtube.com/watch?v=zUlcHmDf3fE)。

これについては、1カ月も日本共産党の田村智子参院議員(政策委員長)が10月8日の参院内閣委員会で、1983年5月10日の参院文教委員会で行った手塚康夫内閣総理大臣官房総務審議官の次の答弁(https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=109815077X00719830510&amp%3BspkNum=61&amp%3Bsingle)を紹介して、会議が推薦を拒否した理由にはならないことを説得的に説明した経緯がある。
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060 高木健太郎(1910年3月17日 – 1990年9月24日、医学者で公明党参院議員)
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○高木健太郎君 毛頭ないということを断言されるということで私、承知いたしたいと思っております。
もう一つは、会員は総理大臣の任命制によるということでございますが、学術会議から推薦してきた会員はこれを形式的任命である、そういう言葉は使えないにしても、それを最大限尊重して任命するということでなくてはいけないと、こう思います。
もちろん、現在の国立大学の学長は文部大臣か総理大臣か存じませんが、任命制になっておりますが、かつて京都大学におきまして、京都大学の学長の任免というような問題で大変大きな問題が滝川事件として起こったことがございます。そのようなまた過ちを繰り返さないということをここで長官にひとつ言明をお願いしたい、こう思います。
061 手塚康夫(内閣総理大臣官房総務審議官)
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○政府委員(手塚康夫君) ただいまの点、確かに現行では選挙制によっているために、実は任命を必要としておりません。実はこの総務長官試案につきまして、学術会議の方で改革委員会・選挙制度一般に関する分科会の報告、比較的短期間の間によく分析しおまとめいただいたと私ども思っておりますが、その中にも、「選挙の場合には、立候補制であるから任命を必要としないが、学協会推薦制の場合には任命行為が必要となる。」したがって、それが自主的に行われるものであってはいけないので、「学長の任命におけるごとく、」「形式的任命権にとどめておかなくてはならない。」というふうに書いてあります。
それから、いまちょっとお話にございましたように、何か法令上の根拠もというふうに書いてございます。その辺私どもは、これは全く形式的任命であると考えているわけでございます。

研連に二百十名の会員候補者の割り当てを行って、そこから二百十名出てくれば、これはそのまま総理大臣が任命するということでございまして、それが二百二十名出るとか何とかであれば問題外ですが、そういう仕組みになっておりません。そういう意味で、私どもは全くの形式的任命というふうに考えており、法令上もしたがってこれは形式的ですよというような規定、ほかにも例がございませんが、書く必要がないと判断して現在の法案になっているわけでございます。
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田村参院議員は手塚内閣総理大臣官房総務審議官の上述の発言を菅首相に示し、「菅総理は日本学術会議法に照らして、6人を『明らかに不適当である』と判断したことになる」、「『明らかに不適当である』理由を示して欲しい」と迫ったが、同議員の質問に答えられず、「人事の詳細については控える」と逃げざるを得なかった。既に破綻した答弁を昨日5日、また繰り返したのだから、菅政権の説明能力はもはや無くなっていることは明らかである。10月8日の田村参院議院の質疑・答弁の詳細についてはnoeの次のサイトhttps://note.com/mu0283/n/nd240bb740eb6を参照されたい。

日本共産党の志位和夫委員長が4日の衆院予算委員会で示したパネル
日本共産党の志位和夫委員長が4日の衆院予算委員会で示したパネル
立憲民主党の小西正之衆院議員が入手した2004年の総務省の文書
立憲民主党の小西正之衆院議員が入手した2004年の総務省の文書

これらのパネルや文書を見ると、憲法15条1項を盾に取って会員の任命権は実質的に首相にあり、このことは内閣法制局が一貫して認めてきたという首相の答弁はウソであったことが分かる。この内閣法制局によって承認された従来の日学法に対する答弁・解釈を否定したのが、怪文書である。内閣法制局が安倍内閣(菅官房長官含む)・政権の完全な支配下に置かれた後の2018年11月に作成された作成経緯も明確でないこの怪文書を、当事者の会議の会長や運営委員会委員、(一般)会員に見せて相談することが一切なかったことは驚愕するべきこと(本来は総会で議決する必要のある最重要案件)であり(朝日新聞11月5日付参考)、さらには、国会にはかることもなく、行政側が勝手に変更したわけである。

国民が強く反対した「集団的自衛権」を認める「安保法制」制定の際には、内閣法制局による解釈の変更を国会で論議するという手順は踏まえた。しかし、今回はその手続きさえ行わなかった。これは、三権分立の完全な否定であり、菅政権が秘密掲載による全体主義独裁国家樹立に驀進していることの重大な証拠である。要するに、「上からのクーデター」(志位委員長)を起こし、秘密警察組織を最大限に活用した全体主義独裁国家を驀進しているのが、菅政権の正体であり、新自由主義の完成形態である。

日本共産党の志位和夫委員長が4日の衆院予算委員会で示したパネル
日本共産党の志位和夫委員長が4日の衆院予算委員会で示したパネル

そもそも、菅首相がよりどころにしてきた憲法第15条1項「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」は、公務員の任命・罷免兼は国民固有の権利としている。しかも、第2項で「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とも定めている。特定の社会層の利益を追求する政党(現在は自公両党)によって成立した行政府が、都合の良いように公務員を任命して良いとは、日本国憲法のどこにも規定されていない。国民が全員、公僕である公務員の任命・罷免をするのはシステム的に無理だから、主権者国民が選んだ国会議員によって構成され、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会が定めた公務員法(一般の公務員に対する定めを決めた公務員法や検察官、会議会員など特別公務員に対する定めを規定した検察庁法、日学法など)に厳格に則り、法に基づいて任命しなければならない(会議の場合は形式的任命)。

また、憲法15条1項の解釈については、首相を長とする内閣に、法律に基づかない公務員、特別公務員の実質的な任命権を定めるものではないということは、憲法学者の常識であり、有権者である国民の理解するところになっている。菅首相の衆参両院議院での代表質問での会議推薦会員の任命拒否問題に関する答弁は虚偽であり、論理的にも破綻している。志位委員長の質疑によると、任命拒否された人文・社会科学者6人にはツイッターでは脅しの「つぶやき」が届いており、これらの科学者のセミを受講している学生は就職問題で不当な差別を受けるのではないかという懸念も抱いている。また、人文・社会科学振興のための予算が削られていることから、「菅政権の意向を忖度せざるを得ない」という人文・社会科学者も出てきているという。

なお、会議側では、①人文・社会科学者で構成する第1分科会の運営に非常な困難が生じている②任命拒否の理由が分からなければ今後、推薦に重大な支障を来たすーなどの重大な問題が生じている。

菅首相は、憲法第15条1項を持ち出して、本会議会員任命拒否事案を突破するのが困難であることが分かると、にわかに「日本学術会議の構成には偏りがあり、多様性が比強だ」と論点をすり替えるようになった。しかし、志位院長が多様性が必要と言うなら何故、①私立大学の推薦員3人を任命から外したのか②女性の推薦員を何故、任命しなかったのか③初めて1人推薦された慈恵医科大学の教授を何故、任命しなかったのか④日本学術会議も会員の多様化を測るためにこの10年間、相当に努力してきたことを示すパネルを見せたうえで、会議の努力を評価しないのかーとたたみかけた。しかし、菅首相はまともに応えられなかった。時々、加藤勝信官房長官や井上信治科学技術担当相が窮地に追い込まれた菅首相に代わって答弁したが、質問に対する真摯な答弁はなく、単なる時間稼ぎに終わった。

東京新聞11月5日付1面(https://www.tokyo-np.co.jp/article/66364?rct=main)によると、菅首相は学術会議推薦人のうちから6人を除することについて、杉田副長官から報告を受けていたことを認めた。
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日本学術会議の新会員任命拒否問題を巡り、菅義偉首相は4日の衆院予算委員会で、杉田和博官房副長官から事前に6人を除外すると報告を受けたことを認めた。最終的に決裁された99人記載の候補者名簿が作成されるのに先立ち、会員構成の偏りなどに関する懸念などを首相自身が内閣府に伝えていたことも明らかにした。首相の答弁を受け、野党は杉田氏の国会招致を改めて要求した。

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【追記:11月6日午前9時26分】朝日デジタルに11月6日 6時30分に投稿、公開された記事(https://digital.asahi.com/articles/ASNC57G57NC5UTFK00G.html?iref=pc_ss_date)によると11月5日の参院予算委員会で、立憲民主党の蓮舫参院議員の質疑で、加藤勝信内閣官房長官は首相が6人の推薦候補者の任命拒否に至るまで首相側と杉田内閣副官房長官の相談しながら6人の除外を判断するまでの経緯を説明した。政府内で6人を除外する過程を記録した文書の存在も発覚した。
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蓮舫氏は「(6人を除外した任命案が)起案されるまでの過程の公文書はあるか」と質問。加藤勝信内閣官房長官は「杉田氏と内閣府とのやりとりを行った記録について、内閣府が管理している」と存在を認めた。野党側は提出を求めたが、加藤氏は「今後の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼす恐れもある」として拒否した。(中略)
野党4党の国会対策委員長は5日、国会内で会談し、衆参両院の予算委での集中審議と杉田氏の招致を与党側に求める方針を確認した。立憲の安住淳国対委員長は記者団に「首相が杉田氏を守る弁慶になっている」と批判した。与党側も今月下旬に集中審議を開催する方向で検討に入っている。
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また、朝日デジタルに2020年11月5日21時03分に投稿された「『事前調整働かなかった』から任命拒否 首相答弁に批判」と題する記事(https://digital.asahi.com/articles/ASNC56TS6NC5UTFK010.html)で、菅政権が会議の会員候補者の先行・推薦家庭にも政治介入を行っていたことが明らかになった。次期会員の専攻・推薦家庭まで政治介入を行うことは、明らかに日学法違反である。
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菅義偉首相は5日の参院予算委員会で任命拒否の経緯をめぐり、「推薦前の調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」と述べた。任命には政府が求める事前調整が必要との認識を示したとも受け取れる発言だ。野党は、学術会議の独立性を壊すとして国会で追及を強める構えだ。
自民党の二之湯智氏から任命過程の説明を求められ、首相は「以前は学術会議が正式の推薦名簿を提出する前に、様々な意見交換の中で、内閣府の事務局などと学術会議会長との間で一定の調整が行われていた」とも語った。(中略)
この発言を野党側は問題視。立憲民主党の森ゆうこ氏は朝日新聞の取材に「独立性をもってできた学術会議に政治が介入し、それを堂々とやろうとする宣言だ」と述べた。
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実際は、この会議会員候補の選定家庭から事実上の政治介入(任命を拒否する候補者を排除すること)が行われていたわけで、加藤勝信官房長官は6日の記者会見で「単なる意見交換」で問題はない詭弁で逃げようとしているが、日学法7条によれば推薦人の専攻・決定も会議の権限である。明らかに、政府が会議を支配下に置こうとしていることの現れでしか無い。任命拒否事案に加えて、会議側に権限がある会員広報者選定過程への政治介入事案も日学法違反であり、決して許されることではない。

立憲民主党の安住淳国対委員長は、自民党の森山裕国対院長との与野党国対委員長会議の場で、国政調査権に基づいて、杉田官房長官の国会招致(参考人招致ではなく証人喚問)を勝ち取る必要がある。野党側は、この問題を徹底して追及しなければならないし、少なくとも任命拒否を撤回させなければならない。自公両党のペースで国会審議を行ってはならない。立憲は日本共産党、れいわ新選組と強力な野党共闘を組み、①共生主義(現在のコロナ禍のような場合は公助最優先)②思い切った政策体系③野党連合政権構想ーを用意しておかなければならない。なお、コロナ第3波襲来も予想されるので、国民の理解を得られるよう臨時国会で日本学術会議会員任命拒否事案(菅政権による法治国家の破壊工作事案)とコロナ禍対策(新型インフル特措法を改正し、緊急事態宣言を再発出する場合は、休業に対して国費での十分な補償を必須にすることなど)を最優先させる高度な国会運営をさせる対策も講じておかねばならない。

第一次大戦後のドイツでナチス(国家社会主義労働者党)の台頭を防げなかった時代が現実のものになって来ている。ナチス時代の牧者・マルティン・ニーメラー牧者であり、ニーメラー牧師は次のように語っている。

マルティン・ニーメラー牧師

ドイツのマルティン・ニーメラー牧師

「ナチスが共産主義者を攻撃し始めたとき、私は声をあげなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったから。次に社会民主主義者が投獄されたとき、私はやはり抗議しなかった。なぜなら私は社会民主主義者ではなかったから。労働組合員たちが攻撃されたときも、私は沈黙していた。だって労働組合員ではなかったから。そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる人は一人もいなかった」

ナチスを自公量党、ヒットラーを菅首相・杉田官房長官と置き換えれば、現状の出来事になる。日本国憲法が第23条に定める「学問の自由(①研究活動の自由と発表の自由②学術団体の完全な自律と自治)」を失えば、信仰・思想・集会・結社の自由など国民の基本的人権は失われる。現在、日本では日本学術会議会員の任命拒否に対する抗議の声が、学術団体だけでなく、映画・演劇界のほかNGO法人(非政府組織)、NPO法人(非営利団体)から挙げられているが、その声が弾圧されないことを祈る次第です。



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