日本時間未明バイデン候補がペンシルベニア州を制し当確、日本では7日のコロナ感染状況一段と悪化(大幅改定)

米国の大統領選挙は、バイデン候補が日本時間未明劇先週のペンシルベニア州(選挙人20人)を制し、選挙人数(538人)では過半数超えの選挙人270人以上を獲得して当選を確実にした。バイデン前副大統領(77)は米東部時間7日夜(日本時間8日午前)、地元のデラウェア州ウィルミントンで国民向けに勝利演説を行った。トランプ現職大統領側は州裁判所に郵便投票の不正を主張して訴訟を起こしているが、接戦州の裁判所は訴訟を受け入れておらず、裁判闘争戦術も不発に終わりそうだ。日本ではコロナ第3波の襲来に直面しているようだ。

10月7日土曜日コロナ感染状況

本日11月7日土曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では午後15時の速報値で新規感染者は1周間前の31日土曜日の215人より79人多い298人。東京都基準の重症者数は前日比1人減少の36人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。東京都での感染者数は最多数記録した8月20日(339人)以来では最も多くなった。全国では午後21時59分の時点で、1331人の新規感染者と5人の死亡者が確認されている。このうち、北海道で7日午後17時時点で187人 札幌だけで141人で道内全体、札幌市の1日あたりの新規感染者数はともに過去最多を更新した。神奈川県でも過去最多の137人になった。東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は191.3人、PCR検査人数は3474.3人だから、陽性率は5.51%。東京都独自の計算方式でも4.8%。感染経路不明率は57.19%だった。
東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、11月6日時点の実効再生産数は全国が前日比0.05人増加してと1.16人、東京都では前日比0.01人増加の1.05人だった。 感染者数、感染経路不明率、実行再生産数など全体的にコロナ感染状況が悪化してきている。

朝日デジタルが日本時間11月8日午前1時33分に公開した記事(https://digital.asahi.com/articles/ASNC433W9NBTUHBI006.html)によると、「民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が激戦州の東部ペンシルベニア州で勝利を確実にし、当選を確実にした」。直近の選挙人獲得状況はhttps://www.asahi.com/international/us-election/2020/?iref=above7_Leftで公開されており、日本時間8日午前7時の段階では、バイデン候補290人になっているのに対し、トランプ現職大統領214しか確保できていない。

ドナルド・トランプ現職大統領とジョー・バイデン候補

ドナルド・トランプ現職大統領とジョー・バイデン候補

 

米国の大統領選挙は、全米各州ごとの人口比に基づいて選挙人数が定められており、メーン州などごく一部の州を除いて、民主、共和両党の候補者への有効投票数が1票でも多ければ、選挙人をすべて獲得できる「選挙人総取り方式」が採用されている。今回は郵便投票が6000万人を超え、選挙の勝敗を決する州で大接戦になっていることから、選挙人獲得人数の決定まで至っていない、しかも、①3日の投票日までに届いた郵便投票しか有効でないとする州②3日の消印があれば有効であるとする州③4日以降、一定期間まで届いた郵便投票でも有効とする州ーと州ごとに郵便投票の有効日が異なることも一定程度、選挙の結果判明に遅れをもたらす理由になった。

しかし、選挙人の獲得数でジョー・バイデン候補がペンシルベニア州を制したことと、トランプ氏の選挙人獲得人数が過半数の270人をかなり下回っていることで、バイデン候補の勝利が確実になった。その結果、バイデン候補は米東部時間7日夜(日本時間8日午前)、地元のデラウェア州ウィルミントンで国民向けに勝利演説を行った。下の写真は米デラウェア州ウィルミントンで演説する民主党のバイデン前副大統領。米主要メディアが米大統領選に勝利したと報じた=AP。日経新聞のサイトhttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO65971500Y0A101C2I00000/による。なお、注目の上院(定数100人、任期は6年。2年ごとに3分の1が改選される)選挙で、共和党が過半数を維持するとの見方が強かったが、補選も含めて2議席が争われたジョージア州で、どの候補も過半数の得票を得ることができなかったため、来年1月5日に決選投票が行われることになった。

米デラウェア州ウィルミントンで演説する民主党のバイデン前副大統領。米主要メディアが米大統領選に勝利したと報じた

米デラウェア州ウィルミントンで演説する民主党のバイデン前副大統領。米主要メディアが米大統領選に勝利したと報じた=AP

このため、トランプ氏側が郵便投票に不正があると主張し投票の差し止めを訴える裁判闘争に持ち込んだが、接戦州の地方裁判所が訴訟を受理しておらず、郵便投票も含めた投票の開票は州の規定に基づきただし、行われるもようだ。その場合はバイデン候補が300人を上回る選挙人を獲得する見込みだ。共和党内でもトランプ現職大統領の「裁判闘争」戦術を批判する動きもでている(https://digital.asahi.com/articles/ASNC7449WNC7UHBI007.html?iref=comtop_7_01)。全米各州は11月8日までに投票を終えて、選挙人を確定することになっているが、確定は可能になる見通しだ。トランプ氏は「敗北宣言」を行っていないが、米国政治の表舞台から消えていくことになるだろう。ただし、トランプ氏はあくまでも裁判闘争に持ち込む構えを崩していない(日本時間9日午前4時35分に投稿、公開されたNHKの次の記事参照:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201109/k10012701871000.html?utm_int=news_contents_news-main_001

トランプ氏はフロリダ州を制したが、前回はペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンと東部から中西部に広がる「ラストベルト(さびついた工業地帯)」にある3州で前回は白人に訴えて勝利したものの、今回はバイデン氏に敗北したことが痛かった。これは、トランプ氏の「米国ファースト」政策が完全に失敗したことを意味する。また、軍産複合体(米国の東部エスタブッシュメント)には与しなかったが、米国民を大事に対処する智慧と能力は持ち合わせていなかった。これに、コロナ禍が追撃ちをかけて、支離滅裂な対応が郵便投票を激増させて、自らの首を締めることになった。

バイデン氏に選挙人を300人以上獲得されれば、トランプ氏も裁判闘争で逆転することも困難だ。ただし、「現代版南北戦争」と言われる米国民の分断は深まっており、当選を確実にしたバイデン候補が、米国内の分断克服に成功できるかは未知数だ。しかも、バイデン氏は、軍産複合体(米国の東部エスタブッシュメント)の支配下にあるとの見方も根強い。バイデン氏が大統領になっても、分断された米国の社会の再建、衰退しつつある米国経済の再建には高い壁がまっている。しかも、来年1月21日に米国の大統領になる時は78歳だ。超大国としての米国は、徐々に過去のものになりつつある。

なお、トランプ氏は選挙前の世論調査ではバイデン候補に大きくリードされていたが、フロリダ州などの勝利で、予想外の検討もしている。今回も世論調査は当てにならなかった。バイデンに投票すると回答した調査対象の米国民の中に、「隠れトランプ支持者」が多数、存在していると思われる。各社の世論調査で、調査員を騙す調査対象者がいる。調査対象者の偏りに加えてこのことも含め、精度を挙げていく必要がある。

ただし、米国の超大国としての経済力・軍事力の低下傾向に加えて、トランプ政権の「米国ファースト」政策(具体的には、高率関税を課して中国製品を締め出し、日本に対しても対米隷属外交を続けさせ、TPPよりも日本に打撃を与える日米FTAを強要するなどの政策)がもともと米国を弱体化させる内容だったから、今回の米国大統領選挙の如何にかかわらず、「日米同盟」を基軸とした外交一点張りでは、日本の行く末は非常に困難な状況になっている。下図は、購買力平価で見た世界各国のランキング表だ。

購買力平価で見たGDPランキング(IMF統計から)

購買力平価で見たGDPランキング(IMF統計から)

今回の大統領選とその投票経緯を通して、①米国のコロナウイルス感染症対策②米国流民主主義の脆弱性(有権者の意思、民意を反映しない選挙人総取り方式などの大統領選挙制度に象徴される)③米国経済の悪化ーなど、米国が衰退過程に突入したことが明らかになったと思われる。日本政府は最早、「対米隷属外交」を続けていればそれで安泰という段階ではなくなり、戦後の米国主導の国際秩序が崩壊・再編の過程に入ったことを明確に認識しなければならないが、菅政権ではそれは不可能だ。