日本、「米中経済安保」で「股裂きに」ー憲法に基づく「積極的平和外交戦略」展開を(コロナ、ブラジル追記)

朝日新聞が3月28日付1面カタで「経済安保 揺さぶられる日本」と題する連載記事を開始した。サイト管理者(筆者)の理解では、既に科学技術力で先進諸国のトップレベルに立ち、経済的にも軍事的にも米国と並ぶ世界の超大国になりつつある中国と、世界的覇権を奪われまいとするディープステート(闇の帝国:軍産複合体と多国籍金融資本)支配下にある米国が、「軍事的・経済的安全保障」をめぐって激しい対立を鮮明化しており、日本は米中両国の「股裂き」状態に陥り、国家としての存続が危うくなるという内容だ。戦後長らく続いた「対米隷属外交」はもはや通用しなくなった。国際連合を前提として起草された日本国憲法の基本的人権の尊重・国民主権・平和主義の理念に基づいて、言葉の真の意味での「積極的平和外交戦略」を推進すべき時代に入った。

3月29日月曜日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日3月29日月曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の3月22日月曜日の187人から47人増加して月曜日としては今月初めて200人台の234人になった。7日移動平均では354.9人になり前週月曜日比で118.1%になった模様。7日移動平均は3月11日以降、前週を上回っている。東京都基準の重症患者は40人となった。やはり、20代が54人と最も多かった。
全国では午後23時59分の時点で1345人が新規感染、29人が死亡(東京都は19人)、重症者は前日から1人増加して342人が確認されている。1週間で新規感染者が最も少なくなる月曜日に1千人を超えるのは7週間ぶり。大阪府の本日の新規感染者は213人。吉村洋文知事は政府=菅政権に対して「まん延防止等重点措置」の適用を要請した。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、3月28日時点の実効再生産数は全国が前日比0.03人増の1.23人、東京都は同じ28日時点で前日比0.02人増の1.12人だった。実効再生産数の上昇ピッチの速さはコロナ第4波が襲来していることを伺わせる。

第4波は5月中旬とする専門家の見方について

NHKはWebサイトに本日3月29日午前4時52分、「ワクチン接種 第4波には効果限定的 筑波大グループがAIで試算」と題する記事を投稿・公開(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210329/k10012941461000.html)し、筑波大学の倉橋節也教授らのグループがAIを使ったシミュレーションで、第4波は5月中旬とする見方を報道した。しかし、感染力、重症化力、ワクチン体制力を持つ新型コロナ変異株が第4波の主流になると見込まれ、季節要因から夏場が感染の再拡大期になると見込まれることから、5月中旬が第4波のピークとする見方には疑問がある。一部を引用させていただきたい。

グループでは、去年1回目の緊急事態宣言が解除されてから夏に第2波が来た際と同じレベルで感染が再拡大すると仮定して、ワクチン接種が感染の広がりにどう影響するかを試算しました。その結果、東京都ではワクチン接種が無い場合、5月中旬に感染の第4波がピークとなり、1日の新規感染者数は1850人になるという結果となりました。

新型コロナの変異株が第4波の主流感染源になるとの多くの専門家の見方からすれば、「第2波と同じレベルで感染が再拡大する」という前提には賛同しかねるのではないか。無策のままでは、ピークの新規感染者数は1850人の水準ではすまないだろう。南半球のブラジルでは夏から秋の時期だが、ブラジルの1日当たりの変異株中心の感染者は2月から増加傾向が続き、3月27日の時点で平均9万人以上で、死亡者は連日3000人超になっており(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210329/k10012941761000.htmlhttps://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/)、事実上医療崩壊が起こっている。ブラジルの人口は約2億1千万人(=2100×10万人)だから、人口10万人当たりの新規感染者数は単純平均で43人と日本のレベル4(25)の1.7倍、感染大爆発の段階だ。単純計算で、東京都人口換算では6000人程度になる。ただし、人種の相違と日本の変異株は英国で変異した英国型の変異株が主流になることが予想されることも考慮する必要があり、そこまではいかないだろうが要警戒だ。

【追記サイト】管理者(筆者)が参考にしているリアルタイムの世界各国の感染状況の追跡サイトのhttps://www.worldometers.info/coronavirus/では、グリニッジ標準時間の21時48分の時点でブラジルは3万9827人になっている。日ごとのPCR検査人数のブレのためと思われるが、この場合人口10万人当たりの新規感染者数は20.0人になり、日本で言えばステージ3から4の間になる。東京都人口換算では2800人程度になる。ただし、人種の相違や変異株の種類、7日移動平均ではないことに注意が必要だ。

なお、日本ではコロナワクチンの接種のスケジュールははっきりしないし、接種しても効果がある免疫力を獲得できるまではには時間がかかる。日本は中央政府(政府と日銀)が持つ通貨発行権を使い。大胆な積極財政を行って、検査と検査陽性者(感染者)の保護・隔離と国民の生活・企業の存続の補償・保障を十分行う必要がある。余談ではあるが、第3波の際に東京都を中心とした首都圏。関西圏で医療崩壊が起こったのは、大日本帝国陸軍が運営していた陸軍病院、同海軍が運営していた海軍病院、および軍事保護院を前身に持ち、戦後は厚生労働省の管轄下に入った国立病院(独立行政法人化)が新型コロナ感染患者を受け入れなかったからだ(https://www.youtube.com/watch?v=7Zg34eijSWA)。文部科学省傘下の国立大学附属病院の中にも、新型コロナ感染患者を受け入れない附属病院が少なくない。地方自治体の公立病院や民間病院(私立病院)、クリニックなどにコロナ感染患者を押し付けているのが実態のようだ。

投稿記事本文

昨日日曜日の3月28日に本紙に掲載された第1回目の記事は、朝日デジタルでは3月29日午前6時00分に、「米国か中国か?日本経済界に踏み絵、対応誤れば『死』」というタイトルで、サイトで一部公開されている(https://digital.asahi.com/articles/ASP3X36T6P3WULFA00K.html?iref=comtop_7_01)。バイデン大統領「率いる」米国は、中国に対して経済協力を行った国に対しては、トランプ政権(当時)がファーウェイに対して制裁を発動したように、端的に言えば対中輸出規制、場合によっては経済制裁を加えるつもりだ。

中国も昨年12月に「国家安全」に関わる戦略物資や技術の輸出を規制する輸出管理法を施行した。レアアース(スカンジウム、イットリウムなど15元素の総称。中国が世界の生産量の90%を占め(朝日は6割以上としているが、中国が世界最大の生産量であることには変わりはない)、スマートフォン、パソコン、省エネ家電、ハイブリッド車や電気自動車など先端産業に欠かせない原材料=https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/re/J0613.html=)の輸出規制を、とりわけ新米国に対して行うなど、同じような経済制裁措置を行っている。朝日デジタルの冒頭部分と結論部分、関連図を引用させていただきたい。

軍事力だけでなく経済的手段を使って国際社会での影響力を拡大させようと、米中間で、安全保障と経済を融合させた「経済安全保障」をめぐる応酬が激化している。安保で対米関係を最重視する一方、中国との経済的結びつきを無視できない日本は、両大国のはざまで揺さぶられている。(中略)

防疫総額に占める各国の割合
防疫総額に占める各国の割合
経済安保にかかわるおもな競合分野
経済安保にかかわるおもな競合分野

だが、将来どんな分野が(中国の輸出)規制対象になるのか、(中国側は)全体像は明かしていない。域外適用や報復条項の運用についての記載も不明瞭だ。日本側には、米国に同調した日本企業が狙い撃ちされるなど、「恣意(しい)的に運用される可能性がある」(政府関係者)との懸念も広がる。

注目すべきことは、日本の場合、輸出と輸入を合わせた貿易総額では米国よりも中国が多くなっているという現実だ。東南アジア諸国連合(ASEAN諸国)でも同様だ。韓国ではその傾向がさらに強い。また、米中の「経済安保戦略」では、次世代の産業が管理対象になっている。だから、韓国やASEANは「QUAD(日米豪印)戦略連携協定」には入っていない。インドも中国との間に紛争があるが、かつては非同盟諸国の盟主であり、民主主義(選挙制度)は大事にしているが、経済大国の中国とはコトを荒立てたくはないというのがホンネだ。

米国は近代欧米文明の「終着国」ではあるが、ディープステートが支配しており、歴代のほとんどの大統領がその傘下にある。なお、ケネディ大統領やトランプ大統領(いずれも当時)はディープステートに与しない大統領と言われている。しかし、カトリック教徒だった民主党のケネディ大統領は暗殺され、ジョンソン副大統領が大統領に就任してから北撃が強化されてベトナム戦争が激化・泥沼化した。トランプ大統領は独自の資金源を有していたが、対中輸入関税の強制引き上げなど対中政策の失敗につながった誤った「白人中心主義」政策の失敗とコロナ戦争、ディープステートとの闘いに敗北した。ディプステート側は昨年の大統領選前にバイデン候補に対して多額の献金をしたのもその大きな要因だ。ただし、トランプ氏は共和党大統領候補として史上最多の7千万票の得票を得ており、ディープステート傘下の共和党上層部・党員との亀裂はあるものの、隠然たる力を保有している。

話をもとに戻すと、民主党と共和党が大統領選で政権交代したとしても同じような体制になる。共和党も民主党も「世界の警察国家」として他国に軍事介入をする。しかし、ベトナム政権では南ベトナム政権の腐敗を除去できず、中国の支援を受けた北ベトナムに完敗した。イラクに大量破壊兵器があると明言して「イラク戦争」を起こしたのは、米国民主党政権(ジョンソン政権)だ。

米ソ冷戦終結後の2001年9月11日には米国同時多発テロ事件が起こり、「イスラム過激派(アルカイダ)」の仕組んだものとしてアフガニスタン攻撃の理由になり、その後、世界的にネオ・コンサーバティブ(新保守主義)が支配的になった。しかし、ディープステートが関与しているとの疑念も消えない(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%8C%E6%99%82%E5%A4%9A%E7%99%BA%E3%83%86%E3%83%AD%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E9%99%B0%E8%AC%80%E8%AA%AC)。

国内でも、「人種差別主義」が存在し、存在していることは認めるが一向に解決しない。ディプステートの主力を占めるWASP(ホワイト・アングロサクソン・プムテスタント)の人口比率はどんどん低下し、黒人やヒスパニッシュ系の人口比率が大きくなっている。連邦国家としての在り方に変容が起きるだろう。米国が真の「民主主義国家」とは言い難い。その象徴としては日本の存在がある。戦後75年が過ぎるのに、米国が日本を「対米隷属国家」として取り扱い、日米安保条約・日米地位協定に基づいて在日米軍基地を治外法権化したうえで、日本の憲法・法律を無視して、自衛隊を米軍の指揮下に置き、QUADによる集団安全保障体制を築こうとしていることが挙げられる。

米軍と自衛隊による南西諸島での攻撃態勢の強化
米軍と自衛隊による南西諸島での攻撃態勢の強化

米国は「人種のるつぼ」と言われる国家ではあるが、多様な人種を含む「連邦国家」の理念となったのは、「自由・平等・博愛主義(利他主義)」の精神を掲げ、近代市場制資本主義体制を生み出したプロテスタンティズムやその影響で自己改革したカトリシズムのキリスト教だ。しかし、今やキリスト教は本来の宗教的革命性を失っており、リバータリアニズム(他者の身体や正当に所有された物質的、私的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する主義・思想、極論すれば他者に対する無関心主義と利己主義)が幅を利かせている。

近代欧米文明の結実体は国際連合であるが、外務省の国際情報局長、イラン大使、防衛大学教授を歴任、戦後日本史の「常識」を理論的に覆している東アジア共同体研究所(鳩山友紀夫理事長)の孫崎享所長によれば、国連憲章は「主権の尊重」を基本理念としている(https://www.youtube.com/watch?v=Sfuo-x5mH_E&t=2279s)。なお、わが国のマスコミでは、ミャンマーで軍事クーデターで権力を手中に収めた軍事政権による国民の武力弾圧の「後ろ盾」はロシアと言われている(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM26C0H0W1A320C2000000/?unlock=1)。

日本国憲法は国連、国連憲章を前提に起草された。「米中覇権争い」が悲劇ー特に、日本の「死」ーを招かないようにするためには、日本が「対米隷属外交」を廃して、日本国憲法の理念に基づいた言葉の真の意味での「積極的平和主義外交」のデザインを描き、日中ロシアに対して推進する以外にない。国連の場などを通して、韓国はもちろん欧州諸国やASEAN諸国、発展途上国を見方につけることも必要だろう。自公連立政権の菅義偉政権にはその能力はもちろん、意思もない。政権交代と強力な野党共闘体制の構築が不可欠だ。


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