菅首相、自民党臨時役員会で総裁選に立候補しないと表明ー自公新自由主義政策の破綻(河野氏追記最終稿)

複数のメディアによると、菅義偉首相(自民党総裁)は3日午前11時30分から開かれた自民党臨時役員会で、6日に予定していた党役員人事・内閣改造を行わず、17日告示、29日投開票の党総裁選に出馬しないと表明した。新総裁の最有力候補は河野太郎行革担当相兼ワクチン担当相と見られる。

菅首相、総裁選出馬せず。今月末に総理大臣辞任へ

NHKはWebサイトで午後12時02分、「菅首相 自民党総裁選に立候補せず 自民党臨時役員会で表明」と題して次のように伝えた(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210903/k10013240781000.html)。

菅総理大臣は自民党の臨時の役員会で今月行われる自民党総裁選挙に立候補しないことを表明しました。これにより今月末に総裁としての任期が満了するのに伴い、総理大臣を辞任する意向とみられます。自民党は3日午前11時半すぎから党本部で臨時の役員会を開き、およそ10分ほどで終了しました。(中略)

菅首相(自民党総裁)
菅首相(自民党総裁)

これにより今月末に総裁としての任期が満了するのに伴い、総理大臣を辞任する意向とみられます。また、来週6日に行いたいとしていた党役員人事についても実施しない考えを示しました。

菅首相は昨日9月2日夕、二階俊博幹事長に自民党総裁選に出馬する意向を伝えていた。ただし、本サイトでは、①小泉進次郎環境相を「幹事長」に大抜擢することには目処をつけたものの党内での不満が圧倒的に強くなっていること②岸田文雄前政調会長が菅首相(総裁)の予想とは異なり「善戦」(自民党内若手議員の間に支持の広がりを見せていること)③河野太郎行革担当相兼ワクチン担当相の「政調会長」への取り込み、石破茂元幹事長の要職起用に失敗したー場合は10月5日解散、17日総選挙に踏み切るとの見方を示していた。

菅首相の今回の総裁選出馬断念は、河野行革担当相兼ワクチン担当相の「政調会長」への取り込みや石破元幹事長の要職への起用に失敗し、総裁選に出馬しても岸田前政調会長らに敗北してしまうと判断したためだと思われる。菅首相の公式会見では「コロナ対策に専念したい」ということだ。しかし、「コロナ対策に専念したい」というのなら何故、野党が要求している臨時国会を召集しないのか。また、最新のコロナ感染対策の知見に基づかず、「無為無策」を繰り返してきた結果、「徹底検査と補償を前提とした隔離・保護・治療」という感染症対策の根本原則とは真逆の「自宅治療=自宅放置=自宅遺棄」という最悪の事態に陥ってしまったが、そのことへの謝罪がない。「コロナ対策に専念したい」というのは表向きの理由でしかない。

実際は、政権運営に行き詰まった末の「政権投げ出し」だ。同時に安倍晋三、菅政権と続いてきた自公連立政権による新自由主義政策の破綻でもある。次の総裁だが、河野行革担当相兼ワクチン担当相が出馬の意向を固めたようだ。その場合、派閥の力学と党員・党友の人気度の高さから、次期総裁の本命は麻生派の河野行革担当相兼ワクチン担当相になるだろう。河野首相の誕生によって、自民党の総選挙での大敗北は防げる。

【重要追記:午後22時40分】朝日新聞記者出身でフリージャーナリストの佐藤章氏によると、菅首相が総裁選不出馬を決断した直接のきっかけは、9月2日夕刻に行われた二階俊博幹事長との10分間の会談だったというhttps://www.youtube.com/watch?v=Xbn1NDFTyOA)。菅首相は小泉環境相を次期幹事長に起用することで同相の了承を取り付けたが、自民党内での批判が極めて激しかったため、菅首相は二階幹事長から小泉環境相を次期幹事長とすることで同意を取り付けようとしたが、二階幹事長にまで「小泉環境相を幹事長にするのは駄目だ」と反対された。

会談はそこで終わったが、菅首相はその後、石破元幹事長や河野行革担当相兼ワクチン担当相を幹事長に起用することを考えたが、石破氏起用には安倍前首相が絶対に反対することが明らかであり、心の底では総裁選出馬の機会を探っている河野氏を幹事長に起用することは困難と判断したため、自民党内外に「公約」していた党役員の人事刷新が不可能になり結局、辞任に追い込まれたという。説得力ある内容と思われる。

佐藤氏は、河野行革担当相兼ワクチン担当相が首相に就任し、自民党の世代交代が加速することになると見ている。その場合は、当面の最重要政策は「コロナ対策」であるため、あらゆるルートを通して、河野氏に対して「感染症利権ムラ」の「似非コロナ対策」を抜本的に転換するよう働きかけていくと述べている。ただし、河野氏は原発には反対だが、やはり、対韓関係、対中関係などで多少の柔軟さはあるようだが、「小さな政府」と「消費税増税」を原則とする立場を示すなど、自公連立与党を支配している新自由主義的思想の信奉者であることに変わりはない。このことも考慮に入れると、厚労省の医系技官を解体し、「似非コロナ対策」の抜本転換を実際に行えるかは不透明だ。

ただし、河野氏が総裁選で新総裁に選出され、首相に就任すれば、野党側が次期総選挙で政権交代を果たすことは極めて困難になる。真正野党側が秋の総選挙で政治権力を国民の側に取り戻すためには、安倍・菅政権の「似非コロナ対策」を廃し、本投稿記事の最後に記したコロナ対策の抜本転換を旗印に戦う以外にないだろう。

なお、一部に「小泉環境相が菅首相からの幹事長就任を断ったから、党新役員人事が不可能になり、首相は辞任せざるを得なくなった」との見方がある。しかし、小泉環境相が菅首相としばしば会い、同首相を持ち上げていたことからすればそれはあり得ない。単純に「幹事長」就任を「チャンス到来」と錯覚したと思われる。さもなくば、サイト管理者(筆者)の独断と偏見で申し訳ないが、小泉環境相が菅首相の「幹事長起用」に応じた深い狙いがあることも考えられる。

それは、米国の支配層=ディープステート(闇の帝国:軍産複合体と多国籍金融資本・企業)が指示したものではないかと推察している。ひとつの傍証は、菅首相が小泉進次郎環境相と頻繁に接触したことだ。小泉環境相はマイケル・グリーンらディープステート傘下の「知日派」と呼ばれるジャパン・ハンドラーズ=対日工作員(リチャード・アーミテージ、マイケル・グリーン、ジョセフ・ナイ、カート・キャンベルら)の手引きによって、コロンビア大学大学院に進学、修士号を取得した後、同じくディープステート傘下の米国戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies, CSIS)非常勤研究員を務めた経歴の持ち主で、自民党所属議員の中でもとりわけ、ディープステートとのつながりが深い。

ディープステートの最大の狙いは、①日本を永遠にその従属下に置く②原発稼働を推進させる③新自由主義(弱肉強食主義)に基づく経済政策を推進させるーことだ。このため、日本を対米従属から解き放ち、日本の真の独立を確保しようとする政治家や政治勢力の台頭を阻止しようとする。小泉環境相が菅首相の「幹事長起用」に応じたのも、その意図に沿ったものだろう。

ディープステートはまた、官公労中心の旧総評と民間産別主体の旧同盟が統合されて1989年に成立した日本労働組合総連合会(連合、加盟労働組合員数は約700万人)を支配している主力6産業別労働組合を通して、立憲民主党と日本共産党やれいわ新選組、社民党との分断を図っている。6産別とは、①UAゼンセン(繊維、化学、食品、流通など加盟組合員数177万人)②自動車総連(自動車、同79万人)③電機連合(電機、同57万人)④JAM(機械、金属、同38万人)⑤基幹労連(鉄鋼、造船、非鉄、同27万人)⑥電力総連(電力、同21万人)ーのことで、総組合員数は約400万人。連合全体の加盟組合員数の約6割を占める。連合は基本的に自公連立政権の新自由主義経済政策を支持している。

立民の枝野幸男代表の姿勢が煮えきらず、野党連立政権(閣内協力)はおろか野党連合政権(閣外協力も含む)にも消極的なのは、連合6産別を通してディープステートに支配されているからだ(https://news.yahoo.co.jp/articles/a1dba080682d8240f354e009502d73ed06075c3e)。

立憲民主党の枝野幸男代表は1日、共同通信のインタビューに応じ、次期衆院選について「単独過半数の獲得を目指す」と述べ、政権交代の実現に意欲を示した。目指す政権の在り方として「共産党とは日米安全保障条約や天皇制といった長期的に目指す社会像に違いがあり、連立政権は考えられない」と明言。「どういう連携ができるか公示までに具体的に示したい」とした。

菅首相(総裁)は、自民党総裁選への出馬断念を表明した以上、内閣総辞職して首相を辞任、総裁選後に開かれる臨時国会で首班指名投票を行った後、解散・総選挙か任期満了総選挙という段取り(10月5日公示、10月17日投開票)になる。立憲民主党を始めとした野党側は、冬場に大襲来するコロナ第6波の被害を最小限に食い止めるため、次の対策を行うことを選挙公約にすべきだ。

第一に、徹底した検査と補償を大前提とした隔離・保護・治療(「自宅療養=自宅遺棄」の撤廃)」という世界標準の感染症対策の根本原則を忠実に実行する。第二に、コロナ変異株のゲノム解析能力の飛躍的な向上に官民挙げて努める。第三に、政府や知事の権限で出来る国公立大学附属病院の原則コロナ病院への転換(重症者や中等患者の受け入れ)や厚労相の支持で出来る国立病院機構や地域医療推進機構、労働者安全機構傘下の病院の中等患者専門コロナ病院への転換、大規模療養施設の建設・整備など医療体制を抜本的に再編する。第四に、官民挙げて治療薬と安全かつ変異株に強い安全で有効なワクチンの開発に努める。第五に、医系技官制度を解体し、日本版疾病予防センター(Centers for Disease Control and Prevention=CDC)を組織化する。

冬場に必ず襲来する第6波に備え、これらを中核としたコロナ対策の抜本的大転換策を打ち出すべきだ。そのうえで、「共生主義」という共通理念と骨太の共通政策、野党連合政権構想(連立政権とは異なり閣外協力を含む)を国民の前に提示する必要がある。特に、立憲民主党の枝野幸男代表ら執行部は、日本共産党やれいわ新選組、社民党との本腰を入れた共闘体制の強固な確立に向けて総選挙戦略を抜本的に練り直す必要がある。そのためには、連合6産別の支配から脱して、少なくとも日本共産党などが主張する「野党連合政権構想(強力な閣外協力を含む)」には応じなければならない。そうでなければ、政権交代は不可能で、政治権力を主権者国民の手に取り戻すことは出来ない。

9月3日金曜日のコロナ感染状況(追記予定)

9月3日金曜日の東京都の新規感染者数は前週金曜日より1688人減って2539人になった。死亡者は10人で、東京都基準での重症者は2日より13人減って278人となっている。7日移動平均での新規感染者数は前週比69.3%の2898.9人。夏場に流行するという季節要因からすると、新規感染者数はピークアウトしてきているようだ。ただし、重症者や入院待ちの感染者、「自宅療養者=自宅放置者」はまだまだ多い。冬場に大流行するという季節要因からすれば、第5波と6波の間に上述したコロナ対策の抜本転換が必要だ。

全国では午後18時30分23時59分の時点で、新規感染者は1万6738人、死亡者63人、重症者2221人になっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移


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