アベノミクスは表面的には、①量的金融緩和政策による長短金利の下落→設備投資増と輸出拡大が狙いだが、いずれも実現せず。実際は円安になっただけ国力が低下②財政出動による景気浮揚→外部経済効果の大きい社会的共通資本を拡充する公共投資ではなく、血税を散財する単なるバラマキ③環太平洋連携協定(TPP)など経済構造改革→潜在成長率の引き上げのご託宣だが、実際は伝統ある農業つぶし、仁術である医療への弱肉強食原理の本格導入で国内での超格差社会の拡大ーと、日本国を破壊する「政策(政策の名に値しない)」でしかない。次の図を見れば、一目瞭然である。

下図は「世界経済のネタ帳」から撮ったものである。

gdps

これは、2013年末の時点での国際比較だから、2014年末の時点ではドイツにも抜かれている公算が大きい。数年前に中国に二位の座を明け渡したばかりなのに、あれよあれよというまに、中国の国内総生産(GDP)の半分になった。

対米隷属の新保守主義(ネオ・コンサーバティブ=ネオコン、実態は軍産複合体+新自由主義)政策(超緊縮財政、近隣窮乏化のみならず自国窮乏化政策の超円安政策、軍備増強、言論弾圧政策)を採り続けているため、こうなった。新保守主義は真の保守ではない。真の保守は、国内的には国民主権による議会制民主主義、基本的人権の尊重、平和主義=国際連合中心主義(敵国条項の削除と常任理事国入り、集団安全保障体制の名実ともの確立など有名無実化している現状の積極的改革と並行)を中心に、現行憲法の理念を発展させる真の憲法改正(憲法改悪と憲法改正を混同してはならない)とともに日米安保条約の廃棄とそれに代わる共存共栄の「日米友好条約」の締結を目指すものである。

上記10位以内に、中国、ブラジル、ロシア、インド(BRICs)が入っているうえ、韓国やインドネシアも上位に来ていることが重要である。特に、BRICsは対米債権国家群であることに注意が必要だ。米国のGDPは17兆ドル程度だが、その25%に当たる4兆ドル超がこれらの国からの借金である。4兆ドル(470兆円)と言えば、日本のGDPの80%から90%に当たる。米国は財政赤字を海外からの借金で何とか賄ってきたが、BRICsが「米国にカネを貸す(具体的には米国債を購入する)のはもういやである、返してくれ」と言われたら、同国は予算を組めなくなる。BRICsが米国にカネを貸すのをいやがるのは、米国が巨額の経常赤字を抱え、借金の返済の原資になる経常収支を黒字化する能力も意思もないからである。

そのため、米国からの独立に失敗している日本が米国の言われるままに宗主国に対して返済のアテのないカネを貸し続け(現在、1.3兆ドル=150兆円の米国債を保有している)、ついには、自衛隊までタダで渡す。集団的自衛権の発動とは要するに、日本が米国の「財布国家」、「傭兵国家(ただし、雇うだけのカネはない)」になることである。こういうことを祖国愛に燃える真の保守が行うはずがない。財テクの観点から言えば、日本はドル高の今こそ、米国債を売却すべきである。そして、中国に借り換えてもらえば良い。なお、日本の対外純再建は325兆円(2013年末、日本銀行調べ)ほどもある。世界最大のカネ貸し国家が世界最大の借金国家にヘイコラとひざまづいているのであるから、これほどおかしなことはない。

円の価値を守り、高める使命を持っているはずの日銀の黒田東彦「総裁」は「戦力の逐次投入はしない」と公言しながら、昨年の10月末、第二次量的金融緩和政策を強行した。国債を始めとする債券を購入して市中にばら撒いたわけだが、これは米国の出口戦略に踏み出したのを支えるためである。米国の財務省、連邦準備制度理事会(FRB)が一番恐れているのは、国債価格の暴落(長期金利の急騰)である。これを抑えるために、日本に命令して「黒田バズーカ砲」とか「ゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式売却」による郵貯資金の収奪(日本国債のの借り換えが不可能になり、重大な結果をもたらす)、独立行政法人公的年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産運用比率における外債投資比率の引き上げ(要するに、米国の債券、株式「投資」比率の引き上げ)など、あれやこれやの手を策動しているわけである。

国会ではイスラム国のテロを避難する決議を行ったが、米国を始め有志国連合が2000回を超える空爆を行い、無垢の市民・女性・子供・老人が殺されている。広島・長崎と同じく、これもテロではないか。そして、一番喜んでいるのは「死の商人」である米国の軍産複合体である。彼らこそ、現代の「悪魔の実態」である。

中東問題の発生は、古くは旧約聖書のアブラハム、イサク、イシマエル問題に端を発しているが、欧米列強の帝国主義・植民地政策の失敗のツケももちろんある。そういう問題を米英イスラエル主導の有志国連合で解決できるわけがない。今こそ、密度の濃い議論を展開すべきであり、「安倍政権批判の自粛」などはもってのほかである。

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう