早急に2019年度第二次補正、20年度第一次補正の編成を(加筆強化)

2019年度内に成立させるため2020年度の予算案が2月28日、衆院本会議で与党と日本維新の会賛成で可決された。しかし、この予算案には新型コロナウイルス対策が含まれていない。新型コロナウイルスは医療分野だけでなく、企業の休業や剤のサプライチェーンにも支障を来しており、好景気を期待してきた夏のオリンピック、パラリンピックの中止を求める声も上がり始めた。こうなると、経済への影響は、米国のダウ平均が暴落の展開になっており、日本の平均株価も厳しい状態であることに象徴されるように、甚大なものになりつつある。政府=安倍晋三政権は2月25から2周間がヤマと言っているが、PCR検査はせず新型ウイルスの「公表数字抑制策」が対策の基本方針だから、ヤマは高い。乗り越えられないだろう。2020年度予算は4月から執行される。新型コロナ対策は2019年度内に必要だから、変則的な形だが2019年度第二次補正、2020年度第一次補正を編成するときである。

政府=安倍政権が2月13日発表した緊急対策は、2つの柱からなる。ひとつは予備費103億円を含む153億円の医療基本対策である。もうひとつは、日本政策金融公庫などに緊急貸付・保証枠として5000億円を確保することである。こんな程度ではとてもこの緊急事態を乗り切ることは出来ない。

日本の2019年の名目国内総生産(GDP)は第一次速報値で548兆9084兆円だから、2020年(度)は、昨年10月の、財務省の公文書偽造の借りを返す形で実施した消費税増税強行で景気後退が本格化したさ中に、新型コロナウイルスの広範な悪影響が加わる。これで、景気後退がさらに深刻化し、相当なマイナス成長(実質GDP減少率)が避けられないが、1%のマイナス成長でおよそ5.5兆円規模のGDP(暦年または年度に生産した付加価値の総額)の減少が起きる。2008年9月15日に米国で起きたリーマン・ショックでは2008年度は1.12%のマイナス成長率になり、本格化した2009年度には5.42%ものマイナス成長に陥った。こうなると5000億円程度の緊急貸付ではどうにもならない。

※追伸(3月1日追加)
リーマンショックのことを持ち出したのは、米国のダウ平均がリーマンショックを超えるほどの週間下落の展開になったからだ。米金融市場は新型コロナウイルスの感染拡大(朝日デジタルによると、世界保健機構=WHO=のテドロス・アダノム事務局長は2月28日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大や影響の世界的なリスク評価について「非常に高い」と述べ、感染が広がり続ける状況に危機感を示した。それまでは単に「高い」としていた。その後、発言を修正し「重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)ほど致命的ではないようだ」たが、発言に一貫性がない)を極めて深刻に捉えている。米主要企業でつくるダウ工業株平均は週末2月28日、前日比357ドル安の2万5409ドルで終え、7営業日連続での下落になった。週間(5営業日)での下げ幅は計3583ドルと、2008年のリーマン・ショック後を超えて過去最大を記録した。

さらに、153億円の医療対策費の内訳は、➀帰国者等への支援30億円②国内感染対策の強化65億円③ミス際対策の強化34億円④影響を受けた産業等への緊急対応策6億円➄国債連携の強化策18億円-であるから、話にならない。最も重大な対策は、民間の検査機関を総動員して優先順位をつけてPCR検査を実施することであるが、これがすっぽり抜け落ちている

2月25日公表された政府=安倍晋三政権の基本対策でも、現行では「感染症法に基づく医師の届け出により疑似症患者を把握し、医師が必要と認めるPCR検査を実施する」から「地域で患者数が継続的に増えている状況では、入院を要する肺炎患者の治療に必要な確定診断のためのPCR検査に移行しつつ、国内での流行状況等を把握するためのサーベイランスの仕組みを整備する」になっているに過ぎない。

要するに、新型コロナウイルスに感染して重篤な肺炎に罹患している患者に対してのみPCR検査を行うということには何ら変化はない。「国内での流行状況等を把握するためのサーベイランスの仕組みを整備する」との文言も意味不明である。

現実には、PCR検査をすれば陽性だが自覚のない、または、極めて自覚症状が軽微な患者が公共交通機関を使い、あるいは法人や学校で知人と濃厚接触を行い、どんどん感染を拡大する。その中で、持病を持たれた高齢者から重篤な新型肺炎に罹患し、病院に入院してPCR検査を行うだけのことだ。こんなことで、感染拡大を阻止することは不可能だ。

2月25日のTBS「News23」で上昌広・医療ガバナンス研究所理事長が語ったところによると、「民間の検査会社は国内に約100社あって、全体で900くらいラボ(検査施設)を持っている。その1つで100個(人)検査をすると、1日で9万件、検査できる。本当にプロの人たちで精度の管理もしっかりしている。そういうところに頼めば本当に簡単に検査ができる。それをなぜしないのか」「PCR検査というのは古い検査で実は非常に簡単。ウイルス感染を診断するのに必須の検査。韓国と比べてここまで少ないというのは何かウラがあるというのか・・・。厚生労働省がよほど(検査を)やりやくないのだなあというニュアンスを感じる」などと語り、厚生労働省と政府=安倍政権を批判している。

News23の番組では、小川彩佳キャスターが、韓国の累計検査数は2月25日16時時点で4万304件であるのに対して、日本の累計検査数は913件しかないということを紹介した。PCR検査数が極端に異なることから、韓国で陽性の患者が日本よりも多いのは当たり前で、嫌韓派が韓国をさげすむなどもってのほかだ。新型コロナウイルス感染防止対策の基本はPCR検査体制の強化で、地方自治体(保健所など)の許可を受けることなく、少なくとも医療保険でだれもが早急に検査を受けられる体制を築くことである。また、高齢者介護施設などは原則として、PCR検査を直ちに行う必要がある。最近は、御用学者ならぬ御用医師がSNSを使いPCR検査は、行っても治療法がないから不安を与えるだけで無駄であるなどとする詭弁を流している。

話をもとに戻してこれに、経済への深刻なダメージが予想されることを加えると、野党を自称する政党は自ら案を作成し、変則的な形だが新型コロナウイルスへの総合対策を柱とする2019年度第ニ次補正予算とこれに続く2020年度第一次補正の編成を早急に求めるべきだ。既に、春の甲子園での選抜高校野球は良くて全試合無観客試合、悪くて廃止に追い込まれる。厚労省と同省に指令している政府=安倍政権の願望である夏のオリンピック、パラリンピックに対しても、中止の声が噴出し始めた。

イベントの自粛要望(実際は命令)を行った場合や学校に対する突然の休校要請(実際は命令)のために父母が休業に追い込まれた場合、さらには、企業が事業活動中止に追い込まれた場合、それに対する休業補償などの莫大な補償措置(れいわ新選組の山本太郎代表は、サービス業が営業停止に追い込まれた場合だけでも当面、最大3兆5千億円の休業補償が必要になると見積もっている)が必要になる。そうした補償措置の財源を示さない(民間に負担させることを意味している。正規社員であれば休業補償が出る可能性が高いが、非正規社員であれば休業補償が出ない場合が多い)で、安倍晋三首相が突然の全学校休校命令を下すなどのことをしたのは、同首相が錯乱状態に陥っていることを示す典型的証拠としか言いようがない。

※追加
国においては財政法第29条で以下の場合に補正予算を編成できると規定されている。
1.法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む)又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合
2.予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合

日本の単年度国家予算で補正予算の回数が多かった年は1947年(昭和22年)で15回補正予算を組んだ例がある。2019年度の予備費は残り2743億円で、20年度予算案には5000億円を計上しているが、消費税増税強行に加えて新型コロナウイルス感染拡大・経済活動の萎縮などで、これではとても足りない。2020年度の予算は今年4月から執行できないので、今年3月までに新型コロナウイルス感染拡大、景気後退への対策を打つとすれば、2019年度の第二次補正予算を早急に編成するしかない。2020年度予算案は衆議院を通過したが、参議院でも成立するか、または衆議院で成立後、30日しなければ国会での成立にはならない。もっとも、政府=安倍政権はそんなことはしないだろう。

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