朝日デジタルの「検察庁法改正案擁護」、社会の木鐸としての使命果たさず−期待などしてないが(加筆・強化)

朝日デジタルが2020年5月17日7時00分に投稿した「異例の抗議なぜ続出?検察庁法改正案、論点オールまとめ」と題する記事で、ざっくり言って検察庁改正法案に賛成し、反対するものを批判している。一見、リベラルなポーズを取りながら、最終的には政府=安倍晋三政権を擁護する。騙されないようにしよう。

「異例の抗議なぜ続出?」としているところが、朝日新聞社らしい。要するに、検察庁改革法案に賛成し、反対するものを暗に批判している。

その最大の根拠が、「改正案の施行日は2022年4月1日。交代時期が今夏とされる検事総長に黒川氏が就任しても同年2月に定年の65歳を迎えるため、今回のような異例の対応をとらない限り、新たな特例規定は使えない。そこが『無関係』という主張の根拠の一つになっている」との見解。

しかし、森友学園、それに伴う財務省の公文書大偽造、加計学園、桜を見る会前夜祭、桜を見る会などの刑事事件としての立件・起訴に向けて、検察庁がまったく動いていないことは通常の感覚からして、極めて疑問であり不可解だ。財務省の公文書大改ざんでは、公文書改ざんを上司から自ら強要され命を絶った財務省近畿財務局の上席国有財産管理官、赤木俊夫さん(享年54)の妻が国に再調査を求めているが、政府=安倍政権はまったく気にしていない。これを、「極悪非道」という。

また、日本国憲法が禁止している「集団的自衛権」に対する内閣法制局の解釈をいとも簡単に変更、「安保法制」なる法律を制定したり、1月31日に人事院の検察官幹部の定年に関しては国家公務員法による定年解釈の規定は適用されないことを知らずに、黒川氏の定年延長を閣議決定したことなどからすれば、法律を勝手に変更することなど朝飯前の政府=安倍政権が、検察庁法改正案の施行日を守るなどのことは、信じる方がおかしい。

また、関係者の間で河合克行元法相・河合案里の公職選挙法疑惑に向けて広島地検が捜査をほぼ終えて、関係者からの立件・起訴に向けて動いているとの指摘が出ていることと今回の検察庁改正法案との関係に触れてもいない。2020年5月16日5時00分掲載の「検察庁法改正 やはり撤回しかない」との社説からすれば、解説記事としてはかなり整合性を欠く。元来、新聞は「識者の意見」は別として、論調が支離滅裂にならないよう社説と解説記事とは論調の整合性を保つべきだ。

リベラルの立場を取りながら、最終的には政府=安倍政権に屈してしまうというのが、日本のマスコミがマスゴミと呼ばれるゆえんだ。

※追記(2020年18時00分)
なお、政府=安倍政権が不要かつ普及、害悪しかない「検察庁法改正案」の強行を急ぐのは、稲田伸夫検事総長が同法案に抗議して7月に退官しない場合に、黒川氏に対する再度の東京高検検事長の定年延長を正当化するためであると見られる。一度、強行採決してしまえば施行日の変更などはどうにでも変更できるというのが、日本国憲法の理念と憲法解釈の慣例、法律およびその解釈の慣例無視が常とうの、この政権の「性格」である。

なお、一般の検査機関や大学の研究機関でのPCR検査は省かれているが、全国の保健所に設置された「帰国者・接触者センター」への相談件数、PCR検査数が5月以降、急減しているのも大変に気がかりである。「営業自粛・自宅待機要請」は世界保健機構の主張する「検査・検査・検査と隔離」とは無縁であるから、2020年度予備費と第二次補正案の早急な策定、成立を前提としてコロナ禍対策の抜本転換を行わない限り、新型コロナウイルスの収束、経済活動の正常化には国民誰もが疑心暗鬼になる。

このため、通常の経済社会活動に戻るには長期戦を覚悟しなければならない。明日5月18日に今年第1四半期の国内総生産(GDP)統計が出る(ただし、統計の基準値・基礎データが変更され、過去の統計は従来よりも情報修正される)が(それでも)、コロナ禍がまだ深刻化していない段階の同期でも実質経済成長率はマイナス1.0%、年率換算マイナス4.0%と前後だ。今年第2・四半期はもっと悪くなる。

検察庁改正案、年金制度改革法案、国家戦略特別区域法改正案(政府と地方自治体の首長、利権追及企業の集合体からなる住民会議が独裁地域=スーバー・シティ、ITを駆使した独裁管理社会=実現のための改正法案)、種苗法改正案などの不要不急かつ有害な「火付け泥棒」法案の審議は止め、2020年度予備費の速やかな活動と第二次補正予算案の早急な編成と成立が喫緊の課題だ。

※追記(2020年19時14分)上記で「火付け泥棒」との厳しい表現を使ったのは、小泉純一郎政権以降の歴代政権(鳩山一郎首相−小沢一郎幹事長時代を除く)が新自由主義路線=弱肉強食路線を本格的に推し進め、公が行うことまで、時の政権が利益供与のために利権主義・営利主義に立つ貪欲な民間事業者と組んで、簒奪してきたからである。これについては、ノーベル医学・生理学賞受賞者の山中伸弥教授が個人の資格で解説しているサイトで紹介された次の黒木登志夫元岐阜大学長の論文(https://shard.toriaez.jp/q1541/529.pdf)に詳しい。

是非御高覧いただきたいが、世界から見た日本の政府=安倍政権、専門家会議の新型コロナウイルス感染症対策は総合的にみて、中国の55.17をかなり下回る48.4にとどまっており、PCR検査を行政検査として行ってきため検査人数が世界各国と比べて非常に少なく世界の諸国も信頼していないことを訴えておられる。評価の低い順序としては人体実験にも等しい「集団免疫獲得実験」を行ったため、死亡者がたの北欧諸国に比べて著しく多く、完全に失敗したスウエーデン(人口千万人、東京都以下)の38.2、社会インフラを担う低所得賞への対策が無策であったため感染者の爆発的増大(オーバーシュート)が起こってしまったシンガポール(人口500万人程度のの都市国家)の39.08に次ぐ低さだ。

なお、「官」がやらなければならない保健所を1997 年から22年間で852 から472 に潰してきたことや、感染症の行政検査を担う地方衛生研究所については、①職員数:13%減②予算 :30%減③研究費:47%減−と削減するなど、社会保障費を劇的に削減してきたために、両機関に負荷がかかりすぎ、PCR検査人数が世界各国に比べて唖然とするほど少なくなってしまったことも特筆しておかなければならない。「税と社会保障の一体的改革」の大義名分のもとに消費税増税のみ強行し続けてきたが、社会保障は充実されるどころか削減され続けてきた。

はっきり言って、政府=安倍政権の権力の私物化の大暴走を止めることが、最大のコロナ禍対策である。