本日4月4日に安倍晋三首相は改正新型インフルエンザ特別措置法に基づいて発出した「緊急事態宣言」の延長を発表する。サイト管理者の言葉だが、東京都など感染経路の不明な「市中感染」が拡大している大都市圏は、現在の営業自粛・自宅待機要請(実態は、ドケチな休業補償しかしない休業命令。日本国憲法が国民の生存権の保証を政府と地方自治体に命じた日本国憲法第二十五条と、公共の福祉のために財産権=国民の営業活動も財産蓄積の大きな源泉=を制限する場合は正当な補償が必要であると定めた第二十九条に明確に違反している)は継続し、その他の地域は部分的に要請を緩和するとのことだ。しかし、政府=安倍政権は事実上、PCR検査を妨害しており、国内の感染実態は明らかに出来ないでいる。また、PCR検査で陽性になり入院後、対症療法を継続中に「免疫力」で退院された患者さんが自宅に帰宅して暫くすると症状が再発したという事例も少なからず報道されており、「免疫力」にも疑問がつく。やはり、真のコロナ対策は安倍内閣退陣と専門家会議の解散しかない。
厚生労働省が発表した5月3日時点のPCR検査の日毎、検査機関ごとの実施数は次の通り。
厚労省は、同省のITシステムが貧弱なためリアルタイムで検査数の統計が取れないでいる。このため、5月3日夜の時点でも4月30日、5月1日の検査数は不明だ。仮に、4月29日の水準だと仮定すると、3月6日から5月1日までのPCR検査数は累計で26万2376人。これを全体の期間87日で割ると、1日平均3016人。最近は、検査を妨害してきた加藤勝信厚労相率いる厚労省も医療機関の現場の悲鳴にやむなく対処するため、民間の検査機関にPCR検査を依頼せざるを得なくなり、そのお陰で最近は1日当たり6000人から8000人になっている。
さて、日本の人口は厚労省の推計で今年4月時点で1億2596万人。さすがの厚労省も、人口の推計くらいは出来るだろう。3月6日から5月1日までの累計検査人数は、4月30日と5月1日の検査人数が4月29日と同数だったと仮定すると、26万2376人。人口千人当たり2.1人しかいない。経済先進国のクラブである経済協力開発機構(OECD)が4月28日に発表した統計によると1.8人。この数字は上記の仮定計算とも符合する。OECDのこの数字は、加盟36カ国中下から2番目の少なさだ。余りにも少なすぎる。
日本の中国地方の中核都市である広島県広島市発祥の新聞社・中国新聞の5月4日の社説は、日本のPCR検査の少なさを厳しく批判している。一部を下記に引用させていただく。
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日本の検査数はどれだけ少ないか―。人口千人当たりの検査数は、経済協力開発機構(OECD)によると4月28日時点で1・8人と、加盟国中で最低レベルだった。イタリアの29・7人、ドイツの25・1人に比べ10倍以上、11・7人の韓国と比べても水を開けられている。「広範な検査をしない日本の感染(実態)は正確に把握するのが困難だ」。在日米国大使館がそう指摘するのも当然だろう。。
政府はこれまで検査対象を広げず、濃厚接触者を重点に検査するクラスター(感染者集団)対策に力を入れてきた。当初は検査態勢が十分整っていないことが背景にあったのだろう。陽性者が増えすぎて感染症用の病床が足りなくなれば、重症者への対応が遅れてしまいかねない。医療崩壊を起こさないようにする狙いもあったようだ。しかし感染経路が分からない市中感染が急増する中、クラスター対策重視では感染拡大への歯止めとしては限界がある。(中略)。
伸び悩みの背景には、窓口となる保健所などの人材や、検査器具、防護服、マスクといった資材の不足がある。(しかし)政府が早くから都道府県などと連携して、検査体制の拡充を図っていれば、検査数はすぐに増やせたのではないか。対応が遅いと言わざるを得ない。
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なお、同紙の社説の、厚労省・専門家会議が採用した初期のクラスター対策についての考え方には誤りがある。東京オリンピック強行開催に明け暮れ、政府=安倍政権の初動対策が遅れたこと、豪華客船ダイヤモンド・プリンス号対策が決定的に失敗したこと、嫌韓主義から韓国に学ばなかったことなど、支離滅裂な「対策」が原因である。PCR検査の大規模な実施が必要なことは当然のことであり、その体制は意思さえあれば可能だった。
さて、2020年度(第一次)補正予算案の審議を行った参議院予算委員会で、国民民主党の森ゆう子参議院(「国民の生活が第一」を基本理念とした旧自由党から移籍、新潟県選出)は、「(国内の感染状況を把握するうえでは絶対に必要な)PCR検査は、なぜ少ないんでしょうか」と安倍首相を糺した。
ところが、安倍首相ではなく加藤勝信厚労相がしゃしゃり出て、「それぞれの地域のなかでご努力いただいているんです。国だけ旗を振ったからといって、どうにかなるもんではない」と平気でウソをついた。PCR検査を大規模に行えば医療崩壊が起こるとの大義名分の下に、検査を妨害したのは他ならぬ加藤厚労相率いる厚労省である。
最近では、国内の専門家会議のメンバーでない有識者やそれなりに良識のあるマスコミ、検査の妨害やたらい回しにあった国民、とりわけ米国を中心とした海外諸国などから、法の下の平等に反して特権階級だけは早期にPCR検査を受けられる仕組みになっている現状に驚いている現状も踏まえ、PCR検査を実施しないことに批判が急激に高まっている。
そこで、加藤厚労相、専門家会議の尾見茂副座長らは、一応は柔軟な姿勢に転じていると述べている。しかし、現実は上記のように世界各国の現状からすれば、何ら変わっていないのだ。要するに、PCR検査を妨害する意図に変化はないから、財政措置も講じないで地方自治体や地方の医師会に責任を転嫁しているだけのことなのだ。政府=安倍政権は、国民の生命は二の次で、新自由(放任)主義に基づいて国立感染症研究所などと結託して、後者が検査、抗ウイルス薬、ワクチン開発利権を独占、相互に利益を分け合うことに徹している。
厚労省のサイトには未だに、次の検査条件が記載されたままだ。
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次の症状がある方は(1)(2)を目安に「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。
(1)風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。
(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
(2)強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、風邪の症状や37.5℃以上の発熱が2日程度続く場合、又は強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
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その一方で、慶応大学附属病院その他の全国の医療機関で無作為に新型コロナウイルスに感染した場合に産生される抗体の検査(血液検査で結果が判明する)では、3%から6%の陽性判定結果が出ている。仮に、3%としても、3600万人ということになる。何らかの症状のある患者さんを対象に無作為に検査したものだから、これは国内感染者数としては無理だけれども、日本国内の実際の感染者数は、下記の朝日デジタルが掲載している厚労省謹製の「確認感染者数」よりはかなり多いことは確実だ。
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なお、謹製の公表値でも死亡率は5.1%と指定感染症2類としては相当に高い。「専門家会議」と称する集団のメンバーは、新型コロナウイルスの基本再生産数に、1から抗体保有者の社会に占める割合を差し引いた数値(つまり、社会に占める未感染者の割合)をかけた実効再生産指数が、0.5未満になることを目標としている。しかし、新型コロナウイルスの基本再生産数、実効再生産数も、日々の感染確認者数から割り出されるから、この最も基礎になるデータである日々の感染確認者に大きな誤りがあると(あるので)、実効再生産指数も信頼できないことになる。
しかも、新型コロナウイルス対症療法で様々な医薬品が投与されたこともあり、耐性と毒性の強いウイルスに変異している。国立感染研究所が公表せざるを得なかったたように、日本では中国・湖北省の武漢市で発生したウイルスから、より耐性と毒性の強い欧米型のウイルスで市中感染が拡大している可能性が強い。
こうした新自由(放任)主義に基づく政府=安倍内閣と抗ウイルス、ワクチン開発利権を漁る「専門家会議」を解体して、新たな政策連合と最先端の医学・感染症学・医療技術を有したメンバーで構成する真の専門家会議を樹立しない限りわが日本国は今後、未曾有の危機に立たされるだろう。