都知事選大波乱か−河井夫妻の逮捕と小池都知事の学歴詐称の深まりで

本日6月18日告示、7月5日投開票の東京都知事戦が大波乱に陥る可能性が強まっている。①エジプト軍事政権の「支援」にもかかわらず、現職の小池都知事の「学歴詐称」疑惑が深まる一方、同政権に「制裁与奪権」を握られたと見られること②事実上の「公認」政党である元自民党の党員である河井克行前法相・河井案里参院議員が逮捕されること−の2点からだ。現下のコロナ禍にあって、東京都は日本の首都であるから、コロナ禍から都を守れる知事を選ばなければ、日本全体が最悪の状態に陥る公算が大きい。

順序が逆になるが、東京都知事選告示の本日18日に、昨年夏の参院議員選挙に関連して公職選挙法違反(買収)の容疑で前法相の河井克行衆院議員(17日自民党から離党)と河井案里参院議員(同)が検察当局に逮捕されることだ。本サイトでもしばしば指摘したが、買収の原資として自民党本部から1億5000万円の資金が拠出されたことが判明しており、検察当局は河井夫妻の逮捕を通じて自民党党本部をさらに捜査、買収事件の全容の解明に全力を尽くす可能性が少なくない。

※追記:東京地検特捜部は18日午後、前法相の衆院議員・河井克行容疑者(57)=広島3区、17日に自民党を離党=と、参院選で初当選した妻の参院議員・案里容疑者(46)=広島選挙区、同=を公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕した。朝日デジタルが2020年6月18日17時25分に投稿した「【速報中】石破氏『政権に大きな影響』 河井夫妻逮捕」と題する記事によると、自民党の安倍晋三総裁から干され続けてきた同党の石破茂元同党幹事長は、「(河井夫妻)逮捕が安倍政権に与える影響についても『政権に対して、非常に大きな影響がある。そういう覚悟はしなければいけない」と語った』と安倍内閣総辞職の必要性を匂わせた。

なお、安倍首相は18日午後6時から記者会見を行う予定という。結局、1時間ほど行われたが、サイト管理者がネット中継を視聴して感じたことは、①河井夫妻の逮捕については遺憾だが、明確な形での河井克行前法相の任命責任、参議院選公認候補責任は取らない②安倍夫妻の逮捕という個別の案件についての意見は差し控えるが一般論としては、自民党本部から拠出されている政治活動支援資金、選挙活動支援資金は二階俊博幹事長や公認会計士が厳重にチェックしており、政治資金規正法や公職選挙法に違反する形で拠出・利用されることはない③コロナ禍対策の渦中であり専念しなければならないが、解散・総選挙が必要と判断した場合は躊躇なく踏み切る−というものだった。

安倍首相は内閣改造後に解散・総選挙を実施して正面突破を図るつもりと見られるが、①検察庁の追及の程度②これから経済悪化が本格化する③コロナ禍の再拡大(第二波の到来)④東京都知事線の結果⑤国民の批判の高まり−などで、思惑通りにはならないだろう。

自民党に離島届けを出した元法相の河井克行衆院議員
自民党に離党届を出した河井案里参院議員=共同通信のサイトより=

この買収容疑の構図は、朝日デジタルに2020年6月18日5時00分付で投稿された「河井夫妻逮捕へ 2600万円買収容疑、東京地検特捜部」と題する記事によると、次のようになっている。通常、公認候補には選挙資金として1500万円が拠出されるが、河井案里候補(当時)の場合は夏の参院議員選挙に関連して1億5000万円と10倍もの資金が支給されている。河井案里候補の政治資金収支報告書に記載された合計金額に下記の2600万円を加えても、使途不明な金額が1億円程度に上る。

朝日デジタルに掲載された買収疑惑の構図

1億5000万円の資金の出処は永田町にある自民党本部からであるが、通常、国政選挙の最高責任者である二階俊博幹事長は本件にはタッチしていないとされている。かねがね安倍晋三総裁を批判していた溝手顕正参院議員(当時、5期)を失脚させるために同総裁が仕組んだものではないかと見られている。安倍首相と修復不可能な関係に陥っている「菅義偉官房長官説」もあるが、サイト管理者はその可能性は低いと見ている。いずれにしても、河井夫妻の逮捕は、「無所属」で出馬することにしているが、事実上の「自民党公認候補」として出馬する小池百合子現職都知事には大きなマイナスになるだろう。

さて、次の問題は東京都知事線の直前に、「カイロ大学首席卒業」は「学歴詐称」との疑惑が絶えない小池百合子現職都知事に対して、エジプトの軍事独裁政権が「救いの手」を差し伸べたが、これが逆効果になっていることである。

各種メディアで報道されているが、朝日デジタルが2020年6月9日22時58分に投稿した「小池都知事は『カイロ大学を卒業』大使館が声明文公開」と題する記事によると、「アラブの春」を弾圧したエジプトの現軍事独裁政権は6月9日、在日エジプト大使館を通して、「小池氏の卒業証書は『カイロ大学の正式な手続きにより発行された』と説明。『日本のジャーナリスト』が信頼性に疑問を呈したことについて、『カイロ大学及びカイロ大学卒業生への名誉毀損(きそん)であり、看過することができない』と批判した。そのうえで『エジプトの法令にのっとり、適切な対応策を講じることを検討している』と警告した」。

東京都知事選告示前のこのエジプト軍事政権からの学歴詐称疑惑払拭のための「援護射撃声明」のあと、小池都知事は続けて6月15日の選挙公約発表の記者会見後に「卒業証書」と「卒業証明書」を、「日刊ゲンダイ」など一部のメディア、フリージャーナリストを排除して、「公開」に踏み切った。

これは、ノンフィクション作家の小池妙子氏が文藝春秋社から刊行した「女帝小池百合子」がベストセラーになっており、その中で小池氏がカイロ大学留学中に同居した女性からの詳しい証言と資料をもとに、「学歴詐称」を疑問の余地のないほどに解明しているからだ。

「学歴詐称」は公職選挙法の「虚偽事項公表罪」に相当し、当選しても当選は無効になる。また、刑法159条、160条に定める「偽造私文書行使罪」の刑事犯罪に相当する。このため、「学歴詐称」疑惑を払拭するためにエジプトの軍事政権の手を借りたものと思われる。

当然、エジプト軍事政権としては裏で、その見返りを要求するわけだが、エジプトに対して日本政府は外務省を通して多額の政府開発援助(ODA)を供与してきた。外務省によると、2018年には2億9500万ドルと多額の二国間ODAを供与したが、累積でも相当な金額に上る。その重要な要因のひとつとして、ナセル大統領、サダト大統領以降のエジプト軍事独裁政権が「政治家」となって以降の小池氏の「学歴詐称」疑惑に「反論」してきたことが疑われている。

今回、都知事選に再出馬するに当たって、小池都知事は再びエジプト軍事独裁政権の手を借りたとの見方が強まっている。代表的な指摘をしているのは、東京都港区に所在する企業・株式会社日本ビジネスプレスが運営しているネットメディアのJBpress(https://jbpress.ismedia.jp/)である。

同メディアは今回、在日エジプト大使館のフェイスブックを使った小池都知事擁護「声明」と同都知事が公開した「卒業証書」「卒業証明書」に重大な疑問を呈している。前者については、エジプトの軍事政権の小池都知事擁護声明の問題点を指摘したのは、カイロアメリカン大学、カイロ国立大学文学部セム語専科に学んだジャーナリストの浅川芳裕氏に対するインタビュー記事「カイロ大『小池氏は卒業生』声明の正しい読み解き方−都知事選を前にエジプト軍閥が切った外交カード」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60884)が参考になる。

後者については、15日に公開された「卒業証書」「卒業証明書(大学院の進学や企業の就職の際に公文書として通用する)」の問題点を詳細に記述したカイロ・アメリカン大学(英語版)に留学、修士号(中東研究科)を取得して現在英国に在住の作家・黒木亮氏が投稿した「卒業証書を公開しても疑惑を払拭できない小池都知事−エジプト軍事政権に握られた都知事の生殺与奪権」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60947)をご覧頂きたい。重要な問題点をいくつか引用させて頂きたい。

時間の流れとしては逆になるがまず、小池都知事が15日に公開した「卒業証書」と「卒業証明書」の問題点を指摘しておきたい。

問題点としては、①小池氏が今回公開した卒業証書は、小池氏の自著「振り袖、ピラミッドを上る」(1982年)の卒業証明書とロゴが明らかに相違している②今回公開された卒業証書は、1978年に作成されたと書かれているが、外務省の認証もなく、収入印紙も貼られていないため、本当にその頃作成されたものか、確認のしようがない。石井妙子氏が「女帝小池百合子」の中でタレント時代に手を入れた卒業証書は作りが杜撰だったため(その欠点を補うために)今回公開した卒業証明書を手に入れたのではないかという推測は否定できない③エジプトの国立大学の卒業証書が海外で有効なものとして適用するためには、エジプト外務省の認証(外務省のスタンプや担当職員のサインと日付など)が必要だが、今回公開した小池氏の卒業証書にはこれがない④今回公開した小池氏の卒業証書のアミード(学部長か学生部長)のサインが、この年度の卒業証書のアミードのサインと異なっており、1978年11月に作成されたものかどうか疑わしい−などがある。

黒木氏がさらにもっと重要な点として指摘しているのは、「卒業したことを積極的に証明できるはずの成績表をいまだに公開していいないこと」である。これは、石井氏が「女帝・小池百合子」のカイロ大学時代に詳細に記述していることだが、小池氏はカイロ大学でほとんど勉強していない。黒木氏は、「いくら、カイロ大学が卒業を認め、卒義証書類を持っていたとしても、学業の実体がなければ、学歴とは認められない」と強く指揮している。

今回、小池都知事が卒業証書類を一部のメディア、フリージャーナリストを排除して公開したことについて、黒木氏は経済学者でアゴラ研究所代表の池田伸信夫氏の「小池百合子氏とカイロ大学の深い闇(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60888)」の次の箇所を引用している。
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エジプト大使館が都議会の日程を把握しているはずがないので、これは小池氏が自民党の決議案を封じるためにエジプト大使館に頼んだものと思われるが、政府の声明はそう簡単に出せるものではない。大使館がそれに応じたのはなぜだろうか。「カイロ大学及びカイロ大学卒業生への名誉棄損」にあたるという理由はおかしい。本当に卒業したなら、その記録を出すのは容易である。それはカイロ大学の名誉を傷つけるものではなく、名誉を回復するものだ。

その理由は、逆にカイロ大学が「あの卒業証書は大学の発行したものではない」と認めたらどうなるかを考えればわかる。その瞬間に小池氏の選挙違反が決まり、当選無効になる。小池氏の学歴を証明するものはカイロ大学の声明以外に何もないので、彼女の運命はエジプト政府に握られているのだ。
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日本では政治資金規正法で海外諸国からの政治献金は厳しく禁じている。小池氏がエジプトの軍事政権の胃のままに操られている「政治家」というのなら、これは「学歴詐称」以上に重要な問題である。

さて、次に小池氏とエジプトの軍事政権とのかかわりを詳しく証言した浅川芳裕氏に対するインタビュー内容である。浅川氏によると、「カイロ大学の権力を完全に掌握しているのは(1952年の『ナセル革命』による軍事クーデターで樹立された)軍閥独裁国家エジプトの軍部であり、泣く子も黙る情報部」である。歴代の軍事独裁政権はカイロ大学側の抗議を抑圧するために軍事力を行使して、2010年以降も100人以上の教職員や学生を逮捕し、10人以上を「超法規的措置」として殺害してきた。

黒川氏もカイロ大学時代に「強制失踪」という名目で「何度も留置所や独房にぶち込まれ、拷問を受けたり、消されそうになったりしました。(中略)逮捕も起訴もされず、裁判も受けられず、留置所をたらい回しにされながら、『行方不明』という形でこの世を去っていくわけです」が、同氏は運良く脱出に成功したという。

黒川氏によると、「ナセル革命の中心人物の1人であるムハンマド・アブドゥルカーデル・ハーテム氏(1918~2015年)が、小池氏のカイロ大学時代の後ろ盾なのです」という。これは、石井氏の「女帝・小池百合子」の記述とも合致する。石井氏は、このハーテム氏が通常ならあり得ない小池百合子氏の1973年10月時点で、カイロ大学2年制への編入の立役者になったと記している。

なお、このハーテム氏について黒川氏は、「現在、軍事独裁政権トップであるシシ大統領がカイロ大学長ならびに各学部長の任命権を持っています。ハーテム氏からみれば、このシシ大統領は、ハーテム氏の軍部時代の弟分タンターウィー(元国軍総司令官、2011年の革命後の国家元首代行)の部下、つまり孫弟子にあたる人物です」と現政権の立役者の一人と紹介している。そのハーテム氏は、カイロ大学への外国人学生の特別留学を積極的に行っていた。

その理由として浅川氏はこう説明している。「表向きは文化的ですが、同様にエジプトの国策に都合のいい将来のエージェント育成のため、非アラブ特定国の若者を優遇する枠です。ハーテム氏は情報相のトップとして、アジアやヨーロッパ諸国の若者の受け入れを推進すると同時に、それらの国々の議員と友好協会を立ち上げていきます。その延長として、アハラーム紙記事(2004年6月21日付)では、ハーテム氏の日本関連の功績を2つ列挙しています。エジプト日本友好協会創設者・会長として、数百億円にのぼる巨額の援助を日本政府から引き出したこと、その文脈に続けて、彼が小池氏を“子飼い”にした」とのことである。

海外トレンドニュースより(http://www.takashimiyake.net/archives/3512)

ただし、当時はハーテム氏によっても進級させることは難しかったらしい。石井氏の「女帝・小池百合子」によると、小池氏は編入は許可されたものの、1976年5月からの4年制進級試験に不合格になり、4年生でもなかったので追試験も受けられなかったから、カイロ大学を卒業することも出来なかった。しかし、中東情勢の悪化で本来訪問する予定であったサダト大統領の訪日が取り止めになり、その代わりにイギリス人の血が流れ、40歳を過ぎてからカイロ大学に入学していたジハン・サダト大統領夫人が日本を訪問することになった。このため、小池氏は父親の小池勇二郎氏から日本に呼び戻され同年10月に一時帰国、「カイロ大学首席卒業」の学歴(詐称)で、サダト大統領夫人のエスコート・コンパニオン役に抜擢されたという。

それが、小池氏が日本で立身出世するスタート時点であったとのことだ。小池氏は一時、カイロに戻り同年1976年12月に日本に帰国する。その際、2回目に同居していた早川玲子さん(仮名)に、小池氏の言うとおりに学歴を書いた日本の新聞を見せた。そして、しばらく経って帰国直前に、「JAPAN AIRLINES」の文字の入った模造真珠のブローチを渡し、「あのね。私、日本に帰ったら本を書くつもり。でも、そこに早川さんのことは書かない。ごめんね。だって、バレちゃうからね」(1338ページ・ポイント)と語ったという。

以上、今回の東京都知事選に当たって東京都民として考えておかなければならないことを記させていただいた。東京都は日本の首都である。首都東京が新型コロナウイルス感染拡大を終息・収束させ、経済活動を真に再開させなければ、日本国民の生存権と経済社会は極めて危うくなる。

この点について、政策提言と立案ができる日本でトップレベルの政経アナリスト植草一秀氏は、メールマガジン第2659号「都知事選で99%の為の政治実現する方策」の中で、既存の政治屋に抗して、東京オリンピック中止と財源問題を明確にしたコロナ禍対策を打ち出し、日本の真の政治刷新を打ち出したれいわ新選組代表の山本太郎候補を支持し、「明確な政策方針を掲げる勢力が、その政策を基軸に大同団結することが必要なのであり、れいわ新選組はその中核的役割を担う可能性がある」と展望している。

山本代表は、将来に向けてケインズ経済学を正しく発展させたMMT(Modern Monetary Theory)をもとに政策を構築、コロナ禍対策と日本再建の道筋を示している。サイト管理者は、植草氏の現状分析と将来展望に強く共鳴する。自民党が河井夫妻の逮捕で大混乱に陥っていること、小池氏の学歴詐称問題が深い闇に包まれていることが明らかになってきた現在、今回の東京都知事選から日本の政治構造を刷新していかなければならないと考える。

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