安倍晋三首相は18日午後6時から出来合いの記者会見を開いたが、法務・検察のトップであった前法相が逮捕されたにもかかわらず、具体的な「任命責任の取り方」については一言も言及せず、経済の活動の水準を上げ、コロナ禍後まで展望する現実離れしたことを長々と述べた。そしていつものように、コロナ禍のため頭の片隅にもないが、「必要となれば躊躇なく解散・総選挙に踏み切る」と正面突破を図る考えを堂々と示した。これが、政権末期が本格化したというものだろう。
朝日デジタル2020年6月19日0時58分投稿の「全国で新たに71人感染、滋賀・新潟・福島・宮城でも」と題する記事によると、「新型コロナウイルスの国内の感染者は18日、午後9時現在で新たに71人が確認され、累計で1万7821人になった。北海道と福岡県で1人が死亡し、死者は計941人となった。東京都の新たな感染者は41人で、3日ぶりに40人を超えた」という。
とても、新型コロナウイルス感染の第一波が終了した段階とは言えない。なお、昨年の同じ時期に比べて超禍死亡が多い。京都大学のノーベル医学・生理学受賞者の山中伸弥教授によると、「東京都の4月の死者数が公表されたが、3月、4月とも平成11年以降で最多であり、過去5年間の平均より3月と4月の合計で1481人多かった。新型コロナウイルスによる死者数として報告されているのは3月と4月の合計で119名であり、実際には10倍以上多かった可能性が考えられる」。超禍死亡が多いのは、大阪府、大阪市でも同じだ。
要するに、感染が確認されていない新型コロナウイルス感染者と、感染が確認されないまま亡くなられている方が多数に上っているということだ。このように、東京都をはじめ全国の感染者の現状と展望が不明な中で、医学的・感染症学的・科学的根拠もないまま、移動制限を撤廃、経済活動の再開に乗り出し、さらにはコロナ禍後の「V字型回復」まで「展望する」というのは、首相として正気の沙汰ではない。
要するに、①財務省のみかけの「財政危機論」を信じ込まされ「財政危機」だと思っている②オリックスとか電通、パソナ、トランスコスモスなどのお決まりの利権企業=政商と結託して、「うまい汁」を吸いたいだけのことだ。
しかし、国には政府と日銀を合わせて「通貨発行権」があるから、インフレ率を正しくコントロールできる限り、財政出動は可能であり、「財政破綻」に陥ることもない。これが、ケインズ経済学を正しく発展させた「現代貨幣理論(MMT)」の要諦である。詳細については後ほど、記事を投稿したい。日本は1990年代のバブル崩壊不況以降、1997年ころに一時景気回復の兆しが見えたものの、消費税増税の相次ぐ強行を柱とした緊縮財政によって景気回復は頓挫し、30年の長期デフレに陥っているから、国内は大幅な超禍供給の状態にある。
だから取りあえずは、抜本的な新型コロナウイルス感染症対策を行いながら、供給能力が蒸発しないように政策を展開していけば、取りあえずは大規模な財政出動が可能であるし、また、必要なときだ。東京都知事選に出馬した山本太郎代表は、このMMTを見越して地方債の発行によるコロナ禍対策を訴えている。「後出しジャンケン」と批判するやからが多いが、東京の現状から日本に危機意識を強め、日本の首都である東京都知事選への政策提言による野党共闘ないしはそれが受け入れられない場合の出馬は、早くからきめていたはずだ。コロナ禍対策のための財源について詳細な調査をしたため、時間がかかっただけのことである。
それに、「後出しジャンケン」というなら、勝つはずである。なお、財政破綻など起こりえないことは財務省も同省のサイトで下図のように認めている。
さて、朝日デジタルが2020年6月18日22時26分に投稿した「党本部の1億5千万円と買収、関連捜査へ 河井夫妻逮捕」の記事によると、「昨年夏の参院選は自民党候補が競合する激しい選挙戦となった。同年3月に案里議員が立候補を表明した後の4~6月、(河井)案里議員側に自民党本部から計約1億5千万円の資金が提供されていた。逮捕容疑の時期と重なっており、(東京地検)特捜部は多額の買収資金との関わりについても調べるとみられる」という。
検察庁の信頼の回復のために、東京地検特捜部は厳正な捜査を行うべきだと指摘しているが、当然のことである。もっとも、民主主義国家であるはずの日本の戦後政治がゆがみ続けてきたのは、①検察・司法の裁量権の大きさが、特別国家公務員としての検事の不正と判事・検事交流による司法の巨大なゆがみをもたらし、「民主主義国家」であるべき日本を「検察ファッショ国家」に陥れてきた②政権と検察からのリークが欲しいために、マスメディアが両者に擦り寄りつづけたため、政権と検察による情報捜査の道具になり果て、「社会の木鐸」としての機能を失った③「野党」と称される政党が与党と裏取引を行い、政府・与党の補完勢力になってきた④戦後の米国の3S政策(スポーツ・スクリーン・セックスへの熱中政策)によって、国民に正しい倫理観と個人主義、それに思いやりの精神が育たなかった−ことが最大の原因だ。
だから、検察庁の信頼回復を期待したとしても、その通りになるかは不明である。ただし、稲田伸夫検事総長、林真琴東京高検検事長ら検察庁首脳が本来の在るべき検察庁の姿を確保することに、全力を挙げる可能性もなくはない。その場合は、朝日デジタルが2020年6月18日22時34分に投稿した「『原資、捜査される』自民に不安拡大 河井夫妻逮捕」と題する記事で、「首相は会見で党本部からの資金が買収の原資になったとの見方について、「巷間(こうかん)言われているような使途に使うことができないことは当然」とする二階俊博幹事長の発言を紹介する形で、否定した。だが、党内には不安が広がる。法曹界出身の中堅は漏らした。『当然、原資は何なのかと捜査されるだろう』」と指摘する。
自民党本部から1億5000万円が拠出されたことは既に検察の手によって明らかにになっている。安倍政権は崩壊するだろう。もし、検察が原資追及を打ち切れば、日本は間違いなく「独裁検察警察国家」になる。
」