話にならない総額31兆9114億円の第2次補正予算案−真水も水増しで確定している国庫支出はたったの10兆円(加筆・補強)

政府=安倍晋三政権が27日、総額総額31兆9114億円の今年度第2次補正予算案を決定したが、国民の生命・生活を十二分に守りながら、経済活動を再開するためのコロナ禍対策補正予算案としては全く不十分。本来は消費税ゼロ%への暫定引き下げを含め、真水で100兆円規模の財政出動が必要だが、子細に検討すると実際の真水は10兆円程度と考えられないほど少ない。政府=安倍政権は、今年第3・四半期の実質国内総生産増加率(GDP)が第2・四半期の落ち込みが大きいことの反動で年率換算プラスになると予想し、12月に解散・総選挙を予定しているが、秋にはコロナウイルス感染の第二波が襲来することも予想されている。政府=安倍政権の目論見通りになるかは全く不透明で、解散・総選挙での勝利はもちろん実現さえ見込めないというのが本当のところだ。

第二次補正予算案以外に、安倍首相は総事業規模117・1兆円と自画自賛しているが、財政投融資、政策金融公庫などの融資枠の増加を入れているので、実際の真水は32兆円程度。国民の生活が脅かされ、大恐慌が待ち構えていることに対する危機意識はまったくない。そもそも、今回の二次補正予算案は第一次に含まれていて当然のものばかりだ。このため、政府=安倍政権の新型コロナウイルス感染症対策も遅すぎたうえ、支離滅裂だったが、2020年度の補正予算案についてもそれが言える(第一次補正の失敗は、2019年度予算の予備費も合わせて、466億円もの予算措置して得体の知れない企業=背後に大きな宗教団体があるとも伝えられる。公職選挙法違反の買収に相当=に発注、不良品が続出したうえ、まだ2割の世帯にしか届いていないアベノマスクに象徴される)。

27日、第二次補正予算案を閣議決定。毎日新聞社より

主な内容は、①休業などで減収した店舗の家賃の支払いを支えるため、最大600万円を支給する制度の創設②検査体制の強化や医療従事者への最大20万円の慰労金などに2兆9892億円を投じる③休業手当の一部を補助する雇用調整助成金を、日額上限の引き上げなどで拡充する④労基法では、中小企業に対しては企業の責任ではない場合には、休業保障しなくても良いという特例制度があり、このため休業補償を出さない中小企業の従業員に対して直接休業補償を行う制度(中小企業の定義は業種ごとに資本金または非正規を含む雇用者数のいずれかによって決まっており、それ以外の企業が大企業になる)⑤中小事業者向けの持続化給付金の対象も拡大する−ことなどが主。

なお、今回の二次補正予算案の問題を少し先取りすることになるが、予備費が10兆円も計上されているという重大な問題がある。その規模ならまず使途の項目について明確にすべきだ。そうしないのは、「好意的に解釈」すると、政府=安倍政権に感染症対策に誤りがあることを認識しているから終息・収束に確信が持てず、不安しか持てないため、膨大な予備費を措置したということになる。

しかし、日本国憲法では第八十五条で「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする」と示されており、予備費については第八十七条で「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる」と定めている。見通し難い予算の不足に充てるのが予備費だが、この予備費に10兆円も充てることには大きな問題がある。

これは、①コロナ禍の渦中にある現在、政府=安倍政権がコロナ禍対策として何をなすべきか把握する努力を放棄している②財政支出の財源は今回、全額赤字国債で賄うことになっているが、これには国会の議決が必要であるが、予備費に10兆円もの赤字国債を発行することを強行採決・可決して、国会の議論を封じ込む意図がある(これも、国権の最高機関である国会の機能を剥奪する憲法違反の行為)③実際は財務省の意図が見え隠れしており、予備費の支出は基本的に行わないつもりである−などのためであろう。これらのため予備費10兆円というのは、日本国憲法違反であり、真水32兆円のうち少なくとも10兆円は嵩上げ(見せかけの増額)をしていることになる。

厚労省の生活保証関連予算案(https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/dl/20hosei03.pdf)と経済のための経産省予算案概要(https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/hosei2.html)は下図に引用した(マウスでクリックすると拡大します)。

下図は日経新聞社のサイトより転載したものだが、政府系の同紙でさえ「かさ増し」だと批判している。

問題点の第一は、厚労省の生活支援関連は、個人向け緊急小口資金等の特例貸付の実施 2048億円を始めとして微々たるものだ。特に 、今回の新型コロナウイルス感染症によるコロナ禍1人あたり10万円の生活支援金も「新型コロナとの戦いは長期化する覚悟が必要だ」(安倍首相)とすれば当然、業務内容・勤務先に設備が整っていないなどのために、テレワークができず、本来の賃金を受給できない被雇用者に対しては継続することが必要だ。

第二に、需要も供給も蒸発した現状、コロナ禍により非常に厳しい経済社会状況がもたらされている。国民にとって特に厳しいのは、5月末に非正規労働者を中心に大量の雇い止めという名の解雇が激増することだ。雇用保険による支給はなされるが、多少の支給期間の延長があったとしても、現状のコロナ禍を踏まえたものではなく、平常事態の雇用保険の給付しか手当てされないため、解雇された元非正規労働者を中心に毎日の暮らしが困難で過酷な日々が続く。平時の解雇とは異なるから、特例制度を設け、雇用保険の給付額を大幅に上乗せするというのが筋だ。

これに関連して、雇い止めにならなくても、休業補償はコロナ禍以前の3カ月の月収の合計を歴日数(時給制の場合は勤務日数。ただし、急病などで相対した場合も1日として扱われる。本来は総勤務時間数が算定の基礎にするべきである)で割った日額手当の60%に、正社員であっても勤務日数(25日程度)を乗じたものしか支給されない。これは最低限であるが、それを上回る休業補償は、正社員・契約社員を問わず社員の事情を察する企業以外は、膨大な内部留保を抱える中堅・大企業でも同じだ。労基法の休業補償条項は特別な場合に備える改正が必要・不可欠だ。

例えば、非正規労働者の月収は20万円以下であるため、たかだか12万円程度の総給与にしかならない。これから税金や社会保険料を差し引くとせいぜい8万円程度の手取りにしかならない。一応、コロナ禍対策として納税や社会保険料の納付猶予制度はあるが、前年の収入が一定の割合以下に落ち込んだ場合とかの条件がつく。コロナ禍で企業の業績悪化は相互に及びあっているから、条件などつける必要はないはずで、それだけ支給も遅れる。そもそも、納税・納付は猶予されるだけで、社会保険料は後に納付しなければ厚生年金や国民年金の受取額は少なくなる。全額免除すべきで、一定額は納付したことにして、支給年金額に組み込むべきだ。そもそも、この納付猶予制度の存在さえ知らない事業者も少なくないし、申請手続きがわずらわしいために、活用しない事業者も多い。

本来は、テレワークなどができず、休業を余儀なくされている勤労者(労働者)もまだまだ多いから、そうした被雇用者には少なくとも平均賃金の100%または通常の月収を保証するための休業補償措置を講じるべきだ。

第三の問題点は、今回のコロナ禍大不況(大恐慌に転落する可能性が高い)を悲惨なものにした昨年10月の消費税増税恐慌で、昨年第4・四半期の実質国内総生産(GDP伸び率=実質経済成長率)が年率でマイナス7.1%、今年第1・四半期が同マイナス3.4%になった(年間でそれぞれ40兆円、20兆円、合計60兆円程度の国民の所得と企業の利益が吹っ飛んだ)ことを考慮すると、取りあえずは消費税なしにすべきで、これを盛り込まない第二次補正予算案では、日本国民の生活や経済はどうにもならない。

第四の問題点は、32兆円の真水さえ、嵩上げされていることだ。予備費として10兆円もストックしておくのはその典型例。また、経産省関連の第二次補正予算案の概要をみても分かるとおり、企業、事業主を中心として、国民に対する融資(貸付)が多すぎる。その融資額は12兆円規模である。いくら、無利子・低利子であったとしても元利金は返済しなければならない。こういう融資を財政支出の項目に入れることは、第二次補正予算案はそもそも、国庫の支出項目を列挙したものでなければならない予算案としての体をなしていないことを意味する。

公式発表の財政支出(真水)案の32兆円から巨額の予備費10兆円と返済しなければならない融資枠(貸付枠)12兆円を除くと、今回の第二次補正案で効果のある国庫支出の合計は10兆円に激減する。これでは、新型コロナウイルス感染症に伴う感染症対策、感染症対策に伴い余儀なくされる需要と供給の蒸発による経済活動の大混乱には「焼け石に水」でしかない。こんなインチキ第二次補正予算案をこの期に及んでもっともらしく策定しているのが政府=安倍政権の正体である。

第五の問題点は、融資(貸付)などを盛り込んでいるうえ、第一次補正予算の経験からしても、実際の執行(国民や企業・個人事業主にとっては緊急を要する)が大幅に遅れることがほとんど確実であることだ。まず、簡単な申込みにより直ちに支給し、審査は後で行うというのが今回のような緊急事態には基本的な予算執行の在り方だ。これまでの失敗の教訓を生かさないというのも、今の政府=安倍政権の特徴だ。

国会での審議で野党と称する政党は、厚労省関係の予算の大幅増額を徹底的に要求し、上記内容を受け入れさせて補正予算案を組み換えさせるべきだ。しかし、強行採決・単独採決の公算も限りなく大きい。検察庁改革法案を先送りしたのは、ツイッターでのデモが主因ではなく、黒川弘務東京高検検事長の常習麻雀賭博が発覚したためだからだ。ただし、自公両党としてはこの程度の予算案では、政府=安倍政権の支持率はさらに下がり、予定している年末12月の解散・総選挙では下野せざるを得ないことを知るべきだ。なお、秋冬であるため本格的な第二次感染期に入る恐れが強く、結局追い込まれ「任期満了・総選挙」にしかならない可能性もある。

なお、今回の第二次補正予算案の財源は全額赤字国債(間接的な国債の日銀引き受け)になっているため、日銀の財務内容は非常に悪化するが、これは、政府=安倍政権が立脚する新自由主義が財政政策を否定し、金融政策だけを「有効な」経済政策手段としてしか認めていないことから来ている。このため、市中に膨大な金余りが継続しただけで、デフレ不況からの脱却には完全に失敗した。現下のコロナ禍は新自由主義=財政政策否定と金融政策の過大重視、社会保障の削減、郵政など「官でしなければならない業務」も民間の企業に儲けさせるために無理に「民営化」するなど=が、破綻していることを実証している。国民はこのことに気づくべきである。

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