菅政権の日本学術法違反抗議運動が強まる中、自民党はプロジェクトチーム初会議で争点ずらしの会議解体論も

人文科学者・社会科学者・自然科学者らの学者を中心に菅義偉政権の「日本学術会期法(日学法)」違反の任命拒否抗議運動が強まる中、自民党は14日、「日本学術会議のあり方を検討するプロジェクト・チーム(PT)」の初会合を開き、日本学術会議(以下、会議)が推薦した学者6人の「任命拒否」が日学法違反だという問題に触れることもなく、民間組織や非政府組織(NGO)に再編するという形での会議解体の検討を初めた。政府が会議を行政改革の対象にする意向であることに合わせた自民党の対応。政府が操る御用メディアも憲法、日学法違反という最も重要な事案から国民の目をそらす「報道」という名の国民の「洗脳」行動を強めている。日本国憲法23条に定められた「学問の自由」を踏みにじる動きだ。背景には、米中新冷戦時代への突入があるがもはや、軍事力は紛争解決の最期の手段ではなくなっている。

10月15日木曜日新型コロナウイルス感染状況
10月15日木曜日の新型コロナ感染状況は、東京では午後15時の時点で先週8木曜日の248人より36人多い284人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。8月20日(339人)以来最多。重症者は東京都の厚生労働相よりも少ない基準で前日比と同じ25人。全国では708人の新規感染者、3人の死亡者が確認されている。東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は186.1人、PCR検査人数は4066..6人だから、陽性率は4.58%。東京都独自の計算方式では3.9%。感染経路不明率は58.07%。東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1014日時点の実効再生産数は東京都が前日比0.05人増加の1.08人、全国が同0.02人増加の1.05人。新規感染者数は再拡大、実効再生産数も再上昇傾向に転じてきた可能性がある。

10月15日のコロナ感染状況

10月15日のコロナ感染状況

 

今回の任命拒否事案は政府=安倍晋三、菅政権の日本国憲法を破壊する日学法違反問題であり、会議の在り方を論じることとは次元が全く異なる重要事案だ。政府=菅政権と自民党は、任命拒否が日学法違反ではないとする論理の破綻が明確になっていることから、論点を会議の在り方にずらしている。御用メディアもこれを支援する「報道」を強めている。例えば、「『日本学術会議』の正体とは 『非民主的』『野党のようなもの』、(政府系の)大学教授ら語る」(週刊新潮)、「日本学術会議の任命拒否問題は『学問の自由』とは全く関係がない」(プレジデント)、「看過できない、日本学術会議と中国『スパイ』組織との協力覚書」(iRONNA=産経新聞系列)などがそれだ。

ただし、こうした論点ずらしは法治国家の根幹を揺るがすものであり、有識者を含めた国民の批判を浴びる。その象徴が、世襲政治家の自民党の甘利明衆院議員のブログ。甘利氏は2016年1月、千葉県の建設会社「薩摩興業」が2013年に道路建設をめぐり甘利側に都市再生機構(UR)に対する口利きを依頼し、見返りに総額1200万円を現金や接待で甘利側に提供したとの週刊文春の報道で内閣府特命担当大臣(経済財政政策)を辞任した。何故か、検察による起訴を免れた。

既に本サイトでも述べたが、

甘利氏は8月6日付のブログで、「日本学術会議は中国の千人計画に積極的に協力しています」などと記述。学術会議が中国の軍事研究に協力していると主張していたが、「デマだ」との批判を受け、8月12日に「積極的に協力している」との文言を「積極的に協力していることになりはしないか」との文言に変更することの表明を余儀なくされた。

このブログ記事は、https://amari-akira.com/01_parliament/2020/410.html。当初の記事とは異なり、「中国の『外国人研究者ヘッドハンティングプラン』である『千人計画』には間接的に協力しているように映ります」に変更されている。ただし、言い訳をhttps://amari-akira.com/01_parliament/index.htmlに掲載しており、「日本学術会議は2015年に中国の科学技術協会と協力の覚書を交わし、日中の研究者の受け入れについて学術会議が、『本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プログラムの調整や、現地サポートの対応を行う」と積極的な約束をした』などとしている。

これについて、朝日新聞は15日付3面(朝日デジタルでは10月15日 5時00分投稿のhttps://digital.asahi.com/articles/DA3S14658345.html?iref=pc_ss_date)の記事で次の指摘をしている。
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加藤勝信官房長官は今月12日の定例記者会見で「学術会議が中国の千人計画を支援する学術交流事業を行っているとは承知していない」と述べ、学術会議が千人計画に協力しているとの情報に否定的な見解を示した。

日本学術会議の事務局も14日の取材に「中国の千人計画に協力しているという事実はない」と明言。同会議は15年に中国科学技術協会と「研究者の受け入れ、現地サポート」などを互いに進める「協力覚書」を交わしているが、「覚書は千人計画に協力する内容ではなく、覚書を元にした事業も現時点ではない」と述べた。
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日本学術会議の中傷に相当するブログ記事の性格だ。日学法では前文で、会議の設立理念を「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される」としている。その観点から①終戦から5年後②ベトナム戦争中③安保法成立後ーの3度にわたつて、「科学を軍事研究に利用しない」旨の声明を出している。

安全保障関連法に反対する学者の会」は今回の任命拒否事案について政府に講義する記者会見を行った

安全保障関連法に反対する学者の会」は今回の任命拒否事案について政府に講義する記者会見を行った

日本国憲法に保障されている「学問の自由」を破壊する今回の日学法違反事案はそれ自体として、政府=菅政権を徹底的に追及する必要がある。その一方で、日本はもちろん全世界の科学者・有識者を中心に菅政権の日本学術法違反抗議運動が強まっている。ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英京都大学名誉教授らの「安全保障関連法に反対する学者の会」は14日、東京都内で記者会見を行い、日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅義偉首相が任命しないのは、「学問に対する冒涜行為」と抗議する声明を発表したhttps://www.youtube.com/watch?v=iTE8XfNuV4Y)。

任命拒否、学者の会が抗議声明

任命拒否、学者の会が抗議声明

また、東京新聞のWebサイト(https://www.tokyo-np.co.jp/article/59884)によると、「菅義偉首相による日本学術会議の新会員候補6人の任命拒否について、撤回を求めるネット署名が5日、10万人を超えた。また学会や教職員でつくる労働組合、映画界などからも、任命を拒否した理由の説明や、6人の任命を求める声明が相次いでいる」。「安全保障関連法に反対する学者の会」の記者会見によると、13日の時点で同様の声明を出した学会や研究機関は250に上るという。

また、総合ニュースサイトのnoteサイト(https://note.com/sasaootako57/n/n26de4f96f2f8)によると、「プリンストン大やコロンビア大などでも『日本学術会議の任命拒否に反対』するとして「学者らが署名運動を開始」した。日本学術会議を否定すると「民主主義のシステムにも深刻な悪影響を及ぼす恐れがあると主張」し、反対運動を世界各地に呼び掛けている」としている。政府=菅政権が指令したと見られる「デマ拡散活動」についても、「無知に浅知恵・はてはデマまで。与党自民党政治家の低劣ぶり」との内容の記事がSNSなどで拡散していることを指摘している。

政府=菅政権が行政改革を通じて日本学術会議を意のままに支配しようとしたり、科学者を軍事研究に利用することを試みている背後には、「米中新冷戦時代」に突入しているからだろう。しかし、自衛隊が米国軍産複合体の要請により、米軍とともに戦っても、米国の国力の衰退から、もはや米国側に勝ち目がない状況に変貌しつつある。コロナ禍を解決できず(ワクチン開発メーカーは次第に開発を中止している)に経済が立ち直らず、11月3日から行われる米大統領選の投開票で、郵便投票をめぐり大混乱が予想されているのは、米国の国力の衰えの象徴だ。購買力平価から見た国内総生産(GDP)は既に中国が世界第一位。日本の輸出ランギングでは米国が第一位であるが、中国は第二位であり、米国とは金がグースで遜色がない。

購買力平価から見た世界各国の上位ランキング

購買力平価から見た世界各国の上位ランキング

日本の金額ベースでの輸出相手国ランキング

日本の金額ベースでの輸出相手国ランキング

いたずらに、「中国脅威論」「中国共産党独裁国家論」を煽っても問題の解決にはならない。日本は今後、戦後の対米隷属外交を全面的に改め、言葉の正しい意味での「積極的平和主義外交」を模索・展開していくべきだ。



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