コロナ第4波で東京オリンピック/パラリンピック強行開催中止、「自民党内政局」も(追記:復興五輪の欺瞞)

コロナ第4波で大阪府、兵庫県、宮城県の1府2県が4月5日から「蔓延防止特別措置(まんぽう)」を導入することになったことに伴い、大阪府の吉村洋文知事は大阪市内では聖火リレーを「中止すべきだ」と発言したことがさまざまな混乱を招いている。コロナ第4波で聖火リレーの混乱は避けられず、東京オリンピック/パラリンピック強行開催も中止に追い込まれる可能性が濃厚だ。自民党内での「政局(権力闘争)」に拍車がかかり、コロナ第4波とオリ/パラ中止は、10月21日の衆院議員任期満了前の秋までには行われる解散・総選挙の結果に重大な影響を及ぼす。

4月3日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日4月3日土曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の3月27日土曜日の430人から16人増加して446人になった。東京都基準の重症者は前日から5人増えて48人になった。7日移動平均では383.7人になり前週土曜日比111.9%になった。7日移動平均は3月11日以降、前週を上回っている。
全国では、午後23時59分の時点で2775人が新規感染、7人の死亡が確認されている。重症者は前日比14人増の408人。大阪府は過去最多の666人と東京都を5日連続で上回った。死亡者は2人。第4波は3波を上回る規模のものになりそうだ。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、4月2日時点の実効再生産数は全国が前日と同じ1.29人、東京都は同じく4月2日時点で前日と同じ1.11人だった。実効再生産数で見ても、全国の実効再生産数は増加傾向を続けており、感染拡大が懸念される。東京都も1.0を超える状態が続いており、新規感染者は増加傾向にある。

大阪府の吉村洋文知事は3月21日までが期間であった限定的な「緊急事態宣言」の早期解除を政府=菅義偉政権に要求して、実現した。しかし、解除後に新規感染者が急増、医療体制もひっ迫してきた(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210402/k10012952981000.html)。このため、まんぼうの発令(発出)を親しい菅義偉首相率いる政府=菅政権に要求、4月5日からの実施に踏み切ることになった。期間は5月のゴールデンウイーク終了までだ。

大阪府は2日、府内で新たに613人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。感染が確認された人が1日で600人以上となるのは2日連続で過去5番目の多さとなりました。また、4日連続で東京の感染者数を上回りました。

このため、吉村知事は松井一郎大阪市長とともに「大阪市内で聖火リレーを行うべきではない」と発言したため、オリ/パラ大会組織委と調整を行っている段階だ。オリ/パラ開催100日前の節目に当たる4月14日に聖火(英語では単なるTorch=松明)が到着し、大阪市内で聖火リレーが始まる予定だったが、大会組織委(会長・橋本聖子清和会細田派系列の無所属参院議員)が大阪府・大阪市の判断を「尊重」したうえで、双方が調整中だ。政府=菅政権内でも清和会細田派の丸川珠代五輪相が2日午前、「(吉村大阪府知事の発言は)理にかなう」と発言した。

ただし、「まんぼう」が発令される大阪府、兵庫県、京都府など関西圏で新型コロナの感染者が急増しているのは、多くの感染症専門家が指摘しているように、感染力と致死力の強い「英国型変異株」のためだ。政府=菅政権の「諮問」に「お墨付き」を与えるだけの「専門家会議」になっている政府の分科会の尾身茂会長もさすがに、4月2日の衆院厚生労働委員会で変異株の市中感染を認めざるを得なかった(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210402/k10012952971000.html)。これでは、「まんぼう」で時短を要請、命令しても新規感染者は減少しない。

新型コロナウイルスの全国の感染状況について、政府の分科会の尾身茂会長は「第4波に入りつつあるという言い方で差し支えない」と述べました。また、関西を中心に広がる変異ウイルスが東京に拡大する可能性も指摘しました。

人の移動を規制していないため、変異株は首都圏でも市中感染が拡大しつつある。しかも、英国型よりも感染力と致死力、ワクチン耐性力のある南アフリカやブラジルで変異した「E484K型」が市中感染する恐れも出て来ている。これでは、「まんぼう」はもちろん「緊急事態宣言」でも効果はない。

東京都の小池百合子知事も4月2日の記者会見で、「3府県と同様の事態になってもおかしくない」と諦め顔になっている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210402/k10012953041000.html)。

東京都の小池知事は記者会見で、大阪など3府県に「まん延防止等重点措置」が適用されることを念頭に「東京都が同様の事態になってもおかしくない厳しい状況にある」と述べ、今後の感染状況などを踏まえて効果的な対策を講じたいとする考えを示しました。この中で小池知事は「都内の感染状況は残念ながら増加の傾向にある。専門家からは今後、第3波を超える感染拡大が危惧されるというコメントをいただいている」と説明しました。(中略)

そのうえで、小池知事は大阪など3府県に「まん延防止等重点措置」が適用されることを念頭に「東京都がほかの府や県と同様の事態になってもおかしくない厳しい状況にあるという危機感を改めて共有したい」と述べ、都民や事業者に対し、感染防止対策の徹底を改めて呼びかけました。

ただし、小池都知事は新規感染者数が再拡大した理由は、「緊急事態宣言」解除の言葉が出てきたことにあるとの認識だ。しかし、本サイトで繰り返し述べているように、コロナの波は、➀季節要因(秋から冬場にかけて感染がもっとも拡大し、夏場にかけて冬ほどではないが感染が拡大する)②コロナウイルスの変異株の交替要因③人の移動要因ーがある。首都圏では英国型(N501Y)に加えて、南アフリカやブラジルでN501Y型を経由せず、直接E484K型変異した変異株の市中感染も取り沙汰されている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210402/k10012953591000.htmlhttps://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000764153.pdf)。

東大先端研の児玉龍彦東大名誉教授による

東大先端研の児玉龍彦東大名誉教授による

このため、「まんぼう」の時短要請(行政罰と過料)はもちろん、「緊急事態宣言」の時短・休業要請(行政罰と過料)だけでは、コロナ第4波を抑えることはできない。こうしたことから、日刊ゲンダイも4月2日発売の4月3日号で「大阪リレー中止 聖火は全国走破できるのか」と題する記事を報道している。

すでに日本列島は、新型コロナ感染拡大の「第4波」に突入した可能性が高いだけに、問題はリレーの中止が大阪だけで済むのか、ということだ。感染拡大の状況によっては、他の自治体でも聖火リレーの見直しが相次ぐ可能性がある。

実際、1日、リレーの初日を迎えた長野では、聖火到着を祝うイベントを無観客で実施。5月中旬から聖火リレーが始まる島根(15~16日)は中止を検討しており、鳥取(21~22日)もコースの短縮を検討中だ。

東京オリンピック/パラリンピックの開催自体に反対の島根県の丸山達也知事も吉村知事の発言を評価しているが、「問題はオリ/パラの強行開催にある」との持論を崩していない。大阪府と同じく「まんぼう」を実施する総務省官僚出身の兵庫県・井戸敏三知事は、1日の対策本部会議後の会見で「現時点では聖火リレーを虚構する」と強弁しているが、「現時点では」との条件付きで、実際どうなるかは分からない。聖火リレーがオリ/パラ組織委の思惑通りに進みそうもないことは確かだ。

なお、聖火リレーはスポンサー企業が宣伝カーを使う「どんちゃん騒ぎ」で、これを動画で撮影し、SNS(ツイッター)で公開した東京新聞の記者は公開動画の削除を余儀なくされた(https://www.tokyo-np.co.jp/article/94981)。国際オリンピック委員会(IOC)の「独自ルール」なるものによる。

東京五輪聖火リレーで目立つスポンサー車両を映し、ツイッターで約90万回再生された動画を3月28日、私は削除した。大音量の音楽やDJ(ディスクジョッキー)による異様な演出を問題視した動画で、削除という判断には「おかしい」という抗議の声もいただいた。なぜ削除したのか。背景にはメディアの動画公開を撮影から「72時間」とし、公道で撮影した動画すら規制する国際オリンピック委員会(IOC)の独自ルールがあった。

福島県南相馬市での聖火リレー

福島県南相馬市での聖火リレー

動画の一部を切り取った写真では、聖火リレーのランナーは見えない。宣伝カーにはさまれて走っているようだ。スポンサー企業優先の国際オリンピック委員会(IOC)ならではの規約だが、このようなどんちゃん騒ぎでは、飛沫感染しやすい「密」になることは避けられない。コロナ第4波の襲来に加え、こうしたどんちゃん騒ぎが繰り返されるのなら、コロナ感染拡大に輪をかけることになる。なお、IOCのルールは「表現の自由」を規定した日本国憲法違反の「傲慢なルールでしかない」(知的財産法が専門の玉井克哉・東京大教授、https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20210403-00230643/)。

聖火リレーは従来の聖火リレーではなく、「不審火リレー」、「商火リレー」なのだ。

失われた東京オリンピックの大義名分

なお、東京オリンピック/パラリンピックは「復興五輪」、「人類がコロナに打ち勝った証としての五輪」の大義名分があった。しかし、福島第一原発事故の際の2011年3月11日に発動された「原子力緊急事態宣言」は解除されていない。それまでは、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告(https://www.icrp.org/docs/P103_Japanese.pdf)を受けて、日本では年間の国民一人当たりの放射線被曝量は年間1ミリシーベルトが上限とされていたが、「宣言」によって福島県では20ミリシーベルトに引き上げられたままだ。年間20ミリシーベルトの被ばくを受ける地域から安全な地域へ移住する財政支援措置(補償措置)は打ち切られた。

100ミリシーベルトで、がんによる死亡率は0.5%高まるとされている。5年で100ミリシーベルトに達するから、福島第一原発の近辺で居住ざるを得ない福島県民(県全体の人口は2021年3月で181万人)は、5年間で人口100万人当たり5千人が死亡する可能性がある。現在も、福島第一原発最近辺地域の市町村は荒れ放題だ。県民が無理して居住せざるを得ない地域も安全が保障されない。完全な棄民政策が取られている。

これに加えて、今年2021年3月9日火曜日8時30分頃、宮城県沖で最大震度6強を観測する地震があり、福島第一原発の第1号機を中心に損傷の損傷を受けている。東京電力は福島第一原発に問題はないと「公表」しているが、核燃料を冷却する冷却水の水位の低下が起こり、冷却水を余分に注水しなければならない状況との指摘も出ている。フクシマ第一原発事故が置きてから10年間が経過した今も、こうした状況である。福島県から聖火リレーは出発したが、原発被害が目に見えない地域だけを騒々しく聖火リレーが行われた。これで、どうして「復興五輪」と言えるだろうか。

また、新型コロナも政府=安倍晋三、菅政権が感染症対策の基本の基本である検査と保護・隔離を放棄したことに加え、変異株の出現で大阪府で3日、これまでで最大の新規感染者が発生するなど、第4波の感染規模が第3波を上回る兆しが出ている。「大阪の次は東京」と言われる。日本の二大都市圏である東京都と大阪府は全国にコロナウイルスを拡散する感染震源地(エピセンター)になっている。政府=菅政権はコロナ対策に関心がないようだから結局、「日本がコロナに敗北した証としての五輪中止」になる可能性が極めて濃厚だ。

本投稿記事再開

本投稿記事に戻ると、結局のところ、聖火リレーは混乱し、走者のリレーで東京オリンピック/パラリンピックのメインスタジアムまでたどり着けるかは疑問だ。コロナ第4波で聖火リレーは中断、オリ/パラも中止に追い込まれる公算が極めて大きい。朝日デジタルは「政権誤算、しぼむ『攻勢』、『五輪機運で浮揚見通せず』」と題する記事(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14856839.html?iref=pc_ss_date_article)を4月2日午前5時に公開した。「攻勢」というのは、4月16日のバイデン大統領との会談=対中包囲軍事同盟を強化することが主目的だが、見返りに東京オリンピック/パラリンピック開催の支持も狙う可能性がある=のことだ。一部を引用させていただきたい。

一方で、「まん防」の適用を受ける大阪府の吉村洋文知事は1日、東京五輪の聖火リレーについて「大阪市内では中止すべきだ」と発言。首相が政権浮揚に期待する五輪の開催機運に水をさされた形となった。同様の対応をとる自治体が出てくれば、聖火リレーが大きく混乱しかねない。

政治日程が縛られる可能性もある。首相は1日、テレビ東京の報道番組で「まん防」下の衆院解散の可能性を問われ、コロナ対応に取り組む姿勢を強調。「(対策を)最優先で行うことが大事だ」と述べた。10月に衆院議員の任期満了が控えるが、首相周辺は「解散は当分ない」と話す。

コロナ感染の見通しについては、Youtubeなどで公開されている季節要因や変異株要因、人の移動要因を考慮すれば、第4波が到来することは誰の目にも明らかだ。また、立憲民主党の枝野幸男代表が「Zeroコロナ」対策を打ち出し、日本共産党の志位和夫委員長も同様の対策をコロナ対策の実務責任者である西村康稔経済再生担当大臣に直接会って説明し、菅首相に伝えている。これらのことからすれば、政府=菅政権も「3密回避」を国民に押し付けるだけの従来の「コロナ対策」なるものの限界を認識していて当然だ。

ところが、政府=菅政権はコロナ対策の抜本転換をしない。「賭け(ギャンブル、限定的な「緊急事態宣言」)」に失敗した後、「後手後手(感染再拡大の予想が出来ない)、小出し(まんぼう)、右往左往(聖火リレーの混乱、オリ/パラの中止)」の状態に陥ることが、また繰り返されるだろう。さらに、河野太郎ワクチン担当相の発言もめっきり減ってきた。インターネットでは、政府=菅政権のコロナ禍対策への無能力に対する批判はもちろん無関心ではないかとの批判さえ溢れている。このままでは、自民党内に、二階グループに支えられた菅総裁・首相に対する反乱ののろしが上がる。東京オリンピック/パラリンピックは自民党内の清和会(細田派)が中心になって開催を進めてきたから、中止は菅・二階グループと細田派・麻生派の対立の先鋭化という「党内政局(権力闘争)」を強める。

もっとも、菅首相と大阪府の吉村知事、大阪市の松井市長など維新との関係は深い。吉村知事の「大阪市内での聖火リレー中止」発言は、あらかじめ菅首相の了解を得ての発言だった可能性も考えられる。その場合は、「国民の生命・健康と生業(なりわい)を守るため、オリンピック中止」を「英断する」という形で、東京都議会選挙や解散・総選挙に打って出ることも有り得る。ただし、第4波が襲来すれば、至難の技になる。

これに対して、「緑のたぬき」と揶揄される小池都知事が7月4日投開票の東京都議会選挙の前に、コロナ感染急拡大を抑えることが出来ないと判断すれば、「都民の生命と生活を守るためにオリ/パラ中止の決断」を公言するかも知れない。このシナリオは、博報堂出身でオリンピック問題に詳しい作家の本間龍氏もあり得るシナリオとして語っている(https://www.youtube.com/watch?v=KPG192Vnu44)。なお、小池都知事の後ろ盾は、菅首相の後ろ盾でもある保守新党時代から行動を共にしてきた自民党の二階俊博幹事長だから、事情は複雑になる。

参考までに、過大推計と批判されることもあるが米国Google社の予測(https://datastudio.google.com/u/0/reporting/8224d512-a76e-4d38-91c1-935ba119eb8f/page/ncZpB?s=nXbF2P6La2M)を掲げておきたい。棒グラフにマウスのカーソルを当てると、その日の新規感染者数(死亡者数)、7日移動平均での感染者数(死亡者数)が表示されます。

米Googleの予測(3月30日から4月26日までの4週間)

予測最終日は、全国の新規感染者数は5399人、死亡者数は128人で東京都ではそれぞれ1903人、44人になっている。変異株の市中感染が広がれば、ある時点から一挙に新規感染者が拡大する。なお、4月2日時点での全国の新規感染者と死亡者の予測は1903人と44人になっているが、実際は厚生労働省から2759人、22人と公表されている。4月3日時点の東京都の新規感染者数は389人との予測だが、実際は446人だった。取り敢えずは、少なめの予測になっている。

Googleの全国予測

Googleの全国予測

Googleの東京都予測

Googleの東京都予測

いずれにしても、第4波の規模が日本の政治を大きく左右する。真正野党が財源の裏付けをもって強力な「コロナ禍対策」、「経済再建策」を提示できれば、政権交代も十分に有り得る。しかし、立憲副代表の原口一博衆院議員が正式に発足させた「日本の未来を創る勉強会」(現代貨幣経済理論=MMT=に基づく積極財政の在り方を研究、立憲内に啓蒙する研究会)は枝野代表ー福山哲郎幹事長ラインから疎まれている。また、立憲内部の衆院議員の中には、総選挙で当選することだけしか考えておらず、「寄らば大樹の影(大勢におもねり、自分の主張を持たない)」の議員も多い。「機能的財政論」を立憲執行部が受け入れれば、政権交代の可能性は相当に高まるが、現段階ではそうならない可能性の方が強い。その場合は、山本太郎代表率いるれいわ新選組は野党共闘に加わらないだろう。そうなれば、日本と日本国民の未来は暗澹たるものになる。

ただし、東京都議会選挙でれいわが一定の議席数を獲得できれば、野党共闘の情勢が変わることも有り得る。サイト管理者(筆者)としては、それを期待したい。


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