限定的「緊急事態宣言下」東京都のコロナ感染状況と今後の見通し
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政府=菅義偉政権は本日3月21日で、東京オリンピック聖火リレーと日韓サッカー時合が始まる3月25日を前に、限定的な「緊急事態宣言」を解除する。感染再拡大(リバウンド)が徐々に進行している中での解除だ。本来はコロナ禍対策の抜本転換を図るべきところだが、米国アップル社が公開している人の移動指数(公共交通機関)は上昇基調を続けている。取り敢えず、全国に対して感染震源地(エピセンター)になっている東京都の「実績」と人の移動指数を掲げておきます。

3月21日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日3月21日日曜日の新型コロナ感染状況は、午後23時59分時点で全国で1119人の新規感染者、19人の死亡者、重症者は、前日比8人減少の324人となっている。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、3月20日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人減の1.07人、東京都は同じ21日時点で前日比0.01人減の1.05人だった。簡易計算だが実効再生産数はなお1.0人を上回っており、基調的に新規感染が再拡大しつつある。

限定的「緊急事態宣言」下の東京都コロナ感染状況

本日3月21日で終了する東京都のコロナ感染状況の推移(サイクルは日曜日から土曜日)です。3月11日木曜日以降、7日移動平均での新規感染者数は前週の同じ曜日を上回っており、徐々にではあるが、再拡大(リバウンド)している。東京都では7日移動平均での新規感染者数を100人程度に抑えることを目標にしていたが、放棄した。解除日の21日には7日移動平均で301.1人になり、2月23日(318・3人)以来の300人を超えになった。コロナ感染者数が徐々に再拡大している中での解除ということなる。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

 

西浦博京大教授のシミュレーション
西浦博京大教授のシミュレーション

本来は今ここで東京都民(国民)の生活と生業(生業)を十分保障したうえで、➀エピセンターでの全員検査、非エピセンター地域では「誰でも、いつでも、どこでも、何回でも」PCR検査、抗体検査を受けられる検査体制の抜本的拡充②変異株に対処するための検査陽性者のコロナウイルスの遺伝子構造の分析体制の確立(厚生労働省と文部科学省の縦割り行政の撤廃)③コロナワクチンンに対する詳細な情報の公開ーなどが必要なところだ。しかし、政府=菅政権は東京オリンピック/パラリンピック開催やその地ならしとしての日韓サッカー大会を強行することしか念頭にないようだ。そのツケはいずれ、菅政権に及ぶことになる。

アップル社が公開している人の移動指数の推移

公共交通機関のみ下表に示しているが、2月19日には基準となる昨年2020年1月23日を上回ったのち、一時的に下回った日はあったものの基調として基準日を上回り、3月19日には最高値137.34を記録している。人の移動指数は3週間後に新規コロナ感染者数に反映する。現在は1月末の人の移動指数が東京都の新規感染者数に反映されているが、2月以降、人の移動指数が一時的に低下したことはあったが、基調的に上昇している。

 

 

コロナ感染の波は、➀冬場と夏場の季節要因②変異株要因ーで起きるが、振幅を大きくするのは人の移動指数だ。今後、一年のうちでも夏の盆、冬の帰省に劣らず人口移動が長期にわたって活発化する中では、今春に第4波が訪れる公算は大きいとみておかねばならないだろう。

コロナ用のワクチン接種状況についても、「血栓」が生じて死亡する例が多発した英国のアストラゼネカ社のワクチンについては欧州連盟(EUのEMA=ヨーロッパ医薬品庁=)の「お墨付き」が出たが、ノルウエーなど北欧諸国では警戒して接種を再開していない。

また、パキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)首相(68)は18日に中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)製ワクチンの接種を受けたものの、20日に受けたPCR検査で陽性と判定され、自主隔離していると発表された。シノファーム製ワクチンは中国製ワクチン(不活性化ワクチン)でも一定の評価は受けているが、ワクチンは一般的に有効な抗体がヒトの体内で産生されるには時間がかかるとされている。米国のファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンは2回接種しなければならず、有効性は高いとされているが、同じように抗体の産生には時間がかかると見られる。

政府=菅政権は基本的に、「ワクチン一本足打法」。これでいけば、日本ではワクチン接種の明確なスケジュールが立たないこともあって、夏場の東京オリンピック/パラリンピック開催には重大な影響が出る可能性がある。日本の資源の総力を挙げて、コロナ禍に対する戦いを挑むべき時だ。


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