菅首相の総裁選前の解散・総選挙の言及、党内権力闘争本格化(追記コロナ第4波状況)

複数のメディアの報道によると、菅義偉首相が4月6日夜、野党側が「内閣不信任決議案を」衆院に提出した場合、解散・総選挙を行う可能性に言及した。自民党の二階俊博幹事長が4月4日のBSテレビ東京で再度、「不信任決議案提出の場合は解散・総選挙だ」と発言したことを受けたもの。このことは自民党内権力闘争本格化したことを意味する。しかし、大阪府の感染急拡大に象徴されるように、コロナの第4波は始まっている。また、公明党の山口那津男代表は「野党が内閣不信任決議案を提出した場合は粛々と否決れば良い」とも語っており、同党も解散総選挙には反対だ。菅首相のシナリオ通りにコトが運ぶか、可能性は極め薄いだろう。カギはコロナ第4波の規模が握る。

4月8日コロナ感染状況
複数のメディアによると本日4月7日水曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の3月31日水曜日の414人から141人増加して555人になった。新規感染者数が500人を上回るのは639人だった2月6日以来、2カ月ぶり。東京都基準の重症者は前日から3人減って41人になった。7日移動平均では417.0人になり、400人を突破。前週水曜日比115.6%になった。実数では7日連続前週の同じ曜日を上回っているが、7日移動平均は3月11日以降、前週を上回っている。20歳台が178人と最多を占めた。
全国では全国では午後23時59分の時点で3451人が新規感染、30人の死亡が確認されている。東京都で4人、大阪府、兵庫県でそれぞれ2人が死亡。重症者は前日比5人増の456人。大阪府は過去最多の878人で、隣接した兵庫県では328人になり、今年1月9日に最多を記録した324人を上回って過去最多数を更新した。変異株が感染の主流に置き換わってきている模様だ。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、4月6日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人減の1.24人、東京都は同じく4月6日時点で前日と変わらず1.07人だった。このところ減少しているが、傾向的なものかどうか見極める必要がある。ただし、1.00人は上回っている。

東京都のコロナ感染者数の推移と関連記事

複数のメディアによると、東京都の小池百合子都知事は4月7日、政府=菅政権に対して改正インフル特措法に盛り込まれた「まん延防止等特別措置(まんぼう)」の発令(発出)を要請することの検討に入ったという。しかし、「まんぼう」はもちろん「緊急事態宣言」でも新規感染急拡大を抑えることは困難だ。新規感染は「飛沫感染」によって、夜の会食だけでなく、昼のカラオケでも起こり得る。コロナの波の要因は、➀季節要因②変異株要因③人の移動指数(波の振幅を左右する)ーだ。「ワクチン一本足打法」では対策になり得ないし、そもそも欧米の大手製薬会社が開発したワクチンは入手が非常に遅れる。

世界的に有名で権威のある英国の医学雑誌「ランセット」はロシア製のワクチン・「スプートニクⅤ」を高く評価している(https://www.youtube.com/watch?v=a5T5KOFLg7c)。世界のどこの国でも行っている積極財政に転じて、➀感染震源地での徹底的検査と陽性判定者の保護・隔離・治療②島津製作所などが開発している変異株感染が即座に分かるPCR検査検査キットの大量導入による変異株感染の100%追跡③権威ある医学雑誌で高い評価を受けたワクチンの導入の検討(安全性と有効性の確認が大前提)➃国民の生活・企業の存続を補償・保障するーなどコロナ禍対策の抜本転換が必要だ。

なお、ソ連からポリオワクチンを導入して、ポリオウイルスによって発症するポリオ(脊髄性小児麻痺)を防いだ事案もある。第2次池田内閣の古井喜実厚生大臣が、自由民主党内の反対を抑えて「責任は大臣が持つ」と宣言して1961年(昭和36年)6月21日にソ連(および一部カナダ)からポリオワクチンの緊急輸入に踏み切った。

なお、北朝鮮は公式的にはコロナ感染状況が全く不明だが、選手団などのコロナ感染を防ぐという理由で、東京オリンピック/パラリンピック参加を拒否したのは正しい。「政治的理由」なるものを挙げて、コトの本質を見ないのはおかしい。日本は東京都が「まんばう」を政府=菅政権に要求することの検討に入った以上、オリ/パラは中止すべきだ。NHKが「聖火リレー」中継の際、「オリンピック反対」の音声(国民の声)を削除したとの報道もある(https://www.tokyo-np.co.jp/article/96386?rct=main)が、事実なら日本国憲法が保障している「思想・信条の自由」「言論の自由」を圧殺するものだ。

東京都のコロナ感染者数の推移

東京都のコロナ感染者数の推移

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菅首相の発言は4月6日夜のBS日テレの「深層NEWS」でなされた。NHKのWebサイトは7日5時59分に公開した「菅首相 自民党総裁選前の解散もありうるとの考え示す」と題する報道で伝えた(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210407/k10012960151000.html)。

衆議院の解散・総選挙について、菅総理大臣は6日夜、BS日テレの「深層NEWS」で、野党が内閣不信任決議案を提出した場合、解散の大義になり得るとした上で、ことし9月末に任期を迎える自民党総裁の選挙前の解散もありうるという考えを示しました。

この中で、菅総理大臣は、衆議院の解散・総選挙について「新型コロナウイルスの感染拡大防止が最優先と申し上げてきた。そこは大事なことだと思う。これからワクチン接種が極めて重要なことになってくると思う」と述べました。

そして「内閣不信任決議案の提出は大義になるという考えか」という質問に対し「そこは当然なると思う」と述べ、野党が内閣不信任決議案を提出した場合、解散の大義になり得るという認識を示しました。

朝日デジタルは、首相、「自民総裁選前の解散『あり得る』 TV番組で発言」と題して、昨日4月6日23時40分に公開・報道した(https://digital.asahi.com/articles/ASP467TH8P46ULFA02H.html)。首相はこれまで「コロナ対策が最優先であり、解散・総選挙は考えていない」としてきた。実際、大阪府の昨日4月6日のコロナ新規感染者数は、今月3日の666人を超えて過去最多の719人となり、東京都の感染者数を8日連続で上回った。大阪府の死亡者は2人。菅義偉首相は4月5日の参院決算委員会で(現時点での)第4波の襲来は否定しているが、大阪府では明らかに第4波が始まっている。

東京都でもこのところ新規感染者は前週の同じ曜日に比べて増加傾向を続けている。より重要な7日移動平均では396.9人になり、前週火曜日比109.8%になった。移動平均での400人大突入を目前に控えている。政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長も5日の参院決算委員会で「東京も同じようになる可能性がある」と語っている(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14861282.html?iref=pc_ss_date_article)。立憲民主党の古賀之士参院議員の質問に対して答弁した(https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6249)。また、専門家の多くと厚生労働省も認めているように、現在の新型ワクチンは変異株には効かないが、ワクチンの接種は到底、東京オリンピック/パラリンピック開催までには間に合わない。

また、6月25日金曜日に告示され、7月4日日曜日の投開票日の国政選挙並みの東京都議会選挙と解散・総選挙がほぼダブル選挙になることに対して、公明党が強く反対している。

こうした状況の中で、菅首相があえて「解散・総選挙」について明言したことは、菅首相が権力掌握の目的である国民の生命や生業を守ることよりも、権力の維持そのものにしがみついていることを改めて示したことを意味する。それとともに、自民党内で清和会細田派・麻生波と二階グループ・菅グループの対立が強まってきていることを意味する。日刊ゲンダイは4月5日発売の6日号で、「菅首相五輪花道論」と題する記事で次のように報道していた(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/287469)。一部を抜粋させていただきたい。

「野党が不信任案を提出したら菅首相は解散するのではないか」という見方も流れはじめている。安倍前首相の周辺から「菅首相のオリンピック花道論」が流布されはじめたからだ。「安倍さんは、周囲に『五輪までは菅ちゃんを支えなきゃ』と漏らしているそうです。自分が招致した五輪だから成功させたいのでしょう。しかし、逆に言うと、五輪が終わったら支える気はないということです。要するに、“五輪花道論”、五輪後の“菅降ろし”です。

菅首相としては4月16日に予定されている米国バイデン大統領との会談で、事実上の「対中集団安保体制」を敷くことを約束することで、東京オリンピック/パラリンピック開催に米国選手団の派遣約束を取り付けたい考えだろうが、バイデン大統領は「安全に解決できるエビデンス(科学的証拠)が必要だ」と明言している。

明言した前言を覆して、オリ/パラに米国選手団を日本に送る約束をするなどのことになると、ディープステートの傘下にあり、対中強硬路線を採っているバイデン大統領としては、日本との経済関係が深まっている中国に対して、日本が相当強力な対中強硬外交路線を展開することを「指令」することになる。「媚中派」と揶揄される親中派で菅首相の後ろ盾である二階幹事長の立場も危うくなるだろう、そして、対中強硬外交路線は日本の国益を毀損する。

日本は日本国憲法の「基本的人権尊重・国民主権・平和主義」の理念に則って、国連中心主義、国際人権規約(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約、A規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約、B規約)からなる)に基づいた言葉の真の意味での「積極的平和主義外交」を展開する国際的な責務がある。中国は自由権規約について、2020年11月20日時点で署名はしているが批准はしていない(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c_001_1.html)ので、同国の大きな「アキレス腱」になっている。日本は中国に対して、批准を求める積極的外交戦略を展開していく必要がある。批准と確実な実行は、中国の利益になるはずだ。

野党側は菅首相の「解散・総選挙」発言の背後に、同首相の党内での基盤が弱体化していることを見抜いたうえで、大胆な政策体系と野党連合政権構想を国民の前に提示し、強力な「政策連合」を結成したうえで、時期を選んで菅首相に対して「退陣要求」を行う、つまり、「内閣不信任決議案」を衆院に提出すべきだ。なお、菅首相のバイデン大統領との「日米首脳会談」の成果とコロナ第4波の規模によっては、4月解散、5月総選挙も有り得る。コロナ第4波の動向が重要な要素になる。


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