コロナ対策に不可欠な医療体制の再構築、連合がネックにー立民は連合支配から脱却を(野々村さん事案補強)

政府=菅義偉政権は感染爆発状態の中では入院・療養施設での隔離・治療は不可能として原則、「自宅療養」とするコロナ感染症対策の「大転換」を打ち出したが、「自宅療養」では家庭など住居を中心に感染者の増加が加速する。感染症対策の基本中は「徹底した検査と隔離・保護・治療」であり、そのためには日本の現在の医療体制の抜本的再編・再構築が絶対に欠かせない。しかし、政府=菅政権は、医療体制の抜本的再編・再構築に無為無策を決め込んできた。中でも問題なのは、血税を投入している独立行政法人国立病院機構と同地域医療機能推進機構だ。両機構傘下の病院は原則、コロナ専用病院にすべきで、設置法にも緊急事態の場合は厚生労働大臣(厚労相)が必要な措置(コロナ専門病院に特化する)との法律がある。菅政権はこれを国民の前に明らかにしようとしない。加えて、独立行政法人の職員は日本労働組合総連合会(連合)傘下の産業別労組である国公連に加入しており、両機構の職員は国公連傘に加入している。立憲民主党は「ゼロコロナ政策」として「医療体制の抜本的再編・構築」のための法案を先の通常国会に提出した(https://cdp-japan.jp/covid-19/zero-covid-strategy)が、連合の支配から脱することが未だできていないため、両機構傘下の病院をコロナ専門病院にすることまでには触れていない。立民が連合支配の呪縛から脱することが正しい「ゼロコロナ対策」を打ち出すためにも不可欠だ。

8月9日コロナ感染状況(追記予定)

複数のメディアによると、8月9日月曜日の東京都の新規コロナ感染者数は前週の月曜日に比べて689人増で、月曜日としては過去最多の2884人だった。死亡者は3人、東京都基準の重症者は157人。7日移動平均では4135.4人と前週の128.7%になった。前週比はこのところ漸減傾向にある。今後はデルタ株、ラムダ株、季節要因を考慮に入れておく必要はある。自宅療養者と入院・療養調整中は8日の1万7812人、1万3244人から9日は1万7356人、1万3325人だった。全国では午後18時30分23時59分の時点で、新規感染者数は1万2073人、死亡者12人、重症者1120人になっている。

東京都のコロナ感染者数の推移
東京都のコロナ感染者数の推移

国立病院機構と地域医療機能推進機構傘下病院のコロナ専門病院化を連合が妨害する可能性

まず、東京都のモニタリング会議(コロナ対策専門家会議)が公表した最新のデータ(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/014/484/57kai/20210805_04n.pdf)によると、家庭を中心とした住居が最大の感染経路になっているが、家庭感染の比率が次第に増加している。

東京都モニタリング会議による
東京都モニタリング会議による

東京都を中心に、家庭内感染の割合が拡大しているのは、感染症対策の基本中の基本は「徹底的な検査と隔離・保護・治療」なのに、政府=菅政権がそのための医療体制の再編・抜本的強化には無為無策を続けてきたためだ。政府=菅政権は肺炎の所見が見られ、人工呼吸装置の装填が必要な中等症患者も「当然入院の対象」とすると付け加え始めているが、実務的には現在の医療体制(病院による病床確保や医療施設の現状、医師や看護師の不足)から不可能で、下図の赤枠のように「自宅療養=棄民政策」を強行し始めている。家庭を中心とする住居での感染者が増加しており、そのことによって職場や施設・学校での感染者も増加しているというのが現実だから、今回の政府=菅政権の方針転換は「感染爆発」を加速する結果になる。

菅政権のコロナ対策の抜本的転換
菅政権のコロナ対策の抜本的転換

今回の「自宅療養=棄民政策」への転換は、季節要因が剥げ落ちるまで「感染爆発」を加速する悪政だ。これを阻止するためには、日本国内の医療システムの抜本的再編・強化が不可欠だ。立民は「ゼロコロナ対策」の一環として先の通常国会で6月11日に「政府と都道府県知事が、医療機関に対する人員又は設備の配置の変更等の指示ができるようにする」法案を提出した(https://cdp-japan.jp/covid-19/zero-covid-strategy)。

しかし、独立行政法人国立病院機構や同地域医療機能推進機構の設置法には、厚労相の指示でコロナ専門病院化できる条項がある。次に再掲させていただくが、東京都内に既にそれぞれ1513床、1532床ある。合計で3045床だ。全床とまでは行かなくても他の病院と協力し、徹底的に努力すればかなりの病床を確保できるはずだ。このことを踏まえて、立民など野党が法案を提出し、与党の理解萌えて可決しておれば、両者に東京都内の8つの都立病院(5056床、広尾病院はコロナ専門病院)を7000床程度の病床は確保できたはずだ。

まず、国立病院機構法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=414AC0000000191_20150801_000000000000000)の第21条は次のように定めている。

(緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求)
第二十一条 厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機構に対し、第十五条第一項第一号又は第二号の業務のうち必要な業務の実施を求めることができる。
2 機構は、厚生労働大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。

国立病院は全国にある(https://nho.hosp.go.jp/about/cnt1-0_000103.html)が、東京には東京医療センター、災害医療センター(広域災害用)、東京病院、村山医療センターの4病院があり、少なくとも1513床ある。部分的にコロナ患者用の発熱外来を設けているが、「国立病院機構法」の趣旨を考慮するとその定めどおり、東京都立広尾病院のようにコロナ専門病院にするのが当然だ。

また、「地域医療機能推進機構法」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000071)も、第21条で同じような規定がある。

(緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求)
第二十一条 厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機構に対し、第十三条第一項第一号又は第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に関し必要な措置をとることを求めることができる。
2 機構は、厚生労働大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。

(業務の範囲)
第十三条 機構は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 病院の設置及び運営を行うこと。
二 介護老人保健施設の設置及び運営を行うこと。
三 看護師養成施設(保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第二十一条第二号に規定する学校及び同条第三号に規定する看護師養成所をいう。)の設置及び運営を行うこと。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

付け加えると、労災病院などを管轄する独立行政法人労働者健康安全機構の設置法(独立行政法人労働者健康安全機構法)でも同様の条項がある(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000171)。

(緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求)
第十六条 厚生労働大臣は、重大な労働災害(労働安全衛生法第二条第一号に規定する労働災害をいう。次項において同じ。)が発生し、又はまさに発生しようとしている事態に対処するため緊急の必要があると認めるときは、機構に対し、第十二条第一項第一号又は第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に関し必要な措置をとることを求めることができる。
2 厚生労働大臣は、労働災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、労働災害の予防のための調査及び研究を緊急に行う必要があると認めるときは、機構に対し、第十二条第一項第三号及び第四号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)並びに同条第二項に規定する業務のうち必要な調査及び研究の実施を求めることができる。
3 機構は、厚生労働大臣から前二項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。

(業務の範囲)
第十二条 機構は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 療養施設(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第二十九条第一項第一号に規定する療養に関する施設をいう。)の設置及び運営を行うこと。
二 労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営を行うこと。
三 事業場における災害の予防に係る事項並びに労働者の健康の保持増進に係る事項及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究を行うこと(次号に掲げるものを除く。)。
四 化学物質で労働者の健康障害を生ずるおそれのあるものの有害性の調査を行うこと。
五 前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること。
六 賃金の支払の確保等に関する法律(昭和五十一年法律第三十四号)第三章に規定する事業(同法第八条に規定する業務を除く。)を実施すること。
七 被災労働者(労働者災害補償保険法第二十九条第一項第一号に規定する被災労働者をいう。)に係る納骨堂の設置及び運営を行うこと。
八 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 機構は、前項に規定する業務のほか、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第九十六条の二第一項の規定による調査及び同条第二項の規定による立入検査を行う。
3 機構は、前二項に規定する業務のほか、これらの項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、行政官庁の委託を受けて、労働者災害補償保険法第七条第一項の保険給付に関する決定に必要な検診を行うことができる。

なお、朝日新聞出身で現在、フリージャーナリストの佐藤章氏が入手した厚労省の内部資料では次の図のようになっている(https://www.youtube.com/watch?v=QBFt-fnrD80&t=2596s)。

佐藤章氏が入手した厚労省の内部資料
佐藤章氏が入手した厚労省の内部資料

単純計算だが、国立病院機構傘下の病院では全病床数の4.8%、地域医療機能推進機構では5.7%しかコロナ病床に使用していない。国立病院機構傘下の国立病院では「全140病院のうち65病院については、がん、重症心身障害、神経・筋難病(筋ジストロフィー等)及び精神障害を主たる専門とする病院である」とただし書きを就けているが、佐藤氏が日本の医療制度についても詳しいNPO法人医療ガバナンス研究所の上昌広理事長兼医師に取材したところ、専門の私立病院などとの調整でかなりの程度、コロナ専用病床として使用できるとのことだ。

また、地域医療機能推進機構の箇所では「全57病院のうち26病院については、200床未満の病院」との「ただし書き」があるが、これは軽症段階の患者用に充てれば良い。何より、軽症でも高熱や息苦しさで、症状は厳しいし、重症化を抑えるための点滴を使うカクテル寮法などは軽症=初期の症状段階で、かつ病院やしっかりとした医療施設でしか行えない。さらに言えば、政府コロナ感染症対策本部の分科会の尾身茂会長が理事長を務める地域医療機能推進機構は、機構の設立に当たって750850億円もの巨額の補助金(助成金)を政府から交付され、法人住民税や固定資産税の減免措置も受けている。また、コロナ対策費として両機構併せて政府から65億円の拠出を受けているとのことだ。

にもかかわらず、佐藤氏が厚労省筋に取材したところでは、国立病院機構、地域医療機能推進機構ともコロナ患者を積極的に受け入れる意思はないという。法令で現在のような緊急事態の場合には、田村憲久厚労相がコロナ専用病院への転換を要請することができるはずだが、加藤勝信厚労相(当時、現在内閣官房長官)や田村厚労相には法令を活用して、医療体制の抜本的刷新に努力した形跡が見られない。あり得ざるべからずことだが、たとえ、法令を知らなかったとしても厚労省の文系官僚幹部が報告していて当然だ。政府=菅政権が医療体制の抜本的強化に取り組んでこそ、立民など野党が先の通常国会に提出した、政府や都道府県知事に対して「病床・療養施設の確保のため、(国公私立大学附属病院や公立病院などに対して)より積極的に関与」できる法律案も与党から理解が得られ、先の通常国会で成立させることができたはずだ。

立民の副代表である長妻昭衆院議員は民主党政権時代に厚生労働大臣を務めた経歴があり、国立病院機構法や地域医療機能推進機構法の立法化にも関与している。両機構をご存じなかったわけではないはずだ。結論的に言えば、枝野幸男代表や副代表の長妻氏など立民幹部が不退転の決意をもって医療体制の抜本的再編、強化に踏み切れていないのはは、同党がいまだに「労働貴族」である連合の支配的な影響を断ち切れず真の「国民政党」になっていないためだ。

佐藤氏によると、独立行政法人国立病院機構や同地域医療機能推進機構などの独立行政法人の労組は、日本労働組合総連合会(連合)傘下の産業別労組である国公関連労働組合連合会=日本国家公務意労働組合連合会(国公連、組合員数約8万人程度。1府7省=内閣府と総務、法務、財務、文部科学、厚生労働、経済産業、国土交通の各省=と人事院や裁判所、及びその関係する独立行政法人や国立大学法人などに働く正規・非正規の国公関連労働者で組織する産業別労働組合。参考:https://www.kokko-rengo.org/http://kokkororen.com/intro.php)に加入している(https://www.youtube.com/watch?v=QBFt-fnrD80)。

両機構傘下の病院をコロナ専門病院に転換するためには、病院の職員などの理解と協力が不可欠だ。しかし、連合は政府の御用機関と化しており、傘下の国公連は新型コロナウイルス専門病院化に抵抗する可能性が濃厚だ。こうしたことでは、「ゼロ・コロナ政策」も暗唱に乗り上げる。立民は、総選挙・参院選挙で連合のわずかな労働貴族らに頼るより、連合からきっぱりと独立し、真の「国民政党」になるとともに、思い切った医療体制の再編・抜本的強化に乗り出すべきだ。そうしないから、枝野幸男代表は、国政選挙で支持政党がなく、投票に行かない層(全有権者の50%を占めるに至っている)から支持を得られず、次に述べる毎日、朝日新聞社の世論調査でも腐敗した自公連立与党の受け皿になれない。

さらに加えると、厚労省が酸素飽和度95%を入院基準にしていた事例が本日8月9日、発覚した。俳優の野々村真さんの容態急変、再入院の事例である(https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/08/09/kiji/20210809s00041000309000c.html)。

俳優の坂上忍(54)がが9日、MCを務めるフジテレビ「バイキング」(月~金曜前11・55)に出演。友人で、番組レギュラーでもある、タレントの野々村真(57)が新型コロナウイルスに感染し、自宅療養から入院したことについて言及した。
この日は野々村の妻で、タレントの野々村俊恵(57)が番組のインタビュー取材に応じ、野々村の病状について説明。野々村は7月30日に仕事関係者が感染が発覚し、自身も濃厚接触者の可能性があったためPCR検査を受けたところ陽性と判定。その夜から38度の発熱やけん怠感、せきなどの症状が出たが、保健所からは自宅療養との指示を受けたという。翌31日から40度近い発熱が続き、4日には血中酸素飽和度の値が「90」近くまで低下したという。その後、救急車を呼んだものの、救急車の到着時に「96」まで回復していたため、その時点での搬送は見送られた。ただ、翌5日、再び数値は低下し、保健所の指示でに入院することになった。

酸素飽和度95%には意味がない。そもそも95%という数値は肺が重篤な状況にあることを意味する。コロナ感染患者は酸素飽和度が急激に低下し、症状が急変する。「95%」に意味はない。PCR検査検査で陽性と判明したら、その時から「隔離・保護・治療」しなければならない。医師でもない保健所職員が入院の可否を決めるというのは「医師法」違反だ。関係者は刑事罰に問われる。新型コロナ感染症(Covid-19)を指定感染症Ⅱ類に指定し、保健所を介在させるというのは辞めなければならない。そのためには、Covid-19に対処できるように(検査と保護・隔離・治療を受けられるように)既存の法律を改正するか、新たに制定する必要がある。これも重要なことで、医療体制の抜本的再構築には欠かせない(参考:https://www.youtube.com/watch?v=V44whkxtXrg)。

なお、毎日新聞社系列のTBS(JNN)が7日土曜日、8日日曜日に行った世論調査(https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4332567.html)によると、強行開催した東京オリンピックで日本勢が過去最多の金メダルを獲得したものの、菅内閣の支持率は前回調査に比べて10.1ポイント低くなって32.6%、逆に不支持率は9.2ポイント上がって63.5%になった。事実上の「棄民政策」については、59%が「納得できない」としている。サイト管理者(筆者)としては、それでも内閣支持率は高すぎで、「棄民政策」を「納得できない」と回答した割合は低すぎると思われる。

東京オリンピックについて、開催して「よかった」と答えた人が61%だったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。一方、菅内閣の支持率は過去最低を更新しています。菅内閣を支持できるという人は、先月の調査結果より10.1ポイント下落し32.6%と、政権発足後最低を更新しました。支持できないという人は、9.2ポイント増え63.5%でした。

TBSの世論調査
TBSの世論調査

新型コロナウイルスの感染防止に向けた政府のこれまでの取り組みについて聞いたところ、「評価する」は先月より9ポイント下落し29%、「評価しない」は62%でした。政府は東京など6都府県に緊急事態宣言を出していますが、この措置について「緩すぎる」と答えた人は49%で、続いて「妥当だ」が41%、「厳しすぎる」は6%でした。宣言の効果については「あまり効果はない」「まったく効果はない」と考える人があわせて76%に達しています。新規感染者数の急増を受け、政府が新たに打ち出した重症者と重症化リスクのある患者を重点的に入院させる方針について、「納得できる」と答えた人は36%、「納得できない」は59%でした。(中略)

一方で、オリンピックが感染拡大につながったと思うかという質問に対しては、「つながった」「ある程度つながった」をあわせると60%に達しています。

朝日新聞社の世論調査でも同じような結果が出ている(https://digital.asahi.com/articles/ASP8865HHP86UZPS002.html?iref=comtop_7_02)。

菅内閣の支持率は28%と昨年9月の発足以降、初めて3割を切った。不支持率は53%。東京五輪開幕直前の7月調査の支持31%、不支持49%からいずれも悪化した。東京五輪開幕直前の7月調査の支持31%、不支持49%からいずれも悪化した。五輪開催は「よかった」が56%、「よくなかった」は32%だった(下図2枚目は菅政権のコロナ対策への評価に対する回答)。

朝日新聞社世論調査
朝日新聞社世論調査
朝日新聞社世論調査
朝日新聞社世論調査

菅義偉首相が言ってきた「安全、安心の大会」が「できた」は32%と少なく、「できなかった」が54%と多い。7月調査で見通しを聞いた際には「できる」21%、「できない」68%だった。内閣への見方が厳しいのは、新型コロナウイルスをめぐる評価の低さが響いている。政府対応を「評価する」という割合は、菅内閣としては5月と並んで最低の23%に落ち込んだ。「評価しない」人では、不支持率が70%に上る。

サイト管理者(筆者)の観点では、内閣支持率はなお高すぎ、コロナ対策への「評価しない」はなお低過ぎると思われるが、両社の世論調査はともに、東京オリンピック強行開催で内閣支持率を引き上げる効果はなかったとの調査結果ではある。今後、マスメディア各社の世論調査結果が出るが、世論誘導操作の麺は否定できないが、一定の傾向は出てくるだろう。参考にすべきではある。なお、大会組織委の「公式発表」によると、選手29人を含む大会関係者の新型コロナウイルス 感染者は計430人だった(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210808/k10013189451000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_007)。

内訳をみますと、選手はいずれも海外から来日した人が29人で、選手団の監督やコーチ、IOC、競技団体といった大会関係者が109人。メディア関係者が25人、組織委員会の職員が10人、大会の委託業者が236人、ボランティアが21人となりました。このうち東京 中央区晴海の選手村に滞在していたのは33人でした(一部抜粋)。

なお、致死率が10%で、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターなどから「人類の最大の敵になる変異株」とされ、南米のペルーを中心に猛威を奮っているラムダ株の感染者(女性)を7月20日、空港検疫(抗原検査)で確認していたにもかかわらず、政府=菅政権が米国のリベラル系メディアから問い合わせがあるまで隠していたことは、極めて重大だ。国立感染研内部の情報によると、発表は東京オリンピック閉幕後で良いと厚労省から口止めされていたようだ(https://www.youtube.com/watch?v=iTNkd2GhBq4)。

精度の低い抗原検査で発見されたくらいだから、ラムダ株に感染していた人が既に日本国内に上陸、市中感染が始まっている可能性は否定できない。また、この女性の国籍やオリンピック大会関係者であるか否かについてなど、公開が必要な情報については、報道がないようだ。

加えて、ゴールド・スポンサーであるトヨタなどがすべての広告を拒否したうえ、大会ロゴの使用権を既に大会組織委に支払っているオリンピック・グッズを多数生産した国内中小企業は在庫の山を抱えて、窮地に陥っている。米国では最有力選手が棄権するなどの問題や記録が丁重だったことなどから、視聴率が過去のオリンピックより低くなり、国際オリンピック委員会(IOC)がスポンサーから賠償を求められているという問題もある。放映を独占している米国テレビ局NBCが無料の広告枠を提供することで後始末をしているようだ(参考:https://www.youtube.com/watch?v=r0sp_RBurCY)。今回のオリンピックは少なくとも、商業的には大失敗した。

商業化したオリンピックに血税を投入する必要はない。今日の商業化オリンピックは崇高な「オリンピック精神」とはあまりにもかけ離れている。原点に立ち戻るべきだが、「ボッタクリ男爵」が支配している現状ではそうはならないだろうから、オリンピックこそ民営化すべきである。そうすれば、大会スポンサーも賢明な判断をする。


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