PCR検査=検査利権独占する厚労省・国立感染研体制−大規模検査に抵抗(首相の健康不安など追記)
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盛んに新型コロナウイルスに対するワクチン開発への期待が喧伝されているが、種々のコロナウイルスに対する有効なワクチンの開発は極めて難しいというのが、有力専門家の見解だ。先進国では日本にだけ襲来している感染第二波への現時点での最優先で有効な対策は、感染震源地(エピセンター)を中心とするPCR検査などの大規模検査を行い、陽性判定者の保護・隔離・適切な治療による防疫体制の確立だ。ところが、政府=安倍晋三政権は、時代にそぐわない感染症法を「錦の御旗」にして、厚生労働省とその傘下にある国立感染研究所、地方衛生研究所、保健所などのPCR検査を独占する旧態依然たる「積極的疫学調査」と称する「行政検査」を変更しようとしない。


◎8月8日は朝日デジタルの調べで午後22時10分の段階で全国1570人、東京都429人の新規感染者が確認された。ただし、最重要指数である陽性率は7日移動平均で7.0%。この数値は新規確認者の7日移動平均がPCR・抗原検査の7日移動平均を示したもので、1日の陽性率の7日移動平均ではない。双方を公開スべきだ。
10日は午後23時30分の段階で全国1443人、東京都331人、死亡者は全国で5人。ただし、沖縄県では過去最多の159人に上り、危機的状況下にあり、政府・総務省・厚労省などの緊急支援が必要。
ただし、「辺野古基地」を「妨害」されたとの認識(実際は、沖縄県民の総意を無視して基地建設を強行。地盤軟弱化が判明し、工期が不明になったほか、膨大な建設費用がかかることも明らかになっている)で、「見せしめのため」政府としての責任を果たさない恐れが出ている。日本の政治構造に詳しく、経済の専門家でもある植草一秀氏は8月8日に続き9日のメールマガジンでも、アップル社が公表している人の移動指数が7月22日にピークを記録したことを指摘、その影響は4週間後に表れることから、8月19日ころにその影響が表れる(東京都に限れば1日の新規感染者数は千人規模と推定)と警告を続けた。なお、感染者が累増すれば、重症者死亡者は後日、増加する。

NHKのWebサイトで2020年8月7日19時34分に公開された「PCR検査 “今のペースで増え続ければパンク” 地方衛生研究所」と題する記事によると、新型コロナウイルスのPCR検査などを担う地方衛生研究所でつくる協議会が7日開いた全国協議会(全国83か所のち方衛生研究所で厚生)で、「川崎市健康安全研究所の三崎貴子企画調整担当部長は『現在4割ほどの人が無症状で、無症状の人の検体をさらに検査しないといけなくなるとパンクしてしまう。最も重要なのは重症化する人を減らすために検査を行うことなので、その点に焦点を当てた対策をとってもらいたい』と訴えていました」という。

また、朝日新聞8日付1面の記事によると、新型コロナウイルスのPCRなどの検査について「厚生労働省は7日、都道府県が推計した今後の流行時に必要となる1日当たりの最大検査数は、全国で計約5万六千件に上ると発表した」という。地方衛生研究所全体で1日当たり3万6千件の検査能力を確保しているというから、5万6千件のうち、3万6千件は地方衛生研究所が担当できるのだろう。

しかし、この1日当たりの検査数は、世界の標準から見れば、「ガラパゴス島」的に少ないのではないか。医療ガバンナンス研究所の上昌広理事長などによると中国では、人口800万人の北京市では200万人に対してPCR検査を行い、400人の陽性判定者を見出し、第二波を抑えたという。人口2000万人の米国ニューヨーク州では、1日あたり6万7000件(人口800万人のニューヨーク市では1日当たり3万2千人)の検査を行い、感染拡大の第二波を防いでいる。



厚労省が地方自治体から必要となる1日の最大検査件数が5万6千件と言われても、世界のスタンダードからすれば滅茶苦茶に少ない。米国ニューヨーク州を日本の人口1億2000万人に換算すれば、1日当たり40万件になる。上理事長によると、大学の研究機関や民間の検査機関を利用できるようにすれば、PCR検査の技術に革新が起こっていることもあり、PCR検査数を飛躍的に拡大できるはずだという。実際、保坂展人区長率いる世田谷区では、1日当たり200人から300人がやっとだったPCR検査人数を。東大先端科学技術センターの児玉龍彦名誉教授の助言を得て、最新鋭の検査装置と検査技術を併用し、その10倍の1日当たり2千人から3千人に拡大する「世田谷方式」を導入する。

こうした方式を使えば、東京23区内で1日当たり4万人〜5万人程度の検査は実施できる。小池百合子率いる東京都が流行時に必要だとしている1万971件の約4〜5倍だ。現在の日本だけの第二波は、無症状だが大量の新型コロナウイルスを放出する無症状感染者が集積して持続的に感染を拡大する「感染震源地(エピセンター)」が首都圏や中核大都市で形成されていることによるものと見方が強い。だから、「首都圏型」新型コロナウイルスを大量に放出する無症状感染者の把握が肝要だ。

政府新型コロナ感染症対策本部分科会の尾身蕃会長

政府新型コロナ感染症対策本部分科会の尾身蕃会長(中日新聞https://www.chunichi.co.jp/article/101661より)

政府=安倍晋三政権の新型コロナ感染対策本部の分科会は8月7日、今後予想される感染の第3ステージ(感染急増段階).第4ステージ(感染爆発段階)というものを発表、それぞれ次のような数値基準を示し、各段階の対策を示した。その前に、現状について公開されている状況を下図で示しておきます。陽性率は愛知県の18.5%が一番高く、その次がパフォーマンスの吉村洋文大阪府知事率いる大阪府の11.1%。全国平均では6.7%。死亡率が高まらないうちに、徹底してPCR検査などの検査を行い、陽性判定者を保護・隔離・最適の治療か出来る体制を構築しておく必要がある。

第二波の現状

第二波の現状(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kongo_soutei_taisaku.pdf)

新型コロナ拡大のステージ

新型コロナ拡大のステージ(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kongo_soutei_taisaku.pdf)による。

新型コロナ感染拡大への対処

新型コロナ感染拡大への対処(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kongo_soutei_taisaku.pdf)

新型コロナ感染拡大への対処

新型コロナ感染拡大への対処(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/kongo_soutei_taisaku.pdf)

しかし、不思議なことにPCR検査人数の実際の拡大については触れていない。また、感染拡大の強さを示す「陽性率」が第3ステージと第4ステージで同じというのも納得がいかない。それに、既に第3ステージの感染急増段階既に少なくとも入りつつある都道府県も点在しているのではないかと思われる。東京都、大阪府、愛知県などだが、沖縄県も①県民の感染者が急増している②在日米軍基地で勤務地交替軍人を含む基地関係者の感染拡大が伝えられており、基地関係者と県民の接触が制限されているようには見えない③医療体制に限りがある−から、非常に深刻な状況のようだ。菅義偉官房長官が「辺野古基地建設」を「妨害」している玉城デニー知事率いる沖縄県を支援する意思はないようだ。

日本の政治・経済・社会情勢の分析で定評のある植草一秀氏は、メールマガジン2000号「国会から逃げ回るだけの小人宰相」で、アップル社が発表している人の移動指数データの推移が4週間後の東京都の新規感染者数と連動することを指摘したうえで、「8月19日頃に発表される新規感染者数が最高値を更新する可能性が高い」、具体的には「東京都の感染者数が1日1000人を超える事態に移行する可能性が高い」と警告している。政府=安倍政権が厚労省の検査利権を使って未だにPCR検査を抑制しているのは、来年夏のオリンピック開催、解散・総選挙対策が念頭にあるからだろうが、大規模検査を行わない限り、感染者数は実効再生産数(図で「前週と今週の感染者の比較」としてあるのが、その簡易版だが、検査数を大幅に拡大しないと精密な数値は出てこない)のべき乗に従って増加する。分科会が、最重要の指標として実効再生産数を示していないのは、まことに不思議としか言いようがない。

追記8月9日)なお、安倍首相にはもともと臨時国会を消臭する意思はないが、4日発売の写真週刊誌「FLASH」は、首相が7月6日に首相官邸内の執務室で吐血していたとする情報を掲載したことに関して、菅官房長官は8月4日の記者会見で首相の「健康不安節」を否定した。しかし、永田町では新型コロナウイルスへの対応が長期化し、豪雨災害も重なったため「首相が疲れている」との観測が出ている。また、誰が考えても東京オリンピックの来夏延長開催も不可能になっていることから、「誰が言い出すのか」に注目が集まっている。6日の広島での原爆慰霊祭での記者会見の顔色も悪かったし、「アベノマスク」から「ベツノマスク」に変更したのも、謎だ。9月解散、10月総選挙の観測は消えつつあり、10月下旬召集の臨時国会での「敵基地攻撃論」を柱とする「国家安全保障戦略の憲法違反大転換」を強行できれば、首相にとっては良い方だ。

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