政府はコロナ感染爆発の犠牲になっている感染患者に対して、入院・療養所による隔離・保護・治療を拒否し、「自宅療養」を基本とするという方針大転換を行った。しかし、感染症の基本対策は「徹底検査と隔離・保護・治療」であり、そのための医療体制を再構築することだ。安倍晋三政権、菅政権はこれを完全に怠ってきた。今回の「棄民政策」に対しては、公明党を支持する創価学会婦人部が非常に怒っており、立憲民主党や日本共産党など野党側が参院厚生労働省委員会閉会中審査で撤回要求を行っているが、厚生労働大臣が医療体制の再構築を求める(指示する)ことができる法的根拠を示せていないため、攻めあぐねている現状がある。大手マスコミも取材不足で撤回要求の矛先が鈍く、政府=菅政権や国民に対して「棄民政策」撤回の正当な言論を示し得ていない。その意思がないとも思われる。法的根拠をもって政府=菅政権の「棄民政策」を撤回させるべきだ。
8月7日土曜日のコロナ感染状況(追記予定)
複数のメディアによると東京都の7日土曜日の新規感染者数は、前週土曜日より508人増加して過去2番目に多い土曜日としては最多の4566人になった。死亡者は4人。東京都独自基準の重症者は昨日6日金曜日より9人増加して150人(厚労省基準では1200人程度)になった。7日移動平均では3893.0人、前週同様日に比べて133.3%になった。ただし、前週比では徐々に低下している。明日8日日曜日の週の動向を注目する必要がある。全国では午後18時30分23時59分現在で新規感染者は過去最多の1万5753人、死亡者は14人、重症者は1068人が確認されている。
なお、ペルーやチリ、アルゼンチン、エクアドル、コロンビアなど南米で猛威を奮っているワクチン耐性が強く、致死率の極めて高いラムダ株が空港検疫で初めて見つかった(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15002841.html?iref=pc_ss_date_article)。国立感染研のゲノム能力をはるかに上回る東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター(井元清哉センター長)では「人類の最大の脅威」と捉えている。精度が40%程度の抗原検査のため、検疫をすり抜けて既に市中感染し始めた可能性が濃厚だ。ただし、既に7月20日にペルーから帰国した女性の空港検疫から判明していたことからすると、政府=菅政権、厚労省は隠していたことになる。東京オリンピック/パラリンピック関係者の可能性がある。東京オリンピック/パラリンピックの強行開催のためだと推測される。
具体的に述べると、世界で発見されたウイルスの遺伝子構造をデータベース化を行っているGISAID(https://www.gisaid.org/)を米国のリベラル系ニュース・サイト「DAILY BEAST」の記者が偶然発見、8月6日午前7時52分報道した(https://www.thedailybeast.com/tokyo-covered-up-arrival-of-deadly-lamda-covid-variant-just-before-the-olympics)うえで、日本側に(厚生労働省と国立感染研)に問い合わせていたところ、具体的な回答がないままNHKが8月6日午後18時40分に突然「報道」した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210806/k10013186021000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001)。菅政権は国際的な非難を浴びている。
棄民政策を認めない国立病院機構法と地域医療推進機構法
今回の決定を独断先行し、主導・根回したのは厚生労働省の医系技官のトップであり、PCR検査を徹底的に抑圧してきた福島靖正医務技官(最高責任者)と厚労省の正林督章保健局長(事務次官相当、政府コロナ感染症対策本部専門家会議=のちに分科会に降格==事務局長代理)の二人だ。
しかし、感染症対策の基本は「徹底検査と隔離・保護・治療」であり、そのためには医療体制の整備と再構築が必要になる。菅、安倍政権は「感染症利権ムラ」の医系技官の提言しか耳にしていない。PCR検査を徹底的に抑制してきたのは、厚労省の福島靖正医務技官(最高責任者)と正林督章保健局長(事務次官相当、政府コロナ感染症対策本部専門家会議=のちに、分科会に降格==事務局長代理)を頂点とする医系技官であり、今回はこれに加えて「隔離・保護・治療」さえ放棄するように画策している。
医療機関や療養施設以外でのコロナ感染による死亡者について、毎日新聞のWebサイトの報道記事(https://mainichi.jp/articles/20210805/k00/00m/040/320000c)は、次のように伝えている。
(2020年1月から21年6月までの1年半に)自宅や路上など医療機関以外で体調が悪化して死亡した人のうち、コロナの感染が確認された人は合計536人。このうち、自宅(443人)以外では入所施設が30人、宿泊施設などが16人、外出先が47人だった。
また、東京新聞は7日付トップの「自宅療養、過酷な現実」と題する記事で、政府=菅政権による医療体制の整備・再構築無策のため、自宅療養を余儀なくされているコロナ感染患者に対する訪問看護体制を敷いている神奈川県鎌倉市のある自宅療養者が「40度一週間でも入院できない」事例があることを伝え、次のように結んでいる。
(鎌倉市医師会の)山口泰会長は(訪問)看護体制を整えてもこれ以上患者が増えれば増えれば対応できない。国(政府=菅政権)には患者を増やさない方策をやってもらいたい」と話した。
しかし、同紙は8月4日付の「自宅療養中に家族全員感染 入院待つ女性『子どもまで悪化したら…』」と題した一面トップ記事で女性の夫が自宅療養中、家族4人全員がコロナに感染した事例を伝えている(https://www.tokyo-np.co.jp/article/121616)。
新型コロナウイルスの感染が急拡大する地域で、政府は入院対象を重症者らに限定し、中等症患者も自宅療養を基本とする方針を決めた。背景には病床の逼迫ひっぱくがあるが、自宅療養は病状悪化や家族内で感染拡大するリスクを抱える。自宅療養中、一家全員に感染が広がったという東京都内の女性が本紙の取材に応じた。(中略)
女性は7月24日、咳が止まらなくなった50代の夫と一緒に、PCR検査を受診。翌25日、ともに陽性と分かった。夫には高血圧の基礎疾患があったが、保健所に「病院に空きがない」と言われ、自宅待機になった。健康観察用に貸与された血中の酸素濃度を測るパルスオキシメーターで、夫は正常値(99~96%)を下回り、呼吸不全で酸素投与が必要とされるレベルの89%にまで低下。中等症の2段階の分類で、より重い「Ⅱ」にあたる症状になった(注:それでも入院できていない)。(中略)
入院先を調整する各保健所の業務の逼迫は深刻だ。港区みなと保健所では、1週間の感染者数が1カ月で7倍の約1000人に増加。区内で入院先が見つからず、都の入院調整本部に対応を依頼している入院待ち患者は、多い日には10人を超えるという。(港区みなみ保健所の)松本加代所長は「入院待ちの人が酸素を吸入できる収容場所を設けた方がいいのでは」と指摘。都も待機ステーションを20床運用しているが、さらなる充実が必要とみている。
これらの事例は、「自宅療養者」の急増で感染者は症状が悪化するとともに、コロナ感染による変死が急増する恐れが濃厚で、新規感染者の増加も加速しているのである。「検査を徹底しない中での自宅療養」という「コロナ患者への対応方針の大転換」は、感染症対策としては致命的な誤りだ。なお、中外製薬(東京都中央区)が申請した新型コロナウイルス治療の「抗体カクテル療法」で使う新薬(「カシリビマブ」と「イムデビマブ」)が特認承認されたが、コロナに感染した場合の初期の段階で使用するものであり、感染患者に点滴で投与する。「自宅療法」の対象外だ。やはり、少なくとも隔離・保護できる療養施設を確保することが必要不可欠だ。
繰り返しになるが、コロナ感染患者を「棄民する」ばかりか、デルタ株の感染力の強さ(水疱瘡並みで1人が少なくとも8人感染させてしまう)からすれば、新規感染の最大の震源地域になっている「家庭などの居住地」での感染拡大を招き、さらに学校や職場に感染を広げ、「感染爆発」を加速する。「自宅療養」というのは根本的に有り得ない。現実は、医療体制の整備・再構築を求めているのである。実はそのための関連法令がある。その法令というのは、独立行政法人国立病院機構法と独立行政法人地域医療推進機法だ。
この法令について紹介する前に、田村憲久厚労省が発言をくるくる変えて、暗黙のうちに「棄民政策」ではないと強弁しているから、これについて触れておきたい。厚労省は8月5日夜の時点で、都道府県や基礎自治体に対する通達の文言について、骨格(重症者以外は入院を拒否する)は残したまま若干修正し、①酸素投与が必要な(中等症の者)②入院の有無は最終的には医師が判断すること③自治体の判断で可能な対応を行うーといった内容を付け加えた(https://digital.asahi.com/articles/ASP856KWFP85ULBJ00Y.html?iref=comtop_7_05)。なお、下図は今回の方針転換の基本だが、赤枠(自宅療養=棄民)が本質的内容だ(https://www.mhlw.go.jp/content/000817011.pdf)。
ただし、「酸素投与が必要な者」との判断を下す実務的な手順が不明であり、感染爆発で自宅療養者が急増していることや東京オリンピックの強行開催もあって「感染症指定病院」などの医師や看護師、医療機器が不足していることから、現実的・実務的に「医師の判断」を行うことは不可能だ。一万歩譲って出来たとしても遅すぎるし、確実に入院できるできる確実な保証もない。重症者も含めて、感染患者が快癒する道は極めて険しい。さらに、「自治体の判断で可能な対応」を付け加えていることから、実際に実務を行うのは、厚労省医系技官の傘下にある医師でもない保健所職員にならざるを得ない。日本のコロナ感染症患者は、意味がないばかりか、危険ですらある酸素飽和度の値に翻弄されることになる。要するに、医系技官の天下り先である保健所の、医師の資格を持たない職員が、事実上の入院可否の判定基準である酸素飽和度で入院可否を決定することになる(医師法違反)。
朝日新聞出身記者でフリージャーナリストの佐藤章氏(昨年春、コロナに感染しやっとのことで回復された)が厚労省内部から得た情報によると(https://www.youtube.com/watch?v=zXOIA9glcMM)、パルスオキシメーターで簡単に測定できる酸素飽和度が95%(この基準は既に中等症状態のコロナ感染患者)以上であれば、「入院」は拒否され、自宅に「棄民」されることになる。ただし、95%以上でも38度以上の高熱が出ている場合も多く、看護が必要だ。家族が看護すると家族も簡単にコロナに感染してしまう。加えて、新型コロナ(特にデルタ株などの変異株)に感染した場合、酸素飽和度は急激に低下してしまい、重症化はもちろん亡くなられるケースも多い。
なお、厚労省の分類基準では、コロナ感染患者のうち酸素飽和度96%超を軽症者、96%未満93%以上を中等症Ⅰ、93%以下が中等症Ⅱ、そして90%未満では自力で呼吸できず、人工呼吸器などを装填する必要のある患者を重症者扱いしてきた。今回の方針大転換で、中等症Ⅰの段階になると自宅に「棄民」されてしまう。佐藤氏と上理事長兼医師によると、実際に東京都23区での一部の保健所では既に、この基準を採用しているとのことだ。この実務処理が東京都全域、そして全国に広がることは確実だ。
佐藤厚労相は中等症は「原則入院」(https://www.tokyo-np.co.jp/article/122054)、「軽症も悪化可能性なら原則入院」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021080500562&g=pol)などと発言しているが、「原則」という「修飾語」をつけて、野党や国民を騙している。参考までに発言の一部それぞれを引用させていただく。
田村憲久厚生労働相は5日、参院厚労委員会の閉会中審査で、新型コロナウイルス患者の入院を制限し、重症者以外は原則自宅療養とする方針に関し「中等症は原則入院だ」と述べた。田村氏は「中等症の中で、比較的、重症化リスク低い人は自宅で対応いただく」と指摘。その上で「肺炎の所見があり、息苦しい人は入院するのが当たり前だ」と強調した。「重症以外は自宅」との政府方針を受け、中等症で入院できなくなるとの懸念や批判が高まっているため、説明を軌道修正した。立憲民主党の石橋通宏氏への答弁(東京新聞Webサイト)。
中等症はⅠの段階ですでに「肺炎」の所見がある症状段階だ。そして、中等症Ⅰの段階であるかどうかは、診察を受けられるかどうかも不明な医療機関(病院)でしか分からない。しかし、「原則入院」という言葉を使っている。これは中等症状の患者でも入院させないという意味と理解すべきだ。しかも、「中等症の中で、比較的、重症化リスク低い人は自宅で対応いただく」と言ってのけているからなおさらだ。加えて、肺炎の所見があるとか、重症化リスクが高いかどうかなどは医療機関(病院)で検査したうえで、医師の総合判断が必要だ。実際のところは、医師の資格を持たない保健所職員が基本的に入院の可否を決めてしまうから、医療機関(病院)で医師による診察で総合的な判断を受けられるかと言えば、実際のところは現実的に困難で、そうではないだろう。感染爆発の状況だから、医療機関(病院)で医師の診察・判断を受けることもままならないのが実際のところだ。
新型コロナウイルス感染者のうち重症化リスクの低い患者は自宅療養を基本とする政府の新方針について、田村憲久厚生労働相は5日、参院厚労委員会の閉会中審査で「中等症は基本的に入院し、軽症でも悪化する可能性が高いと医師が判断すれば入院だ」と説明した。公明党の矢倉克夫議員への答弁(時事通信社Webサイト)。
上記の田村厚労省の発言も同様だ。創価学会婦人部の力が強く、今回の政府=菅政権の治療方針の抜本的な転換(改悪)の撤回を求めている公明党を配慮した発言だ。田村厚労相が発言したように、「重症者」以外は「自宅療養」という医療方針転換を撤回することはない。しかも、その「重症者」は実務的には、医師の資格を持たない保健所職員が指先に挟んで簡単にパルスオキシメーターで測定できる酸素飽和度(95%)で決められてしまう。医療資源が足りない、医療体制が逼迫しているから、医療機関(24時間体制で看護できる病院や療養施設)には、入院はさせずに「自宅療養」が基本だというのは、新型コロナ感染症は症状の急激な悪化が特徴であることも加わって、明らかに「棄民政策」だ。
政府のなすべきことは、「医療資源が足りない、医療体制が逼迫しているから棄民政策を行う」という現状から出発することではなく、医療体制の整備・再構築を行い、新しい地平を切り開くことだ。このことを厚労相(引いては政府)に義務付けている法律がある。佐藤氏が、日本の医療体制にも詳しいNPO法人医療ガバナンス研究所の上昌広理事長兼臨床医師から聞かれたところによるが、独立行政法人国立病院機構法と尾身茂理事長が政府コロナ感染症対策本部分科会(専門家会議から格下げ)の会長を務める独立行政法人地域医療機能推進機構法だ。
まず、国立病院機構法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=414AC0000000191_20150801_000000000000000)の第21条は次のように定めている。
(緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求)
第二十一条 厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機構に対し、第十五条第一項第一号又は第二号の業務のうち必要な業務の実施を求めることができる。
2 機構は、厚生労働大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。
国立病院は全国にある(https://nho.hosp.go.jp/about/cnt1-0_000103.html)が、東京には東京医療センター、災害医療センター(広域災害用)、東京病院、村山医療センターの4病院があり、少なくとも1513床ある。部分的にコロナ患者用の発熱外来を設けているが、「国立病院機構法」の趣旨を考慮するとその定めどおり、東京都立広尾病院のようにコロナ専門病院にするのが当然だ。
また、「地域医療機能推進機構法」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000071)も、第21条で同じような規定がある。
(緊急の必要がある場合の厚生労働大臣の要求)
第二十一条 厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機構に対し、第十三条第一項第一号又は第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に関し必要な措置をとることを求めることができる。
2 機構は、厚生労働大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。(業務の範囲)
第十三条 機構は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 病院の設置及び運営を行うこと。
二 介護老人保健施設の設置及び運営を行うこと。
三 看護師養成施設(保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第二十一条第二号に規定する学校及び同条第三号に規定する看護師養成所をいう。)の設置及び運営を行うこと。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
国立病院機構法とほとんど同じ文言だ。地域医療推進機構(JCO, https://www.jcho.go.jp/)は全国の社会保険病院等(社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院)が独法化した際に、衣替えしたもので、都内の病院だけで1532床ある。機構傘下の病院は目立ったコロナ診療・治療を行っていないようである。ただし、東京新宿メディカルセンター(もとは厚生年金病院)でコロナ集団感染が起きたことがある(https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000183262.html)。地域医療推進機構もコロナ専用病院に衣替えすれば良い。尾身茂理事長は分科会の会長であるから、法令に従ってコロナ専用病院に衣替えすべきだが、そしらぬ顔だ。両者で3045床ある。
全国に先駆けて感染爆発している東京都は8都立病院を有するが、広尾病院のようにコロナ専用病院に衣替えすれば良い。病床数は5066床だ。当然、入院患者の受け入れ先で他の病院との難しい調整が必要になるが、今は「国家的有事」の状態である。それを断行するのが、本当の政治だ。それをしなければ、冬場の大流行時の第6波の際は、健在よりもさらに厳しい事態になる。ダイヤモンド・プリンセス号でコロナ感染症の被害が深刻であると判明した時点で、順次衣替えしておくべきだった。特に、インドで今年の3月、アジアを守ってきた「Factor X」を突破したデルタ株が発見されたのは今年の3月である。衣替えは急務になったはずだ。ところが、菅政権がやっと「水際対策」に乗り出したのは5月に入ってからという遅さでさえある。東京オリンピックの強行開催にかまけていたからだ。
さらに言えば、国公私立の大学附属病院に中等症以上の病床を確保するよう、厚労相は要求すべきだったし、今からでも要求すべきだ。次に療養施設としては、①1万8千人を収容できるオリンピック選手村を活用する②れいわ新選組の山本太郎代表が党の見解として説明するように「コロナ禍」を「自然災害」と捉え、「野戦病院」を建設する(中国は河北省武漢市でそうした)③厚労相が東京ドームなどを野戦病院化するよう要請する④ホテル・旅館などをコロナ感染患者の本格的宿泊療養施設にするーなどして、徹底検査とコロナ感染患者の隔離・保護・治療を行うべきである。こうすれば、国民も「パン出し(東京オリンピック/パラリンピック開催・延期増税)サーカス」に熱中することなく、真の意味で、政府と国民の危機意識を供給できる。
これらの作業にかかる費用は、伸発国債発行による国庫負担するということが基本原則で、Go To トラベルや東京オリンピック/パラリンピックの延長に必要だった巨額の財政負担は、コロナ禍のために充当するというのが、国民の生命と健康・財産を守る政府の本来の使命である。なお、医系技官の「天領」である保健所を介さないようにすることが極めて重要だ。
これらのことを怠り、感染症対策(徹底検査と感染患者の隔離・保護・治療)の基本中の基本を無視して、「感染症利権ムラ」の利益しか考えない厚労省医系技官の「提言」通りに従い、事実上の棄民政策とコロナ新規感染者数加速政策を推進する政府=菅政権はまさに、「弱肉強食」の「新自由主義」の最終的な結末である「殺人政権」、「基本的人権を破壊し、天皇陛下と皇室を政治利用する右翼全体主義政権」というしかない。なお、菅首相が胸を張って語っていた「ワクチン一本足打法」も完全に破綻している。
第一に、mRNA型ワクチンなどを一定程度接種すればワクチン耐性の強い変異株がランダムな確率で出現する。そうなれば、ブースター接種をしなければなくなり、日本を始め世界の諸国民は一生ワクチンの奴隷になる。政府は、ノーペル賞候補にノミネートされている遺伝子レベルの癌治療法を世界に先駆けけて開発した中村祐輔東大・シカゴ大名誉教授とそのグループが開発していて、中和抗体と共同でウイルスを殺傷するT細胞=リンパ球の一種=を誘導でき、日本人での高い有効性が期待される「ペプチド型ワクチン(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0730/index.html、https://www.oncotherapy.co.jp/)」の開発を助成すべきだ。医療ガバナンス研究所の上理事長は中村名誉教授の業績を高く評価している。
第二に、新型コロナワクチン接種による副反応は重篤化、死亡が疑われる例が異常に多い(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816488.pdf)。このページにはかなりたどりにくい(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou-utagai-houkoku.htmlの中の「令和3年8月4日開催 (資料はこちら)」をクリック=最新の日付をクリック=→https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00028.html→ 「資料1-5-1副反応疑い報告の状況について(PDF:3,481KB)」をクリック→https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816488.pdf)。厚労省(の医系技官)は先のページを隠したがっているようだ。このページを探し当てた政治経済評論家の植草一秀氏は、メールマガジン第2998号「日本国民が不幸になる本当の理由」では次のように述べている。
新型コロナワクチンは3760万人接種時点で接種後急死者が667人、重篤化した人が3000人程度報告されている。季節性インフルエンザでは5251万人接種で接種後急死者は3人(2018-19年シーズン)。3000人の重篤化人数は3760万人の0.008%。コロナで死亡した人は(日本の)全人口の0.012%。ワクチンリスクはコロナリスクと数値の上でほぼ同等。急死者、重篤者数値は「副反応疑い」として報告されたものだけで、医師が副反応疑いに含めなかった事例が多数漏れていると考えられる。
今回のコロナ禍は、米国のディープステート(闇の国家:軍産複合体と多国籍金融資本・企業)が中国のウイルス研究所に資金を提供し、コロナウイルスが出現したとの情報も伝えられている。真偽のほどは明確ではないが、一時はコロナを封じ込めた中国も「Factor X」をすり抜けるデルタ株によって、新規感染者が全国で増加しているようだ。ただし、日本とは異なり、感染者が一人確認されると、数百万人から一千万人規模で徹底したPCR検査を行っている。
今回のコロナ禍は、発見される前に既に米国で予測されていた。ディープステートが関与している可能性が拭えない。しかし、変異株の出現までは予測できず、制御不能な状態に陥っているとも推測できる。もっとも、変異株の出現まで予測していたとするなら「新型コロナウイルスの人工生成」は、歴史上最悪の悪行である。
それはともかく、真のコロナ禍対策は、政府としての本来の使命を果たしていない「菅内閣の退陣」である。カギを握るのは立候補者乱立になった明日8月8日告示、22日投開票の横浜市長選挙だ。横浜市は菅首相の地元。カジノを含む統合型リゾートセンター(IR)の誘致が選挙の最大の争点になっているが、菅首相は小此木八郎国家公安委員長の役職を解き、市長選に立候補させた。小此木立候補はIRの誘致は横浜市民の理解を得られないとして、「市長任期の4年間はIRを誘致しない」として立候補している。菅首相は小此木候補を全面的に支持しているが、IRは誘致したいと考えている。誘致先を横浜市から東京都に変更することで、小池百合子都知事と密約を結び、組んでいるとの噂も流れる。
植草氏は、小此木候補の落選で菅首相は総裁を辞任せざるを得なくなるとしているが、菅首相は公安畑の杉田和博副官房長官と組んでいる(SS=ナチスの親衛隊の略称=コンビ)。立憲民主党は横浜市立大学学術院医学群の山中竹春教授を事実上の野党の統一候補として擁立しているようだが、山中候補のスキャンダルが公になり、出馬を表明していた元敏腕検事の郷原信郎氏が5日、立候補を断念して、横浜市政改革のために小此木候補、山中候補の落選運動を展開することを表明した。
小此木候補が落選すれば、自民党内での菅総理・総裁の基盤は弱体化すると考えるのが普通だが、菅首相は公安組織という秘密警察を握っており、「スガーリン」とも揶揄され、ヨセフ・スターリンを上回る「スターリン主義者」だ。国民のための政策を創造する能力はないと見られるが、権力闘争には異常に強い。選挙結果のカギは、コロナ感染状況と今回の「棄民政策」を踏まえたうえでの、横浜市民の良識だ。総選挙も不祥事だらけの東京オリンピックで判断すべきではなく、同様にコロナ感染状況と今回の「棄民政策」が重大な争点で、自公、維新、御用組合である連合の指示で立民と共産党との分断を画策している国民民主党以外の政党に投票すべきだ。
なお、東京オリンピック大会組織委の7日午前の「公式発表」によると、大会関係者など新たに22人の新型コロナ感染確認者が確認された。大会参加選手はいなかったという(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210807/k10013186941000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_002)。これで、今大会での累積感染者数は国内と海外合わせて404人になった。ただし、選手村でギリシャ代表のアーティスティックスイミング(AS)の選手ら5人が新型コロナに集団感染し、PCR検査「陰性者」は帰国している。6万人超の大会ボランティア全員にワクチンは接種していないし、PCR検査も行っていない。
「バブル方式」は既に破綻しており、オリンピックの強行開催で大会会場を中心に人流は抑制されていない。また、オリンピックのために累計で7000人の医師・看護師が投入されている。選手団を含む大会関係者と日本国民の相互感染状況については今後、注視していく必要がある。なお、出場選手の危険度がオリンピックより高いパラリンピックも強行開催するのかが焦点になる。