コロナ第六波襲来の兆し、コロナ禍対策が消費税とともに総選挙の最大の争点に(第六波対策問題点補強)

第49回衆院議員総選挙が10月19日公示され、日曜日の10月31日に投票が完了する。腐敗と弱肉強食主義の自公維政権かそれとも野党連合政権かの政権選択選挙戦になるが、新型コロナ感染の実効再生産指数が全国で反転上昇し、冬がいち早く到来する北海道・青森県では既に同指数が1.0を超えている。季節要因から投票日までにさらに悪化する公算が大きい。新型コロナ禍に対する無為無策を続けているこれまでの自公政権が続いては打つ手がない。政権交代して野党連合政権を樹立、コロナ対策を抜本的に転換することが本来の唯一の道だ。

コロナ実効再生産数上昇、第六波襲来の予兆

東洋経済オンラインが日々発表している新型コロナの実効再生産数(一人の感染者が感染させる人数)によると、全国では10月05日時点で0.62とボトムをつけてから18日現在では0.74まで上昇している。新型コロナは風邪と同じように夏に小流行し、冬に大流行するという季節要因がある。その先行指数とも言うべき数値が実効再生産数だ。その推計値を1日遅れで発表している東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)によると、北海道・青森県ではすでに1.0を超えている。これは季節要因が作動し始めたことを意味すると考えるべきだ。

一日の新規感染者数は8月下旬から急激に減少しているが、実効再生産数の上昇に連れて10月中にも再拡大に転じる可能性が強い。このことからすれば、総選挙は既に本日19日から始まったが、総選挙投票日の31日日曜日までには下げ止まりから再拡大に転じていることが明白になるだろう。その場合は、期日前投票もあるが、自民、公明、維新の三党には総選挙にとってマイナス材料になるだろう。自公連立政権は。厚生労働省の感染症対策の基本である「検査と隔離・保護」とは真逆の政策を行ってきたからだ。加えて、第五波ではデルタ株というアジア人が保有していた「Factor X」を突き破る変異株が感染の主流になったため、小流行の夏場だったが、新規感染者が爆発的に増加した。

このため、厚労省医系技官のトップの福島康正医務技監と正林督章前保健局長は「自宅療養」という名の「自宅放置=遺棄」政策に転じたが、コロナ感染の主流はつばによる「飛沫感染」ではなく、飛沫より大幅に小さいエアロゾルによる「空気感染」であるため、家庭内感染と多数の死亡者をもたらし、家庭と職場・学校の感染の悪循環をもたらしたと見られる。厚労省は第五波での家庭での死亡者を37人としているが、自治体や医療機関の報告分は含まれていない(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210927/k10013279471000.html)。

ただし、国民皆保険制度下の日本にあっては、適切な治療を受けられずに亡くなられる方が一人でも存在してはならないというのが、本来の在り方だ。また、コロナ第五波での「自宅療養=自宅放置=自宅遺棄」の患者数は10万人を超える。

自治体や医療機関が国に報告するまでに時間がかかることもあるため、実際に亡くなった人の数はさらに増える可能性があるということです。厚生労働省の専門家会合は「臨時の医療施設や入院待機施設の整備、自宅療養の体制強化など、今後も冬に向けてさらに厳しい感染状況が起きるという前提で早急に対策を進める必要がある」としています。

NHKのこの記事のこの部分でも分かるように、厚労省も問題にしているように見える第六波でも「自宅療養」という名の「自宅放置=遺棄」を続けるようだ。政府の広報紙と言われる読売新聞もこれを裏付けている(https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211017-OYT1T50047/)。

政府が15日に示した新型コロナウイルス対策に沿って、厚生労働省が、今後の「第6波」で受け入れが必要な入院患者数を推計したところ、全国で最大約3万4000人となることが16日、同省への取材でわかった。この受け入れ態勢を実現するには約4万2000床の病床が必要となり、今夏の第5波で確保した病床数と比べると、17都府県で計約5000床が不足していることになる。同省は都道府県に対し、10月中に確保病床数を見直し、不足分を上積みするよう要請している。都道府県支援のため、国立病院機構(140病院)と地域医療機能推進機構(57病院)に対し、国立病院機構法などに基づく初の病床確保要求も実施する。(中略)

夏の第5波では、病床確保が間に合わずに、入院が必要でも自宅待機を余儀なくされる患者が相次いだ。今後はこうした事態を避けるため、政府は第6波に備えて、「第5波の1・2倍」の入院受け入れが必要と判断した。第5波のピーク時の入院者数と入院調整中の合計は2万8446人だった。このため、第6波では最大で「3万4135人」が入院できる態勢が求められる。(以下略)

この記事の致命的欠陥は、第六波での新規感染者数の予測とそれに基づく入院者数・療養施設での療養者数・自宅療養者数の割合を明確にしていないことだ。また、「政府は第6波に備えて、『第5波の1・2倍』の入院受け入れが必要と判断した」とあるが、「1・2倍」の根拠も不明確だ。時事通信も同じような記事を報道している(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021101901406&g=soc)。

厚生労働省は19日、新型コロナウイルスの入院患者の受け入れ体制を強化するため、国立病院機構法などに基づき、全国の公的病院約200施設に2割以上の病床上積みを要求する通知を出した。法律に基づく要求は初めて。今冬に懸念される「第6波」に備える。国立病院機構と地域医療機能推進機構の傘下の計約200病院は、今夏の「第5波」でコロナ病床を約3000床確保した。(以下略)

コロナ第五波の際にはデルタ株という強力な変異株が出現したが、第六波でもデルタ株による感染が続くのかあるいは新たに強力な変異株が生じるのか、現在の新規感染者のコロナウイルスの遺伝子構造が発表されていないため、不明だ。ただし、空港検疫の甘さや日本の国民が感染を繰り返しているうちに遺伝子構造が変異する可能性は小さくないことから、楽観は禁物だ。英国ではアルファ株の亜種が発見され、感染力や重症化力を調査中だ。

第六波では新規感染者が第五波をしのぐとの指摘も強い。また、ワクチンの接種では集団免疫を獲得できないことも明らかになった。冬場の感染者数は夏場の5倍との見方が有力で、その場合は「自宅療養=自宅放置=自宅遺棄」者の数は全国で50万人を超えることになる。政府の病床確保対策は全く不十分だ。

こうなるとやはり、コロナ対策の抜本転換が必要になる。本サイトでも指摘してきたように、国立病院機構と地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構傘下の病院を全面的にコロナ中等症患者専用病院に転換する必要があるし、政府から膨大な支援金・補助金を受け取っている国公私立大学をコロナ重症患者専用病院に転換することが必要だ。しかし、読売新聞社や時事通信社のサイトの上記の記事による限り、三機構傘下の病院のうちコロナ患者用に充てる病床は極めて少ないことから、岸田文雄政権にはその考えはなさそうだ。

コロナ対策の抜本的転換のためには、野党共闘による野党連合政権の樹立しかない。なお、コロナ対策とも関連した総選挙のもうひとつの重要な争点は、これまでの緊縮財政路線を続けるのか、それとも、消費税減税(消費税廃止)を含む積極財政路線に転換するかどうか、ということであることを付け加えておきたい。主権者国民は真実を知らなければ、権力を奪還することはできないことを自覚する必要がある。

比例東京ブロックから出馬するれいわ・山本代表へのNHKのインタビュー

れいわの山本太郎代表は総選挙で比例東京ブロックに単独出馬する(れいわでは21人が立候補)が、NHKも山本代表の取材をせざるを得なくなった(https://www.youtube.com/watch?v=MtIvzPCRBvw)。

総選挙に出馬するれいわ・山本太郎代表へのインタビュー動画
総選挙に出馬するれいわ・山本太郎代表へのインタビュー動画

 

ただし、コロナ禍で世界の部品生産基地工場になっている東南アジア諸国で新型コロナのため都市封鎖(ロックダウン)による工場生産がストップしていることから部品価格が上昇していることや①欧米諸国で新型コロナ対策よりも景気回復が優先されるようになっている②世界的には温室効果ガスの排出量を2050年にはゼロにするため、中間目標として2030年までに現在の50%から60%に抑制することに対して暗黙の合意がなされ、再生可能エネルギーへのエネルギー産業の大転換が急ピッチで進行しているため産油国が原油の増産に慎重になっていることーから、原油や天然ガスの価格が上昇、さらには「有事の円高」から「有事の円安」へと為替の相場観が転換しつつある。

このため、輸入価格上昇(供給ショック)による「スタグフレーション」に陥る可能性がある。積極財政は、コロナ禍による国民生活の下支えとともに日本の産業構造の抜本的な転換に直接に役立つよう、現在の経済情勢に合わせて適切に行う必要がある。


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう