WHO、南アで確認の変異株「B.1.1.529」を「オミクロン株」としVOC(懸念される変異株)指定

複数のメディアによると、世界保健機関(WHO)は南アフリカで発見された変異株「B.1.1.529」をいきなり「懸念される変異株=VOC」に指定し、「オミクロン株」と名付けた。南アがオミクロン株の発見を公式に表明したことで、26日の東京株式市場では平均株価が急落、前日比747円安で引けた。

南アフリカで発見された株は懸念される変異株のVOC

デルタ株よりも致死率が高いとされたラムダ株、ミュー株の変異株が発見された際は、東京株式市場には特段の平均株価への影響はなかった。なお、オミクロン株(B.1.1.529)公式発表で東京だけではなく世界同時株急落が発生し、11月26日のニューヨーク株式市場では前日の開場日に比べて905.04ドル急落した。さてまず、オミクロン株(B.1.1.529)について、BBCは次のように報道している(https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-59413580)。

南アフリカで、新型コロナウイルスの新たな変異株が検出されたと、専門家らが25日に発表した。ヒトの免疫反応を回避する特性を持つ恐れがあるとして、懸念が高まっている。今回発見された新型ウイルスの変異株は、これまでで最も激しい変異がみられ、ある科学者は「恐ろしい」と語った。また、別の科学者は私に、「これまでに見た中で最悪の変異株」だと述べた。新たな変異株への感染は初期段階にあり、症例のほとんどは南アフリカの1つの州に集中している。ただ、感染が広がっている可能性も示唆されている。

南アフリカで検出された変異株は「B.1.1.529」と呼ばれる。世界保健機関(WHO)は26日にも、ギリシャ文字を使用した名称を付ける。WHOはこれまでにも、イギリスで最初に特定された「B.1.1.7」系統を「アルファ」、インドの「B.1.617.2」系統を「デルタ」などと名付けている。変異株「B.1.1.529」には信じられないほど激しい変異がみられる。

南アフリカの感染症流行対応・イノベーション・センターの局長、トゥーリオ・デオリヴェイラ教授は、「特異な変異の集まり」がみられるとし、これまでに流行したほかの変異株とは「非常に異なる」と述べた。「この変異株に我々は驚かされた。予想していたよりも大きな進化を遂げ、はるかに多くの変異が起きている」デオリヴェイラ教授は記者団への説明で、全体で50の変異があり、そのうち30以上の変異がスパイクたんぱく質にみられたと説明した。ウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質には人体の細胞に入り込むカギの役割があり、現在開発されているほとんどの新型ウイルスワクチンはこのスパイクたんぱく質を標的としている。さらに、受容体結合ドメイン(RBD、スパイクタンパク質の中で、人体の細胞の表面に最初に触れる部分)を見てみると、世界中に広まったデルタ株では2つしかなかった変異が10も確認された。

これだけの変異があるということは、ウイルスを撃退できなかった1人の感染者から発生したものである可能性が高い。変異の数が多いからといって、必ずしも悪い状況だというわけではない。これらの変異が実際にどういう働きをするのかを知ることが重要だ。ただ、懸念すべきなのは、この変異株が中国・武漢で発生した最初の新型ウイルスとは根本的に異なるという点だ。つまり、従来株を用いて開発された新型ウイルスワクチンが、新たな変異株にはそれほど効かない可能性がある。

NHKWebサイトは次のように伝えている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211126/k10013363691000.htmlhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20211127/k10013364121000.html)。

WHO=世界保健機関は26日、専門家などによる緊急の会合を開き、南アフリカで確認された新たな変異ウイルスについて「懸念される変異株」に指定したと発表しました。指定の理由について、WHOは、現時点で得られている科学的な根拠からほかの「懸念される変異株」に比べ、再感染のリスクが高まることが示されているなどとしています。呼称は「オミクロン株」としました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211126/k10013363691000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211126/k10013363691000.html

 

この変異ウイルスについて南アフリカの保健当局は、25日、最大都市ヨハネスブルクのあるハウテン州で、77例の感染例が確認されたと発表していてこれまでに南アフリカに隣接するボツワナのほか、香港やイスラエル、ベルギーでも見つかっています。今回、WHOが南アフリカで確認された新たな変異ウイルスを現在、広まっているデルタ株などと同じ「懸念される変異株」に指定したことで世界的な監視態勢が強化されることになります。

WHOで新型コロナウイルス対策の技術責任者を務めるバンケルコフ氏は、オミクロン株について「数多くの変異が生じており、中には懸念される特性を持つものもある」と述べたうえで感染力や重症化のリスク、診断やワクチンの効果への影響などについて各国で研究を進めていることを明らかにしました。

南アフリカで確認された新たな変異ウイルスの感染者は、これまでに、隣接するボツワナのほか、香港、イスラエル、それにベルギーで確認されています。香港で感染が確認されたのは、今月11日に南アフリカから到着したあとホテルで隔離中の男性と、その向かい側の部屋で隔離中のカナダから到着した男性の2人です。2人はいずれも2回のワクチン接種を終えていたということで、カナダからの男性は、食事の受け渡しのため部屋のドアを開けた際に感染した可能性が高いとみられています。

WHOがオミクロン株をVOI(注目すべき変異株)とするかVOC(懸念される変異株)にランク付けするか注目されるが、いきなりVOCにランク付けした。この記事から懸念されるオミクロン株は、①エアロゾル感染(空気感染力)がかなり、もしくは非常に強い②オミクロン株については、従来のmRNA型ワクチンの感染予防・重症化予防の効果に疑問があるーということになる。もともとmRNA型ワクチンはブースター接種(追加接種)の必要性が叫ばれていたが、オミクロン株の登場で「コロナ禍終息」の予測は混沌としてきた。

朝日デジタルは次のように伝えている(https://digital.asahi.com/articles/ASPCV3DXZPCVUHBI00K.htmlhttps://digital.asahi.com/articles/ASPCV622HPCVULBJ00Y.html?iref=comtop_7_03)。

AFP通信によると、南アフリカの保健当局が25日、新型コロナウイルスの新たな変異株が検出されたと発表した。同国では感染者が急増しており、保健相は、変異株が感染者数の「指数関数的」な増加の要因になっているとして「深刻な懸念」を表明した。

南アフリカなどで新たに確認された変異株「B.1.1.529」は、感染力を左右する「スパイクたんぱく質」に多くの変異を持ち、新たな脅威になる可能性があるとにわかに注目されている。だが、確認されている感染者はまだ少なく、感染力やワクチンが効くのかどうかなどの情報も非常に乏しい状況だ。

この変異株の特徴は、スパイクたんぱく質にみられる変異の多さだ。欧州疾病予防管理センター(ECDC)の資料によると、30以上も確認され、アルファ株などで感染力を高める働きがあったとみられている「N501Y」もある。スパイクは、ウイルスがヒトの細胞に侵入する道具だ。変異の入り方によっては、効率的に侵入できるようになり、結果的に感染力を高める。スパイクの中でも、細胞の表面の分子とくっつく部分が特に重要になるが、英BBCは、デルタ株ではこの部分の変異が二つだったが、今回の変異株は10個ある点に言及している。スパイクの変異によって、ワクチンが効きにくくなる恐れもある。

Youtubeのチャンネル「一月万冊」(https://www.youtube.com/watch?v=mnhDQTIcEXc)では、世界の主要メディアを調べ、南アではオミクロン株がデルタ株を駆逐し、オミクロン株の感染者が急速に増大していることを付け加えている。なお、南アは自動車(電気自動車含む)やスマートフォン(iPhone)に使われる金やプラチナ、バナジウム貴金属に使われており、コロナ禍による部品供給の減少からコストプッシュ型インフレを加速する要因になる。サウジアラビアなど原油生産国が原油の増産要請に応えなければ、世界でスタグフレーションの規模が拡大することになることに警戒が必要だ。

なお、政治経済評論家で政治活動にも携わっている植草一秀氏のメールマガジン第3088号「ワクチン危険性丸わかりスパイク節」によると、新型コロナワクチン接種後の死亡者数や重篤化数はインフルエンザワクチンの270倍にのぼるという。

新型コロナワクチン接種後の急死者数が11月5日時点で1359人に達している。接種後重篤化者数は10月24日時点で5617人。10月24日までに少なくともワクチンを1回接種した人数は9719万人。この数値は異常。2018-19年シーズンの季節性インフルエンザワクチンの場合、推定接種人数5113万人に対して接種後急死者数は3人、接種後重篤化者数は64人。新型コロナワクチン接種人数当たりの接種後急死者数は季節性インフルエンザワクチンの270倍だ。(中略)

ワクチン接種と接種後死亡の因果関係については、次の三つに分類される。①接種後死亡の原因はワクチン接種ではない②接種後死亡の原因はワクチン接種である③接種後死亡の原因がワクチン接種であるかどうか評価できない。厚労省が「接種が原因で多くの人が亡くなったということはない」と説明しているのは、上記3分類の「3」を意味するものであって「1」を意味するものでない。

新型コロナワクチン接種後、亡くなられた方や重篤症状に見舞われた国民に対しては、無条件に補償金を速やかに支給すべきだ。厚生労働省には因果関係の詳細な調査を回避しており、「薬害問題」を無視している。新型コロナ用ワクチンや服用薬について、最先端の医学・科学・遺伝子工学・情報科学を駆使して、開発を強力に進めることが急務だ。そうしないと、コロナ禍は終息しない。

日本の岸田文雄政権は、オミクロン株の発見が伝えられると、①南アフリカは当然のこととして、その周辺の、エスワティニ、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、レソトからの入国者に対して27日午前0時から入国後10日間、国が指定する宿泊施設にとどめる「停留」の措置をとることを発表した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211126/k10013363691000.html)。

また記者団が「ワクチンの3回目の接種スケジュールなどを見直す考えはあるか」と(松野博一官房長官に対して)質問したのに対し、松野官房長官は「3回目の接種は2回接種の感染予防効果や重症化予防効果などの持続期間などを踏まえ、専門家の議論を経た上で行うことにした。3回目接種を円滑に実施できるよう自治体と緊密に連携して準備を進めている」と述べ、方針に変わりはないと説明しました。さらに26日から、1日あたりの入国者数の上限を引き上げたことについて「入国者の総数については検疫体制の整備や防疫措置の実施状況などを踏まえて、当面1日あたり5000人程度を目安とすることにしている」と当面、維持する考えを示しました。そして「危機管理の要諦は最悪の事態を想定することだ。新たな変異株の感染が拡大するなど状況が悪化する場合には、機動的に対処していくことにしており、今後の水際対策についても、迅速かつ適切に対応していく」と強調しました。

香港や新型ワクチン接種が世界で最も早く進んだイスラエル、ベルギーなどで感染者が発見されていることからすれば、新型コロナと政府の新型コロナ対策を批判している「一月万冊」では「停留」は正しい「水際対策」にならないと批判している(参考:https://www.youtube.com/watch?v=I9VfhSO-i_c)。つまり、オミクロン株が世界に広がりつつあることから、「入国停留」した国以外からの入国者に対する「水際対策」はどうするのか、という問題が出てくる。

入国者数の上限を引き上げたこともあり、日本に対する全世界からの入国者オミクロン株に感染しているかどうかを確定するためには、PCR検査だけではなく遺伝子解析が必要だが【追記11月27日午後17時30分、午後20時40分:スパイクタンパク質の変異が多すぎるのでPCR検査だけでもオミクロン株ということが分かるとの説もあるが、WHOはそれでも遺伝子解析は必要不可欠としているし、Covid-19の終息のためにもまともな安全かつ有効なワクチン開発や服用薬開発のためには、新型コロナの遺伝子解析は不可欠だ】、日本の水際対策では従来から精度の劣る「抗原検査」しか行われていないことからすれば、「水際対策」とは言い難い。加えて、厚労省医系技官が支配する国立感染研が東大医科学研究所・人ゲノム解析センターの協力申し入れを断っていることも大問題だ。

ロイター通信は次のように報道している(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-spain-safrica-idJPKBN2IB1UP)。欧州諸国では入国制限=一時的な入国禁止措置を採りつつある。「水際対策」というのは、取り敢えず、「入国禁止措置」を採ることだろう。

南アフリカの専門家らは25日、少数ながら新型コロナの新たな変異株を検出したと発表。これを受け、英国は26日1200GMT(日本時間午後9時)から、南アフリカと隣接するナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、レソト、エスワティニの計6カ国からの航空機乗り入れを一時的に禁止し、これらの国から帰国した英国人に隔離を義務付けると発表した。また、ベルギーのフランク・ファンデンブルック保健相は26日、南アの新変異株「B.1.1.529」による感染を国内で確認したと発表した。欧州域内で新たな変異株の感染が確認されたのは初めてとなる。

こうした中、スペインのダリアス保健相は26日、南アフリカとボツワナからの空路での入国を制限すると発表。他の国からの入国制限も検討するという。実施時期などの詳細は明かさなかったが、来週30日の閣議で承認されるとした。

安倍、菅、岸田政権のコロナ対策を根本から否定してきているNPO法人医療ガバナンス研究所の上昌広理事長兼臨床医師は季節要因から11月中旬から11月下旬には、日本もコロナ感染の第六波に入ると予測しているが、【追記11月27日午後22時30分:幸か不幸か高齢者でない方にワクチン接種が遅れたこともあるが】東京都の新規感染者数も下げ止まりの様相を呈してきており、予測が的中しそうな気配になっている。加えて、オミクロン株だ。真水で総額36兆円規模の緊急経済対策も個人や事業者に対する給付金、支援金が不十分なうえ、医療体制の確保も全く不十分。しかも、「Go To トラベル」再開など的はずれと言わざるを得ない(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/shiensaku/detail/detail_06.html)。

なお、北京オリンピックをめぐって日本は米中覇権争いに巻き込まれている。UIチャンネルに登場した外務省出身の孫崎享氏はバイデン大統領の支持率が40%を割っていると述べている。オミクロン株も加わったコロナ第六波への対応と対中外交・軍事姿勢をめぐって、岸田政権が窮地に立たされる公算が大きい。


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