新型コロナ感染症をいわゆる「感染症法」「改正インフル特措法」で保健所が介在して公費負担による強制隔離・治療を行う第Ⅱ類相当から、莫大な自己負担のかかる保険診療を一般医療機関で行う第Ⅴ類相当の感染症に変えるべきだという議論が高まりを見せている。オミクロン株の爆発的な拡大を防げなかった政府や東京都、大阪府から出ているが、副作用が大きすぎる。重要なことは「感染症法」「改正インフル特措法」を、新型コロナ感染症に罹患した患者の➀医療を受ける権利②隔離できる権利ーを明確化するように両者を柔軟に改正することだ。
新型コロナ感染症、感染症法第Ⅴ類相当引き下げは危険、同法改正が正解
感染力が非常に強く、中等消化率・重症化率がデルタ株ではないにせよ英国で発見されたアルファ株なみのオミクロン株が、市中感染が始まり、今や急激に拡大している。1月12日に1万人を突破したが14日には2万2045人と2日間で2倍。全国の重傷者数も元日の53人から252人と4倍。東京都も集中治療室(ICU)で治療を受けている厚生労働省基準の重傷者は元日の46人から226人といずれも2周間で4倍程度増得している。
下図は1月16日の日曜日までの東京都の新規完成状況だ。7日移動平均では2848.3人になっている。なお、検査数が適正かどうかは不明だ。東京新聞によると病床使用率は17.919.3%(https://www.tokyo-np.co.jp/article/154564、https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)とまん延防止措置を発令する20%に近づいている。ただし、まん防も緊急事態宣言もあまり効果はない。季節要因で2月下旬までにはピークアウトするという予測もあるが、暫く様子を見る必要がある。
これは、日本の水際対策なるものが、➀空港の検疫で3人の感染者のうち1人か2人を見逃すという抗原検査を未だに使用している②米国などから沖縄県や広島県、山口県の在日米軍基地に新たな勤務移動する同基地勤務者(軍人やその家族、軍属)に対してPCR検査を行っていなかった(ただし、出国の際はPCR検査を行っている)ーなどのために、「ザル対策」としか言いようがなかったからである。
東京都や大阪府は日本の中枢都市で、外国から帰国した日本人がまず滞在するととも、沖縄県や広島県、山口県はもちろん全国の県から人の往来が生じる。このため、東京都や大阪府ではオミクロン株感染者が急激に増えている。「感染爆発」と言っても良いかもしれない。このため、従来から問題になっていた各自治体の保健所を介して医療機関を紹介するという手続きはもはや不可能になり、一般の医療機関が直接、感染が疑われる患者を診察できることになりつつある(https://digital.asahi.com/articles/ASQ1C53MQQ1CULBJ008.html)。
感染力が高いとされる新型コロナウイルスのオミクロン株の広がりを受け、後藤茂之厚生労働相は11日の閣議後会見で、保健所業務を合理化する考えを示した。診断した医療機関が保健所を介さずに治療を始めたり、保健所が濃厚接触者などを調べる「積極的疫学調査」の範囲を限定したりして、負担を軽減する。
本サイトでは、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長兼臨床医師の提言やYoutubeで経営者で読書家の清水有高氏が制作している「一月万冊」のチャンネルなどを参考に、新型コロナ感染症の感染経路の本流は、感染者が深呼吸して肺の奥底から吐く二酸化炭素の中に含まれているコロナウイルスの集合体である空気中のエアロゾルを他の国民が吸うというエアロゾル感染=空気感染であることが昨年の8月から世界的に定着していることを紹介。そのうえで、「濃厚接触者」という言葉や「濃厚接触者」を追跡する「積極的疫学調査」なるものが無意味であることを力説してきた。
米国では、国内線の乗客が飛行機に乗る前に受けたPCR検査の結果が陽性と分かったため、航空機内での空気感染を避けるためトイレに閉じ込められた。最近は厚生労働省も空気感染という言葉こそ使わないが、「エアロゾル」という言葉を併用するようになってきた(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-2)。下記は令和4年1月13日版だが、昨年の10月以降「エアロゾル」という言葉を使うようになってきた。
感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。
ただし、空気感染という言葉は使っておらず、コロナ感染者が存在していた喚起の悪い密閉空間に出入りするだけで、新規に感染してしまう。主要な感染場所は緊急事態宣言や蔓延防止策が槍玉に挙げている飲食店ではなく、病院や介護施設、職場、学校、家庭だ。特に、家庭は他の主要感染場所での感染拡大のいわば「中継基地」になる。このことからすれば、コロナ感染対策としては、病院や医療介護施設、教育機関、職場、飲食店などでは喚起を良くするための性能の良い空気清浄機や二酸化炭素濃度測定器を公費に近い補助金で設置することが肝心な対策になる。家庭もこれに準じる。
こうしたことをほとんど無視して、新型コロナ感染症を「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」及び「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下、広い意味だが感染症法と略記します)に言う保健所を介して公費で強制隔離と「治療」を行う第Ⅱ類および第Ⅱ類相当の感染症から、一般医療機関での診察・治療が前提となるが、健康保険を適用しても巨額の自己負担がかかる第Ⅴ類または第Ⅴ類相当の感染症に指定すればどのようなことが起こるか。
オミクロン株感染が疑われても、検査費(PCR検査の技術革新が進んでいないから日本では割高)や治療費で巨額の自己負担額がかかるため、38度以上の症状の出ている感染者は解熱剤などを飲むだけなどの対応しかしなくなり、家庭に感染を広げてしまう。家庭での感染は職場や教育機関(学校)などに感染の輪を広げてしまう。一般の医療機関では「発熱外来」などの診療科を設けることが困難になり、院内感染を防ぎきれなくなるだろう。
なお、オミクロン株は感染力が極めて強いが、毒性(中等症化、重症化)は弱いとされる。しかし、アルファ株並みの毒性は持つ。清水氏の調べによると、米国での入院患者数はデルタ株の時よりも多く、集中治療室(ICU)で治療を受けている感染患者はデルタ株当時より若干少ない程度だ(https://www.youtube.com/watch?v=uvDdG7QmA7M&t=814s)。軽症の場合でも、自分で呼吸ができるから軽症だということで、37度〜38度以上の高熱が出る。
特に、医師や看護師の感染は医療崩壊に直結する。後藤茂之厚労相は医師が「濃厚接触者」であっても日々のPCR検査で陰性であれば、診察行為は可能と発言するようになったが、空気感染する公算は大きい。その場合は、医師や看護師は休まざるを得ず、医療措置ができなくなる。要するに、以上のことを無視して単純に第Ⅴ類または第Ⅴ類相当の感染症に指定してしまえば、医療機関の崩壊を中心に、重大な事態を招いてしまう。【追記16日20時30分:医療・福祉・役所・公共交通機関・電気・ガス・水道など社会インフラに携わる方々が感染すれば、出勤を拒否せざるを得ないため、社会の動きはストップする】
第Ⅱ類か第Ⅴ類かということは重要ではない。重要なことは新型コロナ感染者を隔離・治療し、感染を拡大させないことだ。感染症の分類を変更してその場しのぎに終止するのではない。新型コロナウイルスは変異しやすく、その性質も十分には分かっていない未知のウイルスだ。現在の広い意味での感染症法は、新型コロナ感染症が発生・発見される前に制定されたもので、時代の要請に応えるものにはなっていない。権威ある世界の医学雑誌を渉猟している医療ガバナンス研究所の上理事長兼臨床医師は、必要なのは患者の健康と生命を守ることと感染を拡大させいないように感染症法を柔軟に改正することだとの論考を主張しておられるが、その通りだと思う。
取り敢えずは、感染症法に「正確な情報や治験の限られている未知のウイルスによる感染症に対しては公費負担、医療機関と連携し、設備の整った隔離施設の充実・拡大の必要性も含めて柔軟に対応する」との条項を盛り込めば良いではないか。新しい感染症の理念は、➀感染症患者の健康と生命を守るため、公費負担も含めて医療を受ける権利を持つ②感染を拡大してはいけないので、本人の希望でも隔離できる権利を持つーの二点。
そのためにも、医療供給体制の充実が不可欠になる。既に述べたが、再掲させていただくと次のようになる。有効性が弱まってきたとされるため希望する国民に対しては、➀基礎疾患のある国民や高齢者などからワクチン(2000万回〜4000万回分の大量の在庫があるはず)を接種し、重症化力を低下させる②一般の医療機関による新型コロナ治療薬の服用(米製薬大手のメルクが開発したモルヌピラビル=当初よりは有効性と安全性に疑問=、同ファイザー社のパクスロビド=米国食品医薬品局(FDA)が緊急承認、安全性は不確か=)③国立病院機構、地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構傘下の病院をコロナ中等症専門病院への特化や巨額の補助金を受けている国公私立大学附属病院の集中治療室の拡大によるコロナ重症者病院化④一般の医療機関を健康保険適用によるコロナ治療機関=公費負担を100%としても良い=とし、感染症対策の基本である隔離・治療のための施設(ホテルや旅館などの国費による借り上げ)を増設して協力を得る(経済的効果としてはまともな内需拡大になる)ーなどの医療・感染症対策のための施設・設備の拡充が欠かせない。
なお、少し長い目で見ると、緊急承認のワクチンに頼りすぎればヒトの免疫力に重大な影響を及ぼす恐れが出てくることも考慮しなければならない。EUも警告している(https://www.youtube.com/watch?v=ZASAiEaJVzM)。3回目のブースター・接種が最後だろう。また、短期的にも問題がある。政治・経済評論家として知られている植草一秀氏によると、緊急承認された新型ワクチン(mRNA型ワクチン)の接種後、短時日のうちに死亡される方や重篤・重症の後遺症を持たれる方が少なくない。インフルエンザワクチン接種後に死亡される方をはるかに凌駕する。既に、感染症利権ムラの「専門家」には米国のファイザー社などから多額の資金が提供されているようだ。
また、植草氏はメールマガジン第3128号「ワクチン接種強要は深刻人権侵害」で次のように述べておられる。
米国の連邦最高裁は1月13日、連邦政府に対し、従業員100人以上の企業の従業員に新型コロナウイルスのワクチン接種を実質的に義務付ける制度を実施しないよう命じた。判決は、政府が制度実施の根拠とした労働者の安全保護基準について「幅広い公衆衛生手続きを定めたものではない」と指摘。
これに対してバイデン大統領は「科学と法律に基づいた企業従業員に対する常識的な救命措置を最高裁が阻止したことに失望した」との声明を発表した。ワクチンには重大なリスクがある。
厚労省はワクチン接種と死亡との因果関係を科学的に明らかにすべきだ。それ以前に、新型ワクチン接種後に死亡された方などに対しては、即座に補償金を拠出すべきだ。
極めて厳しくなった日本の政治状況
ただし、日本労働組合総連合会(連合)の新年パーティに岸田文雄首相と泉健太立憲民主党代表が出席した(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15163481.html)ことに象徴されるように、同党が完全に右傾化したため、日本の政治状況は極めて厳しい。
岸田文雄首相は5日、立憲民主党と国民民主党の最大の支援団体・連合が開いた新年交歓会に出席した。首相の参加は、2013年の安倍晋三元首相以来9年ぶり。今夏の参院選をにらみ、連合との距離を縮めることで、「野党共闘」にくさびを打つねらいがあるとみられる。
5日夕、東京都荒川区のホテル。同会に参加した立憲の泉健太代表、国民民主の玉木雄一郎代表らを前に、首相が連合幹部に呼びかけた。「来たる参院選は大変重要な選挙。政治の安定という観点から、与党にも貴重なご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げる」
ドイツで昨年末、総選挙でキリスト教民主同盟(CDU)が敗退して政権交代が起こり、社会民主党(SPD)、緑の党(再生可能エネルギーに注力)、自由党の連立政権が樹立され、同国が核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバー参加を表明したが、これはドイツが米国のディープステート(闇の帝国:軍産複合体と多国籍金融資本・企業)の支配から一定程度、免れているためだ。
日本は逆に、ディープステートの対日工作力が強まり、日本共産党の志位和夫委員長が13日木曜日の定例記者会見で明言している(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2022-01-14/2022011401_01_0.html)ように、敵基地攻撃能力の確保(敵=具体的には中国=の軍事中枢の破壊が主目的、https://www.youtube.com/watch?v=FwJh5cyrcNk)を強化するとともに、連合の新会長に就任した芳野友子氏が気の狂ったように日本共産党を攻撃、従来の野党共闘を破壊し続けている。日本の近未来は極めて危うくなってきた。