政府、蔓延防止措置を1都12県に適用、期待できない効果ー政府独立の日本版CDC創設が必要

政府(岸田文雄政権)は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の一都三県に加え、罰則付きの営業時間短縮などが可能になるまん延防止等重点措置(以下、まん延防止措置)を発令することにし、19日に正式に決定。期間は21日から2月13日までの24日間とした。しかし、飲食店をコロナ感染源として罰則付きの規制を強化するまん延防止措置や緊急事態宣言を発令してもそれ自体の効果はない。本サイトでも何度も指摘しているように、米国のように政府から独立し、科学的・医学的見地からのみコロナ対策を打ち出している同国疾病予防管理センター(CDC)の創設が必要だ。

まん延防止措置・緊急事態宣言より日本版CDCの設立を

NHK Webは19日の午前4時32分、「『まん延防止措置』」首都圏など13都県に適用へ 16都県に拡大」次のように伝えている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013437721000.html)。

新型コロナウイルス対策で、政府は、首都圏の1都3県や東海3県など合わせて13都県にまん延防止等重点措置を適用する方針で19日、専門家に諮ったうえで正式に決定することにしています。これによって、重点措置の適用地域は16都県に拡大されることになります。

新型コロナの新たな感染者は18日、各地で過去最多となり、「第5波」のピークだった去年8月20日の2万5992人を上回り、初めて3万人を超えました。こうした中、岸田総理大臣は、18日夜、関係閣僚と対応を協議しました。その結果、知事からの要請を踏まえ、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏の1都3県と群馬、新潟、愛知、岐阜、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の13都県に、今月21日から来月13日までまん延防止等重点措置を適用する方針を固めました。(中略)

また、ワクチンの接種証明かPCR検査などによる陰性証明を確認して行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」について、「2回のワクチン接種を済ませていても感染する人が多い」として、原則、一時的に停止する一方、知事の判断で継続することも可能にする考えを示しました。(以下、略)

昨日の感染者は地方自治体の公式発表で東京都が5185人だったのに対し、東京都より人口の少ない大阪府は5396人だったが、大阪府など関西圏は状況を見てからまん延防止措置の発令を政府に要請するとの姿勢だ。本来なら、緊急事態宣言を発令する状況だが、「のんびりしている」感は否めない。というのも、東京都の公式発表では自宅療養者と入院待ち・調整中の都民が相当に多いが、維新が「支配する」大阪府では医療資源・体制が東京都よりも貧弱な大阪府など関西圏も少なくとも同程度以上と予想されるからだ。次の図は、東京都の1月18日19時15分時点での公式統計のキャプチャ図です(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013437721000.html)。

これからすると、ファイザー社やモデルナ社のmRNA型ワクチンを2回接種している都民のほうが、ワクチンを接種していない都民より恐らくオミクロン株に感染した都民のほうが多い。不明の都民全員がワクチンを接種していると仮定しても、新規感染者数はさほど変わりはない。ワクチンが産生する抗体の有効期限が切れていることが考えられるが、ワクチンそのものの効果に問題がある可能性も否定できない。

次に、検査陽性者の状況だ。累計なので感染第六波の状況を正確に把握するためには、2022年1月1日の状況が必要だが、入院・宿泊療養の都民以外に、自宅療養と入院・療養等調整中の都民が累計で2万3000人は超えている。自宅療養と入院・療養調整中の都民は別々だ。それぞれの都民がどこにいらっしゃった、またはおられるのかは不明だ。夏の第五波で急増した要因が大きいと思われるが、第六波でこの数が急増する公算は大きい。本サイトでも何度も指摘し、厚労省も認めているように、新型コロナの主要感染経路は感染者が深呼吸をした際に肺の奥底から吐くエアロゾルによって感染するという経路だ。感染者が存在していた密閉した空間に出入りするだけで、感染してしまう可能性が高い。

「濃厚接触者」という言葉の定義にはなんの科学的根拠もないが、新型コロナの主要感染場所は家庭で、家庭が医療機関の院内感染や養護施設の施設内感染、職場感染、学校感染の仲介所になる。さて、次の図に示すように検査陽性率は19.2%だ。これはオミクロン株の感染力の強さを物語っている。


しかし、米軍人及びその関連者(家族と軍属)以外の日本入国者は3人に1人か2人は見逃すという抗原検査を未だに行っているとしても、ほぼ100%の入国者は検査を行っている。その結果を朝日新聞が「空港検疫でオミクロン陽性、最多は米国からの入国者」と題してまとめたところによると、次のようになっている(https://news.yahoo.co.jp/articles/2944ef856264bc62d01de2df84ffc50eed1caf93)。

昨年11月末に空港検疫でオミクロン株の陽性者が初めて確認されて以来、今月7日までの厚生労働省の検疫データを集計したところ、オミクロン株の陽性者は少なくとも計986人だった。最多は米国からの566人で、全体の約57%。外国人の新規入国を一時停止しているため、この間の入国者はほぼ日本人とみられ、米軍基地で判明した陽性者は含まない。米国での流行拡大に加え帰国者の多さも影響したとみられる。米国の場合、州によって3日か6日間の施設待機が必要だ。

検疫人数は不明だ。そこで、厚生労働省が1月18日に発表した「新型コロナウイルス感染症の患者等の発生について(空港・海港検疫)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23450.html)をみると、

海外から空港に到着した乗客で、検疫により新型コロナウイルスの患者21名、無症状病原体保有者76名が報告されました。

と記載されている。「無症状病原体保有者」というのは紛らわしい表現だが、要するに「無症状の新型コロナ感染者」のことだ。3人のうち1人か2人は見逃すという抗原検査での空港検疫97人のうち、無症状感染者が76人、78.4%が無症状感染者だ。検疫人数は明確でないが、全員検査する空港検疫で無症状感染者の多さが際立っている。日本国内の検査結果にそのまま当てはめることはできないが、無症状感染者がかなり多いのは確かだろう。こうなると、日本国内の検査人数もかなり過小の可能性が高い。検査人数が過小な中でも、全国的には第五波よりも新規感染者数が多くなっているから、実際の新規感染者数(感染力が強いオミクロン株が主体)はもっと多いのではないか。

要するに、日本政府はPCR検査に消極的だから、新規感染者を正確に掴みきれていないだろう。傍証はある。Youtubeのチャンネルで有名な清水有高氏が東京大学東洋文化研究所の安富歩教授との対談番組(https://www.youtube.com/watch?v=rHjmwN6cdjQ&t=3015s)でまとめた「Our World Data」が公開している感染者数と入院数を比較してみると、日本の入院率がかなり高い。

オミクロン株がさらに変異して毒性(中等症化、重省力化)がさらに高まったというニュースは寡聞にしてサイト管理者(筆者)は把握できていない。仮に、欧米諸国で感染しているオミクロン株と同等のウイルスだとすると、日本の入院率は異常に高いことになる。これはやはり、分母=新規感染者数がまだ過小な状態だということを裏付ける。感染症の根本的対策は、検査と隔離・治療であり、治療体制の拡充は重要である。再掲させていただくが、コロナの基本対策は下記が基本だ。

やはり、医療供給体制の充実が不可欠になる。既に述べたが、再掲させていただくと次のようになる。有効性が弱まってきたとされるため希望する国民に対しては、➀基礎疾患のある国民や高齢者の方々を優先して(2000万回〜4000万回分の大量の在庫があるはず)を接種し、重症化力を低下させる(後述参照願います)②一般の医療機関による新型コロナ治療薬の服用(米製薬大手のメルクが開発したモルヌピラビル=当初よりは有効性と安全性に疑問=、同ファイザー社のパクスロビド=米国食品医薬品局(FDA)が緊急承認、安全性は不確か=)③国立病院機構、地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構傘下の病院をコロナ中等症専門病院への特化や巨額の補助金を受けている国公私立大学附属病院の集中治療室の拡大によるコロナ重症者病院化④一般の医療機関を健康保険適用によるコロナ治療機関=公費負担を100%としても良い=とし、感染症対策の基本である隔離・治療のための施設(ホテルや旅館などの国費による借り上げ)を増設して協力を得る(経済的効果としてはまともな内需拡大になる)ーなどの医療・感染症対策のための施設・設備の拡充が欠かせない。

なお、少し長い目で見ると、緊急承認のワクチンに頼りすぎればヒトの免疫力に重大な影響を及ぼす恐れが出てくることも考慮しなければならない。EUも警告している(https://www.youtube.com/watch?v=ZASAiEaJVzM)。3回目のブースター・接種が最後だろう。また、短期的にも問題がある。政治・経済評論家として知られている植草一秀氏によると、緊急承認された新型ワクチン(mRNA型ワクチン)の接種後、短時日のうちに死亡される方や重篤・重症の後遺症を持たれる方が少なくない。インフルエンザワクチン接種後に死亡される方をはるかに凌駕する。既に、感染症利権ムラの「専門家」には米国のファイザー社などから多額の資金が提供されているようだ。

また、上述のYoutubeのチャンネル(番組)は、安富教授が新型ワクチンが新型コロナウイルスの変異に関係があるのではないかという「仮設」を提示している。新型ワクチンは「緊急承認」の段階だ。新型コロナウイルスも新型ワクチンもまだまだ未解明だ。取り敢えずは、病床・療養施設を大幅に増強することが必要だ。ただし、日本では春、夏、冬に感染が拡大するという季節要因を考慮すると、冬場のピークアウトは2月下旬とも言われる。東洋経済ONLINEが発表している実効再生産指数は全国、東京都も3.0を割り込んで急激に下がっている(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)。

まん延防止措置や緊急事態宣言が功を奏したとの科学的証明はなされていない。錯覚すると、コロナの波は再び押し寄せてくる。また、オミクロン株の重症化率は低いということで油断している向きもあるが、37度〜38度の熱は出て、脳の働きが低下したり、頭髪が禿げるなどの副作用が報じられている。勤労者が感染すると休まざるを得ない。特に、ソーシャル・ワーカーが感染すると、社会が回らなくなる。

厚生労働省の医系技官を中心とした「感染症利権ムラ」では真のコロナ対策は不可能だ。朝日新聞出身で五月書房取締役、フリー・ジーナリストの佐藤章は国立感染研究所の脇田隆字所長を更迭し、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長兼臨床医を所長に迎えるべきだと主張された(https://www.youtube.com/watch?v=aPYwrbLLXFU)。政府から独立した日本版CDC(疾病予防センター)を設立すべきだ。なお、政府はワクチンの接種証明かPCR検査などによる陰性証明を確認して行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」の導入を見送った。ワクチンの効果や毒性に疑問を呈し続けている植草一秀氏の警告が妥当だったことを示している。

植草氏はメールマガジン第3131号「ワクチン追加接種しないを強く推奨」で次のように主張しておられる。

反知性主義を象徴する「ワクチン・検査パッケージ」岸田内閣が白旗を上げた。「接種証明」制度が事実上破綻した。共同通信は次のように伝えている。

https://bit.ly/3tyDB27

「政府は17日、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大を受けて、行動制限緩和に向けた「ワクチン・検査パッケージ」をいったん停止する方向で
最終調整に入った。ワクチンの2回接種か、検査の陰性証明のどちらかで飲食店やイベントの人数制限を緩和する制度だが、2回接種後も感染する事例が相次いでおり、現状の仕組みのままでの活用は難しいと判断した。19日にも開く基本的対処方針分科会で、この案を諮問する見通し。パッケージではなく、全員検査することで制限を緩和する新たな制度はそのまま残す方向だ」

冒頭の本日のNHK Webとも符合するし、現在の新規コロナ感染者のうちワクチン接種を二回受けている国民が一番多いこととも符合する。ただし、三回目のブースター接種には重症化効果は30〜40%に低下していると言われている。基礎疾患のある国民や高齢者の方々は主治医とよく相談して判断すべきだろう。

東京都の19日の感染者数、公式統計で過去最多で7千人突破か

共同通信が報じたところによると、東京都の19日に確認された新型コロナ感染者は過去最多で7千人を突破した模様。自宅療養者は1万3千人を超えた模様。

東京都で19日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者数が7千人台となり、流行「第5波」だった昨年8月13日の5908人を上回って過去最多となる見通しであることが、関係者への取材で分かった。

東京都の公式統計でも、7日移動平均で4500人を突破している。



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