コロナ第六波のピークアウトは季節要因とオミクロン株の特殊性から2月下旬もー治療薬の発掘が必要

全国的にオミクロン株を主体とした新型コロナの新規感染者が激増しているが、季節要因とオミクロン株の特殊性から2月下旬にもピークを迎えるとの見解も根強い。ただし、ピークアウトしても高水準の新規感染が続く可能性は否定できず、既に医療現場は崩壊しており、空気感染が感染の主要なルートであることが判明している今、新規感染者が適切な隔離・保護・治療を受けられなくなっている。自宅医療という名の自宅放棄はあってはならないし、無症状感染でもしばらくすると集中力が低下したり、頭が禿げるなどの後遺症は残る。安価で安全な治療薬の提供が求められる。

コロナ第六波の状況と治療薬の発掘・開発

オミクロン株を中心とした新型コロナの新規感染者数は、全国で1月12日に1万人を突破し14日には2万人を突破、18日には4万人を突破し、昨日21日は4万9854人と4日連続で4万人台で、既に5万人を目前にしている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220121/k10013443271000.html)。東京都も昨日21日は9699人の感染を確認し、 3日連続で過去最多を更新している状況だ(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220121/k10013442461000.html)。以下、重要な箇所を引用させていただきたい。

東京都内の21日の感染確認は9699人で、3日連続で過去最多となりました。また自宅で療養している人は去年9月以来、2万人を超えました。都の担当者は「オミクロン株の影響で急拡大していて、まだ減少の兆しは見えない状況だ」として、対策の徹底を強く呼びかけています。(中略)

また21日感染が確認された9699人の半数近くにあたる4521人は、ワクチンを2回、接種していました。

無症状は903人で過去最多です。感染が確認された9699人のうち感染経路が分かっているのは3502人です。このうち、最も多いのは「家庭内」の2059人で、およそ58.8%に上り過去最多となりました。次いで、「施設内」が548人でした。「施設内」感染の事例として、4つの大学の学生寮のほか小学校や幼稚園、保育園でもクラスターが相次いで確認されています。(中略)

自宅で療養している人は20日から4300人余り増えて2万3270人となり、去年9月以来、2万人を超えました。(中略)

【追記01月22日午後17時-18時30分】東京都の22日の新規感染者は下図のようになった。初めて1万人を突破して1万1227人になった。都内の自宅療養者は22日時点で2万4000人前後と推定される。共同通信によると、国内の新規感染者数は5万4576人と初めて5万人を超え、5日連続で過去最多を更新したhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20220122/k10013445031000.html)。

「自宅療養」という名の自宅放置社数の急増は既に、医療崩壊が起こっている証左だ。保健所または医療機関で適切な治療を受けられているかと言えば、そうではないだろう。厚生労働省も新型コロナが対人接触による飛沫で感染する飛沫感染だけではなく、感染者が深呼吸した際に空気中に吐き出すエアロゾルという、飛沫よりもさらに水分を含んだ状態の粒子の集合体を他の人が吸い込むことによって感染するエアロゾル感染=空気感染も認めざるを得なくなっている(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-2)。

問2 新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか。

感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。

また、ウイルスが付いたものに触った後、手を洗わずに、目や鼻、口を触ることにより感染することもあります。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。

世界的に権威ある医学論文雑誌各誌では昨年8月にはエアロゾル感染=空気感染が新型コロナの主要感染ルートであることが知られている。感染者が居た密閉した部屋に出入りし、呼吸をするだけで新型コロナに感染する可能性が極めて高い。「自宅療養者=自宅放置者」の家庭で感染が拡大していることからも明らかだろう。だから、NHK Webの記事で報道されているように、新規感染者の中で、自宅感染が感染場所の最大の項目になる。自宅感染は職場や学校でのクラスター感染の媒介になる。

そうなれば、感染者は社会インフラ関係を含め、職場や学校を休まなければならなくなる。このことは、経済社会の維持に重要な支障が出てくることを意味する。日本では海外諸国にとっては異例の「濃厚接触者(科学的な定義が極めて不明瞭)」を保健所が追跡する「積極的疫学調査」が「コロナ対策」なるものの基本になっているが、保健所は人員・人材不足ですでにパンク状態だ。このため、小池都知事は21日、本人から濃厚接触者への連絡を呼び掛ける異例の記者会見を行った(https://www.tokyo-np.co.jp/article/155574?rct=coronavirus)。

新型コロナウイルスの拡大で、まん延防止等重点措置の適用が始まった東京都で21日、新たに9699人の新規感染者が確認され、3日連続で過去最多を更新した。小池百合子知事は同日の会見で、「保健所の業務が逼迫している状況でございまして、感染者本人から濃厚接触者に該当すると思われる方にご連絡をいただきたい」と異例の呼び掛けを行った。

しかし、PCR検査で陽性と判定されても自宅療養を余儀なくされるのでは、「濃厚接触者」と称される都民でも生活と隔離・療養施設が保証れれなければ、PCR検査を受ける気にはなれないだろう。意味のない「積極的疫学調査」を続けることに予算と人材を割くよりも、第六波以降に備えて充実した宿泊療養施設の増強を含む医療体制の強化が急務だ。

しかし、現実的に「自宅療養=自宅放置」が避けられない状況に陥っていることから、医師や看護師の訪問医療体制に加えて、効果的な治療薬を早急に見出すことは急務だ。日刊ゲンダイ1月22号(21日発売)では、「新型コロナの治療に「抗生剤」をもっと活用してはどうか」と題する記事で「クラリストマイシン」というマクロライド系抗生剤が注目されているという(https://hc.nikkan-gendai.com/articles/277182)。

抗生剤は細菌を退治したり増殖を抑える薬で、一般にウイルスに対しては効果がないとされている。

しかし、マクロライド系抗生剤には、かねて新型コロナに対して有効な作用があると指摘されている。「今井病院」の血液内科部長で血液内科専門医の竹森信男氏は、以前からクラリスロマイシンの多様な効果について研究を重ねてきた。昨年8月には、マレーシアの熱帯生物医学の学会誌「Tropical Biomedicine」に、クラリスロマイシンを新型コロナウイルス感染症に対して臨床応用する提案についての論文を投稿し掲載されている。「クラリスロマイシン」というマクロライド系抗生剤がある。細菌のタンパク質合成を阻害して細菌の増殖を抑えることで抗菌作用を示す薬で、皮膚感染症、呼吸器感染症、耳鼻科感染症といった感染症に対して幅広く使われていて、ピロリ菌の除菌にも用いられている。(中略)

①新型コロナウイルスが増殖するためには、感染した細胞の中で、自身の遺伝情報を持つタンパク質を合成する必要がある。遺伝情報の読み取りは細胞内にある“翻訳装置”のリボソームによって行われるが、クラリスロマイシンはそのリボソームに作用して、ウイルスの増殖を阻害する。②新型コロナ肺炎の重症化を促進させるIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインの放出を抑制し、過剰な免疫反応で生じるサイトカインストームを防ぐ。③免疫反応などの生体防御機構において重要な役割を持つ肥満細胞は、体内に侵入した抗原に応答して脱顆粒を起こし、サイトカインやプロテアーゼといった炎症に関与する生理活性物質を放出する。新型コロナウイルス感染症で生じる肺の線維化はそれらの結果により起こるが、クラリスロマイシンは肥満細胞の脱顆粒を抑制する作用があるため、肺の線維化を抑制する。④ウイルス感染を防御する抗体の機能を持つ免疫グロブリンのひとつIgAの産生を促し、ウイルスを無力化して感染を防ぐ。⑤クラリスロマイシンは弱アルカリ性で、ウイルスに感染した細胞の中にあるトランスゴルジ網(タンパク質を加工して細胞外に排出する役割を持つ)内のpHを弱アルカリ性に変化させ、ウイルスの成熟を抑制する。

「ギリシャ、エジプト、ブラジルなどでは、新型コロナに対してクラリスロマイシンを使った治療の臨床試験が行われ、有効性が報告されています。日本でも長崎大学が中心となってランダム化比較試験を実施中です。また、吸入ステロイド薬のシクレソニドとの併用で大きな治療効果があったという国内外での症例報告もあります」

昨年12月に日本で特例承認された新型コロナの新しい経口治療薬「モルヌピラビル」は、1コース(5日間)530~700ドル(約6万~8万円)と高額で、途上国などが必要量を確保するのも難しい。「一方、クラリスロマイシンをはじめとしたマクロライド系抗生剤は200ミリグラムで60円程度と安価なうえ、古くから世界中で使われているので入手しやすく、副作用が少ないこともわかっています。海外の治験を参考にすると、日本では200ミリグラムの錠剤を1回2錠、1日2回、7日間の服用で効果があると思われるので、使いすぎによる耐性菌の問題もそれほど過敏にならなくていいと考えます。まずは専門の医師がクラリスロマイシンによる治療を展開し、一般の医師も臨床で使用できるようになることを期待しています」

ということである。また、漢方薬でも新型コロナに有効なものがあるという。岐阜県にある白川病院の野尻眞院長が臨床に用いたもので、元首相で東アジア共同体研究所の鳩山友紀夫理事長が外務省国債情報局長・駐イラン大使・防衛大学教授を歴任した孫崎享同研究所所長との対談番組で孫崎所長が明らかにしたものだ。「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」という漢方薬だ。化膿をともなう皮膚病や化膿しやすい人の体質改善に効くという(https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/006.html)。

岐阜県白河町にある白河病院
岐阜県白河町にある白河病院

孫崎氏のお子さんは米国に滞在しているが、3回目のブースター接種を受けても、オミクロン株に感染したという。このため、十味敗毒湯を至急、送付したという(https://www.youtube.com/watch?v=eX34MJQ9DjQ)。

皮膚病の体質改善に効く漢方薬が何故、新型コロナ感染症にも効くのか。まず、野尻院長の臨床事例を紹介させていただきたい(https://www.shirakawahp.com/uploads/ddedaaee683910a8d9163c16d2882dc9.pdf)。

漢方はもともと漢の末期(西暦 200 年頃)、張仲景が傷寒病(疫病)に対する薬を系統的にまとめた『傷寒論』に由来する。2018 年 6 月に、保険適応外で著効したウイルス性結膜炎に、本来皮膚疾患に使用される『十味敗毒湯』を眼の粘膜に応用し 2 日で著効した経験を得て、日本東洋医学会の専門医レポートにしたためた。

2019 年新型コロナウイルス感染症が話題として伝わってきた時、中国武漢で発生し、最初に見つけたのは眼科医李文亮(りぶんりょう)先生であり、結膜の病変に注目されていた。すなわち、新型コロナは、SARS-CoV19というウイルスで、人には顔の粘膜:結膜・鼻腔・口腔・気道から侵入し発病する感染症である。華岡青洲先生は『万病回春』にある荊防敗毒散を取捨して『十味敗毒湯』を江戸中期に創り発表されている。当時、どのような疾患に使われたかは解らないが、私は皮膚と粘膜の生理学的な知識からすれば、どちらの疾患にも応用できると考えていた。漢方の中で皮膚に効く薬は粘膜にも効くと推論し、21 世紀に大流行している新型コロナウイルス感染症にも効くと仮説を立てていた。

症例 1 2020 年 10 月末当院の職員が院外で感染し、当院の発熱外来で緊急で抗原検査を受け陽性(+)、診断直後より『ツムラ十味敗毒湯エキス顆粒⑥』の内服を勧めた。直ちに保健所へ報告、指示の下 PCR 検査、翌日夕方には陽性(+)が判明し、世界で初めての症例であり、臨床記載を依頼していた。38℃から 36.2℃へ解熱、解熱と共に(パルスオキシメーターで測る) SpO2(酸素飽和度、通常98%以上が正常値。これまでは厚労省医系技官のトップである福島靖正医務技監らが95%を自宅療養の基準値として勝手に定めていた。概ね95%未満だと自力呼吸が困難になり始める)が 94%から翌日には 98%へ著明に改善。その後退院まで酸素投与なく呼吸障害を来さず、胸部 X 腺、胸部 CT でコロナ肺炎を認めなかった。白血球 4,100、CRP 0.2 で退院まで正常値を保った。明らかに新型コロナ感染症であったが酸素を投与することなく『軽症』の内に 14 日間で PCR 検査陰性化し、社会復帰できた。そのまま他病院で隔離入院 9 日~21 日間。感染の「早期発見・早期治療」が出来た。80%が軽症で自然経過では普通は 3~4 日かかると言われているが、『十味敗毒湯』は、1 日の内
服で解熱した事実からすれば、新型コロナウイルス感染症に著効したと判定できる。

症例 2 では、『十味敗毒湯』内服 1 日で解熱してから、SpO2 は 98%を維持した。白血球 3,820、CRP 0.09、D ダイマーは陰性だった。実地臨床上から症例 1 と同様に著効したと考えている。新型コロナウイルス感染症急性早期には、『十味敗毒湯』の 1~2 日の内服で抗炎症・抗アレルギーに著効したと考える。たった 2 症例だけであり、今後発熱してコロナ感染症と診断された方に『十味敗毒湯』の 1~2 日処方が推奨される。因みに予算は 38 円/包であり、江戸中期以来 250 年以上に渡って臨床応用された薬で安全性は非常に高い。問題は薬事法上『適応外処方』を国として緊急に許認可するかどうかだけである。早期発見・早期治療をすれば肺炎やサイトカインストームを来さない。尚、他の患者でも効果が確認されたときには、『日本漢方』の素晴らしさが再認識される。

『十味敗毒湯』は乳がんの全身麻酔手術を世界で初めて行った華岡青洲先生が、内外合一の理論の下に創作された薬であり、先生をアメリカ・ヨーロッパの人々が再認識する事になる。重ねて『十味敗毒湯』の創薬の素晴らしさを、歴史や地理を超えて再認識する。

症例はわずか2例に過ぎないが、米国で開発されたモルヌピラビル(メルク社)、パクスヒロビドなどの(ファイザー社)治療薬は、日刊ゲンダイの報道記事で紹介したように5日間で530~700ドル(約6万~8万円)と高額過ぎる。保険適用しても2万円はかかるだろう。また、初期段階でなければ意味がないようだ。これでは、国民も手軽にPCR検査を享けることができない。また、緊急承認されただけに安全性は確認されていない。厚労省は、初期段階で投与すれば効果がある公算が大きいマクロライド系抗生剤や十味敗毒湯など既成の漢方薬など、安全性が確認されている新型コロナ治療薬の発掘や開発に公費を費やすべきだ。

コロナ第六波の収束時期

新型コロナは基本的に、日本では冬場に大感染し、初夏と夏に小感染するという季節要因で感染する。月の引力による満潮、干潮と同じようにいずれ、「季節的要因」も科学的・医学的に解明されるだろう。なお、季節要因の時期にコロナウイルスの変異株が登場しているのはまだ、理由が説明されていない。ところで、オミクロン株は終息の時期が早く到来する可能性がある。これも、日刊ゲンダイが1月22日号で「コロナ「第6波」ピークアウトはいつだ? オミクロン株先行国は1カ月程度で頭打ち」と題する記事で伝えている。

(前略)しかし、日本に先行してオミクロン株が猛威を振るった世界各国では光明が見え始めている。昨年12月中旬から感染が急拡大した英国は、今月4日に新規感染者数21万8705人を記録。そこから急激に下降カーブを描き、直近はやや増加に転じたものの、19日は10万7450人に収まっている。ピーク時から約2週間で半減。ジョンソン首相は感染のピークが過ぎたとして、マスク着用義務などの規制を27日にほぼ撤廃すると表明した。

オミクロン株の“震源地”となった南アフリカは昨年11月下旬から感染者が急増。12月12日に3万7875人と過去最多となった後、今月18日は3657人と約1カ月でピーク時の約10分の1まで減っている。当初はワクチン接種率の低さが懸念されたが、杞憂に終わったようだ。米国、フランス、カナダ、豪州も同様に感染急増から3~4週間程度でピークアウトしている。各国の感染者数のグラフを見ると、ピークまでの急上昇カーブと、その後の下降カーブはほぼ同じ角度を描いている。

このことを裏付けるデータもある。東洋経済オンラインが公表している実効再生産数の急激な低下だ。21日時点では全国が0.13ポイント減の2.15人、東京都は0.21ポイント減の2.28人。

これを見ても分かるように、実効再生産数はこのところ急激に低下している。医療ガバナンス研究所理事長で臨床医でもある上昌広氏も同じような見解だ。ただし、2.0は上回っているのでもちろん、油断大敵だ。れいわ新選組の政策だがコロナ禍を自然災害相当に指定し、新型コロナ感染症の治療薬の発掘や開発、医療体制の大規模拡充、社会経済混乱回避に大規模な積極財政を採用すべきだ。国民全員にコロナ対策需要が継続している。それに応えるべきだ。

政府や東京都、特に野党など地方自治体は厚労省の医系技官システムが維持しようとしている「感染症利権ムラ」対策に惑わされることなく、新型コロナ感染症についての科学的・医学的・感染症学的な理解が急務だ。そのため、岸田文雄政権(政府)、特に岸田首相は「柔軟な対応をする」などと無責任な対応に終止することなく、自ら正しい専門家の意見を取り入れ、米国疾病予防センター(CDC)の日本版を創設すべきだ。
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