コロナ感染、10日間で倍増し1万人超-安倍政権末期の様相

朝日デジタル2020年4月19日午前零時56分の投稿記事によると、「新型コロナウイルスの国内での感染者数が18日、本社の集計で1万人を超えた。1月中旬に国内での初感染が確認されてから、1千人を超えるまで2カ月かかったが、1千人から1万人に達するまでは1カ月足らずだった。感染者数がこの10日間で倍増するなど、感染の拡大が止まらない」。緊急事態宣言の最終日の6日に宣言が解除されるめどは立っていない。安倍晋三首相の求心力は急速に低下し始め、政権末期の様相が顕著になってきた。

4月18日午後11時半現在で、新たに582人の感染が確認され、国内の感染確認者数は計1万432人になった。この数字には、厚生労働省のトリックで豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号での感染確認者723人は含まれていないから、正直な数字ではない。2月1日にダイヤモンド・プリンセス号は沖縄県那覇空港に入国し、入国審査手続きを終えているから、その時点で内船扱いになり、本来は国内感染確認者に含まなければならないからだ。この感染者数を加えると、1万1155人になる。下の図表では、重複を除いて1万1151人になっている。どちらにしても既に、17日の段階で1万人を超えていたのである。

朝日デジタルによると焦点の東京都の18日の感染確認者は、「東京都内では新たに181人の感染を確認。69%が感染源が分からず、20~50代が目立つ。都内の感染者は計2975人となり、死者も5人増えて計68人となった」という状況である。「集団感染(クラスター)」の発見・追跡を柱とする現在の新型コロナ感染症対策本部、同専門家会議=実質は非専門家会議=の感染拡大阻止対策は完全に破綻した。

破綻の原因は明らかだ。新型コロナウイルスの危険性に気付かず、世界保健機関(WHO)が3月11日に「パンデミック宣言」を発動した後も、東京オリンピックの開催にこだわり、「PCR検査の徹底と感染確認者の隔離」というWHOの基本対策を無視し続けてきたからだ。特に、厚労省が保健所を使ってPCR検査を妨害してきたことが大きい。このため、国内1万1千の医療機関がコロナウイルス対策に無防備なまま、新型コロナ感染者が感染に気付かないで医療機関の外来や見舞いに訪れ、受付・待合室・病棟に来院→職員、看護師、医師が感染→院内感染の発覚と拡大→新規外来患者や救急患者の受け入れを阻止する医療機関が全国に拡大→医療崩壊の進行→軽症患者の放置→市中感染の拡大-という悪循環が繰り返されてきた。

PCR検査を阻止するという馬鹿げた「対策」を続けてきた理由(=屁理屈)は、➀入院病床数に限りがあり検査を拡大すると医療崩壊が生じる②検査に伴う感染が懸念される③検査の誤差が存在する④感染が確定しても治療法がない-というものだった。しかし、これらの「理由」は間違っており、詭弁に過ぎない。

第一は、新型コロナウイルス感染症は政令によって、感染症法を利用して事実上、感染症指定病院への強制入院が必要な指定感染症第Ⅱ類に指定された。これがそもそもの誤りである。感染者のうち8割は無症状もしくは軽症とのデータが出ているから、中国湖北省武漢市で感染患者が急激に拡大を始めた今年1月の状況を性格に把握しておけば、日本でも感染症指定病院は限られているから、「新感染症」としておいて、軽症患者に対しては正式の医療機関とは別途、「医療施設」を確保すれば良かった。そうすれば、病床が足りなくなるという問題にはある程度余裕をもって対応できたはずだ。

第二は、武漢市で医療崩壊が生じた実態を正確に把握しておけば、日本の医療機関の防疫体制を確実なものにしておく必要があった。そのため、政府は2019年度第三次補正予算を編成する必要があったはずであり、その時に防疫体制整備のための財政支援措置を盛り込む必要があった。しかし、政府は第三次補正予算編成を求める声が高まってきても、予備費で事足れりと安易に考え、補正編成には一切応じなかった。安倍政権は衆参の各種委員会では危機管理体制の重要性をしきりに強弁してきたが、実際の危機管理能力はなかった。危機には軍事的危機も想定されるが、食糧危機、感染症危機などさまざまである。危機管理対策として、米国から無用な使い古しの軍事兵器を、言い値で爆買いするだけだった。

第三は、PCR検査には誤差が生じることはあるが、陽性を陰性と誤判定する確率はあまり高くなく、陰性と判定しても血液検査で可能である抗体検査やCT検査など各種の検査を併用すれば、誤判定の確率をかなり低下させることが可能だったはずである。第三次補正予算を編成し、そのための財政措置を盛り込むべきであった。

第四は、陽性と判定できれば、症状の段階に応じて各種の対症療法が可能であり、重症化率や重篤化率、死亡率を低下させることは可能だったはずである。こんないい加減なPCR検査抑制(実際は阻止)の屁理屈をマスコミを通して国民に流した厚労省=政府・専門家会議=安倍政権は万死に値する。対策の基本は、➀医療崩壊を防ぐための財政措置を含めた強力な対策を講じる②PCR検査と補助検査の徹底と休業補償を継続的に一体化する(スタグフレーションを防ぐためにも必要な消費税率は取り敢えず、ゼロ%に引き下げることがすっぽり抜け落ちている)③萩生田光一文部科学相の指示の下、不作為を決め込んでいる文科省(コロナウイルス感染症対策研究・策定に重要な大学・大学院、管轄の研究機関に感染症対策の研究をさせない)も当然、対策に積極的に参加させる-ことである。

支離滅裂な対策で、感染拡大を阻止できない新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長=安倍晋三首相)

これらのことを実行するためには、現在の新型コロナウイルス感染症対策本部、同専門家会議には謝罪のうえ、退いてもらわなければならない。つまり、安倍政権の退陣である。その兆候は既に出てきている。朝日デジタルに2020年4月18日7時30分投稿された「独断と迷走の安倍政権 与党内からも『末期の様相』」と題する投稿記事によると、安倍首相が今や判断力を失って、影の総理と呼ばれる経済産業省出身の今井尚哉首相補佐官に頼り切っていることが示唆されている。

そのうえで、「報道各社の世論調査では内閣支持率は軒並み下落傾向にある。新型コロナに翻弄(ほんろう)され、迷走する政権には、与党内からも『政権末期の様相だ』との声が漏れるようになった。
『ポスト安倍』をめぐるレースへの影響は避けられない。世論調査でポスト安倍候補の筆頭にあげられる石破茂・元自民党幹事長に加え、新型コロナ対応をめぐって強気の発言を繰り返す東京都の小池百合子知事が存在感を増す。一方、首相が後継者と目しているとされる岸田文雄政調会長は、自らがまとめた世帯当たりの(条件付き)30万円給付案が、公明党だけでなく身内の自民党からもひっくり返される事態となり、『大きな傷を負った』(自民党ベテラン)とみられている」としている。なお、小池都知事は既に二階幹事長の軍門に下っている。都知事選に自民党都連から候補者を擁立することはないだろう。小池都知事に良心があれば、出馬は取り止めだ。

ただし、この期に及んで、財務省の言いなりになる麻生太郎財務相(漫画オタク)は、国民1人当たり10万円の生活資金緊急支援に手間暇のかかる「自己申告制」を盛り込むことを主張している。緊急性が要求される現時点でも、そんなに申告性を導入することが「必要」なら、植草一秀氏がメールマガジン「第2606号 失敗を方向転換できない専門家会議の破綻」で批判しているように、「生活支援金が必要のない人」に手を上げてもらう(自己申告してもらう)ようにすればよい。また、生活支援金を貯蓄する国民のために、生活支援金は課税所得に算入すれば良い。ただし、コロナ大不況がコロナ大恐慌に悪化しつつあることを考えると、課税最低限は出来る限り引き下げることも必要だ。

こうした事例ひとつをとってみても、「日本国憲法に定められ、政府・自治体に義務付けられた国民の生命・財産を守ることより、政治屋=族議員の利権を確保することを優先してきた」自公政権が続く限り、抜本的な新型コロナウイルス感染症対策を期待するのは無理である。非常に困難だが、「コロナ禍」を「日本の福」に転じるチャンスでもある。

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