韓国ユン・ソンニョル大統領の国会での2回目弾劾決議案、14日投開票で可決ー朝鮮半島平和統一への序曲始まるか(追記シリア情勢)
韓国大統領府とユン大統領=政府公式サイトより

2025年12月3日、「非常事態戒厳令(非常戒厳)」を発令したが失敗に終わったユン・ソンニョル大統領に対する2回目の弾劾決議案(野党「共に民主党」が再度提出)に対する韓国国会議員の投票が、本日2024年12月14日午後4時から行われ、賛成204票、反対85票、棄権3票、無効8票で賛成票が三分の二以上になったため、弾劾決議案は可決された。このため、ユン大統領の職務は停止される。今後は憲法裁判所で180以内に判断が下され、6人の裁判官が賛成すれば最終的な結論が出る。最終的にユン大統領の弾劾されることになれば、野党「共に民主党」が朝鮮半島情勢を冷静に見つめる限り、韓国および南北統一に向けての新たな道が切り開かれるだろう。

ユン大統領の弾劾決議案は与党「国民の力」から12人が造反、議員総数の三分の二超の204人が賛成したため可決された

弾劾決議案は、韓国国会議員300人のうち、3分の2以上の賛成で可決されるが、最初の弾劾決議案は与党が投票をボイコットしたため、廃案になった。今回二回目の決議案に対する投票動向について、韓国メディアの報道内容から弾劾成否の状況を報道しているNHKによると、与党・「国民の力」所属の国会議員7人が弾劾決議案に参加しており、賛成する議員は今後、さらに増える見込みだとのことだ(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241214/k10014667581000.html)。

午後16時過ぎからの投票の結果、与党「国民の力」の国会議員12人が「造反」したため賛成票は204票になり、国会議員総数の三分の二を超えたため、大統領弾劾案は可決された(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241214/k10014667871000.html)。韓国の憲法の規定では今後、大統領の職務はハン・ドクス(韓悳洙)首相が代行することになる。そして、120日以内に憲法裁判所が開かれ、6人以上の裁判官が弾劾に賛成し、罷免の判決に同意すれば、ユン大統領は罷免されることになる。ユン大統領は「私は決して諦めていない。私への叱責と激励を心に受け止め、最後の瞬間まで国家のために最善を尽くす」との談話を発表した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241214/k10014667871000.html)。憲法裁判所での裁判で弾劾妥当、罷免の判決が下されるとは思っていないようだ。を諦めていない。報道記事を続けて引用させていただく。

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾を求める議案は、14日午後、採決が行われる予定です。「非常戒厳」をめぐって国民からの批判の声が根強い中、複数の韓国メディアは、議案に賛成する意思を示している与党議員は7人で、さらに増える可能性もあると伝えていて、採決の当日を迎え、弾劾の行方が注目されます。

韓国国会ーニューズ・ウイークによる

韓国の国会で、野党が提出したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾を求める議案の採決を行う本会議が14日午後4時すぎから開かれ、採決の結果、賛成は204票で、国会議員の3分の2にあたる200人以上が賛成し、可決されました。

本サイトでは、米国民主党左派全体主義独裁政権のもと(例えば、バイデン政権による事実上のウクライナからの長距離ミサイルATACMSによるロシア攻撃に対して、トランプ次期大統領は紛争を激化するものとして厳しく批判している=https://news.yahoo.co.jp/articles/a0c1b8167f4f53f7a2315c60186748dfb4614faf、参考:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/12/528719.php=)で、朝鮮半島の緊張を強める情勢展開を行ってきた「米韓日」三国による「協調体制」ではなく、「世界の多極化」時代に突入した現在、トランプ次期大統領や韓国大統領、日本の経済支援による「雪解け」の展開がより望ましく、そのための、韓国・北朝鮮・米国・日本・ロシア・中国の六カ国協議体制を築き、「東アジア共同体」創造に向けて、事態を展開すべきだとの論調を訴えている。北朝鮮強硬保守派の韓国大統領であるユン大統領ではそうした展開は望めないだろう。

ただし既に述べたように、国会で弾劾決議案が可決されても、ユン大統領の職務は一時停止されるが、憲法裁判所で改めて裁判が行われ、180日以内に同裁判所の判決で6人以上の裁判官の弾劾打倒の判決により、最終的に弾劾か否かが決定される。ユン大統領の弾劾が最終的に決まれば、60日以内に大統領選挙が行われる。そうでなければ、ユン大統領は職務に復帰する。

アサド政権崩壊後のシリアは安定化するようだー背後にネタニヤフ首相とトランプ次期大統領

シリアのアサド政権は、アルカイダ系のイスラムテロ組織「イスラム解放機構=シャーム解放機構(HTS:Hay'at Tahrir al-Sham)」が中心になって事態を収集・正常化させているようだが、あまり大きな混乱は起こっていないようだ。本サイトでは再度、「内戦状態突入か」と予想したが、国際情勢解説者の田中宇氏が12日投稿・公開した「今後のシリアとイスラエル」(https://tanakanews.com/241212syria.htm、無料記事)によると、HTSはトルコが支配しており、トルコは裏ではイスラエルに対して経済支援を行っており、密接な関係を有していることから、最終的にはイスラエルがHTSを傘下に置き、シリアに平和をもたらす可能性が大きい。

HTSについては、次のようなアルカイダを離れ、穏健化を目指すとの報道がある(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/011e3bd4da7589b316341891279719bc4e652577)。

シャームとはシリア周辺の古い呼び名でもあり、日本の報道では意訳して「シリア解放機構」と呼ばれる場合もあります。彼らは元イスラム過激派(旧ヌスラ戦線)ですが、アルカイダとは関係を断って穏健化を目指して生まれ変わろうとしています。

英国のBBCは、「イスラエルは10日、シリアの海軍艦隊を攻撃したと発表した。バッシャール・アル・アサド政権の崩壊を受け、シリアの軍事資産を無力化するためだとした。また、シリア全土で数百回にわたって空爆を実施したとした」(https://www.bbc.com/japanese/articles/cy7kxm4lrplo)と報道している。これは、内覧の要因になるシリアの武器・弾薬を破壊するためだろう。

シリア解放機構は国内のイスラム過激派勢力をアルカイダ系から切り離し、穏健化して連携させ、安定的な政権を樹立させようとしているようだ。田中氏も同記事のリード文で「シリアがどうなるかはイスラエルが決める。イスラエルは、中東などの他の諸国から(注:最終的には自国の存続を実現すると共に、中東に平和を確立さぜるため、)敵視でなく尊重されたい。それには、軍事力でイランを排除した後のシリアを安定させるのが良い。シリアが安定すれば、トランプもサウジもトルコも中露も満足だ。イランも文句を言いにい。イスラエル傀儡のHTSはシリアを、従来のIS(注:イスラム国志向の)アルカイダの残忍な体制にせず、内戦を再燃させず、諸派協調で安定した体制にする」。

イスラエルとしては、イランが将来、経済と軍事面で大国になることは避けられないと考えているフシがあり、そのために当座はイラン系の民兵団組織であるヒズボラを壊滅させた。ハマスもほとんど壊滅させたが、ハムスは「ムスリム同胞団パレスチナ支部」が正式名称である。ムスリム同胞団はエジプトで1928年結成されたが、王政を否定してイスラム教の国家創設を目指す軍事・政治・経済・社会組織であり、エジプトやヨルダンで大きな政治勢力になっている(イスラム教の指導者であるムハンマッド=マホメットの後孫であり、イスラム教を熟知しているとされるカリフによる統治も考えられる)。

ネタニヤフ政権は、ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ難民をエジプトやヨルダンに逃し、両国を中心にして中東にムスリム同胞団の一大政治勢力を築かせたい。そうすれば、英国が大英帝国時代の第一次世界大戦時に、三枚舌を使ってオスマン帝国を解体し、フランス、ロシアに割譲する(その時に、オスマン帝国の将軍であったケマル・アタチュルクが登場、非イスラム化=欧米化=政策を勧め、現代のトルコの基礎を築いた)約束をするとともに、シオニスト系のユダヤ人にはイスラエルの建設を、イスラエルを建設した地に住むパレスチナ人に対しては、「パレスチナ国家」創設を約束するという、矛盾する約束を行った。この大英帝国の無謀な外交政策が、今日の中東情勢混乱の始まりである。

右派リクード党首ネタニヤフ氏が首相になったイスラエルとしては、英国の三枚舌外交を消し去る、つまり、「パレスチナ国家構想」を歴史上から消し去るために、ハマス壊滅を行ったのであり、過渡期の大混乱は承知でムスリム同胞団をエジプト、ヨルダンを中心とした一大政治勢力にする。そして、イランの大国化による脅威の出現を封じ込めるためにまず、イラン傘下のヒズボラを壊滅させた。

その後は、ネタニヤフ首相と組んだ次期トランプ大統領が、アブラハム合意(第一次トランプ政権最終期の2020年8月13日にイスラエルとサウジ傘下のアラブ首長国連邦との国交回復を樹立する内容)をさらに発展させ、中国の仲介によってイランとアラブ諸国の盟主であるサウジアラビアとの国交回復を図り、中東に最終的な平和をもたらす。英米ディープステートの主力になったロックフェラー家系の大財閥とシオニスト=右派リクード、MAGAのトランプ次期大統領が組んで、サウジアラビアなどのイスラム諸国家に対しては、「いつかはパレスチナ国家を建設する」と口だけ約束して、サウジアラビアを始めとするイスラム諸国家をなだめる。イスラム教徒・イスラム民族は現実的だから、パレスチナ人を含めたイスラム諸国家とイスラエルが外交関係を改善し、中東平和が実現すれば、「パレスチナ国家」建設にはこだわらないと田中氏は展望する。

アブラハム合意

ロシアはBRICSプラスへの加盟でイランと仲が良く、イスラエルともロシア革命の時代には既にシオニスト系ユダヤ人と親交があり、イスラエルとも仲が悪くなかった。イランがBRICSプラスの中核国家になり、トランプ次期大統領が大統領就任後、「イランが核兵器開発を放棄する代わりに、米欧が対イラン制裁を解除する交渉のやり直し(オバマが開始したJCPOAを廃案にして別の交渉を始める)」(田中氏)をすることで、イランの発展を側面支援すれば、イランも満足する。

田中氏はこうした内容を下記に記している。

リクード系が支配するイスラエルは、パレスチナ国家の設立を絶対に認めず、パレスチナをどんどん破壊している。パレスチナ国家が設立されたらイスラエルと和解する、という話では、永久に和解できない。パレスチナ国家の設立はもともと英米がイスラエル(を弱めるため)に要求したことであり、サウジなど中東諸国の発案でない。パレスチナ人がヨルダンやエジプトで平和に暮らせるなら、独自国家を持たなくても良いと、サウジなどアラブの上層部は考えている。しかし、パレスチナ国家設立の条件を外してイスラエルと和解すると、それはアラブの民衆にとって、イスラエルの横暴に屈したことになる。アラブの尊厳を守るため、いずれパレスチナ国家を設立することをイスラエルに認めさせれば、和解しても何とか許される。

トランプは、この線でアブラハム合意を(注:発展的に)進めたいようだ。ガザ戦争とレバノン・シリアの転覆、米国のトランプ化(英国系が潰れ、シオニストのリクード系が席巻)を経た今、アラブ諸国がパレスチナ問題を盾にイスラエル拒否して包囲し続けるのは得策でない。中東の現場に住んでいるアラブ諸国は現実主義だ。人道主義(教条主義、善悪固執)の欧米リベラル派(英国系のうっかり傀儡)と違う。すでにリベラル派は無力だ。

イスラエル与党リクードには、トランプ就任前にパレスチナ抹消の公式化となるガザと西岸の併合を宣言してしまう案もあった(それが【世界的に著名なジャーナリストのセイモア・ハーシュ】にリークされた)。だが、併合宣言は出されそうもない。リクードはトランプの意向を受け、パレスチナ抹消を公式化せず、表向きだけ「いずれパレスチナ国家を設立する」という2国式の建前を維持し、サウジに最低限の満足・尊厳を与え、アブラハム合意の推進を待つことにした。サウジがイスラエルと和解したら、他の12のアラブ諸国も追随する。トランプ政権下で、アラブとイスラエルの和解が実現する。トランプのドヤ顔がちらつく。

トランプは、イランがヒズボラとアサドを見捨ててイスラエルに譲歩して退却したご褒美として、イラン核協議を再開してイラン制裁を解除していく(ライバルのオバマが作ったJCPOAでなく、それを潰して似たようなトランプ式の協議体制を作る)。イランが制裁を解除されて国際社会に再歓迎され、アラブとイスラエルの和解も実現すれば、次はイランとイスラエルの和解になる。トランプ政権下でそこまで行くのかどうかわからないが、昨秋のガザ開戦から今のアサド転覆までの展開の速さから考えると、今後も意外と早く事態が変わりうる。

古代ユダヤ教とキリスト教、イスラム教は同じ唯一神を持つ。旧約聖書の「創世記」に登場するアブラハムは三宗教の共通の「信仰の父」だ。シーア派(ムハンマド=マホメットの血統を重視するイランは、はるか昔の古代に唯一絶対神を信じるゾロアスター教が出現しており、一神教の元祖ではある)。いずれにせよ、これらの三大宗教はそのことに気づくはずだ。

そして、カール・ヤスパースが「枢軸時代」という概念を提唱したのは、中国の儒教、インドの仏教、ギリシアのソクラテス・プラトン・アリストテレスの哲学などが、イエス・キリストの生誕前の紀元前5〜4世紀ころに集中したことを、単なる偶然ではなかったことを説きたかったのであろう。こうしたことからすると、正統派とされるアタナシウス系キリスト教に対する宗教改革は、やはり必要だ。

人類史における枢軸時代

世界平和の実現のためにも、世界各国に「信教の自由」が保証される政治体制の確立が必要だ。トランプ次期大統領は、左派全体主義独裁体制を推進してきたクリントン、オバマ、バイデン民主党政権の「人権外交」に替えて、特別宗教顧問のポーラ・ホワイト牧師らにより、世界各国に対して基本的人権の根幹となる「信教の自由」を実際に保障する政治体制を確立する強い要求を求めていく外交を推進すると伝えられている(https://www.youtube.com/watch?v=EX7ikCdK5u0https://www.youtube.com/watch?v=4Wa-qgA1RKE)。

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