政府=安倍晋三政権が10日夜、第二次新型コロナウィルス感染対策を発表する。全容の発表に先立ち、安倍首相は政府与党連絡会議で第二次基本対策について基本姿勢を述べたが、各メディアの伝える発言を見る限り、第二次基本対策についても全く期待できないことは確実だ。

期待できない第一の理由は、現状についての判断が2月24日の専門家会議の公式見解を受けた翌日25日の新型ウイルス感染対策本部が発表した内容と全く変わっていないことだ。むしろ、新型インフルエンザ特別措置法の改正で、「非常事態宣言」を発令できるフリーハンドを得たことを強調していることで、事態が悪化していることを強調している内容になっている。

3月10日夕刻、第二弾新型コロナ感染対策のために開かれた政府・与党会議。

マスコミの報道によると、安倍首相は冒頭「新型コロナウイルス感染症については、世界全体に広がりつつあります。我が国においても、連日感染者が確認されており、専門家の見解によれば、急速な感染拡大に進むのか収束できるのかの瀬戸際にあって、現状においても依然として警戒を緩めることができない状態にあります。今が正に国内の急速な感染拡大を回避するために極めて重要な時期です」と語っている。

24日の感染対策専門家会議、25日の感染対策対策本部会議(本部長・安倍晋三首相)では「ここ1〜2週間が急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際になります」と言っていたが、2週間経った3月9日の専門家会議では「本日(3月9日)時点での日本の状況は爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかと考えられるとしています」と拡大阻止の可能性を示唆したような公式見解を発表した。

しかし、10日夕の首相の冒頭発言は明らかに、専門家会議の見解を後退させており、要するに今が正念場と事態が良い方向(終息の方向)に向かっているか判断できない発言になっている。むしろ、「感染の急速な拡大といった最悪の事態の可能性に備えるため、緊急事態宣言の発出などを可能とする新型インフルエンザ特措法の改正案を本日国会に提出します」と述べていることは、新型コロナウイルスの感染が爆発的に増加する可能性があると判断していることを示唆している。

これに伴い、国内のスポーツ・イベントの開催措置の自粛期間について、「10日間程度の継続」を再要請した。一応は、専門家会議が19日ごろに現在の小中高校の休学やスポーツ・イベントの自粛要請措置の効果について判断をくだすことことから、その判断を待つということである。要するに、2月24日、25日に専門家会議、対策本部が「ここ1〜2週間がヤマ場(正念場)」と言っていたことに、医学的・疫学的的根拠がないことが明らかになった。

第二に、「今回の臨時休業により、職場を休まざるを得なくなった保護者の皆さんへの新たな助成金の創設や医療提供体制の構築、中小・小規模事業者などに対する無利子・無担保の強力な資金繰り支援など、必要な対応策を盛り込み、本日決定いたします」としている。しかし、そのための財源規模はどの程度か、また、財源措置をどうするのか、全く不明だ。3月10日午後11時の段階の投稿のため)

その決定内容。幼稚園・保育園の一斉休園については触れていないが、現実問題として幼稚園・保育園側がスクールバスの運行を停止するなど、小学校の一律休学に準じた休園措置を採っている幼稚園・保育園も少くない。こうした現実を踏まえた幼稚園・保育園の保護者の休業補償については、触れていない。バランスを欠く。今回の決定内容の主なものとしては、➀小学校の一律休学で、週労働時間が20時間に満たないパートタイマーなど雇用保険に加入していない保護者にも休業補償措置を拡大する②フリーランス(演奏家や歌手、フリーの記者など個人業主として扱われる職業に就いている人たち)の休業補償措置として1日あたり一律4100円を支給する(東京都の最低賃金1013円をもとに1日4時間就業するとの前提)③企業が雇用を維持した場合の雇用調整助成金制度を柔軟に活用する④学校給食が原則廃止されることを踏まえての給食費の保護者への返還と農家と給食提供事業者への支援-などだ。

財源としては、2019年度の予備費2715億円を含む財政措置4308億円や雇用保険料の積立金1兆4400億円、政策金融公庫のフル活用が挙げられるが、新型コロナウイルスがあのリーマン・ショック以上の震度で日本を含む国際経済社会を脅かしており、また、日本では消費税増税強行で昨年第4・四半期の実質経済成長率が年率換算で速報値のマイナス6.3%からマイナス7.1%に引き下げられていることから、とても足りない。

本来はまだ2020年度に入っていないことから、2019年度第二次補正予算を編成すべきところだが、時期的に見て現実的ではない。このため、消費税増税強行による景気悪化対策しか考慮されていない2020年度予算案が成立しても、すぐに、新型コロナウイルス対策のための大規模な建設国債や赤字国債の発行を含む第一次補正予算を編成しなければないないところだ。そういったことへの言及がない安倍首相の冒頭発言である。官僚の作文を読み上げたに過ぎない。

ところで、現状についての認識が後退したのは、PCR検査に障壁があり、国内での正確な感染者数が掴めないためだろう。ヤフー・ニュースが3月5日正午に伝えたコリア・レポート編集長の辺真一氏によると、韓国でのウイルス感染者が多いのは同国の防疫担当者の言葉を借りて、「世界のどの国よりもPCR検査と診断を積極的にやっている」ためだ。同氏によると、韓国では当初、6時間以内に結果が確認できるPCR検査は疾病管理本部(国立仁川空港検疫所を含む)と全国18カ所の保健環境研究院のみで行っていたたため、1日に検査できる件数は約160件に過ぎなかった。

しかし、2月7日から感染検査ができる医療機関を増やし、現在では検査が1日平均で1万件実施されている、という。これは、検査を希望する自国民に対して、保健所や1339コールセンターが選別診療所(全国583カ所)や国民安心病院(204カ所)を紹介し、そこでPCR検査を受けるように勧めているからだ。

ところが、日本では帰国者・接触者相談センター(保健所)や医療機関の医師に相談し、保健所や医師が必要と判断すれば、名称や住所が公開されていない帰国者・接触者外来を持つ医療機関に行かなければならない。しかも、➀風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)②強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある(高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合)-など重篤な症状が出て、新型ウイルスに感染している可能性の高い場合に限られている。なお、日本の場合、死亡の原因は老衰を除けば癌、脳梗塞、心疾患に次いで肺炎が多いから、「2日」というのは実態を無視した致命的な「基準」である。

このため辺氏によると、「実際に韓国では2月27日午前9時の時点でPCR検査を受けた人は4万4157人だったが、今日(3月5日午前9時)現在、その数は延べ14万775人に達している。その結果、3月5日午前9時基準で5776人の感染者が発見されている。ちなみに日本の厚生省の発表では、地方自治体での検査数を含めるとこれまで実施されたPCR検査は3月4日午後12時現在、延べ8111件。韓国の約17分の1に留まっている」とのことだ。さて、今回の対策第二弾では、PCR検査を1日最大7000件程度できるように能力拡大に努めるとある。

しかし、2月26日の衆院予算委員会で加藤厚労相は「2月28日から24日の7日間の検査実績は合計で6300件、平均すると、1日900件である」と答弁した。野党が少なすぎるとして追及したが、「どこにネック(障害)があるのか今調べている」「少なくとも3800(人のPCR検査を)を超える能力があるわけでありますから、それをしっかり活用していく」などと不誠実極まりない回答をした。野党も追求不足である。1日に3800人のPCR検査を行う能力がありながら、実際のところは1日に1000人未満の検査しか行っていないわけだから、検査能力の拡大では意味がない。

誠意があるなら、1日7000人をPCR検査できるようにすると対策に盛り込むのが筋だ。実際は、➀PCR検査をするための症状の要件が極めて厳しく、感染の症状の疑いがあっても患者がPCR検査を自由に受けられない②「帰国者・接触者相談センター」(地方自治体管轄下の保健所)が検査の邪魔をする②「帰国者・接触者外来」のある医療機関名が公表されておらず、しかも全国1万1000程度の医療機関のうちで高々860機関と少なすぎる-などのPCR検査妨害システムを撤廃するという方針を打ち出すべきである。なお、1日7000人程度の検査能力拡大では、PCR検査を受けた患者が日本の17倍という韓国に比べてもまるで話にならない。

世界保健機関(WHO)などによると、PCR検査で陽性の判定が出ても8割は無症状、もしくは軽い症状で、初期の段階なら抗原に対する抗体が生成され、治癒すると言われている。日本での感染者数は、実のところ感染確認者数でしかも重篤の患者だから、朝日デジタルによると3月9日現在午後10時の時点で1218人の感染確認者(うち、死亡者16人)の少なくとも5倍の6000人以上が新型コロナウイルスに感染していることになる。これらの表面化していない感染者が、心臓病や糖尿病を含む高齢者と濃厚接触を行い、重篤の新型肺炎ないしは髄膜炎の罹患者を発生させ、手に負えなくさせている。

安倍首相の冒頭発言で、「感染の急速な拡大といった最悪の事態の可能性に備えるため、緊急事態宣言の発出などを可能とする新型インフルエンザ特措法の改正案を本日国会に提出します」などと述べていることはこうした事態を踏まえてのことで、集会などを禁止する緊急事態宣言の発令(発出)を念頭に置いているのであろう。

また、不可思議なのは新型コロナウイルス感染対策専門会議(座長=脇田隆字国立感染研究所長)だ。専門家会議副座長の尾身茂氏(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)は、PCR検査を広範に実施しないことについて、次のような弁明を示している。「国内で感染が進行している現在、感染症を予防する政策の観点からは、すべての人にPCR検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません。また、既に産官学が懸命に努力していますが、設備や人員の制約のため、すべての人にPCR検査をすることはできません。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を、重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要があると考えます」などと馬鹿げたことを言っている。

すでに、深刻な症状に陥り、PCR検査で陽性の疑いのある高齢者だけを検査しても、治療には不可欠だが、国内感染の実態は掴めない。せいぜい、濃厚接触者を追跡する程度だ。このため、感染拡大防止対策も有効なものが打てない。しかも、PCR検査についてはスイスの大手製薬会社ロシュ(メガファーマ)が商業用の検査キットを開発しており、大人数の検査が短時間で可能な状態になっている。また、横浜市立大の感染症対策チームも時間のかからない検査ツールの開発に成功し、試薬メーカー関東化学(東京都中央区)が製品化に乗り出した。

新型コロナウイルス感染対策専門会議はこうした最新のPCR検査キットを導入ないし開発支援することには極めて消極的だ。その理由については、最初はTBSの「News23」に登場し、PCR検査体制の早期拡充を訴えた医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が、フォーサイトのサイトで明らかにしている。主張の要約は後述するが、専門家会議と言えども所詮は政府の諮問会議である。政府=安倍政権の諮問会議の役割は、安倍政権の忖度を行い、政権の意図した発言を行う(公式見解を発表する)ことである。植草一秀氏が指摘しているがその主な内容は、➀夏に開催予定の東京オリンピック、パラリンピック開催を正当化する流れを作り出すこと②そのために、PCR検査の徹底的な抑制措置を採るよう提言すること③それによって、専門家会議の専門委員と称するメンバーが所属する機関が利益を得ること-である。

そういうことだから、国民の生命と財産を守ることは眼中になく、置き去りにされる。上理事長はマスコミから姿を消しつつあるが、植草一秀氏の調べによると、フォーサイトの次のサイトで新型コロナ感染症対策専門家会議の正体を暴いている。➀帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(上)(https://www.fsight.jp/articles/-/46603)②帝国陸海軍の「亡霊」が支配する新型コロナ「専門家会議」に物申す(下)(https://www.fsight.jp/articles/-/46604)-の上下2本の記事である。

東京都新宿区戸山にある国立感染研究所戸山センター

詳細は直接お読みいただきたいが、サイト管理者が拝読させていただいたところでは、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の12人のメンバーから日本医師会、日本感染症学会、公益を代表する弁護士などを除いた9人の中の8人が、➀「国立感染症研究所」(感染研)②「東京大学医科学研究所」(医科研)③「国立国際医療研究センター」(医療センター)④「東京慈恵会医科大学」(慈恵医大)-に所属するという。しかも、これらの4機関は旧日本帝国陸海軍の感染症対策病院が前身でありこれを戦後、厚生労働省が中身はそのままに看板を付け替え、旧日本帝国陸海軍の感染症対策病院を分離したものが現在に至っているという。

これら4機関がカルテット=4人組を組み、国内の感染症対策の利権(感染症のデータ独占とワクチン開発、予算獲得の利権)を独占することにあるというのが、サイト管理者が読み込んだ結論である。このカルテットが、東京オリンピック、パラリンピックを何としても開催したいという安倍政権の意向を忖度して、その見返りにPCR検査に障壁を設ける措置を講じてもらい、カルテット自身の利権を守っている、というのである。PCR検査に障壁を設けなければ、➀新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増大した時に手に負えない②貴重な臨床学的データを独占できない-などの問題が生じるからだ。

こうした事情に関連して、テレビ朝日のモーニングショーで元国立感染症研究所員の岡田晴恵教授PCR検査が一般病院に広がらない理由を告発しており、YouTubeにも動画がアップされているが、共有はできない状態だ。次のサイトで(https://www.youtube.com/watch?v=yxEX7hG-TTk)直接ご覧下さい。

真面目な日本国民には信じられない話だが、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長の投稿記事をサイト管理者なりに読み込むとこういう結論になる。しかし、PCR検査を行えば陽性の判定が出るが、自覚症状がないかまたは軽い症状しかない新型コロナウイルス感染者が、公共交通機関その他で癌や、脳梗塞、心臓病や糖尿病などの持病を抱えている高齢者などにウイルスを感染させ、症状の重篤化を引き起こす事例が拡大するから、何としても東京オリンピック、パラリンピックを開催したい政府=安倍政権と感染症研究所の4機関のカルテットの目的は達成できないだろう。双方ともいずれ、自滅することになる。

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