現行のPCR検査抑制体制では医療崩壊加速化

東京オリンピックの来年夏への開催延期が決まった途端、東京都では新型コロナ感染確認者の増加数が加速し、保健所も含めた医療崩壊が進行している。この医療崩壊は保健所内に設置されている「帰国者・外来相談センター」の許可を得なければPCR検査を受けられないという現在の検査抑制体制が根本原因である。

NHKサイトに2020年4月5日 23時36分投稿された記事によると、「5日はこれまでに東京で143人など合わせて360人の感染が新たに発表され、午後11時半の時点で日本で感染が確認された人は、空港の検疫で見つかった人やチャーター機で帰国した人なども含めて3858人となっています。このほか、(国内船扱いの)クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせると4570人となります。また、亡くなった人は5日、東京都、福井県、愛知県であわせて9人が発表され、国内で感染した人が93人、クルーズ船の乗船者が11人のあわせて104人となっています」。

死亡率は2.3%。ただし、救急車で緊急入院した後亡くなられ、なくなられた後新型コロナウイルス感染症(新型肺炎=COVID-19=)が死亡原因だった死亡者は多数に上ると思われるが、正式な統計がないので死亡率は2.3%をかなり上回っているものと推察される。日本は、東京オリンピック開催ファーストの方針で臨み、PCR検査の許可権限は地方自治体管轄の保健所に設けられた「帰国・接触者相談センター」が握っているから、最も重要なPCR検査が世界各国に比べて極めて少ないという異常な国である。このため、潜在的な新型コロナウイルス感染者は公表値をかなり超えており、既に「感染者数の爆発的増加(オーバーシュート)」が始まっていると見られる。

朝日デジタル2020年4月6日 5時04分投稿記事による

一番懸念されるのは、感染者が緊急入院し、東京台東区の中核病院である永寿総合病院のように、大規模院内感染が全国で生じていることである。これを可能な限り阻止するためには、現在のPCR検査体制を抜本的に改める必要がある。

つまり、政府=安倍晋三政権が1日9000人の検査体制を確保していると言っている(検査体制の具体的な陣容が公開されていないから、本当かどうか分からない)ので、保健所の「帰国者・外来者相談センター」をなくすとともに、全国の医療機関で新型コロナウイルス感染者と疑われる症状の外来患者に対する診察・治療は別扱いにして院内感染を防ぐともに、医師の判断で地方の衛生研究所や民間の検査会社をフル活用してPCR検査を積極的に行うべきである。

医療現場では、実際は単なる風邪であっても診察は拒否されるか、電話診察になっている。抗生物質の処方で済む場合も多いと思われるが、それすら可能か否か疑わしいというのが医療現場の実態だ。こうした医療崩壊の始まりに関連して、現在のところは「帰国・接触者相談センター」が設置されている地方公共団体管轄の保健所の人員を増やすことが必要であるとの指摘が出ている。

朝日デジタル2020年4月6日 5時04分の投稿記事によると、「政府の専門家会議の尾身茂・副座長は5日のNHKの討論番組で、東京都台東区の病院で発生したクラスター(感染者集団)を引き合いに『保健所の職員が疲弊している。保健所のクラスター態勢を強化していれば、もう少し早く発見できたはずだ』と強調した」、「PCR検査をめぐっても、医師が必要と判断しながら保健所が認めず、検査できなかった例が相次ぐが、厚労省幹部は『実施件数が伸びない要因の一つは保健所の人員不足もある』と認める。政府関係者は『東京の検査数が伸びないのは、保健所がパンクしているからだ』と言い切る」

これらの理屈は屁理屈ではないか。保健所に「帰国・接触者相談センター」を置き、PCR検査の実施権限を与えているのだから、保健所がおびただしい検査の相談を受け、対応に追いつかないというのが実態であると考えられる。なお、保健所職員の性格によって、検査実施におびただしい不公平が生じていると考えられる。これに加えて、保健所は「感染者集団(クラスター)」を追跡する任務も与えられているから、保健所が疲弊するのは当初から予想されたことだ。それに、最近は感染経路の不明な感染者が急増しているから、保健所の手に負えなくなっている。

新型コロナウイルス感染拡大阻止と感染者への適切な治療のためには、保健所を含めた医療崩壊の現状をまず立て直しつつ、さらなる医療崩壊の拡大を防がなければならないが、そのためには従来のPCR検査抑制体制の責任者(特に、加藤勝信厚生労働相)を更迭し、PCR検査抑制体制をPCR検査検査推進体制に抜本変革しなければならない。

それと同時に、医療体制の立て直しが必要だ。ノーベル医学賞受賞の山中伸弥iPS細胞研究所所長は次のような提言をしている。
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提言2 感染者の症状に応じた受入れ体制の整備
無症状や軽症の感染者専用施設の設置を
・省令等により、無症状や軽症の感染者は、病院でなく専用施設で経過観察できるようにする
(これは新型コロナウイルスが指定感染症に政令指定されているため、軽症・重症の症状如何にかかわらず、厳密には即入院しなければならないため。これでは、医療崩壊が生じるのは仕方がない)
・日本の住宅事情では自宅待機は困難な場合が多い。
・予約が激減しているホテルや企業の宿泊付き研修施設を活用
・業務用EVなど利用し、感染者動線と非感染者動線を分離
・施設内のジムなども利用可能とするなどして入居者のストレス軽減
・管理業務は、感染しても重症化リスクの低い方に十分な感染防御の上でお願いする
・無症状者の自治的活動や、感染後に回復した方の活用も検討
・重症者用病院と連携し、急激な重症化に備える
・風評被害の対策を国と自治体がしっかり行う
無症状者・軽症者用の施設をいかに安全に、かつ快適に運営するか、各自治体の腕の見せ所です。

重症者、重篤者に対する医療体制の充実
・感染病床の増床
・人工呼吸器や防御服の増産、自治体をこえた柔軟な利用
・ローテンションなど、医療従事者の過重労働の軽減
・医療機関による役割分担体制の整備
・医療従事者の感染症対策に関する教育
・緊急性の低い、他疾患に対する処置や手術の延期
医師・看護師など医療関係者を、感染と過重労働から守る必要があります。
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PCR検査抑制体制は、日本国憲法に定められた人命・財産の保証よりオリンピック利権を最優先した安倍首相と加藤厚労相、それに影の総理と呼ばれる今井尚弥(たかや)内閣総理大臣秘書官兼内閣総理大臣補佐官が仕組んだものだ。国民主権を前提とする限り根本的には国民が、それによる日本での新型コロナ感染拡大、医療崩壊、休業補償を含むあるべき財政出動からの予想される相当な乖離を徹底的に追及していかなければならない。

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