共同通信、黒川検事処分の法務省「懲戒処分」を官邸で「訓告」訓告へ−国会答弁と矛盾(訂正・補強)

5月24日に共同通信が伝えたところによると、国会の衆院公正労働委員会や法務委員会位で安倍晋三首相や森雅子法務大臣らが22日の黒川検事長(当時、以下省略)に対する「訓告」処分について、繰り返し行っていた「法務省が決めた」との答弁はウソであり、法務省は人事院の懲戒基準に基づき「懲戒処分」を内閣に進言していたことが分かった。この矛盾について、国会衆参の予算委員会、厚労委員会などの委員会で集中審議を行い、安倍内閣のウソ発言に対して、徹底的に追求しなければならない。

東京新聞Webが共同通信の配信を受けて2020年5月25日10時27分に投稿した「黒川氏処分、首相官邸が実質決定 法務省は懲戒と判断、軽い訓告」と題する記事によると(全文引用させていただく)と
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賭けマージャンで辞職した黒川弘務前東京高検検事長(63)の処分を巡り、事実関係を調査し、首相官邸に報告した法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け、法務省の内規に基づく「訓告」となったことが24日、分かった。複数の法務・検察関係者が共同通信の取材に証言した。

安倍首相は国会で「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」と繰り返すのみだった。確かに訓告処分の主体は検事総長だが、実質的には事前に官邸で決めていたといい、その経緯に言及しない首相の姿勢に批判が高まるのは必至だ。
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森雅子法相も2322日の法務委員会で野党委員からの「訓告処分」の理由について、法務省の判断に従ったと繰り返し答弁した。一方、森法務相は下図にあるように22日の記者会見では、「法務省内、任命権者の内閣とさまざまな協議を行った。最終的に内閣で決定されたものを、私が検事総長に『こういった処分が相当であるのではないか』と申し上げ」、検事総長から訓告処分にするという知らせを受けた」と内閣(安倍首相ら計量大臣を除く内閣「首脳」)の判断で訓告処分を決定したと語っていた。安倍首相の答弁と森軽量法務相の判断とは食い違っいた。

なお、22日開かれた衆院法務委員会で森法相は、「常習賭博ではないことを黒川検事長、産経、朝日の記者に直接確認したのか」との質問に、「訓戒処分にするに必要な調査は行っている」と語るのが精一杯で、どのような詳細な調査を行ったかについては、説明ができず、しどろもどろの答弁だつた。このため、野党側の委員から進退伺いを出すのではなく、国民の階猛委員、立憲の逢坂誠二委員、無所属の山尾しおり委員らの「(辞任することすらできないために形式的に出した)進退伺いではなく、辞表を首相に提出し、辞任されたらいかがか」と諌められたが、「職責を全うすることに全力を尽くす」と辞職さえ出来ない場合のお決まりの答弁を繰り返すだけだった。

森軽量法務省が安倍首相の答弁に合わせたのは、26日に開かれた衆院法務委員会。国民の後藤祐一委員の質問に対して「法務省から調査報告、先例の説明、処分のための事情を説明した。(後藤氏から、内閣で処分の具体的な内容は議論していないかと確認をもとめられると)はい、そうでこざいます」と回答、22日の記者会見を簡単に否定し、安倍首相の見解に合わせたと回答した。法務大臣が大臣としての矜持のない、軽量大臣でしかないことを十二分に示す答弁だった。

しかし、国家公務員法に基づいて人事院が定めた処分の指針によると、国家公務員が麻雀賭博を行った場合の処分は、(ア)賭博をした職員は、減給又は戒告とする。(イ)常習として賭博をした職員は、停職とする、となっている。産経新聞の記者や朝日新聞社の記者によると、黒川検事長はこれらマスコミの記者と月2,3回、数年に渡って麻雀賭博を行っていたという。これは、「常習賭博」で少なくとも「停職」処分に当たる。本来は退職金を受け取ることができない「懲戒免職」にすべきところだ。

また、衆院法務委員会の野党側の追及では、これらの麻雀賭博では癒着した記者が黒川氏から情報を得るなどの目的でわざと負けており、利益供与を行っていたという。情報の提供は、癒着したマスコミ記者が帰宅途中に手配したタクシー・ハイヤーの社内で行われていたのではないかとの指摘もあった。これらの事実関係が明らかになれば、懲戒処分ではない「訓告処分」にとどめたのは、実質的には黒川氏に7000万円程度と掲載されている退職金を出し、明らかな「口止め料」を払うためだったということになる。

しかし、森法務相は衆院法務委員会で黒川氏だけでなく麻雀賭博を行っていた産経新聞社や朝日新聞社も含めて詳しい調査を行ったうえでの「訓告処分との決定か」との野党側の再三にわたる追及に対して明確な答弁をせず、「法務省が下した訓告処分をそのまま内閣に伝え、同省の判断に従った」と繰り返した。

また、1月31日の定年延長閣議決定については「余人をもっては代えがたい重要な業務の継続のため」と説明していたが、状況は変わらないのに何故、速やかに後任の検事長を決定できるのか。そもそも、森法務相にその人事ができるの能力はおありなのか」と追及に対しても、「速やかに後任人事を決定する」の繰り返し答弁しかできなかった。

安倍首相や森法相の答弁がほとんど虚偽答弁でだったことは明らかであるが、衆参の安倍首相や森法相の出席のもと、予算委員会、法務委員会などで集中審議を行い、この件も含め、1月31日の国会の立法権を侵害した黒川検事長の違法定年延長決定、この違法決定を正当化するための憲法、検察庁法違反の検察庁法改革法案について、徹底的に追及する必要がある。

問題の核心は上記の追及内容を通じて、政府=安倍政権が、①罪刑法定主義②法の下の平等の遵守−という、政府が遵守することを定めた日本国憲法違反・破壊の悪質内閣であることを明らかにすることである。

なお、昨日5月25日に残る東京都、北海道、神奈川県、千葉県、埼玉県で改正インフル特措法に基づく緊急事態宣言の終結宣言が行われた。5月24日 23時28分のヤフー・ニュースでは、「海外メディアが、日本の新型コロナウイルス対策の『成功』を、驚きを持って伝え始めている。欧米のような強制力のあるロックダウン(都市封鎖)も行わず、かつPCR検査の数が他国に比べて非常に少ないにもかかわらず、感染を抑え込んだことに対し、その原因を探ろうと必死だ」と伝えている。ただし、日本の「集団感染対策」が成功したと判断するのはまだ、時期尚早だ。

いくつかの理由を述べると、①5月のゴールデン・ウイーク以降、有症状の「帰国・接触者外来」(全国各地の保健所に設置)への相談件数が激減していること②検査の結果が判明するまでに時間がかかる③吉村洋文大阪府知事が非常事態宣言再発出の条件をすぐに変更するなど、「出口戦略」の数値目標が感覚的な性格の段階の域を超えておらず、医学的・感染症学的・科学的根拠を持ったものではない④経済活動の再開を優先させている−などの問題がある。「自粛」(「隔離」とは異なる)を緩めるとなると、誰の目にも明らかな形で第三段階の感染事態(厚労省は東京オリンピックの来夏への延長が決まった3月下旬以降の全国規模での感染拡大を第二段階と捉えている)が生じる恐れが強い。

精度の高い抗体検査数やPCR検査数を増やして、新型コロナウイルスの感染状況を正しく把握するとともに、2020年度予算の予備費の活用とまともな第二次補正予算の策定(真水で100長円規模の財政出動)を早急に行い、真の集団漢検源になっている医療機関の再建や介護施設の再生を柱に、経済の再建に務める必要がある。

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