安倍政権の終わりの始まりになるか三権分立破壊・独裁国家への道を歩むことになる検察庁法「改革案」

検察庁幹部の定年延長を可能とする検察庁法改正案について、朝日デジタル2020年5月14日6時00時の投稿記事によると、「「議論を重ねた上で納得感を作っていくことが言論の府(である国会)として必要だと思う。新型コロナウイルス感染症で大変な時期に、施行がかなり先の法案をなぜ強行採決しなければいけないのか」との持論を表明していた衆院内閣委員会委員の自民党・泉田裕彦衆院議員が13日突然、内閣委員会から外された。政府=安倍晋三政権は15日に一部の特別警戒県を含む約40県で、「改正インフルエンザ特別措置法」に基づく「非常事態宣言」を解除する見通しだから、これに合わせて検察庁改正法案を含む国家公務員法案を一括して衆院内閣委員会で強行採決する積もりなのだろう。だが、国民の政府監視の目が強ければ強行採決は安倍晋三政権の終わりの始まりになるし、そうでなければ国民主権=民主主義国家の根幹となる三権分立制度は完全に崩壊し、日本は独裁国家への道を歩むことになる。

「強行採決には納得できない」とツイッターで13日発言した衆院内閣委員会委員の自民党・泉田裕彦衆院議員が同日突然、同委員会から外された。このことからしても、自公両党は衆院内閣委員会で15日にも、安倍首相はもちろん所管大臣の森雅子法務大臣の出席・答弁もなしに、検事総長をはじめ検事長代理、高等検察庁検事長、地方検察庁検事正を政府の思いのままに操ることができる「検察庁改革法案」を強行採決する予定だ。

なお、衆院内閣委員会で答弁に立った武田良太・国家公務員制度担当相は、「検事の定年延長の判断基準」について質問されたところ、回答が出来なかった。要するに、これから決めるということであり、もっとも肝心な箇所が不明の法案だ。ホンネは「逮捕、起訴に当たって、内閣を守ってくれる判断をする検事総長、次長検事、検事長なら定年を延長する」ということだろう。

内閣委員会委員を外された自民党・泉田裕彦衆院議員=ニフティニュース
朝日デジタルによる

日本共産党の志位和夫委員長の指摘を待つまでもなく、今回の検察庁改革法案が衆参の内閣委員会で強行可決されれば、自動的に衆参の本会議で成立することになり結果として、①国民主権=民主主義国家の制度の根幹である三権分立制度は崩壊、日本は独裁国家への道を「力強く」歩むことになる②国策捜査が横行し、政府に批判的な政治家や有識者・ジャーナリストに対する国策捜査が横行する−ことになる。

もっとも、国策捜査は小泉晋三政権以降、頻繁に行われるようになっていた。例えば、指揮者の例としては置換冤罪で服役せざるを得なかった植草一秀氏(野村総合研究所から早稲田大学院教授を経て当時、 名古屋商科大学大学院客員教授 )が指摘できる。また、政治家への国策捜査としては政権交代を二度果たした小沢一郎民主党幹事長(当時)に対する「陸山会事件」が挙げられる。この事件で検察審査会が開かれたが、明確な記録が残されていない。この国策捜査によって、鳩山由紀夫首相−小沢幹事長ラインは辞職を余儀なくされ、国民が期待した民主党政権はあっけなく崩壊した。

その後の民主党は、菅直人衆議院議員が首相に「選出」され、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)構想やプライマリー・バランス論=消費税増税路線をブチ上げるなど、米国に追随したグローバリズムという大義名分の下に、小泉政権、第一次安倍政権と同じ新自由主義路線=新自由放任主義路線=弱肉強食主義路線を掲げ、大多数の国民の期待を裏切った。結局、菅政権の跡を就いだ野田佳彦首相の時代に消費税増税論をぶち上げ、民主党は音を立てて分裂。野田内閣は小沢新党に政党交付金を与えまいと事実上、自公両党と画策して2012年の年の瀬を控え内閣総辞職し、両党に政権を譲った。その結果、安倍晋三第二次政権が誕生した。

こうした日本有数の有識者、有力大政治家に対する国策捜査の裏には、法務省事務次官を検察庁を長く務め、「政治家」と称する政治屋の意向を忖度する「能吏」であり、安倍首相が検事総長にしたがっている黒川東京高検検事長が背後で指揮していたとの見方がある。サイト管理者はその見方に同意する。

これまでは、舞台裏で日本政治を破壊させてきたと見られる黒川氏が今回の検察庁改革法案の成立で表に立つことになるから、国策捜査は日常茶飯事に行われ、日本は形式的には「民主主義国家」だが、実質的には独裁国家への道を歩むことになる。ただし、国民がこれに疑問を抱き、政治に再び関心を抱いて安倍政権に対する監視の目を強化するようになれば、同法案の成立は安倍政権の終わりの始まりになる。

現在の国政選挙の投票率は50%程度。選挙は有権者の半分程度でしか行われなくなっており、有権者の半数は与党と野党をそれぞれ支持しているが、野党と称する政党は新自由(放任)主義=弱肉強食主義に代替できる理念と政策を持ち合わせていないから、多党化=雑党化し選挙では絶対的に不利になる。このため、有権者の意向とかけ離れた衆参両院議員の議席獲得が実現する破目に陥る。そのため、第二次安倍政権は異例の長期政権となり、自公の万年与党化、野党勢力の万年野党化が生じてきた。

仮に、黒川氏が検察官魂を持ち合わせており、行政と一線を隠す度量を示していたなら、安倍政権の定年延長要請を受けることはなく、誕生日の今年2月8日に東京高検検事長職を辞していただろう。また、現下の混乱を鎮める意思があるなら、安倍内閣の要請で東京高検検事長の継続を受け入れた黒川検事長も、それを認めた稲田伸夫・現検事総長も、思い切って辞任すべきだろう。最低でも、黒川検事長は任期延長を辞退すべきところだ。

なお、検察庁法第十四条には、「法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる」とあり、法相は検事総長だけに指揮権発動が可能になっているから、この線で収めれば良い。指揮権発動の例としては、1954年(昭和29年)4月21日の造船疑獄事件で、犬養健法務相が佐藤藤佐検事総長に対して重要法案審議中を理由に佐藤榮作自由党幹事長の収賄容疑の逮捕請求を無期限延期させて強制捜査から任意捜査への切り替えを命令した。 指揮権発動後に犬養は法務相を辞任した。

そうする意思が今のところ、両者に皆無だから、日本がコロナ禍に見舞われる中、国民の自覚とこれに野党が応えられるかによって日本国は存亡の危機に立たされることになるだろう。コロナ禍対策に与党と野党との対立が激しくなり、国民の生存権(日本国憲法第25条)と財産権(同29条)は、ほとんど毀損される可能性も強い。

さて、改正インフ特措法に基づいて発出され、延長もされた「非常事態宣言」は特別警戒都道府県に指定された愛知県などを含む40県程度で15日にも解除される見通しになってきた。これは、このところの新型コロナウイルスの感染確認者数は従来に比べ、かなり減っていることによる。しかし、しばしば述べているようにこれは、①ゴールデンウイーク入りに伴い、保健所などへの相談数が減っている②PCR検査数も減っている−ことが背景にある。

今回の新型コロナウイルスは非常にやっかいで、血液疾患や糖尿病疾患などの持病を有した患者には猛毒ウイルスである。東京・台東区の永寿総合病院では血液内科に入院中の48人の患者のうち、22人が。無残にも亡くなられた。また、日本相撲協会の発表によると、三段目の力士、勝武士(しょうぶし)(28)=本名・末武清孝、山梨県出身、高田川部屋=が入院先の都内の病院で新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため死去した。28歳と若かったが、糖尿病を基礎疾患として持っていたことが災いした。

日本医師会が旗を降って地元の医師会と自治体で検体を採取するPCRセンターの設置に乗り出し、東京・八王子市などではすでにセンターが設置され、運営に乗り出しているが、全国的なPCRセンターの設立・運営はまだまだ軌道に乗っていない。また、医療機関も財政難に陥っていることや防疫体制も整っていないことから、採取する検体に唾液を使ってもPCR検査は可能とか抗体・抗原検査も可能になったとの「朗報」はあるが、検査は政府がなけなしの財政措置を講じる程度では、劇的には増加しないだろう。何よりも、日本政府=安倍政権は、大量の検査に基づいてGPS追跡型の新型コロナ対策を実施している韓国、中国、台湾政府とは異なり、PCR検査等の積極的な拡大に熱意がない。

こうした状況下で、国民(県民)の社会経済生活を元に戻しても、新型コロナウイルスへの感染がまた再発し、非常事態宣言を発出しなければならなくなるという事態に見舞われる公算が大きいだろう。なお、京浜、阪神の二台工業地帯の宣言解除は遅れるから、経済はうまく回らないだろう。安倍首相ならずとも、国民の誰もが「長期戦必至」の覚悟をしているが、これに検察庁改革法案で与野党の対立が深刻化すれば、コロナ禍対策にも大きな影響が出てこよう。

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