大規模な財政支援と精密医療の実施が国民の生存権を守り経済活動の再開を両立できる道か−東京都知事選挙を絡めて

朝日デジタルに2020年6月9日22時52分投稿された「全国で新たに45人感染 入国の緩和で流行拡大の懸念」と題する記事によると、新型コロナウイルス感染者は6月9日午後9時の段階で、「新たに45人が確認され、計1万7326人になった。都道府県別では東京都12人、北海道7人、福岡県(北九州市)と千葉県3人、神奈川、埼玉、京都、岐阜、山梨の各府県で1人だった。死者は神奈川県で1人増え、計923人となった」という。小康状態の局面に入っていると思われるが、いわゆる東京アラートが発動されるなど、感染拡大の不安と将来の見通しは立たない。これまで投稿してきた記事の第一段階のまとめ記事として夏の都知事選にも触れながら、コロナ禍対策の参考記事を投稿した。

朝日デジタルによると、「9日時点のアラートの主な3指標の数値は①1日あたりの感染者数(1週間平均)が20人以上=17・9人②感染経路が不明な人の割合(同)が50%以上=49・6%③週単位の感染者数の増加率が1倍以上=1・1倍で、③が超えている」ということで、東京アラート(警戒情報)は発動されたままだ。

小池百合子東京都知事=ヤフー・ニュースより

東京都庁やレインボーブリッジが赤くライトアップされるため、見物人が数多く詰めかけているという。その他、「営業自粛要請と自宅待機要請」が段階的に緩和されてきているから、東京都も都心を中心に人出が多くなり、感染再拡大の懸念も消えない。一方、東京都小金井市にある武蔵野中央病院は9日までの調査で、新たに入院患者5人、職員3人の計8人の感染が確認されたと発表、同病院の感染者は計39人となった。医療機関の集団感染はまだまだ続いており、コロナ禍で医療機関の経営も苦しくなってきていることから、医療機関の再構築の道のりもまだまだ遠い。

これまでのコロナ禍対策は、人口100万人当たりの死亡者の最も少ない東アジア地域では、日本がフィリピンに次ぐワースト2位に甘んじているから、「民度が違うから日本のコロナ禍対策は成功した」などの差別発言を平然と行っている麻生太郎漫画財務大臣の発言はまやかしである。今は小康状態に入っているかに見えるが、いつ感染拡大が爆発する(オーバーシュート化)かも分からない。第一次、第二次補正予算(案)も規模、内容の両面からまだまだ話にならない。立憲と国民は第二次補正予算案に賛成するようだ。しかし、日本共産党は巨額の予備費10兆円(うち、5兆円はある程度の使途が定まっているとされるが、予備費は予備費だから内閣の一存で何に使用するかは、こちらも安倍政権次第)が含まれ、財政民主主義を破壊するものだから、これは同党が正しい。

さて、ここから本論だがその前に、東京都の財政調整基金が枯渇していることを指摘しておかなければならない。財政調整基金とは、地方自治体が財源に余裕がある年に積み立て、不足する年に取り崩すことで財源を調整し、計画的な財政運営を行うための「貯金」のことだ。2020年度の東京都の全会計予算の当初案は15兆5千億円で、人口1000万人程度のスウェーデン(12兆円)の予算よりも大きい。日本の都心にいる1400万人もの都民を率いる都知事の影響力は、コロナ禍でひときわ際立った。

しかし、朝日デジタルに2020年6月6日17時00分に投稿された「国にも強気だった東京都 でもついに『貯金』枯渇の危機」と題する記事によると、①感染拡大防止協力金1900億円②企業に対してのテレワーク機器助成費約450億円③中小企業制度融資での信用保証料補助費約1100億円−などの対策が膨れあがり、計1兆円超となった。その結果、「都の『貯金』にあたる財政調整基金は9千億円超の残高をほぼ使い切る形」になった。しかも、今年度の税収はコロナ禍による景気悪化で税収減が1兆円から2兆円に上るため、東京都の財政は今後、さらに厳しくなる。

小池都知事がテレビに生出演して東京都の財政資金を気前よく都内の企業や個人にばらまく(一種の選挙に向けた買収資金)ため、上記の財政悪化と財政に余裕のない他の地方自治体化の反発を招くことになった。こういう財政支援は本来、国(政府)が行うべきものである。それを可能にするのが、日本全国に行き渡ったコロナ禍を「災害」として政令指定することだったが、小池都知事はそれをしなかったのである。

まず、4月7日に改正インフル特措法に基づいて一時「緊急事態宣言」が発出された。これを批判して、その後の2020年4月20日11時46分に神戸新聞NEXTへ「コロナ禍に災害法制適用を 弁護士FB投稿に全国から共感」と題する記事が投稿された。その主な内容は、日弁連災害復興支援委員長を務める津久井進弁護士(50)=兵庫県弁護士会=が、フェイスブック(FB)に、「政府による緊急事態宣言では、法的にひも付けされる具体的な支援策はほぼなく、感染防止のために市民に対して指示できることもほとんどない-。宣言の根拠である新型コロナ特措法は課題や限界が目立ち、政治家らのメッセージは『精神論ばかり』。過去の災害のように、困窮や心身の不調で関連死が多発しかねないと危機感を抱く。『災害で培ってきた仕組みやノウハウをフル活用すべき』だというものである。

津久井弁護士によると、コロナ禍に対しては災害対策基本法が適用可能であるという。同法では災害の定義を広く定義しており、「放射性物資の大量放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没、その他の大規模な事故」も政令(閣議決定)で災害に指定できるからだ。戦後最大とも言える現下のコロナ禍に対しては、安倍内閣は「災害」として捉えて閣議決定し、大規模な財政支援を行い、収拾にあたるべきだった。政令で「災害」と規定すれば次のような対策が可能になるという。

付け足しておくと、政府が、雇用調整助成金を全額支給しても、労働基準法に定める協業補償自体がたかだか平均賃金の60%に1カ月の勤務日数をかけたものでしかないため、極めて額が少ない。本サイトでも以前に雇用保険金を上乗せすべきだと提案したが、それが政令で災害指定すれば、可能になる。

加えて、国(政府)による財政措置も多岐に渡らせることができる。財政法第4条には「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」と規定されており、この規定に基づいて、建設国債が発行できるとしている。建設される公共施設は後世にも残って国民が利用できる資産になるからだ。一方、一時的に赤字を補填するだけで国民に対して後世に残らない経費に対しては国債は発行できないということが、国債発行の原則だった。

そこで、特例となる赤字国債を発行するために、1965年の補正予算から1年限りの特例公債法を毎年制定することにより赤字国債を発行を可能にしている。ただし、2012年度法案は2015年度まで3年間、2016年度法案は2020年度まで5年間それぞれ認めており、2020年度の本予算、第一次補正予算、第二次補正予算案も、2016年4月1日に施行された特例公債法(財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律)に基づいて発行可能な特例公債(赤字国債)を発行している。

この財政法4条に認められた建設国債と特例公債法で認められた国債の発行は、本源的に日本では国が「通貨発行権」を持っていることに由来していると思われる。誤解を恐れずに言えば、国債発行の裏で政府が通貨を発行し、日銀の当座預金口座経由で市中金融機関が新発国債(や揮発国債)を購入し、マネーを実体経済に供給できるという流れになる。ただし、国債の発行額はインフレ率(2%程度)が制約になる。デフレ不況化が継続してきた今日、少なくとも100兆円規模の国債(建設、赤字国債合計=真水)は発行可能とマクロ経済学モデルで試算照れている。このことからすれば、政府=安倍政権は超ドケチということになる。

そこで、赤字国債の発行によって、政令によって定められた災害としてコロナ禍対策の財政措置を講じることができる。そうすれば、全国各地の地方自治体に適した財政措置を講じることができたはずだ。小池都知事は東京都の財政調整基金(財政上の貯金)に手を付けるよりも、政府に対して全国の知事の代表格として政府に対して政令による「コロナ禍の災害としての認定」を強く求めるべきだった。

なお、4月28日の衆議院予算委員会では、立憲民主党の枝野幸男代表が災害対策基本法の援用、つまり、政令による「コロナ禍の災害認定」を求めている。なお、改正インフル特措法も災害対策基本法を援用する旨、いたるところに記載している。改正インフル特措法によって新型コロナウイルス感染症が同法の適用対象になったのだから、政府=安倍政権は政令によって「コロナ禍の災害認定」を認め、通達すべきだ。

これに対して、西村西村康稔経済再生担当相は「内閣法制局と早速相談をいたしたんですけれども、やはり、この災害基本法あるいは、災害救助法の災害と読むのは難しいという法制局の判断もいただいたところでありまして」と拒否している。これは、コロナ禍を災害として政令指定した場合、赤字国債の発行額が相当な規模になることを恐れてのものだろうが、相当な規模の赤字国債を発行しなければコロナ禍を乗り越えられないことは明らかである。また、内閣法制局の歴代の見解を無視してきた政府=安倍政権が内閣法制局の見解に与するというのもあやしい。

その後、西村経済再生担当相と小池都知事は頻繁に会談を重ねている。これは、小池都知事が本来の日本の地方自治体の知事(首長)としての使命を放棄する代わりに、7月5日投開票の都知事選挙で自民党の支持を取り付けるためと見られる。これに加えて、都知事4年間の実績をみると、公約は果たしていない。サイト管理者も東京都民だが、都民は都知事選に当たって小池都政の4年間と現下のコロナ禍対策を正しく評価すべきである。以上の記事は、次のれいわ新選組の山本太郎代表のYoutubeを参考にさせていただいた。感謝したい。

※なお、小池百合子都知事の学歴詐称問題はまだ決着が着いていない。これから、本格的な追及が幕開ける。
6月9日午後3時頃、在日本エジプト大使館がフェイスブックで声明文を公開した。声明では、「カイロ大学は、1952年生まれの小池百合子氏が、1976年10月に、カイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する」、小池氏の卒業証書は「カイロ大学の正式な手続きにより発行された」と説明した。

しかし、エジプト政権は軍部独裁政権で、長崎地検で活躍した弁護士の郷原信郎氏のブログによると、「カイロ大学の権力を完全に掌握しているのは軍部・情報部で、日本からのメディアの取材に対して、カイロ大学が卒業を認めることを繰り返してきた背後には、カイロ大学文学部日本語学科長のアーデル・アミン・サーレハ氏らハーテム人脈を頂点とするエジプトの軍部・情報部と大学の権力階層構造があるという政治的背景だ」。郷原氏はまたやヤフー・ニュースの追記記事で、「なぜ、エジプト大使館やカイロ大学が、「学歴詐称」や卒業証書の信憑性が問題になっていると知ったのか。小池氏側から何らかの働きかけがあったのではないか。日本は、エジプトに多額のODAを供与している。そういうエジプトとの関係を背景に、小池氏が個人的な問題に関して、エジプト大使館を通じてカイロ大学への働きかけをしたとすると、日本とエジプトとの外交関係に影響する問題にもなりかねない」としている。

今回のエジプト大使館の小池都知事に対する援護射撃は同都知事の再選を支援する狙いがあったのではないかと見られる。ただし、カイロ大学側が政治的な思惑であれ、小池都知事のカイロ大学の卒業を認めると、公職選挙法違反の「虚偽事項公表罪」容疑で検察が立件、起訴するのは難しい。公訴時効もある。ただし、小池氏は、前回の都知事選の際、フジテレビの2016年6月30日放送の「とくダネ!」で、唯一文字が判読できる形で「卒業証明書」を提示した。

この行為が、「偽造有印私文書行使罪」追及の対象になる可能性が極めて高いというのである。詳細は上記の郷原氏のブログを読んでいただきたいが、小池氏がフジテレビでチラリと見せた卒業証書は、①カイロ大学で正規の手続で作成発行された文書②カイロ大学内で、大学関係者が関与して、非正規の手続ではあるが、学部長の権限を有する者が作成した文書③作成権限のないカイロ大学関係者が、大学の用紙を使って文学部長名義で不正に作成した文書④カイロ大学とは無関係な者が、正規の卒業証明書の外観に似せて不正に作成した文書−かのいずれかである。①の可能性はゼロ。③④の場合は有形「偽造有印私文書行使罪」が問える。②の場合は、「偽造有印私文書」は無形(虚偽内容)であっても、「偽造有印私文書行使罪」は問えないと説明している。

いずれにしても、小池都知事が6月18日に公示される都知事選に出馬表明をした段階で、フジテレビで見せた卒業証書をはっきりと公開すれば、問題の決着は着く。小池都知事がそうしなければ、事態が悪化することは十二分にあり得る。既に、これらの内容を熟知していると見られる人物が東京地検に刑事告発している。なお、石井妙子氏が文藝春秋から出版した「女帝小池百合子」も、こうした内容を織り込んでいると見られる。

さて、新型コロナウイルス感染症拡大防止のためには、東京大学先端科学センターのがん代謝プロジェクトチームリーダー・児玉龍彦東大名誉教授ら新型コロナウイルス測定協議会の指摘している抗体検査・抗原検査・PCR検査を春の健康診断を利用して大規模に実施し、感染症患者の発見・隔離と症状に応じた治療施設での治療を行っていくのが最適と思われる。

政令による「コロナ禍の災害認定」と健康診断を利用した「全員検査・精密医療による新型コロナウイルス感染症の克服」の合わせ技が現在のところ、最良のコロナ禍対策であると思われる。

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