livedoorニュースが共同通信の配信記事として2020年6月13日23時14分、「山本太郎氏が『最大の無駄は五輪』と発言 都知事選出馬は週明けに判断とも」と題する記事を掲載した。あり得ない話ではないだろう。小池百合子都知事の場合は都知事選、都議会選挙で圧勝した勢いに乗って「希望の党」を立党、国政に進出した。しかし、前原誠司民進党代表を騙して同党との合流を密約しておきながら、当時の民進党からはリベラル派を排除して2017年10月22日投開票の第48回衆院選挙に臨んだ。しかし、党代表でありながら自らは無責任にも都知事の座に固執して出馬せず、無慈悲な「排除の論理」を強行。このことが厳しく糾弾されて、排除された民進党議員らで結党した立憲民主党が53議席を獲得、野党第一党になり、非難の合唱を浴びた希望の党は失速、50議席の野党第二党に甘んじた。当選したのは元民進党の議員で、後に国民民主党になる。このため、最終的に小池都知事は共同代表の座を降り、「特別顧問」に上手く収まるという無責任に徹した。国政への返り咲きを狙う山本代表が、この歴史的教訓に学んでいないはずはない。
共同通信の配信記事は、「れいわ新選組の山本太郎代表は13日、任期満了に伴う東京都知事選(18日告示、7月5日投開票)に立候補するかどうかを週明け早々に判断する考えを示した。(中略)来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックは『中止以外にない』と訴えた。最終的に新型コロナウイルスのため開催できなくなるとの見通しを表明。『一刻も早くやめる決断をしないと余計なコストがかかり、重要なところに人員を回せない。最大の無駄は五輪だ』と強調した」というもの。
これより先、日刊スポーツが6月13日15時31分にWebサイトに投稿した「山本太郎氏『ギリギリになる』都知事選出馬の判断」と題する記事で、山本代表は「(都知事選出馬の可能性は)フィフティフィフティ」と述べたものの、12日に再選出馬を表明した小池百合子知事(67)に対して「山本氏は『(出馬表明記者会見は)ちゃんと見ていないですが、「東京大改革2・0」ですよね。まだ大改革していないのに、また大改革、というところはありますね』と厳しく指摘した」と続けている。
また、「山本氏は『小池さんくらいの横綱相撲を取ろうとしている人に関しては、ネット選挙で十分乗り切れると思います』との見方を示した」一方、「『もし、出ることになるんだったら』と前置きした上で『チャレンジャー側としては、街宣的なこともネットも、やれることすべてやっていく以外はないと思います。平常時の選挙ではありませんが、一般的な選挙と同じようにやっていくしかないんだろうと思っています』」と選挙戦術についても触れている。小池都政を全否定し、新たな都政の在り方を公約として訴えていくことも十分に考えられる。
さらに、2020年06月12日16時00分には東京スポーツがWebサイトに「小池知事圧勝ムードの都知事選に待った! れいわ山本太郎代表が土壇場で参戦か」と題する記事を投稿し、山本代表は日スポと同様、「フィフティフィフティ」と述べたとしたものの、続けて、国民民主の小沢一郎衆院議員に近い筋の話として次の内容を伝えている。
「(同日会談した立憲の)『枝野氏は小沢氏に、山本氏が出馬しても宇都宮氏を支持すると伝えました。小沢氏と山本氏は野党の枠組みを気にしても大きな展望が開けないと最初から理解した上で、選挙戦にチャレンジします』(小沢氏に近い関係者)。山本氏と小沢氏は自由党に所属して同じ釜の飯を食った師弟関係で、打倒・安倍自民党で意見が一致している。最近(コロナ禍のため全国遊説を断念せざるを得ず)目立たなかった山本氏としては、都知事選では勝てないとしても、大暴れして存在感を示し、次の衆院選での飛躍を目指すという側面もあるだろう」としている。
サイト管理者は、立憲の枝野代表が新自由主義との決別宣言を国会での討論で表明したことを評価し、宇都宮健児氏と山本氏の間で「予備選挙」を行い、勝者を野党統一候補にしてはどうかと述べていた。しかしながら、やはり宇都宮氏ではコロナ禍の最中、選挙運動の柱となるネット戦略に暗いと見られる。また、注目のコロナ禍対策、社会保障政策のための財源問題にも弱い。さらに、国際都市としての魅力が薄れていく東京都のバージョンアップ戦略にも不安を感じる。
思い切って、破綻した弱肉強肉の新自由主義路線=超緊縮財政路線から完全に決別することを宣言、共生主義を基本的な政治理念とし、MMT(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)に基づいて大規模な積極財政を柱にした政策体系創出の旗手になり、欺瞞的な「野党共闘」を再編する起爆剤になったほうが良いと思うようになった。実は、自民党内にもMMTに賛同し、消費税率ゼロ%への引き下げ、積極財政を求める国会議員が100人程度存在する。
サイト管理者(筆者)は現段階では、このMMTと精密医療体制の構築により、コロナ禍対策への道は開けてくると見当を付けている。しかし、自民党の二階俊博幹事長の軍門に下っている小池都知事の再選ではその可能性はなく、東京はコロナ禍に敗北してしまうと思われる。
仮に、山本氏が当選したとしても、野党再編の起爆剤になり、小池都知事とは真逆の対応をして、16日に通常国会をたたんで解散・総選挙の時期をうかがうことにしている安倍晋三首相サイドを迎撃すればよい。ベストセラーになっているノンフィクション作家・石井妙子氏の「女帝・小池百合子」を都民有権者が読めば、その可能性は十分あり得る。小池都知事が、権力を追求するだけの、大法螺きで権謀術数に長けた冷酷無慈悲な実像が詳しく描かれているからだ。
なお、エジプトの日本大使館が「エジプトのカイロ大学は8日、小池百合子東京都知事が「1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する」とフェイスブックに声明を発表した件について述べる。小池氏が丁寧に公開すれば疑惑はすぐに解消する「卒業証書」(手書きの卒業記念品)や「卒業証明書」(形式にのっとり、大学院進学や就職に有効なアラビア語と英語で記載された証明書。確かな卒業生には学生課で短時間で発行される。後述)をそのごとく、丁寧に示せば良いのだが、その経緯はない。
石井さんの「女帝・小池百合子」の「終章 小池百合子」に詳細が書かれているが、竹村健一のアシスタント時代に最初の「卒業証書」を「公開した」。小池氏はそれを自己宣伝するために出版した「振り袖、ピラミッドを登る」の扉に使った。しかし、この「卒業証書」は「作りが甘く、あちこちに不備があったのだろう。おそらくは学部長や学科長のサインが入るべき場所が空白だった。(中略)だから彼女は自身の写真とコラージュ(ばらばらの素材を合成すること)して、その部分を見せまいとした」(5084ページ・ポイント)。このため、サインが判然とせず「卒業証書」と見せかけることには失敗した。
小池氏はこれでは学歴詐称批判を覆すことはできないと思い政治家になった際に、二枚目の「卒業証書」を「入手」して見せたことがある。しかし、その際は、①文学部のロゴマークが最初の一枚目と二枚目で異なっている②「1976年10月に行われた試験の結果、同大学理事会は1976年12月29日、小池・ユージロー・百合子さんに文学部社会学科の学士号の学位を与えます」となっており、エジプト大使館の説明とは矛盾する−という重要な問題点があった。
しかも、石井氏の著書に登場するカイロ時代に小池氏と同居していた早川玲子さんによると、1976年の「5月の末から数週間にわたるカイロ大学の進級試験(3年に進級するための進級試験)が始まり、早川さんは静かに見守っていた。小池は落第した」(1201ページ・ポイント)というのである。そして、4年生ではなかったので、追試は受けられなかった。結局、小池氏はJALの駐在員になり、1976年9月下旬に父親の小池勇二郎から「サダト大統領夫人が来日するのですぐに帰国するように」との旨の通知を受け、早川さんから帰国費用を巧みに工面して、いそいそと帰国したという(1264ページ・ポイント)。
サダト大統領夫人が令嬢を伴い日本を訪問したのは、1976年10月25日であった。そして、10月10日前後、「カイロ大学を卒業した初めての日本人女性」(1276ページ・ポイント)として自らを売り込んだのである。この時が、小池氏の人生の転換点だったことになる。しかし、実際はカイロ大学の進級試験に失敗、落第を余儀なくされていたわけだ。つまり、カイロ大学の卒業はなかったというのが、石井氏の結論であり、サイト管理者(筆者)もノンフィクション作家としての石井氏の力量を垣間見て取れることから、信じるに足る結論であると思っている。小池氏は、大法螺から人生の転換点が始まったことになる。
エジプトの大使館がフェイスブックで発表した10月に、小池氏はカイロにはおらず、落第帰国していた。しかし、その来日時のマスコミインタビューでは彼女は「9月に卒業した」(東京新聞)、「卒業式を終え、10月11日、日本へ帰ってきた」(産経新聞)とマスコミに紹介されているという。
なお、「終章小池百合子の震源」によると、カイロ大学の卒業生が求めるものは、小池氏が1回目、2回目に見せた手書きの「卒業証書」(こちらは、卒業生の記念品とのこと)ではなく、卒鏡試験にパスした卒業生が最重要視する形式が書式化され、英文とアラビア語で学生課ですぐに発行される「卒業証明書」だという。これが、大学院進学や就職の際の真の「卒業証書」になるとのことである(5098ポイント・ページ)。
小池氏は、この「卒業証明書」も2016年6月30日、フジテレビのワイドショーで見せたのだが、カイロ大学のスタンプがあまりにも不鮮明で、正式の「卒業証明書」とは判別がつかないなどの問題点があるというのだ(5112ポイント・ページ)。石井氏の丹念な取材によれば、小池氏の「学歴詐称」はまず明らかである。少なくとも、未だに決着は着いていない。検事出身の弁護士郷原信郎氏によると、この得体の知れない「卒業証明書」の公表は、「偽造私文書行使罪」に相当する疑いが濃厚だと指摘している。公訴時効も到来していない。検察は既に小池氏の「学歴詐称」に関する刑事告発を受けているが、検察が本分に立ち返り、本気で捜査すれば小池氏が「刑事犯」として立件される可能性は否定できない。
米国は、日本を永遠に属国にするため自国に対して従順な「二大政党制」を樹立することを目論んでいる。当初は、小池都知事が立ち上げた「希望の党」。これは、小池氏が無慈悲な「排除の論理」を強行したため、失敗してしまった。現在は、その中心が日本維新の会になっている。マスコミを通して吉村洋文大阪府知事を持ち上げさせ、維新の支持率を上げさせたうえで、長崎県の小野泰輔元副知事(46)を東京都知事選の候補にしたのもその狙いがあるからだ。自公対維新の「二大政党制」を樹立するのが、米国の真の狙いだ。日本国民としては、同国の戦略を見抜かなければならない。
以下は、山本代表が小池都政を断罪したYoutubeの動画である。この動画を見ても山本氏が都知事選への出馬を準備していることが伺われる。
さて、小池都知事再選には大きな問題がある。まず、東京新聞は13日の社説でこれまでの小池都政について次のように批判している。長文になるが、引用させて頂く。
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国などに先駆けた内容で評価はできるが、「これが一番の実績です」と言われたら、「えっ?」と思う都民も多いのではないか。豊洲市場の移転延期など「小池劇場」の方が記憶に残る。豊洲では土壌汚染などが判明したものの、最終的に移転を容認し「元の鞘(さや)」に収まった。開場遅れで市場業者への補償が生じ、観光拠点施設も頓挫しかけた。混乱が大きく、成果と言い難い。
五輪・パラリンピックの経費精査は約四百億円の削減につながったと説明したが、訴えていた競技会場見直しは実現しなかった。思い起こせば、小池氏は「七つのゼロ」という歯切れの良い公約を掲げていた。待機児童や残業など、七項目の大半は解消されていない。実績がパフォーマンスに追い付かないのが実情である。
新型コロナウイルス対策に目を転じると、週末の外出自粛を要請したのは三月二十五日。五輪を優先し、延期決定まで厳しい対応を取らなかったのではないか、と指摘されている。警戒を呼び掛ける「東京アラート」を解除したのは、出馬表明前日の今月十一日。警戒を強化したり緩めたりする手綱が恣意(しい)的ではないか、との疑念が残る。一方、休業要請に応じた店舗への協力金など、都の対策は豊富な財源があってこそ可能だった。九千億円超の財政調整基金をほぼ使い切るため、今後は融通が利かなくなることを肝に銘じたい。
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朝日新聞13日付社説も似たようなものだ。ただし、両紙とも「学歴詐称問題」については触れていない。小池都知事の原点になる「(偽造私文書行使罪の容疑の濃い)学歴詐称問題」を根本に、①豊洲市場の移転延期の末に築地市場を解体し、大混乱を招いたこと②公約だった7つのゼロについての正しい評価③都民の生命よりも東京オリンピック開催を優先し、コロナ禍対策が大幅に遅れたこと④本来は他の都道府県知事とともに政府=安倍政権に対してコロナ禍対策のための財源措置を求めるべきだったが、それはせず、都知事選の運動のために都の財政調整基金を利用したことで、東京都の財政が極めて深刻な状況になっていること−など、都民として重く考えなければならない問題は無数にある。
さて、NHKや東京新聞によると、小池都知事は12日の記者会見で「東京アラート=①直近7日間平均の新規感染確認者が20人以上②同期間の感染経路不明率が50%以上③週単位の感染者増加率が1倍以上−の3指標を基準に、指標がひとつでもそのようになった場合、医療供給体制を踏まえて総合的に判断して再自粛の要請をするというもの=を廃止するという露骨な経済優先策への転換を表明した。小池都知事は12日に再出馬を表明したが、12日は③の状況だった。
この方針大転換は、1兆円程度あった都の財政調整基金が枯渇したからだと思われる。コロナ禍の経済への悪影響は今後本格化するため、今年度の税収は前年度に比べて1兆円から2兆円程度落ち込むと見られており、都の財政の悪化は一段と厳しくなる。また、この東京アラートの発動基準がいかに医学的・感染症学的・科学的に根拠のないものであり、簡単に放棄できるものであったかが分かる。
小池百合子都知事は何かをなすために権力を得てきたのではなく、ただ単に権力を求めるだけの「政治家」に過ぎない。今後の方向としては二階幹事長にさらに接近することで、ポスト安倍を狙っているのではないか。しかも、新自由主義に迎合し、社会保障は切り捨ててきた。コロナ禍対策でも、東京都の中核病院の院内感染の実態は明らかにしなかった。
こうした都知事に、コロナ禍対策を任せるわけにはいかないだろう。東京都民は7月5日投開票の都知事選について、自分や家族を守り、国民主権の民主主義社会を崩壊させないため、真剣に誰に投票するかを決めるべきだろう。選挙権を放棄してはならないことは言うまでもない。