政府は緊急事態宣言を解除、移動自由化に踏み切り、東京都も「東京アラート制度」そのものを廃止したが、その直後から東京都を中心に感染確認者が徐々に増えている。一方で、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は世界の感染者は来週、1千万人を突破するとして、事実上「非常事態」のレベルを上げた。総合的なコロナ禍対策の確立が急がれるが、安倍晋三政権と小池都知事には責任を取ってもらわなければならない。

朝日デジタルが2020年6月25日7時48分に投稿した「新型コロナの感染者急増、来週1千万人に WHOが予測」と題する記事によると、「世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は24日(スイス・ジュネーブ現地時間)の記者会見で、WHOに報告される新型コロナウイルスの感染者数が来週には累積で1千万人に達するとの見通しを示した。また、感染者が急増しているため、治療で酸素を必要とする患者のための医療用酸素濃縮器の供給が追いつかなくなっていると述べた」という。

ジョンズ・ホプキンス大学の世界各国からの新型コロナウイルス感染者と死亡者の集計をできるだけリアルタイムにまとめたサイト(https://coronavirus.jhu.edu/map.html)

ジョンズ・ホプキンス大学の統計では、日本時間6月25日午前7時33分現在の新型コロナウイルス感染確認者は全世界で939万1433人で、死亡者は48万1036人だ。朝日デジタルによると、「テドロス氏は感染者数について『最初の1カ月に報告されたのは1万以下だったが、この1カ月は400万近くに上った』と急速な拡大に触れ、ウイルスを封じ込めて人命を救うために最大限の努力を呼びかけた」という。

世界全体では急激なスピードで感染者が拡大し、それに伴い死亡者も急増していることが分かる。南半球が冬入りしたこともあるが、新型コロナウイルスの感染力、毒性の強さの表れだろう。最悪の国は、トランプ大統領が経済活動の再開を意識して、「ロックダウン」を解除している米国。

同国では黒人差別の実態が明らかになり、全米でデモが急拡大している中、トランプ大統領が「暴動には軍を出動させる」と発言したことが火に油を注ぐ形になり、11月に行われる大統領選では現職のトランプ大統領の再選はまず、なくなったとの見方が強い。民主党のバイデン元副大統領候補は高齢のため、副大統領選び(黒人女性で行政経験のある大物)に焦点が移っている。

ブラジルなど南半球で感染確認者、死亡者が急増しているが、習近平政権の中国も北京を中心に内陸部で感染者が急増している。このため、中国と国境を接している北朝鮮では国境閉鎖を強化せざるを得ず、朝鮮戦争以来の「血盟国」中国からの経済支援も停止状況にあると見られる。このため、紙幣が意味を持たなくなり配給制を取らざるを得なくなっている北朝鮮では地方で配給が途絶えていたが、北朝鮮政府に忠誠を誓う「人民」が居住している平壌でも配給が途絶えがちになっている。最近の北朝鮮の韓国に対する挑発行動は、北朝鮮内で深刻化するコロナ禍がその背景になっているものと見られる。

小池百合子都知事が「自分ファースト」の政治を行う東京都庁=東京都のサイトより

一方の日本。昨日6月24日の感染確認者数は朝日新聞の調べだと96人に上った。うち、東京は55人である。朝日デジタルが2020年6月24日22時49分に投稿した「東京の感染者55人、緊急事態宣言の解除後では最多」と題する記事によると、「東京都で新たに確認された感染者は55人。50人以上は5月5日の57人以来、50日ぶり。国の緊急事態宣言が全面的に解除された5月25日以降最多となった。(中略)都内での1日あたりの感染者数は、7日連続で20人超となった」。感染確認者数は段々増加している。

小池都知事がまともなら、「東京アラート」を再発出しなければならない。東京アラートの発出・解除の基準数値は、①新規陽性者数が1週間平均で1日20人未満②感染経路不明が50%未満③陽性者増加比が直近1週間とその前の1週間の感染者数比が1以下−というもの。現状は①②を上回っていることは確実であり、「東京アラート」を再発出すべきところだ。しかし、小池都知事は都知事選のため「東京アラート」制度自体を廃止してしまった。

これを「支離滅裂」、「朝令暮改」と言う。その根本には、4年前の2016年に掲げた「都民ファースト」というものが虚構でしか無く、「自分ファースト」というものが実態だったことがある。こういう利己主義者(かつ、学歴詐称に象徴される法螺吹き主義者)に東京都民の生命と企業の経済活動を守ることを任せることはできない。一刻も早く退場してもらわなければならない。

一方、政府=安倍晋三政権は、コロナウイルス感染防止対策の「専門家会議」を廃止してしまった。改正新型インフル特措法に基づいて設けられた政府対策本部の責任者である西村康稔経済再生相が24日、政府の専門家会議の廃止と新たな会議体の設置を発表したのである。専門家会議は完全な議事録を残さなかったという致命的な問題があったが、同会議の公式発表資料は厚生労働省と専門家会議の合作であったことも判明。

専門家会議が医学的・科学的知見に基づいて政府=安倍政権に現状と展望を提示し、政府がそれに基づいてコロナ禍対策を決定するというものだったが、医師でもない安倍首相をはじめとする閣僚にその能力があるのか、はなはだ疑問だった。

政府のコロナ禍対策も、①オリンピック強行開催を優先したため、対策に入るのが遅すぎた②突然の休校要請とその後の再開、WHOが効果はないとしている布製のアベノマスクの配布、限られた世帯への30万円配布から1人10万円給付への方針転換と支離滅裂だった(背景には、緊縮財政路線から決別できない財務省に反論できる能力がない)③実施(支援金給付)のスピードが遅すぎるが、電通などの政商に対しては給付金・支援金をすばやく横流しする④コロナ禍を利用して「火付け泥棒」よろしく、憲法改悪(緊急事態条項を取り込むことが主眼)や敵地攻撃能力の確保・増強を図ることを画策する−など、問題点が山積している。

安倍政権には初めから期待できなかったが、もう退陣してもらわなければならない。河井克行前法相・河井案里参院議員が逮捕され、本丸は自民党本部の総責任者(安倍総裁)と見られていることで、内閣・自民党の支持率は急低下している。ちょうど、良い機会だ。広島県の地方政界は大騒ぎで、当初は河井前法相から現金を受領していたことを否定していた首長、県市町村議会議員も次々と供述を翻し、受領を認めている。

2020年6月25日5時00分に投稿された「河井夫妻、政治家42人に1810万円 買収容疑の全容」によると、「参院議員の河井案里容疑者(46)=自民党を離党=が初当選した昨年7月の参院選をめぐる公職選挙法違反(買収)容疑事件で、逮捕された前法相で衆院議員の河井克行容疑者(57)=同=が94人に渡したとされる計約2570万円のうち、7割にあたる約1810万円が自民党系の地元政治家42人への提供だったことが東京地検特捜部の調べでわかった。残りは後援会関係者46人に約390万円、選挙スタッフ6人に約370万円が渡っていたという。逮捕容疑の全容が判明した」という。

既に投稿したように、検察庁は「ルビコン川」を渡っており、「本丸」は自民党本部の最高責任者(安倍総裁)であると見られる。このため、自民党内では党内政局が本格化している。河野太郎防衛相がイージス・アショアの配備断念を安倍首相に談判、認めさせたのもその現れだろう。秋までには解散・総選挙があると見られているが、もしそうなれば大敗は免れない。

一方の「野党勢力」。社民党の立憲民主党に対する反発は強い。社民党の吉田忠智幹事長が立憲の福山哲郎幹事長との間で、地方組織のあり方など合流の際の各論点の方向性をまとめた文書案を作成してはいる。しかし、朝日デジタルが2020年6月24日22時40分に投稿した「立憲との合流協議 社民・福島氏『完全にゼロベースで』」によると、「社民党の福島瑞穂党首は24日の記者会見で、立憲民主党との合流について『反対論も強いし、危惧もある』とし、『完全にゼロベースで党内で議論をしていくことになる』と慎重な姿勢を示した」という。

政策合意なき「野党共闘」は野合であり、いずれ分解してしまう。その分解が開始されたと見るべきだ。都知事選でれいわ新選組代表の山本太郎候補を応援するため、立憲に3回離党届をした伊達元気参院議員に対する処分も決まらない。同期の参院議員に遺留(=山本候補の応援を断念させること)させている。これは、枝野幸男代表が都知事選の選挙結果によっては、「野党共闘」の「主力野党」の座を奪われることを恐れているためだ。同党の綱領には、「私たちは、一つの価値観を押し付ける政治ではなく、国民のみなさんとつながり、日常の暮らしや働く現場の声を立脚点としたボトムアップの政治を実現します」と書かれている。

自党の綱領さえ守れない立憲は、野党共闘の主力政党になる資格はない。同党はもともと、政府=安倍政権の政策を支持する御用組合・連合の組織票を当てにしているから、そもそも「確かな野党」ではなく、「安倍政権の補完政党」でしかない。その「重責」を担っているのが、いつも自民党の森山裕国対委員長と折り合いをつける安住淳国対委員長だ。財政民主主義を否定する10兆円の予備費を容認したのも、安住国対委員長だ。立憲は自民党と対決するフリをしながら、裏で取引をしている。昔の社会党みたいな政党である。

野合の「野党共闘」が、れいわの山本太郎代表が都知事選に参戦したことにより、崩れ始めている。正しい野党共闘は、理念と政策が一致する「政策連合」でなければ、意味を持たない。Youtubeの動画を見ていると、山本太郎候補の「ゲリラ選挙演説」の動画は多数出ており、視聴回数はひとつの動画で5万回から10万回に及ぶ。しかし、同じ条件で検索しても、宇都宮健児候補の動画は最初の立候補演説が10万回あるだけだ。恐らく、「野党統一候補」に安住して、組織票に頼っているのであろう。これでは、国民主権の民主主義と政治に関心を失った無党派層を投票行動に駆り立てるのは無理だろう。

日本の政治が正常にならず、コロナ禍対策もうまく行かないすべての責任は、事実上の自公支援勢力であり、確かな野党の名に値しない国民民主と立憲にある。宇都宮候補が日本の政治状況を正しく把握し、山本候補と1対1で適切な対策を取らない限り、現状は変わらない。また、次の解散・総選挙でも自公政権から政権を奪うには至らないだろう。全てが分岐点に来ている。

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