首都圏を中心とする全国のコロナ感染拡大が加速−それでもPCR検査など検査数は極めて少ない(24日の東京・全国感染者数追記中)

「Go To トラベル」キャンペーンが強行開始された23日、日本のコロナ感染者数は公表値で全国981人、東京都は366人。千葉県33人、埼玉県64人、神奈川県53人の首都圏合計では516人。これに大阪府104人、兵庫県35人と愛知県の97人の京浜、阪神、中共の3大工業地帯の中核工業地帯を合計すると752人。日本の経済社会を支えている大都市圏が8割を越えた。現在の日本でのコロナ感染拡大が日本の経済社会を支える中核都市を中心に起こっている形だ。政府サイドでは、PCR検査数が拡大したから感染者も増加してきていると弁明しているが、全検査のうちに占める陽性判定の患者数の割合=陽性率も高くなってきている。第二波は確実にやってきているが、政府=安倍晋三政権の無策ないし支離滅裂な対応が際立つ。

NHKのサイトから感染状況の推移グラフを引用させて頂く。グラフは、スライダーで過去にさかのぼって推移を把握できる仕組みになっている。

NHKのサイト(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/)

NHKのサイト(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/)より

※NHKが2020年7月24日16時19分に投稿した「東京都 新たに260人感染確認 200人超は4日連続 新型コロナ」と題する記事によると、「東京都の関係者によりますと、24日、都内で新たに260人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということです」という。

また、朝日デジタルが22時06に投稿した「全国で新たに769人の感染確認 入院患者1千人超えに」と題する記事によると、「新型コロナウイルスの国内感染者は24日午後9時半現在で、新たに769人が確認された。東京都で260人、大阪府では過去最多の149人にのぼった。また、愛知県で63人、福岡県で52人と大都市圏で感染拡大が続いている。全国での死者は新たに3人」。各種メディアの報道によると、安倍晋三首相は同日の記者会見で、改正インフル特措法に基づく「緊急事態宣言」の再発出はしないと語ったという。

政府=安倍政権やその傘下にある小池百合子率いる東京都知事の言い訳は基本的に、PCR検査数が拡大してきたためということだ。東京新聞7月24日付1面トップ記事によると、「都によると、週末に体調不良を感じ。月曜日に検査を受ける人が多い。その結果が、各保健所から東京都に報告されるまで3日かかるため、木曜日に感染者数が多くなる傾向がある。20日(月曜日)の検査件数は過去最多の約4930件だった」としている。人口100万人当たり352件の検査数の勘定だ。

しかし、このことは新型コロナウイルスの感染で体調が悪化している都民が増えてきていることの表れだ。また、世界各国別の検査数、感染者数、死亡者数を公表しているhttps://www.worldometers.info/coronavirus/によると、人口が東京都の約1400万人より少ないスウエーデンのPCR検査数は75万1213人、人口100万人当たりでは7万4354人だ。同国では「集団免疫」の獲得を狙っているとされているが、死亡者が5676人出ており、感染者総数の7万8763に占める割合=致死率が7.2%と全世界平均の4.1%と比べて異常に高いことから、「集団免疫獲得路線」は失敗したと見られている。

東京都のこれまでのPCR検査人数の合計は今のところ不明だが、総検査人数、人口100万人当り検査人数ともスウエーデンに遠く及ばないだろう。実際の総検査人数は5000人×150日=75万人、人口100万人当りでは350人×150日=5万2500人よりもはるかに少ないと推測される。韓国では総検査数1,50万854件、人口100万人当たり 2万9272件だ。人口が東京都の半分以下のシンガポールでは、総検査数1,17万49人、人口100万人当たり 19万9900人と積極的な検査を行っている。しかも、東京都の陽性率は5月1日時点の3.1%から7日間の移動平均で6.7%まで上昇している。

東京都のPCR検査の陽性率の推移(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/positive-rate/)

小池都政は、重要な指標として感染者数からコロナ患者を受け入れる病床数の確保に移したが、東京新聞7月24日付23面によると、都は7月13日までに2700床確保するとしていたものの、22日時点でやっと2400床になったという。第一次コロナ波で医療機関の経営が大幅に苦しくなったためだ。都は都内130の医療機関に約200億円を助成するとしているが、「東京臨海病院では、4月と5月、病院の支出は1割増えたが、収入は3割減り、1ヶ月当たりの影響額は4億円に上った」としている。小池都政の支援金では、焼け石に水だ。

しかも、感染者は若者から50歳台以上の基礎疾患や高齢者にも拡大している。このまま推移すれば、医療体制逼迫・医療体制危機に陥りかねない。

東京都のサイト(https://www.yokoso.metro.tokyo.lg.jp/kengaku/index.html)から

東京都がエピセンター(首都圏型コロナウイルスの震源地)になり、全国に拡散していると考えられるから、小池知事は全国の道府県の首帳の先頭を切って、地方交付税交付金の特別増額を要請しなければならないはずだ。取り敢えず、政府=安倍政権は第二次補正予算で使途不明の予備費を10兆円確保している。医療体制の再整備はまず、そのために支出すべきだ。

また、厚生労働省によると(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html)全国レベルでのPCR検査数や陽性判定者(感染者)数などの推移は次のようになっている。

累計57万9083人、昨日1日あたり1万6357人だが、人口100万人(7月推計で総人口は1億2596万人)当たりに換算すると、総数で4597人、1日当たりで130人。東アジア諸国と比較しても、シンガポールはもちろん、韓国と比べても異常に少ない。昨日の陽性率は4.82%だが、東京都の陽性率が上昇傾向にあり、首都圏がエピセンター化していることを考慮すれば、全国の陽性率も上昇していく公算は小さくない。

なお、https://www.worldometers.info/coronavirus/によると人口100万人当たりの死亡率は死亡者はインドネシア、フィリピンの17人に次いで8人とワースト3位に入っている。続いて韓国の5人、中国の3人、タイの0.8人、台湾の0.3人である。

安倍内閣が全国47すべての都道府県の緊急事態宣言を解除した5月25日に安倍首相は次のように述べた。「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います」。この発言がウソであったことは、今日の感染拡大状況をみると明らかだ。

しかし、安倍首相は閉会中の国会審査会にも出席せず、隠れたままだ。そのうえ、新型コロナウイスル感染拡大が収束してから、「Go To トラベル」などの「Go To キャンペーン」を行うとの発言を自ら破り、国民の反対の中で、効果も乏しいと思われる総額1兆7000億円の予算をかけて強行している。新自由主義の掲げる均衡財政論=財政再建論の呪縛を脱せない政府=安倍政権にとっては経済活動再開第一に切り替えた結果だが、効果は乏しく、むしろ、感染拡大のさらなる要因になるとの指摘も強く、その場合は「天災ではなく人災」になる。

植草一秀氏がメールマガジン第2601号「 背徳東京五輪中止へのカウントダウン」で指摘しているように「GoToトラブルキャンペーンで日本全国に感染が拡大される場合、安倍内閣が総辞職すべきことは当然」である。集団旅行は責任者の住民票のみで、諾否が判断される。ただし、総辞職に対しては反安倍陣営の再編が必要になる。この点は、後日、記事を投稿させて頂きたい。

今回のコロナ禍対策については、新型コロナウィルス抗体検査機利用者協議会アドバイザーで東大先端科学技術センターに所属している児玉龍彦東大名誉教授が指摘するように、①精度の高い抗原・抗体・PCR検査をエピセンター地域で大規模に行い、無症状感染者を含む感染者を把握し、隔離と治療・追跡体制の確立を行い、感染拡大を強力に防止つつ、徐々に経済活動を再開していくという手順がもっとも好ましいと思われる。

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